エクスプローバからローンチされたユニークなホームトレーナーのNOZA one。一見するとNOZA Sとほぼ変わりない作りながら、負荷調整機能をあえて省略し、乾電池を電源とするなど大胆な変更が行われた新作の詳細に迫る。



エクスプローバ NOZA oneエクスプローバ NOZA one
NOZA Sがリリースされた際にインプレッション記事を担当した私こと筆者・藤原が、NOZA oneのことを知ったのは、ワイズロードのスタッフ向け試乗会だった。東大和店スタッフの大元さんに「何か面白いものありましたか?」という私の雑な問いを投げかけた際に返ってきた答えがNOZA oneだったのだ。

今回の記事では私にレコメンドしてくれた大元さん、サイクルワークスFin'sの遠藤さんによる解説と共にNOZA Sの詳細を掘り下げたい。

NOZA oneに触れる前に近年リリースされているポピュラーなスマートトレーナーの特徴に触れておこう。スマートローラーの多くはPCやスマホとの双方向通信による自動負荷調整機能が備えられており、バーチャルコースの斜度の変化やドラフティング効果を再現し、バーチャルライドへの没入感を高めてくれる。

NOZA oneを解説してくれたワイズロード東大和の大元さんNOZA oneを解説してくれたワイズロード東大和の大元さん
一方で、「スマートトレーナーの負荷が厳しいという声が届くことがあります」と大元さんは言う。確かにバーチャルサイクリング内の斜度を再現する際、10%ともなれば非常に大きな負荷がかかることになる。それが1時間以上も続くヒルクライムコースであれば、初心者にとっては登り切るハードルは高くなってしまうのも事実。

もちろん、既存のスマートローラーやバーチャルサイクリングアプリには斜度再現機能のオンオフを選べたり、負荷のかかり方を変更できる機能も用意されているため、設定を調整できる方であれば、好みに合わせてバーチャルサイクリングを楽しめるが、その設定方法がわかりにくいことも少なくない。

しかも、自動負荷調整機能をオフにしたまま使うことが多いのであれば、リッチな機能を持て余してしまうし、何よりも価格面でもったいない。

シマノ11速用のフリーボディが搭載されているシマノ11速用のフリーボディが搭載されている
このように、自動負荷調整機能は必要ないけど、デバイスと連携して活用したいというニーズに応えるべくしてリリースされたのが、エクスプローバのNOZA oneだ。自動負荷調整機能を省略したことが最大の特徴であり、より気軽にバーチャルサイクリングやインドアトレーニングを楽しめるように設計されたモデルとなっている。

「負荷が変化せずに一定の大きさでかかり続けるため、フィットネスとして気軽にインドアサイクリングを楽しむことができます」と大元さんは語る。世界中の人たちと一緒に走る気持ちよさを味わいつつ、マイペースで仮想空間をすみずみまで駆け回れる固定負荷でのバーチャルサイクリングは、トルク変動が苦手な初心者にとって、大きなメリットとなるだろう。

外観はNOZA Sとほぼ変わらないが、プロダクトバッチで見分けられる外観はNOZA Sとほぼ変わらないが、プロダクトバッチで見分けられる
また、バーチャルサイクリングが隆盛する以前は、映画や自転車レースを観ながらタイヤドライブ式の固定ローラー台で室内トレーニングに励んでいた方も少なくないはず。

バーチャルサイクリングの流行りと共にトレーナーの主流もダイレクトドライブ式かつ電源の必要な自動負荷装置が採用されたスマートトレーナーとなってきたが、一方で"ながら"でペダルを漕ぐサイクリストにとって、リッチな機能とそれに伴う高価格、電源を確保しなければ負荷が掛からないことのあるスマートトレーナーはそれまでの用途からするとオーバースペックであったり、逆に不便だったりする側面もあったはずだ。

インジケーターでトレーナーが動いていることを確認できるインジケーターでトレーナーが動いていることを確認できる
NOZA oneはシンプルなホームトレーナーを探している方にもうってつけの一台だ。電池で駆動するため、どこでも一定の負荷をかけることが可能であり、そのままPCやデバイスとペアリングすることもできる。パワーデータはNOZA oneが取得しているため、自転車側にパワーメーターを要求しないのも大きなメリットだ。

何よりもダイレクトドライブ式であることが大きなポイントだろう。後輪の代わりにホームトレーナーにマウントするダイレクトドライブ方式は、タイヤ由来の振動や騒音、スリップなどのデメリットがなく、快適に室内トレーニングを行える。"ながら"で映画やレース動画などを楽しむ際も、コンテンツの音声を聞き取りやすいはず。

インジケーターの裏側に電池が備えられているインジケーターの裏側に電池が備えられている
静粛性に関して言えば、NOZAシリーズは登場時からその静かさには定評があるモデルであり、NOZA oneも同様だ。日本の住宅環境にもフィットするマシンかつ、価格も59,400円(税込)と比較的手の届きやすい設定なのも嬉しいポイント。

