3月2日、春のクラシック2戦目となるクールネ〜ブリュッセル〜クールネでオメガファーマ・クイックステップ勢5人が総攻撃を仕掛け、トム・ボーネン(ベルギー)が大会史上初の3度目の勝利を飾った。
ベルギー、フランドル地方の郊外を行くメイン集団 (c)CorVos
ツール・ド・フランスについて著した本を両親にプレゼントするクーン・デコルト(ジャイアント・シマノ) (c)CorVos冷たい雨のレースだった昨日のオンループ・ヘットニュースブラッドから一夜明け、ベルギーのフランドル地方は一転、快晴に恵まれた。昨年大会は雪のため中止となり、ディフェンディングチャンピオンは不在。2年前の2012年大会はチームスカイのマーク・カヴェンディッシュが勝利している。
攻撃を仕掛けたオメガファルマ・クイックステップ。先頭はマッテオ・トレンティン (c)CorVos開催65回目を迎えるセミクラシックレースであり、その名の通りベルギーのクールネをスタートし、首都ブリュッセル手前で引き返してクールネにゴールする197km。レースの最後はクールネ近郊の16kmの周回コースを2周してゴールする。
コースにはレース中盤にかけてパヴェの登り、クルイスベルグやオウデクワレモント、ノケレベルグなどが設定されてはいるものの、他のクラシックレースと比べて平坦基調でゴール前の難易度は低い。そのため優勝候補にはビッグスプリンターの名前が挙げられる。今回の出場選手ではアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が最有力スプリンターだ。
レースが動いたのはゴールまでまだ70kmを残した早い段階だった。トム・ボーネン(ベルギー)を含むオメガファルマ・クイックステップ勢5人と、セプ・ファンマルク(ベルギー)を含むベルキン勢3人がまとまって攻撃を仕掛け、集団を分断。抜け出すことに成功したのは次の10人。
トム・ボーネン(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)
ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)
ギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)
ニコラス・マース(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)
マッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファルマ・クイックステップ)
セプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)
モレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)
マールテン・ワイナンツ(ベルギー、ベルキン)
ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー、ガーミン・シャープ)
イブ・ランパート(ベルギー、トップスポーツ・フラーンデレン)
ベルキンとオメガファルマ・クイックステップ勢が10人の逃げグループを支配した (c)CorVos
メイン集団はロット・べリソル勢が懸命にペースアップを試みる (c)CorVosオメガ5人、ベルキン3人、ガーミン1人、トップスポーツ1人という編成で、じつに10人中8人がベルギー人という強力なコンボイが形成された。後方集団ではカチューシャ、ロット・ベリソルがペースアップを図るも、差は1分以上となる。
登りでもトム・ボーネン(ベルギー)は好調。ベルキン勢を圧倒した (c)CorVos平坦路で逃げと集団の双方がハイペースを刻むという、まるでツアー・オブ・カタールのような展開に。しかし前の逃げグループの脚は揃い、決して差を詰めさせることはない。昨日、オンループ・ヘットニュースブラッドでは最強の体制で臨みながら表彰台の一角さえ得られなかったオメガファルマ・クイックステップ。エースのボーネンも4分以上遅れるという「惨敗」に終わったベルギーチームと、絶好調のベルキン勢が協調し、雪辱を果たすべく強力な逃げ態勢に持ち込んだ。
メイン集団ではルカ・パオリーニ(イタリア)が先頭に立ち、カチューシャはクリストフのため、ロット・ベリソルはグライペルのため先頭に集結してペースをあげようと試みる。しかし前を行くクイックステップボーイズの唸りを上げるペダリングは静まらない。
クールネの周回コースに入った時、差は依然1分を保つ。残り10kmではさらに1分10秒に広がり、逃げ切りが確実なものとなった。
ゴールに向けて協調が崩れたのはラスト3.6kmのワイナンツ(ベルキン)のアタック。それを追走して抑えたトレンティン(オメガファルマ)だったが、脚を攣らせてグループから遅れを取ってしまう。スプリントに向けて重要な牽引役を果たすトレンティンの遅れに困惑するオメガファルマ。数秒離れたトレンティンを待とうとするなか、ファンスーメレン(ガーミン)が攻撃を仕掛ける。
モレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)が差し込むがトム・ボーネン(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)が先着 (c)CorVos
大会3勝目を喜ぶトム・ボーネン(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ) (c)CorVosしかし勝負はボーネンの得意な小集団ゴールスプリントに持ち込まれた。チームに守られたボーネンが発射されると、追い込めたのはモレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)のみ。実力が未知数の1991年生まれのイブ・ランパート(トップスポルトブラーンデレン)は意欲的にポジションをあげようとするが、前のラインを塞がれてしまう。フィニッシュラインではホフランドもバイクを投げるが、ボーネンには届かなかった。
2007年と2009年に続き、このレースでの自身3勝目を挙げたボーネン。大会記録としても3勝は史上初だ。クイックステップはセミクラシック2戦目にして最強の体制を改めてアピールした。
ボーネンは喜びを隠さない。「昨日の(惨敗だった)レースのことを考えると今日の勝利はハッピーだ。今日は一日中調子の良さを感じた。昨日の疲れからは完全に回復しているのも、いいサインだ。僕らは僕らのレースをした。レースをコントロールして、オウデクワレモントで加速した。正直、それはあらかじめプランしたものじゃなかった。」
「アタックは早すぎてリスクはあったけれど、他のチームも追走で疲れさせることができた。僕にとっても大集団よりも小グループでのスプリントに持ち込むのは有利だった。クイックステップが良いチームだということを示すことができた。僕も冬を越していい状態にあること言うことがわかった。カタールで優勝したけれど、ホームカントリーのベルギーでの勝利は格別だ」。
近づくメジャークラシックに向けて好調な仕上がりを再確認したトム・ボーネン(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ) (c)CorVos
トム・ボーネン(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)を囲むベルキンのモレノ・ホフランド(オランダ)とセプ・ファンマルク(ベルギー) (c)CorVos
クールネ〜ブリュッセル〜クールネ2014
1位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ) 4h28'50"
2位 モレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)
3位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)
4位 イブ・ランパート(ベルギー、トップスポルトフラーンデレン)
5位 ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 マールテン・ワイナンツ(ベルギー、ベルキン)
7位 ギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、オメガファ—マ・クイックステップ)
8位 ニコラス・マース(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 マッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー、ガーミン・シャープ)
text:Makoto.AYANO
photo:Cor.Vos



