国内レースプレーバック最終回は、9月に個人と団体の年間総合優勝が決まったJプロツアーと、初開催のおおいたアーバンクラシック、ジャパンカップ、ツール・ド・おきなわなどの国内UCIレースと、トラックとシクロクロスの全日本選手権を振り返ります。



9月 年間総合優勝が決まったJプロツアー 地震により中止となったツール・ド・北海道

Jプロツアーでは2年ぶりの復活となったチームTTを制した宇都宮ブリッツェンJプロツアーでは2年ぶりの復活となったチームTTを制した宇都宮ブリッツェン photo:Satoru KatoチームTT2位 マトリックスパワータグチームTT2位 マトリックスパワータグ photo:Satoru Kato

9月1日、1ヶ月の中断期間を経てJプロツアーが再開しました。渡良瀬遊水地で開催された第16戦のチームタイムトライアルチャンピオンシップは、宇都宮ブリッツェンとマトリックスパワータグの首位争いとなり、宇都宮ブリッツェンが優勝しました。

雨中の個人TTを制したのは、この種目の全日本チャンピオン窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)雨中の個人TTを制したのは、この種目の全日本チャンピオン窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング) (c)JBCF
翌日の第17戦タイムトライアルチャンピオンシップは、個人タイムトライアル全日本チャンピオンの窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング)が、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)を1秒差で退けて優勝し、今季4勝目を挙げました。


北海道胆振東部地震が起きた翌日、停電の中行われた監督会議でツール・ド・北海道の中止が伝えられた北海道胆振東部地震が起きた翌日、停電の中行われた監督会議でツール・ド・北海道の中止が伝えられた photo:Satoru Kato
9月6日未明、最大震度7を記録した北海道胆振東部地震が発生しました。2日後の8日にスタートする予定だったツール・ド・北海道は全日程の中止を余儀なくされました。スタート地点の旭川市は震度4を記録しましたが、幸いにも市内に集まっていた国内外の出場チームや主催関係者に人的・物的被害はありませんでした。






4kmチームパーシュートを走るチームブリヂストンサイクリング 4分5秒270の大会新記録を樹立4kmチームパーシュートを走るチームブリヂストンサイクリング 4分5秒270の大会新記録を樹立 photo:Satoru Kato
9月8日と9日、伊豆ベロドロームではトラック競技の全日本選手権が開催されました。

男子エリートでは、窪木一茂を筆頭にチームブリヂストンサイクリングが中・長距離種目を席巻しました。特に窪木は、4km個人パーシュートで4分20秒065の日本新記録を樹立しての優勝を含む計4種目で優勝しました。

女子ポイントレースを走る梶原悠未(筑波大学)女子ポイントレースを走る梶原悠未(筑波大学) photo:Kensaku SAKAI
女子エリートでは、8月のアジア大会から帰国したばかりの梶原悠未(筑波大学)が、3km個人パーシュート、マディソン、ポイントレースなど4種目で優勝しました。


山口カルストロード最終周回 リオモ・ベルマーレの米谷隆志と才田直人、宇都宮ブリッツェンの増田成幸の先頭集団山口カルストロード最終周回 リオモ・ベルマーレの米谷隆志と才田直人、宇都宮ブリッツェンの増田成幸の先頭集団 photo:Satoru Kato山口カルストロードを制した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が優勝山口カルストロードを制した増田成幸(宇都宮ブリッツェン)が優勝 photo:Satoru Kato

Jプロツアーは終盤戦に差しかかり、最終戦を待たずに総合優勝が決まります。

9月16日、山口県の秋吉台で開催されたJプロツアー第18戦「秋吉台カルストロード」では、リオモ・ベルマーレ・レーシングチームの才田直人と米谷隆志がレースをリードする中、宇都宮ブリッツェンの増田成幸が今季2勝目を挙げました。増田は5月のツアー・オブ・ジャパン京都ステージでの落車による負傷で一時戦線離脱していましたが、再び復活の勝利を挙げました。この結果により、宇都宮ブリッツェンが事実上年間チーム総合優勝を決めました。

まえばしクリテリウム 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング )が優勝して年間総合優勝を決めるまえばしクリテリウム 窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング )が優勝して年間総合優勝を決める photo:Satoru Kato
そして9月29日、群馬県前橋市で開催されたJプロツアー第20戦「まえばしクリテリウム」では、雨中のレースで途中中断など混乱したレースを窪木一茂が制し、個人の年間総合優勝を決めました。

9月30日に予定されていたJプロツアー第21戦「群馬オータムロードレース」は、台風接近のため中止となり、残すは最終戦のみとなりました。



10月 緊急参戦のマンセボがJプロツアー最終戦を圧勝 初開催の大分 好天に恵まれたジャパンカップ

Jプロツアー最終戦 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ )が強さを見せたJプロツアー最終戦 フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ )が強さを見せた photo:Satoru Kato
マトリックスパワータグが2年連続で経済産業大臣旗を獲得マトリックスパワータグが2年連続で経済産業大臣旗を獲得 photo:Satoru Kato宇都宮ブリッツェンが団体総合優勝宇都宮ブリッツェンが団体総合優勝 photo:Satoru Kato

