霧のコトベッロ峠で繰り広げられた最終決戦。ライバル勢を蹴散らしたデミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ)が2年連続のラ・ブエルタ・フェメニーナ総合優勝を決めた。

125名がスタート。雨の山岳地帯を目指す photo:A.S.O.
女子グランツールのシーズン初戦、ラ・ブエルタ・フェメニーナを締めくくるのは1級山岳アルト・デ・コトベッロの頂上フィニッシュを目指す難関山岳ステージ。標高1195m、登坂距離10.3km、平均勾配8%、最大勾配12%を誇るコトベッロは2010年の男子ブエルタ第16ステージ以来となる登場で、コトベッロの直前にも1級山岳アルト・デ・ラ・コラディエラ(登坂距離6.4km/平均8.2%/最大14%)を越えなければならない獲得標高2,724mの「女子ブエルタ史上最難関」の一日だ。
この日のスタート時点でマイヨロホを着る総合首位デミ・フォレリング(オランダ、FDJ・スエズ)と総合2位アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム)は45秒差で、総合3位マーレン・ロイサー(スイス、モビスター)は46秒遅れ。総合優勝をほぼ手中に収めたといっても過言ではないフォレリングはもちろんのこと、僅差の総合2位争いがどう展開するかに注目が集まった。
過酷な6日間を走り、最終ステージのスタートラインに立ったのは146名中125名。雨で気温10度前後という肌寒い天候の下、午前10時8分に今大会の最終ステージが始まった。

単独逃げを開始したアグニエシュカ・スカルニアクソイカ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト) photo:A.S.O. 
逃げるスカルニアクソイカにフェムケ・デフリース(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が合流 photo:A.S.O.
逃げ切りに意欲を燃やす選手が次々とアタックを仕掛け、50km以上を経てアグニエシュカ・スカルニアクソイカ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)とフェムケ・デフリース(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が先行する。2人は113.8km地点のコリャディエラ峠麓で1分15秒リードを得ていたものの、途中で単独となったデフリースは15秒差で頂上へ。このタイミングで既に、FDJ・スエズが一本牽きするメイン集団は20名ほどにまで絞り込まれていた。
濡れたダウンヒルで総合4位のセドリーヌ・ケルバオル(フランス、EFオートリー・キャノンデール)がアタックし、捕まったカウンターでマビ・ガルシア(スペイン、リブ・アルウラー・ジェイコ)とエヴィータ・ムジック(フランス、FDJ・スエズ)が先行。SDワークスが牽引する集団が2人に対して40秒遅れでコトベッロへと突入した。

下りで抜け出したマビ・ガルシア(スペイン、リブ・アルウラー・ジェイコ)はコトベッロ序盤で吸収される photo:A.S.O.

コトベッロ峠でペースメイクを続けるアンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム) photo:A.S.O.

ファンデルブレッヘンの牽引で総合1〜4位の4人だけに絞られる photo:A.S.O.
頂上まで8.5kmを残したタイミングでペースメイクを行ったのがファンデルブレッヘンだった。現役復帰した元世界王者は駆け引きせず淡々と一本牽きを続けて逃げていた2人を捉える。2番手にフォレリング、3番手にロイサーというオーダー順は、ファンデルブレッヘンが最終局面まで牽引を続けたため崩れることはなかった。
ファンデルブレッヘンのペースメイクによってFDJのアシスト勢が崩れ、残ったのは総合首位から4位の4人だけ。フォレリングは残り1.5km地点で一旦仕掛け、残り800m地点での2度目のアタックで独走に持ち込む。真っ赤な特別バイクに乗るディフェンディングチャンピオンがかつてSDワークスでチームメイトだったライバル勢を振り払い、ダメ押しとなる今大会2度目のステージ優勝。2年連続のブエルタ総合優勝を達成した。

残り1kmを切って独走するデミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ) photo:A.S.O.

ファンデルブレッヘンを引き離したマーレン・ロイサー(スイス、モビスター) photo:A.S.O.

デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ)がステージ2勝目を達成 photo:A.S.O.

デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ)とマーレン・ロイサー(スイス、モビスター) photo:A.S.O. 
ブエルタ2連覇を達成したデミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ) photo:A.S.O.
「このレースで2連勝できて本当に嬉しいし、ステージ優勝も狙っていた。アタックを仕掛けるまでできるだけ長く待つことにした。待つのは辛かったけれど、こうして勝てて嬉しい。自分の才能を証明するのが常に楽しみで、すでに次のレースのことを考えている」と、絶対的な総合ライバル不在のブエルタで堅実な走りをみせ、キャリア3度目のグランツール優勝を挙げたフォレリングは言う。
「チームと共にここで成し遂げたことを本当に誇りに思う。どんな展開になるか分からないから新しいチームでグランツールに参戦するのは少し不安だけど、このステージレースではバイクの上でお互いのペースを掴み、本当に素晴らしいチームワークを発揮できることを証明できた。チームメイトたちは、スタートからゴールまで素晴らしい仕事をしてくれた。誰にとっても新しい仕事だけど、全員がステップアップし、新しい役割を担う中で自分の道を見つけていく姿を見るのは、本当に素晴らしい経験だった。
素晴らしくモチベーションも高いチームメイトたちで、レース序盤は辛い時期もあったけれど素晴らしいサポートと励ましを与えてくれた。おかげで、チームメイトたちはさらに結束を深めることができた。これは例えばツール・ド・フランスなど、今年後半に向けての良い兆し。まだ改善できる小さな点もいくつか見つかったことは常に良い知らせだと思う」と加えている。

3年連続のマイヨプントスを決めたマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O. 
ラ・ブエルタ フェメニーナ2025総合表彰台:1位フォレリング、2位ロイサー、3位ファンデルブレッヘン photo:A.S.O.
また、1秒差の総合2位争いはフォレリングのアタックに合わせてファンデルブレッヘンを置き去りにしたロイサーに軍配。キャリアを重ねるにつれて登坂力を高めるTTスペシャリストがグランツール自己最上位を掴んでいる。

女子グランツールのシーズン初戦、ラ・ブエルタ・フェメニーナを締めくくるのは1級山岳アルト・デ・コトベッロの頂上フィニッシュを目指す難関山岳ステージ。標高1195m、登坂距離10.3km、平均勾配8%、最大勾配12%を誇るコトベッロは2010年の男子ブエルタ第16ステージ以来となる登場で、コトベッロの直前にも1級山岳アルト・デ・ラ・コラディエラ(登坂距離6.4km/平均8.2%/最大14%)を越えなければならない獲得標高2,724mの「女子ブエルタ史上最難関」の一日だ。
この日のスタート時点でマイヨロホを着る総合首位デミ・フォレリング(オランダ、FDJ・スエズ)と総合2位アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム)は45秒差で、総合3位マーレン・ロイサー(スイス、モビスター)は46秒遅れ。総合優勝をほぼ手中に収めたといっても過言ではないフォレリングはもちろんのこと、僅差の総合2位争いがどう展開するかに注目が集まった。
過酷な6日間を走り、最終ステージのスタートラインに立ったのは146名中125名。雨で気温10度前後という肌寒い天候の下、午前10時8分に今大会の最終ステージが始まった。


逃げ切りに意欲を燃やす選手が次々とアタックを仕掛け、50km以上を経てアグニエシュカ・スカルニアクソイカ(ポーランド、キャニオン・スラム・ゾンダクリプト)とフェムケ・デフリース(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)が先行する。2人は113.8km地点のコリャディエラ峠麓で1分15秒リードを得ていたものの、途中で単独となったデフリースは15秒差で頂上へ。このタイミングで既に、FDJ・スエズが一本牽きするメイン集団は20名ほどにまで絞り込まれていた。
濡れたダウンヒルで総合4位のセドリーヌ・ケルバオル(フランス、EFオートリー・キャノンデール)がアタックし、捕まったカウンターでマビ・ガルシア(スペイン、リブ・アルウラー・ジェイコ)とエヴィータ・ムジック(フランス、FDJ・スエズ)が先行。SDワークスが牽引する集団が2人に対して40秒遅れでコトベッロへと突入した。



