長野一周800km。北信を巡った前回から約一か月、秋も深まる南信を舞台に後編となる4日間のライドツアーが実施された。松本を発着する400㎞、獲得標高約8,000mの旅のレポートをお届けしよう。北信編はこちらから(vol.1vol.2



「いやー、楽しかったよ長野。仕事で4日間もあんなコース走れるなんて役得ってやつだよね」と、隣の席のフジワラに語りかけては「もうその話何回聞いたと思ってるんですか……、そろそろパワハラですよ」とウザがられる毎日を送っていたこの1か月。だんだんと席の間隔が空いていったのは、ソーシャルディスタンスを急に気にし始めたからに違いない。

後半戦となる南信一周ライドのコース 木曾山脈と南アルプスを巡る400㎞です

それほどまでに強く記憶に残っている前回の北信一周ライドだったが、前半を走り切ったとあればやはり長野一周を果たさないことには終われない。11月初旬に開催されるという南信一周編も取材すべく、なんとか根回しを行うことに。……焼肉4人分は痛かったが仕方ない。総合的かつ俯瞰的に判断して、必要経費であると言えよう。

さて、今回の南信1周モニターツアーは10月31日から11月3日の4日間というわけで、前日には松本泊に。ここ最近、Gotoトラベルの東京解禁の影響もあってか、週末の高速道路の渋滞が酷いので今回はあずさで輪行。皆さん、公共交通機関は避けておられるのか、輪行にぴったりな最後尾の座席も楽々予約できるのも嬉しいところ。

バイクラックを室内に用意してくれていた「松本丸の内ホテル」バイクラックを室内に用意してくれていた「松本丸の内ホテル」
さて、トコトコ電車に揺られ、都内から約3時間で松本駅に到着。すでに夕方ということもあり、さっそくホテルにチェックイン。今回はジャパンサイクルプロジェクトご推薦の「松本丸の内ホテル」に投宿したのだが、驚いた。自転車を室内に持ち込めると聞いていたのだが、その本気度の高さにだ。

部屋まで持ち込むために専用のエレベーターが用意されており、ほかのお客さんと交錯することがない。自転車を当てて汚してしまったり、逆に荷物を愛車にぶつけられたりする心配も少ないのは安心だ。部屋に入るとさらなるサプライズが。なんと、ツインルームのベッドを一つ取り払い、トレーニングマットが敷かれた上に専用のバイクラックが備えられていた。贅沢な空間の使い方に唖然とするばかりである。間接照明に照らされた愛車を肴に一杯やりながら、なーんてことも楽しめる魅力的なお部屋は3部屋ほど用意されているのだとか。そんなわけで、私も自転車を眺めながら明日に備えて眠るのだった。



Day1 松本~伊那~箕輪~木曽福島 距離:86km 獲得標高:1300m

モニターツアーの出発式が行われた松本城 地元マスコミも集まったモニターツアーの出発式が行われた松本城 地元マスコミも集まった (c)JACP/T.Hatamachi
ひと月前の北信ライドから引き続き参加された方も お久しぶりです!ひと月前の北信ライドから引き続き参加された方も お久しぶりです! (c)JACP/T.Hatamachi臥雲義尚 松本市長も登壇 松本をサイクルシティにしたい、と決意を語ってくれた臥雲義尚 松本市長も登壇 松本をサイクルシティにしたい、と決意を語ってくれた


さて、それでは南信ライド行ってまいります!さて、それでは南信ライド行ってまいります! (c)JACP/T.Hatamachi
さて、あくる朝。一か月前とは打って変わって雲一つない秋晴れの空に天守が聳える松本城がスタート地点となる。朝から多くの観光客が訪う松本城には、すでに10台弱の自転車が並んでいた。そして、さらには報道と思われる腕章をつけた方々も。

なんと今回は出発に臥雲義尚 松本市長が駆けつけてくれたのだ。「松本を、長野を日本一の自転車の町に!」というメッセージを発してくれるだけでなく、E-BIKEに跨って共にスタートを切ってくれた。長野一周サイクリングに高い注目が集まっている証左である。

松本市街を走り抜けていく一行松本市街を走り抜けていく一行 (c)JACP/T.Hatamachi
市街地を抜けると一気に高台へ。盆地を望む絶景ルート市街地を抜けると一気に高台へ。盆地を望む絶景ルート (c)JACP/T.Hatamachi
スタートして松本市街を抜けるとすぐに、じんわりと登っていく丘が行く手に現れる。東京、多摩地区の人にしか通じないたとえで申し訳ないが、連光寺の坂のような丘がいくつも現れるのだ。