「タイヤドライブ式の固定ローラーとすると若干高価ではありますが、ローラー台用のホイールやタイヤなども用意したいことを考えると、NOZA oneと大差ない金額となります。ダイレクトドライブ式のメリットや、パワー計測可能かつ通信機能を有していることを考慮すると、NOZA oneは非常にバリューが高く、選ぶ理由があるモデルだと思います」と大元さんも太鼓判を押す。

幅広の脚でスプリントなどにも対応する幅広の脚でスプリントなどにも対応する
更に言えば、近年はディスクブレーキバイクとスルーアクスルを組み合わせたバイクが多く、リアのクイックリリースを保持するローラー台ではクランプしづらいモデルもある。最新のバイクを所有していて、シンプルなインドアサイクリングやフィットネスを楽しみたい方にもフィットするトレーナーだろう。

外見はNOZA Sとほぼ変わりないのだが、非常に細かいポイントでNOZA one用の仕様とされ、コストを抑えているようだ。例えば、前脚を固定するクランプがダイヤル式ではなく、六角レンチで回す作りとなっている。さらに、脚の先に装着されるゴム部分も変更されている。

前方のレッグが六角レンチで固定する方式に変更されている前方のレッグが六角レンチで固定する方式に変更されている
9mmのクイックリリースと12mmのスルーアクスルに対応する9mmのクイックリリースと12mmのスルーアクスルに対応する
とはいえ、使用する際に困る部分ではないため、NOZA Sと同じように使えそうだ。電池はインジケーターが備えられているキャップ部分に収納されており、付属する六角レンチを使用してキャップを外してアクセスすることが可能。

細かな仕様の変更はあるものの、NOZA S同様の高い剛性感は健在で、編集部随一のパワーを誇る高木がスプリントを行ってもびくともしない。高いトルクをかけた状態でも、ハイケイデンスで回した状態でも、ローラー台から発せられる音はわずかで、チェーンの駆動音の方が目立つほど。十分に静かなローラー台と言っても過言ではないだろう。

エクスプローバ NOZA oneエクスプローバ NOZA one
「フライホイールが大きいおかげか、負荷のかかり方も自然です。最初から心地よいレベルの負荷がかかり続けてくれるので、乗り初めからスカスカと足が抜けてしまうことはない」とは高木のコメント。ズイフトでサイクリングしていても違和感は少なそうだ。ちなみにエクスプローバによると、斜度2%ほどの負荷が常にかかり続ける負荷設定とのこと。最も気持ちよく漕げるギアポジションを見つけられれば、淡々と室内でフィットネスを行えるだろう。

このNOZA ONEは、リッチなバーチャルサイクリングではなく、よりシンプルなインドアフィットネス方法を模索しているサイクリストにはうってつけのスマートトレーナーだ。負荷のかかり方を一度試してみて、自分にフィットするのであればリーズナブルな選択となるだろう。


サイクルワークスFin's 遠藤健太店長

NOZA ONEの特徴は三つあり、一つ目はお手頃な価格設定で、二つ目は自動負荷調整機能をカットしたことです。スマートトレーナーは10万円ほどが多い中で、自動負荷調整機能をあえてカットすることで、手を伸ばしやすい価格を達成していると思います。

機能としてもフィットネス感覚で楽しめるローラー台となっており、室内サイクリングに初めて挑戦する方や自動負荷調整機能の負担が大きいと感じている方にはちょうど良い機能と価格を達成していると思います。

インドアサイクリングに造詣が深い遠藤健太さん(サイクルワークス Fin’s)インドアサイクリングに造詣が深い遠藤健太さん(サイクルワークス Fin’s)
三つ目はエクスプローバのローラー台に共通することですが、静粛性が圧倒的に高い点です。ライド中はチェーンの音しか聞こえないほどなので、マンションやアパートにお住まいの方でも防振マットさえ敷けば、室内トレーニングができると思います。

なんと言っても負荷調整機能がカットされたことが特徴のNOZA ONEは、スマートローラー台の負荷が重いと感じていた方にチェックしてもらいたい一台です。

サイクルワークスFin's (シクロワイアード・レコメンドショップ記事)
サイクルワークスFin's (公式WEB)



エクスプローバ NOZA one
寸法(設置時):600 × 490 × 450 mm
総重量(開梱時):12.5Kg
フライホイールの重量:5.3 Kg
騒音レベル:58dB(30Km/h)
最大出力:800W(58Km/h)
最大シミュレーション傾斜:2%
精度:±3.0%
自転車との互換性:ロード650c、700c マウンテン24"、26"
電源:単4乾電池 2本(別売)
電池稼働時間:約360時間
価格:59,400円(税込)