10月7日、新潟県南魚沼市での「経済産業大臣旗ロードチャンピオンシップ」は、マトリックスパワータグからスポット参戦したフランシスコ・マンセボが圧倒的な強さを見せて優勝しました。まえばしクリテリウムで突如参戦したマンセボ。2005年のツール・ド・フランスで個人総合4位に入った全盛期ほどの力はないとは言え、力の差を見せつけました。団体成績でもマトリックスパワータグが優勝し、昨年に続き経済産業大臣旗を獲得。昨年王者の意地を見せました。

マンセボは2019年、マトリックスパワータグに正式加入することが発表されています。


オムニアム全日本選手権 優勝した窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング )オムニアム全日本選手権 優勝した窪木一茂(チームブリヂストンサイクリング ) photo:Shingo FUJIMAKIオムニアム全日本選手権 女子表彰式オムニアム全日本選手権 女子表彰式 photo:Shingo FUJIMAKI

10月6日と7日の2日間、伊豆ベロドロームでオムニアムの全日本選手権が開催されました。

男子はチームブリヂストンサイクリング同士の争いとなり、この種目のリオデジャネイロオリンピック代表だった窪木一茂が優勝しました。窪木は6月のロード個人TT、9月の全日本選手権トラックで4種目優勝、Jプロツアー個人総合優勝に加え、今年7つ目のタイトルを手にしました。

女子は8月のアジア大会でも優勝している梶原悠未(筑波大学)が、4種目全てで1位を取って優勝しました。梶原はこれでトラック5冠を達成し、力の差を見せつけました。


おおいた いこいの道クリテリウムを制した黒枝咲哉(シマノレーシング)おおいた いこいの道クリテリウムを制した黒枝咲哉(シマノレーシング) photo:Satoru Kato
優勝した弟を握手で祝福する黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム)優勝した弟を握手で祝福する黒枝士揮(愛三工業レーシングチーム) photo:Satoru Kato表彰式で笑顔を見せる黒枝咲哉(シマノレーシング)表彰式で笑顔を見せる黒枝咲哉(シマノレーシング) photo:Satoru Kato

10月13日と14日、九州初となるUCIレースが大分市で開催されました。

JR大分駅前に設定されたコースを使用して行われた「おおいた いこいの道クリテリウム」では、大分市出身の黒枝咲哉(シマノレーシング)が優勝し、9月の維新やまぐちクリテリウムに続くプロ2勝目を挙げました。

石上優大と松田祥位で日本ナショナルチームが1-2フィニッシュ石上優大と松田祥位で日本ナショナルチームが1-2フィニッシュ photo:Satoru Kato
大分スポーツ公園の大分銀行ドーム前をスタート大分スポーツ公園の大分銀行ドーム前をスタート photo:Satoru Kato1-2フィニッシュを決めた石上優大(右)と松田祥位1-2フィニッシュを決めた石上優大(右)と松田祥位 photo:Satoru Kato

翌日の「おおいたアーバンクラシック」は、日本ナショナルチームから出場した石上優大と松田祥位、宇都宮ブリッツェンの雨澤毅明の3人の争いとなり、数的優位を活かした日本ナショナルチームが1-2フィニッシュ。U23全日本チャンピオンの石上がUCIレースで初優勝しました。


暑さを感じるほどの好天に恵まれたジャパンカップ暑さを感じるほどの好天に恵まれたジャパンカップ photo:Kei Tsuji
日本中のロードレースファンが年1回宇都宮に集結するジャパンカップ。今年はUCIのルール改正により、これまでの14チーム69人から21チーム126人と大幅にチーム・選手数が増えました。

土曜日のオープン男子を制した米谷隆志(リオモベルマーレレーシングチーム)土曜日のオープン男子を制した米谷隆志(リオモベルマーレレーシングチーム) photo: Yuichiro Hosodaオープンレース女子、西加南子とのマッチスプリントを制した石上夢乃オープンレース女子、西加南子とのマッチスプリントを制した石上夢乃 photo: Yuichiro Hosoda

集団スプリントを制したジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード)集団スプリントを制したジョン・デゲンコルプ(ドイツ、トレック・セガフレード) photo:Kei Tsuji
主催者発表で5万人が集まったジャパンカップクリテリウムは、別府史之に代わって勝負したトレック・セガフレードのジョン・デゲンコルプが初優勝。2位はキャメロン・スコット(オーストラリアン・サイクリング・アカデミー・ライド・サンシャイン・コースト)、3位は昨年優勝のマルコ・カノラ(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)が入りました。

ワールドチームを従えて宇都宮ブリッツェンが集団コントロールワールドチームを従えて宇都宮ブリッツェンが集団コントロール photo:Satoru Kato引退レースのオスカル・プジョル(チーム右京)がレース序盤から逃げる引退レースのオスカル・プジョル(チーム右京)がレース序盤から逃げる photo:Makoto.AYANO