コースにはレース中盤にかけてパヴェの登り、クルイスベルグやオウデクワレモント、ノケレベルグなどが設定されてはいるものの、他のクラシックレースと比べて平坦基調でゴール前の難易度は低い。そのため優勝候補にはビッグスプリンターの名前が挙げられる。今回の出場選手ではアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が最有力スプリンターだ。
レースが動いたのはゴールまでまだ70kmを残した早い段階だった。トム・ボーネン(ベルギー)を含むオメガファルマ・クイックステップ勢5人と、セプ・ファンマルク(ベルギー)を含むベルキン勢3人がまとまって攻撃を仕掛け、集団を分断。抜け出すことに成功したのは次の10人。
トム・ボーネン(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)
ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)
ギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)
ニコラス・マース(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ)
マッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファルマ・クイックステップ)
セプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)
モレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)
マールテン・ワイナンツ(ベルギー、ベルキン)
ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー、ガーミン・シャープ)
イブ・ランパート(ベルギー、トップスポーツ・フラーンデレン)



メイン集団ではルカ・パオリーニ(イタリア)が先頭に立ち、カチューシャはクリストフのため、ロット・ベリソルはグライペルのため先頭に集結してペースをあげようと試みる。しかし前を行くクイックステップボーイズの唸りを上げるペダリングは静まらない。
クールネの周回コースに入った時、差は依然1分を保つ。残り10kmではさらに1分10秒に広がり、逃げ切りが確実なものとなった。
ゴールに向けて協調が崩れたのはラスト3.6kmのワイナンツ(ベルキン)のアタック。それを追走して抑えたトレンティン(オメガファルマ)だったが、脚を攣らせてグループから遅れを取ってしまう。スプリントに向けて重要な牽引役を果たすトレンティンの遅れに困惑するオメガファルマ。数秒離れたトレンティンを待とうとするなか、ファンスーメレン(ガーミン)が攻撃を仕掛ける。


2007年と2009年に続き、このレースでの自身3勝目を挙げたボーネン。大会記録としても3勝は史上初だ。クイックステップはセミクラシック2戦目にして最強の体制を改めてアピールした。
ボーネンは喜びを隠さない。「昨日の(惨敗だった)レースのことを考えると今日の勝利はハッピーだ。今日は一日中調子の良さを感じた。昨日の疲れからは完全に回復しているのも、いいサインだ。僕らは僕らのレースをした。レースをコントロールして、オウデクワレモントで加速した。正直、それはあらかじめプランしたものじゃなかった。」
「アタックは早すぎてリスクはあったけれど、他のチームも追走で疲れさせることができた。僕にとっても大集団よりも小グループでのスプリントに持ち込むのは有利だった。クイックステップが良いチームだということを示すことができた。僕も冬を越していい状態にあること言うことがわかった。カタールで優勝したけれど、ホームカントリーのベルギーでの勝利は格別だ」。


クールネ〜ブリュッセル〜クールネ2014
1位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファルマ・クイックステップ) 4h28'50"
2位 モレノ・ホフランド(オランダ、ベルキン)
3位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ベルキン)
4位 イブ・ランパート(ベルギー、トップスポルトフラーンデレン)
5位 ステイン・ファンデンベルフ(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 マールテン・ワイナンツ(ベルギー、ベルキン)
7位 ギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、オメガファ—マ・クイックステップ)
8位 ニコラス・マース(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
9位 マッテオ・トレンティン(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
10位 ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー、ガーミン・シャープ)
text:Makoto.AYANO
photo:Cor.Vos
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