2025/01/03(金) - 15:30
イタリアの名門ホイールブランド、フルクラムが放つ革新的なグラベルホイール「SHARQ」。独自の2ウェイブデザインリムによるエアロ性能と軽量性、そして高い快適性を実現し、グラベルからロードまで幅広いシーンで活躍するハイパフォーマンスホイールをインプレッション。
近年エンデュランスロードの在り方が大きく変わりつつある。これまでエンデュランス系として位置付けられていたモデルの多くは、フレーム、特に乗り心地に影響するフォークやシートステー周りの剛性を調整して快適性を高めるか、もしくはサスペンションやそれに類する機構を搭載することで快適性を演出してきた。
しかし、ディスクブレーキ化やチューブレスタイヤの普及によって、ロードレースシーンにおいてもタイヤのワイド化が進行し、バイク全体の快適性の内、タイヤに委ねられる領域が拡大してきた。その結果、剛性や重量といった走行性能にリソースを集中したフレームが増加し、ロードバイクらしいシャープな走りを備えたエンデュランス/オールロードモデルが生み出されている。
純粋に勝利のために開発されたロードレーサーでもなく、かといって未舗装路に主軸を置いたグラベルバイクでもない、その中間。実は最も多くのサイクリストが属するであろうポジションにおいて最高のパフォーマンスを提供するべく、フルクラムが開発したエンデュランス&オールロード向けのホイールが”SHARQ”だ。
フルクラムはR&Dを担当するレッド・ルーム・ラボで徹底的な研究を実施。舗装路とグラベルの双方において最高のライドフィーリングを実現するため、回転性能、コントロール性、空力性能、反応性、快適性の全てを追求した。
その研究開発の象徴とも言えるのが、"2ウェイブリム"と名付けられた特徴的なカーボンリムだ。横風や向かい風の影響を最小限に抑えるため、47mmから42mmの間で波打つ独創的な形状を採用。この設計は同程度のリムハイトを持つホイールと比較し、0~10°の風に対しては21%、10°〜20°の風に対しては最大30%も横風の影響を低減することに成功した。
またリムはフルクラムが誇るFF100カーボンファイバーを採用しており、ペア重量1,440gを実現する。リム内幅は25mmとグラベルホイール級で、30mm幅のロードタイヤからワイドなグラベルタイヤまで装着可能となっている。
"A3ro(エアロ)”と名付けられた新開発スポークは、扁平形状(3mm幅、0.8mm厚)によって空力的なアドバンテージをもたらす。さらにハブのスポーク穴も独自設計とし、スポークの捩れを防ぐことで、常に最高のエアロ性能を発揮するように作られている。またスポークの交差部も接触しない構造とすることで、スポークテンションの低下を防ぐ。
過酷なグラベルレースにも対応するため、ASTM2カテゴリーの認証を取得し、大きな衝撃からの振動吸収性と高い耐久性も確保している。4,000時間を超える設計、テスト、走行試験を経て完成したSHARQは、新しいサイクリング体験を提供してくれるだろう。
ーインプレッション by 小畑郁(なるしまフレンド)
SHARQのテストはオールロードとしてピナレロのDOGMA Xとピレリ P ZERO RACE (30C)に装着して行いました。DOGMA Xはフルクラム SPEED 42&ピレリ P ZERO RACE(28C)との組み合わせでも乗っており、それとの比較になってしまうのですが、タイヤの幅がワンサイズ違うだけでもバイクの印象は全く異なりました。
具体的にはSHARQはリムの内幅が広くエアボリュームが大きいため、より乗りやすさを感じられました。路面からの突き上げをいなす性能はもちろん、ペダリング時にタイヤが縦方向へと変形するため、高速域で加速する際の安定感が向上します。
ペダリングへの反応も好感触で、ロードレース用のSPEED 42と変わらない感覚がありました。SPEED 42とは重量差も小さく、加速の鋭さもほぼ変わりありませんでしたね。もちろん瞬間的な加速は軽量な方が有利ですが、スピードを上げた状態では重さの影響は小さくなります。むしろ、安定性や巡航性といった部分でのメリットが際立ちますね。
