今年1月に大怪我を負い、8月にレース復帰を果たしたエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)が来年のツール・ド・フランス出場に意欲を燃やしている。絶対的な総合エースを欠くチームにとってもベルナルの復活は大きな希望だ。



来シーズンへの意欲を語ったエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)来シーズンへの意欲を語ったエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
「もし全ての計画が順調に進めば、再びツールに出場したい。それが完走を目指すのか、あるいは総合順位を争うのかはわからないが、出場してベストを尽くしたい」とエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)は母国コロンビアのラジオ番組で語った。

「(チームと)理想のシナリオについて話し合っている。怪我により動かすことができず失った右脚の筋肉が順調に戻ってくれば、2023年シーズンは以前のような走りができるはず。僕自身それが可能だと信じている」。

22歳だった2019年にツール・ド・フランスで総合優勝を挙げ、2021年にはジロ・デ・イタリアを制したベルナル。しかし今年1月に母国コロンビアでの練習中に停車中のバスに衝突して肋骨11本を含む20箇所を骨折。外傷性気胸などを含め計5度の手術が施され、9月には膝の固定器具を除去する6度目の手術を受けた。

「(ツールまでは)8〜9ヶ月ほどあり、出場できる心の準備も整っている。また今年の休息期間もきっと悪い影響ばかりじゃないはず。来年はグランツールを走りたいし、それがツールであれば最高だ」と、8月にレース復帰を果たしたベルナルは前向きなコメントを残している。

来年ツールでの完全復活を目指すエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)来年ツールでの完全復活を目指すエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos
今年限りでチームを離れるリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)今年限りでチームを離れるリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVosUAEチームエミレーツへの移籍が発表されたアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)UAEチームエミレーツへの移籍が発表されたアダム・イェーツ(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

来季のイネオス・グレナディアーズはリチャル・カラパス(エクアドル)がEFエデュケーション・イージーポストへ移籍し、アダム・イェーツ(イギリス)はUAEチームエミレーツと3年契約を締結。またリッチー・ポート(オーストラリア)が引退するなど、グランツールで総合エースを任せられる選手たちがチームを去る。

更に今年のツールで総合3位に入ったゲラント・トーマス(イギリス)は「来年が現役最後のシーズンになるかもしれない」と話しており、「ツールを走るかどうかも不明。何も決まっていないが、もしかしたらジロに出場するかもしれない」とツール不出場の可能性に言及している。

そんな中でチームはテイメン・アレンスマン(オランダ、チームDSM)やコナー・スウィフト(イギリス、アルケア・サムシック)を獲得したものの、グランツールで総合上位を目指せる即戦力の補強はなし。将来有望な若手選手の獲得・育成にシフトチェンジした感のあるチームにとって、ベルナルに対する期待は高まる一方と言えるだろう。

text:Sotaro.Arakawa