モデルチェンジを果たし、第2世代となったエクスプローバのスマートローラー「NOZA S」。様々なアップデートが加えられた注目のスマートローラーを実際に使用してみた。前作であるNOZAとの比較を行いながらレビューをしていこう。



エクスプローバ NOZA Sエクスプローバ NOZA S
アンダー10万円という破格のプライスタグを引っ提げ、スマートローラー市場に乗り込んできたエクスプローバ「NOZA」。安価というだけではなく、集合住宅でも使えるほど優れた静粛性を持ち日本のローラー台事情にマッチしていたことから、登場時に大きな話題を呼んだことは記憶に新しい。そんなNOZAがモデルチェンジを果たすと聞き、シクロワイアード編集部でも早速試す機会を得た。

編集部に届いた段ボール箱はスマートローラーが入ってることを実感させる重量感。発泡スチロールで保護されたボディを引きずり出して、NOZA Sといよいよ対面する。ひと目見ただけでは前作と大きな違いは感じられないが、脚の断面形状やフライホイールなどほぼ全てが作り変えられている。

前作同様、NOZA Sも脚を組み立てる必要がある。17kgという重量と格闘しながらの作業は若干の手間であるが、折りたたみ式を採用しない潔さも価格面に反映されていると思えば納得できる。ちなみに、後ろ脚のボルトとナットの位置関係が前作から反転しており、天面にナットが配置されたことでボルト留めの作業性も向上している。地味な部分であるものの、こういった細かな部分が改良されているのを見ると、モノづくりに対して真剣に向き合っているのだな、と感じさせられる。

ボルトや工具が用意されているボルトや工具が用意されている クイックリリースや3ピンの電源アダプターが付属するクイックリリースや3ピンの電源アダプターが付属する

NOZA Sの作業は箱から取り出したら脚を組み立てるところから始まるNOZA Sの作業は箱から取り出したら脚を組み立てるところから始まる 丸断面形状の脚、ボルトの取り付け方が変更されている丸断面形状の脚、ボルトの取り付け方が変更されている


前脚はダイヤル式のストッパーに加え、プッシュボタン式のストッパーも設けられており、トレーニング中にずり落ちてくる心配も少ない。今回のテストでは前作も同じ様に使ってみたが、実際はずれ落ちてくることは無かったので、新型の追加ストッパーはずれ落ちたことのある人にとっては良い改善であるし、初めて使う人にとっても安心感が増す要素となる。

スプロケット、自転車に合わせたエンドアダプターを装着し、自転車をセット。いよいよ電源を入れる段階に移る。NOZA Sは電源コードを本体に差し込むだけで、キャリブレーションを同時に行い起動が完了する、非常にイージーな仕様となっている。

更に言えば、コードの差込口が前作のボディ下からボディ側面に移設されたことで、手間が一層軽減されているように思う。毎日、電源のオンオフを行うことを考えると、僅かなことでも続けられるような要因になってくれるだろう。

シマノ11速のフリーボディが装備されているシマノ11速のフリーボディが装備されている 様々なリアエンドに対応するアダプターが揃う様々なリアエンドに対応するアダプターが揃う

回転部のデザインも見直されている回転部のデザインも見直されている ワイドスタンスの脚となっているワイドスタンスの脚となっている


さていよいよバーチャルサイクリングの世界に飛び込む時が来た。代表的なバーチャルサイクリングアプリであるズイフトを立ち上げ、パワーメーターの項目をタップする。すると、クランクを回す(動かすことで電波を飛ばす)間もなく、NOZA Sを認識してくれ、サクサクと準備が進んでいく。ちなみにペアリングを行ったのはiPad。一度も作業の手を止めること無く、分身であるアバターがズイフトの世界に降り立った。

まず気になったのはチェーンがシャリシャリうるさい、BBの調子が悪そうということ。静粛性の高いローラー台について良く聞く感想なのだが、ローラー台が発する音より、自転車が発する音のほうが大きく、強い印象を残す。あえて意識をローラー台に向けて、初めてNOZA Sの駆動音が聞こえてくる程度。パワーを上げるにつれて駆動音も大きくなるが、ワークアウトを終えたあとの粗い呼吸音のほうが確実に大きのではないだろうか。

初代NOZAも同じく58dBというスペック値になっているが、感覚としてはNOZA Sのほうが総合して静かに仕上げられている。そう思う理由は幾つかあり、まず1つはフリーボディが空転するときのノッチ音が明らかに違いとして感じられるから。加えて、フライホイールのサイズアップに伴い変更が加えられている、ベルトをはじめとした駆動部から発生する音も小さいようだ。前作ではブゥゥーンと低音が響くが、今作では若干ではあるものの駆動音は抑えられている印象を持つ。