さらに特徴的なリム形状のおかげか、横風にハンドルが取られる感覚が小さくなったのは気のせいではないと思います。このリムデザインは、エアロダイナミクス面でもアドバンテージがあると思います。
SHARQをテストして、オールロードバイクはワイドタイヤとの組み合わせで魅力が引き出せると改めて感じました。近年はワイドタイヤで安定感を高め、転がり抵抗を小さくする方がトータルで速く走れると言えるほど、ワイドタイヤを前提としたフレームやタイヤの完成度が高まっています。SHARQはそういったフレームの開発トレンドを汲み取り、理想の構成を実現するための一本です。
フルクラム SHARQ
タイヤタイプ:2-WAY FIT™(クリンチャー / チューブレス)
タイヤサイズ:700C
ASTMカテゴリー:2
重量:1,440g
リムマテリアル:FF100フルカーボン、DIMF™(ダイレクト・インモールド・マット・フィニッシュ)
リムハイト:42~47mm
リム幅:29.8mm
インナー・リム幅:25mm
ブレーキ・システム:ディスクブレーキ AFS™(センターロック)
アクスル:HH12-100(フロント) / HH12-142(リア)
スポーク:A3RO 0.8x3mm、ステンレススチール-ダブルバテット、エアロ・ストレートプル、24本 (F/R)
ニップル:アルミニウム、MoMag™
ハブ:アルミ、ローフランジ
ベアリング:USB™ セラミック・ベアリング、カップ&コーン
重量制限:120kg
フリーボディオプション:HG11、N3W
価格:482,900円(税込)
インプレッションライダープロフィール
小畑郁(おばたかおる)
圧倒的な知識量と優れた技術力から国内No.1メカニックとの呼び声高い、なるしまフレンドの技術チーフ。勤務の傍ら精力的に競技活動を行っており、ツール・ド・おきなわ市民210kmでは2010年に2位、2013年と2014年に8位に入った他、国内最高峰のJプロツアーではプロを相手に多数の入賞経験を持つ。2020年以来、ベルマーレレーシングチームの一員として国内レースを走る。
なるしまフレンド神宮店(レコメンドショップページ)
なるしまフレンド HP
text:Gakuto Fujiwara
photo:Makoto AYANO、Naoki Yasuoka
近年エンデュランスロードの在り方が大きく変わりつつある。これまでエンデュランス系として位置付けられていたモデルの多くは、フレーム、特に乗り心地に影響するフォークやシートステー周りの剛性を調整して快適性を高めるか、もしくはサスペンションやそれに類する機構を搭載することで快適性を演出してきた。
しかし、ディスクブレーキ化やチューブレスタイヤの普及によって、ロードレースシーンにおいてもタイヤのワイド化が進行し、バイク全体の快適性の内、タイヤに委ねられる領域が拡大してきた。その結果、剛性や重量といった走行性能にリソースを集中したフレームが増加し、ロードバイクらしいシャープな走りを備えたエンデュランス/オールロードモデルが生み出されている。
純粋に勝利のために開発されたロードレーサーでもなく、かといって未舗装路に主軸を置いたグラベルバイクでもない、その中間。実は最も多くのサイクリストが属するであろうポジションにおいて最高のパフォーマンスを提供するべく、フルクラムが開発したエンデュランス&オールロード向けのホイールが”SHARQ”だ。
フルクラムはR&Dを担当するレッド・ルーム・ラボで徹底的な研究を実施。舗装路とグラベルの双方において最高のライドフィーリングを実現するため、回転性能、コントロール性、空力性能、反応性、快適性の全てを追求した。
その研究開発の象徴とも言えるのが、"2ウェイブリム"と名付けられた特徴的なカーボンリムだ。横風や向かい風の影響を最小限に抑えるため、47mmから42mmの間で波打つ独創的な形状を採用。この設計は同程度のリムハイトを持つホイールと比較し、0~10°の風に対しては21%、10°〜20°の風に対しては最大30%も横風の影響を低減することに成功した。
またリムはフルクラムが誇るFF100カーボンファイバーを採用しており、ペア重量1,440gを実現する。リム内幅は25mmとグラベルホイール級で、30mm幅のロードタイヤからワイドなグラベルタイヤまで装着可能となっている。