アントワン・トールク(オランダ、ロットNLユンボ)をスプリントで下したロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)がジャパンカップ覇者にアントワン・トールク(オランダ、ロットNLユンボ)をスプリントで下したロブ・パワー(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)がジャパンカップ覇者に photo:Makoto.AYANO
ジャパンカップ本戦は、今季限りの引退を表明しているオスカル・プジョル(チーム右京)と、マルコス・ガルシア(キナンサイクリングチーム)、クーン・ボウマン(ロットNLユンボ)の3名の逃げでレースが始まりました。これに対し、地元チームの宇都宮ブリッツェンがワールドチームを従えて集団コントロールします。

レース終盤、ロットNLユンボが攻勢に出て人数が絞られ、その中からミッチェルトン・スコットのロブ・パワーと、アントワン・トールク(ロットNLユンボ)が抜け出して2人の勝負となり、パワーが2年前のジャパンカップ3位の雪辱を晴らす優勝を決めました。



11月 バルベルデ、トーマスら役者が揃ったさいたまクリテリウム ロードシーズンを締めくくるツール・ド・おきなわ

さいたま市で開催されたツール・ド・フランスさいたまクリテリウム スタートさいたま市で開催されたツール・ド・フランスさいたまクリテリウム スタート photo:Kei Tsuji
トーマスを下してフィニッシュするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)トーマスを下してフィニッシュするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsujiメインレース2位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、1位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、新城幸也(ツール・ド・フランス ジャパンチーム)メインレース2位ゲラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)、1位アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、新城幸也(ツール・ド・フランス ジャパンチーム) photo:Kei Tsuji

11月4日のツール・ド・フランスさいたまクリテリウム。マイヨジョーヌを着たゲラント・トーマス(チームスカイ)、世界チャンピオンのアレハンドロ・バルベルデ(モビスター)、2014年ツール総合優勝のヴィンチェンツォ・二バリ(バーレーン・メリダ)、スプリンターのマルセル・キッテル(カチューシャ・アルペシン)らが来日。別府史之(トレック・セガフレード)と新城幸也(バーレーン・メリダ)を始めとする日本人選手も出場しました。

本戦のクリテリウムは平均スピード44km/hオーバーの戦いとなり、最後はトーマスを下したバルベルデが優勝しました。


ツール・ド・おきなわ「イオン坂」で勝負を決めたアラン・マランゴーニ(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)ツール・ド・おきなわ「イオン坂」で勝負を決めたアラン・マランゴーニ(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ) photo:Satoru Kato
今年30周年を迎えた「ツール・ド・おきなわ」のロードレースは11月11日に開催されました。

UCIレースの男子チャンピオンは、レース序盤に形成された10人の逃げ集団が最後まで逃げきる展開となりました。その中からアラン・マランゴーニ(NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)が残り5kmでアタックを決めて優勝しました。引退を表明していたマランゴーニは、これがプロ初勝利となりました。

女子国際レース 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)が優勝女子国際レース 與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)が優勝 photo:Satoru Kato独走フィニッシュを決めた紺野元汰(SBC Vertex Racing Team)独走フィニッシュを決めた紺野元汰(SBC Vertex Racing Team) photo:Makoto.AYANO

女子国際レースでは、與那嶺恵理(ウィグル・ハイファイブ)が6年ぶりに優勝。市民210kmでは紺野元汰(SBC Vertex Racing Team)が初優勝。今大会通算6勝目のかかっていた高岡亮寛(Roppongi Express)が落車で遅れて20位に終わる波乱が起きました。



12月 雪の全日本シクロクロスで新チャンピオン誕生

マキノ高原で開催されたシクロクロス全日本選手権マキノ高原で開催されたシクロクロス全日本選手権 photo:Kei Tsuji
男子エリート 優勝を飾った前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)男子エリート 優勝を飾った前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Kei Tsuji女子エリート 優勝した松本璃奈(TEAM SCOTT)女子エリート 優勝した松本璃奈(TEAM SCOTT) photo:Kei Tsuji

滋賀県のマキノ高原で開催されたシクロクロス全日本選手権は、一晩で積もった雪の中でのレースになりました。

男子エリートでは、雪のレースに強いと言われる横山航太(シマノレーシング)を抑えて前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)が初優勝しました。前田は1周目に築いたリードを最後まで守りきっての逃げ切り勝ちでした。

女子エリートは、高校3年生の松本璃奈(TEAM SCOTT)が、昨年優勝の今井美穂(CO2 Bicycle)に2分以上の差をつけて初優勝しました。



3回に渡って国内レースを振り返りましたが、いかがでしたでしょうか?

2019年は2020東京オリンピックまで1年となります。7月にはロードレースのプレ大会が予定されており、オリンピック開催ムードが一気に高まりそうです。自転車競技各種目の出場枠がどれだけ確保できるのかも気になるところです。

一方で、国内ロードレースシリーズ「Jプロツアー」は、新たな方向性を模索していく1年となりそうです。Jプロツアーに代わるプロリーグを創設する構想が発表されましたが、具体的な内容は幅広く意見を集めた上で今後検討されていくことになります。賛否両論ありますが、選手、チーム、関係者にとって良い方向が見つかることを願います。

text:Satoru Kato
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