頂上まで8.5kmを残したタイミングでペースメイクを行ったのがファンデルブレッヘンだった。現役復帰した元世界王者は駆け引きせず淡々と一本牽きを続けて逃げていた2人を捉える。2番手にフォレリング、3番手にロイサーというオーダー順は、ファンデルブレッヘンが最終局面まで牽引を続けたため崩れることはなかった。
ファンデルブレッヘンのペースメイクによってFDJのアシスト勢が崩れ、残ったのは総合首位から4位の4人だけ。フォレリングは残り1.5km地点で一旦仕掛け、残り800m地点での2度目のアタックで独走に持ち込む。真っ赤な特別バイクに乗るディフェンディングチャンピオンがかつてSDワークスでチームメイトだったライバル勢を振り払い、ダメ押しとなる今大会2度目のステージ優勝。2年連続のブエルタ総合優勝を達成した。





「このレースで2連勝できて本当に嬉しいし、ステージ優勝も狙っていた。アタックを仕掛けるまでできるだけ長く待つことにした。待つのは辛かったけれど、こうして勝てて嬉しい。自分の才能を証明するのが常に楽しみで、すでに次のレースのことを考えている」と、絶対的な総合ライバル不在のブエルタで堅実な走りをみせ、キャリア3度目のグランツール優勝を挙げたフォレリングは言う。
「チームと共にここで成し遂げたことを本当に誇りに思う。どんな展開になるか分からないから新しいチームでグランツールに参戦するのは少し不安だけど、このステージレースではバイクの上でお互いのペースを掴み、本当に素晴らしいチームワークを発揮できることを証明できた。チームメイトたちは、スタートからゴールまで素晴らしい仕事をしてくれた。誰にとっても新しい仕事だけど、全員がステップアップし、新しい役割を担う中で自分の道を見つけていく姿を見るのは、本当に素晴らしい経験だった。
素晴らしくモチベーションも高いチームメイトたちで、レース序盤は辛い時期もあったけれど素晴らしいサポートと励ましを与えてくれた。おかげで、チームメイトたちはさらに結束を深めることができた。これは例えばツール・ド・フランスなど、今年後半に向けての良い兆し。まだ改善できる小さな点もいくつか見つかったことは常に良い知らせだと思う」と加えている。


また、1秒差の総合2位争いはフォレリングのアタックに合わせてファンデルブレッヘンを置き去りにしたロイサーに軍配。キャリアを重ねるにつれて登坂力を高めるTTスペシャリストがグランツール自己最上位を掴んでいる。
ラ・ブエルタ フェメニーナ2025 第7ステージ結果
1位 | デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ) | 4:23:34 |
2位 | マーレン・ロイサー(スイス、モビスター) | +0:11 |
3位 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム) | +0:25 |
4位 | セドリーヌ・ケルバオル(フランス、EFオートリー・キャノンデール) | +0:35 |
5位 | ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、リドル・トレック) | +0:56 |
6位 | ジュリエット・ラブース(フランス、FDJスエズ) | +1:05 |
7位 | モニカ・トリンカコロネル(イタリア、リブ・アルウラー・ジェイコ) | +1:22 |
8位 | エヴィータ・ムジック(フランス、FDJ・スエズ) | +1:42 |
9位 | マリオン・ビュネル(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) | +1:52 |
10位 | ニンケ・フィンケ(オランダ、ピクニック・ポストNL) | +2:06 |
個人総合成績
1位 | デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ) | 15:18:08 |
2位 | マーレン・ロイサー(スイス、モビスター) | +0:45 |
3位 | アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ、SDワークス・プロタイム) | +0:46 |
4位 | セドリーヌ・ケルバオル(フランス、EFオートリー・キャノンデール) | +1:49 |
5位 | ジュリエット・ラブース(フランス、FDJスエズ) | +2:05 |
6位 | ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、リドル・トレック) | +2:09 |
7位 | モニカ・トリンカコロネル(イタリア、リブ・アルウラー・ジェイコ) | +2:19 |
8位 | ヤラ・カステレイン(オランダ、フェニックス・ドゥクーニンク) | +2:26 |
9位 | ニンケ・フィンケ(オランダ、ピクニック・ポストNL) | +2:35 |
10位 | エヴィータ・ムジック(フランス、FDJ・スエズ) | +2:57 |
その他の特別賞
ポイント賞 | マリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) |
山岳賞 | デミ・フォレリング(オランダ、FDJスエズ) |
チーム総合成績 | FDJスエズ |
text:So Isobe
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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