"A3ro(エアロ)”と名付けられた新開発スポークは、扁平形状(3mm幅、0.8mm厚)によって空力的なアドバンテージをもたらす。さらにハブのスポーク穴も独自設計とし、スポークの捩れを防ぐことで、常に最高のエアロ性能を発揮するように作られている。またスポークの交差部も接触しない構造とすることで、スポークテンションの低下を防ぐ。
過酷なグラベルレースにも対応するため、ASTM2カテゴリーの認証を取得し、大きな衝撃からの振動吸収性と高い耐久性も確保している。4,000時間を超える設計、テスト、走行試験を経て完成したSHARQは、新しいサイクリング体験を提供してくれるだろう。
ーインプレッション by 小畑郁(なるしまフレンド)
SHARQのテストはオールロードとしてピナレロのDOGMA Xとピレリ P ZERO RACE (30C)に装着して行いました。DOGMA Xはフルクラム SPEED 42&ピレリ P ZERO RACE(28C)との組み合わせでも乗っており、それとの比較になってしまうのですが、タイヤの幅がワンサイズ違うだけでもバイクの印象は全く異なりました。
具体的にはSHARQはリムの内幅が広くエアボリュームが大きいため、より乗りやすさを感じられました。路面からの突き上げをいなす性能はもちろん、ペダリング時にタイヤが縦方向へと変形するため、高速域で加速する際の安定感が向上します。
ペダリングへの反応も好感触で、ロードレース用のSPEED 42と変わらない感覚がありました。SPEED 42とは重量差も小さく、加速の鋭さもほぼ変わりありませんでしたね。もちろん瞬間的な加速は軽量な方が有利ですが、スピードを上げた状態では重さの影響は小さくなります。むしろ、安定性や巡航性といった部分でのメリットが際立ちますね。
さらに特徴的なリム形状のおかげか、横風にハンドルが取られる感覚が小さくなったのは気のせいではないと思います。このリムデザインは、エアロダイナミクス面でもアドバンテージがあると思います。
SHARQをテストして、オールロードバイクはワイドタイヤとの組み合わせで魅力が引き出せると改めて感じました。近年はワイドタイヤで安定感を高め、転がり抵抗を小さくする方がトータルで速く走れると言えるほど、ワイドタイヤを前提としたフレームやタイヤの完成度が高まっています。SHARQはそういったフレームの開発トレンドを汲み取り、理想の構成を実現するための一本です。
フルクラム SHARQ
タイヤタイプ:2-WAY FIT™(クリンチャー / チューブレス)
タイヤサイズ:700C
ASTMカテゴリー:2
重量:1,440g
リムマテリアル:FF100フルカーボン、DIMF™(ダイレクト・インモールド・マット・フィニッシュ)
リムハイト:42~47mm
リム幅:29.8mm
インナー・リム幅:25mm
ブレーキ・システム:ディスクブレーキ AFS™(センターロック)
アクスル:HH12-100(フロント) / HH12-142(リア)
スポーク:A3RO 0.8x3mm、ステンレススチール-ダブルバテット、エアロ・ストレートプル、24本 (F/R)
ニップル:アルミニウム、MoMag™
ハブ:アルミ、ローフランジ
ベアリング:USB™ セラミック・ベアリング、カップ&コーン
重量制限:120kg
フリーボディオプション:HG11、N3W
価格:482,900円(税込)
インプレッションライダープロフィール
小畑郁(おばたかおる)
圧倒的な知識量と優れた技術力から国内No.1メカニックとの呼び声高い、なるしまフレンドの技術チーフ。勤務の傍ら精力的に競技活動を行っており、ツール・ド・おきなわ市民210kmでは2010年に2位、2013年と2014年に8位に入った他、国内最高峰のJプロツアーではプロを相手に多数の入賞経験を持つ。2020年以来、ベルマーレレーシングチームの一員として国内レースを走る。
なるしまフレンド神宮店(レコメンドショップページ)
なるしまフレンド HP
text:Gakuto Fujiwara
photo:Makoto AYANO、Naoki Yasuoka
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