ベルトによって回転する部分とフライホイールのサイズが大きくなっているベルトによって回転する部分とフライホイールのサイズが大きくなっている
脚もアップデートされている脚もアップデートされている
屋内トレーニングで集中力を保つためにはストレスを限りなく減らすことが大切だ。強い意志を持って乗り込んでいるならば、多少のストレスも許容できると思うが、家の中には様々な誘惑が転がっており、ローラー台トレーニングをやめる理由はいくつもある。誘惑とフィットネスを天秤にかける時、ストレスが少ないというのは1つのゲインとなってくれるだろう。

負荷の掛かり方は非常にスムース。大型のフライホイールにアップデートされているためか、ズイフト内の勾配変化に対して滑らかに負荷が増していくように感じられる。ブレーキのようにギューッと負荷がかかるスマートローラーもあるが、NOZA Sに関しては負荷具合をグラフに書くとすると傾きが穏やかな曲線のよう。それでも斜度0%→1%に変わるだけでもジワリと脚へのフィードバックは確実にあるため、バーチャル世界でのサイクリングの勾配変化に対して集中したまま遊ぶことができる。

エクスプローバ NOZA Sエクスプローバ NOZA S
前作と比較をすると大型フライホイールが非常に効果的に働いていると感じた。エクスプローバのサイコンX5と連携させると実際の地形を再現することができるので、それで繰り返し何回か試してみた。低ケイデンスで登坂している時、前作は失速感がありペダリングごとに踏み直しているような印象があったのだが、NOZA Sでは慣性が効いているのか同じようなリズム感で踏み続けられるイメージ。ローハイトとディープリムのホイールとの比較に似ていると感じている。

初回テストライド後にファームウェアアップデートの知らせを聞き、実際にソフトの更新をかけてみた。ソフトの更新で何かが変わるとは思っていなかったが、更新後に再び乗ってみると負荷の掛かり方に変化が生まれたのは驚きの体験だった。アップデート前はズイフトの画面上で斜度が変化する前に、NOZA Sに負荷が加わりワンテンポ早く、若干負荷は軽めという印象を抱いており、更新後は画面とジャストタイミングで負荷が加わるようになり、負荷もいい感じに掛かるようになっていた。

エクスプローバのサイコン「X5 Evo」と連携することも可能エクスプローバのサイコン「X5 Evo」と連携することも可能 部屋の中でも地図と勾配を確認しながら、リアルな地形を再現可能だ部屋の中でも地図と勾配を確認しながら、リアルな地形を再現可能だ


これまで電子機器のファームウェアアップデートは気が向いたら、重大な内容変更がある時と思っていたが、適正な状態で扱うのであれば都度更新を確認したほうが良いと考えを改めた。少なくともスマートローラーに関してはそう思う。

機能に関してはこれ以上何を望もうか、いや望まない。十分。よりバーチャル世界をリアルに再現しようとして、上を見ると様々なモデルが存在することも事実。10万円は決して手の出しやすい価格ではないが、スマートローラーの機能のみを求める方にとっては非常に有力な候補となってくれるだろう。前作は注文が相次ぎ、入荷待ちとなったため、気になる方は早目にチェックをしておいたほうが良いかもしれない。




エクスプローバ NOZA S
価格:98,000円(税抜)
発売日:5月18日(月)

製品内容
フロントレッグ、リアレッグ、ナット(x2)、ボルト(x2)、六角レンチ、1.8mm スペーサー、130mm および 135mm クイックリリース用ドライブサイドアダプタ、12x142mm および 12x148mm スルーアクスル用ドライブサイドアダプタ、スルーアクスル用リバーシブルハブスペーサー、フロントレッグ調整ノブ、クイックリリーススキュワー、電源アダプタ
寸法(設置時) 593.4×514.5×465.15mm
総重量(開梱時) 17.0Kg
騒音レベル 58 dB(30Km/h)
最大出力 2500W(58Km/h)
最大シミュレーション傾斜 18%
梱包寸法 700×500×300mm
ファームウェア アップグレード可能
接続性 ANT+、FE-C、Bluetooth
スピンダウン補正 可能
ドライブトレイン 8/9/10/11速シマノ/SRAM (スプロケットは別売)
フリーボディ― シマノ/SRAM ロード11s用