いくつもの連光寺を越えていくと、どんどんと自然の色が濃くなっていく。松本盆地を見下ろす高台の縁を舐めていくようなルートで、遠くにはうっすらと雪化粧を始めたアルプスの美峰が連なる絶景がずーっと続いていく快走路。その名も「アルプス展望しののめのみち」。最高の天気も相まって、初日からみなさんテンションマックスである、もちろん私も(笑)。

長野道の脇を走っていくと道の駅はもうすぐ長野道の脇を走っていくと道の駅はもうすぐ (c)JACP/T.Hatamachi
場内には童謡が流れ続ける「道の駅小坂田公園」 思わず口ずさんでしまいます場内には童謡が流れ続ける「道の駅小坂田公園」 思わず口ずさんでしまいます (c)JACP/T.Hatamachi
長野自動車道が見えてきたら、しののめのみちもそろそろ終わり。塩尻ICの先にあるのが、今回初の休憩ポイントとなる「道の駅小坂田公園」だ。スピーカーからは懐かしい童謡が延々と流れていて、休憩を終えて走り出してもしばらくは脳内ループ間違いなし。ちなみにこちらの道の駅は、キャンプ場やマレットゴルフ、ゴーカートなどいろんなアクティビティもあって、子供連れには最高のスポットのよう。こちらでキャンプをしつつ周辺をサイクリングする、なんて楽しみもありだろう。

小坂田公園からさらに南へ進むと第一峠となる「善知鳥峠」が登場。とはいえ、約2.2km、標高差105m、平均斜度4.5%とちょっとした丘という風情。だが実はこの峠、天竜川と信濃川との分水嶺となっているのだという。今回登ってきた側へと流れれば信濃川を経て日本海へ、これから下っていく側へ流れれば天竜川を経て太平洋へと至るのだという。数mmの違いで全く違うところへと辿りつくというのだから、面白い。

本ライドの第一峠となる「善知鳥峠」ちなみに「うとうとうげ」と読むんですって本ライドの第一峠となる「善知鳥峠」ちなみに「うとうとうげ」と読むんですって
ローカル線と絡み合うようなローカル道を走っていきますローカル線と絡み合うようなローカル道を走っていきます (c)JACP/T.Hatamachi里山と小川、まさにうさぎ追いし、小鮒釣りし、といった風景だ。里山と小川、まさにうさぎ追いし、小鮒釣りし、といった風景だ。


ススキがたなびく田舎道 風情たっぷりであるススキがたなびく田舎道 風情たっぷりである (c)JACP/T.Hatamachi
伊那へと向かう国道153号線はもともと三州街道として塩の運搬に使われていた交通の要路。現在も交通量は比較的多めでちょっと注意が必要だなぁ、なんて思っていると、(ここで?)みたいな交差点で先導の小口さんが左折していく。少し驚きつつついていくと、その先には一気にローカル感漂う裏道が。裏道といってもほぼ国道と並走しているので、距離的なロスはほぼゼロ。もちろん、車通りもほぼゼロなのでストレスフリーだし、ちょっと路面が荒れているのだって、なんだか秋のクラシックレースみたいでむしろ楽しくなってくる。

そのまま南下し、伊那谷へ。この辺りは小口副代表の地元ということもあり、最高に走りやすいコースを案内してもらった。ローカル最高である。え、ルートを知りたいですって?しょうがないですね、今回の走行ログを掲載しておきますので、GPXデータをダウンロードしてください(笑)

伊那谷を見下ろす「みのわ花街道」伊那谷を見下ろす「みのわ花街道」
最高の景色に笑顔がこぼれます最高の景色に笑顔がこぼれます (c)JACP/T.Hatamachi
JA伊那が経営する「みはらしファーム」内にあるビュッフェレストラン「トマトの木」JA伊那が経営する「みはらしファーム」内にあるビュッフェレストラン「トマトの木」 (c)JACP/T.Hatamachi
伊那谷を見下ろす「みのわ花街道」は、まるで軽井沢の1000m林道のようなロケーション。紅葉に染まった山々と谷合の景色が最高だ。小口さんが「やっぱりこのルートはいーなぁ」というので、思わず「伊那ですもんね!」と返してしまう。急に体感気温が下がったのは急に日陰に入ってしまったからに違いない……。

お昼はJA伊那が経営する「みはらしファーム」内にあるビュッフェレストラン「トマトの木」へ。バイキングというと、出来合いのコロッケとか唐揚げとかが並んでるイメージが強いけど、こちらはJAが運営しているだけあって、ほぼ全てが地元食材を使った手作り料理がずらりと並んでいる。なかでもイチ押しは生地から捏ねているという焼き立てピザ。アツアツのピザを軸に組み立てるも、ご飯を中心に和のテイストで攻めるもよし。もちろん和洋中混淆で好きなものを好きなだけ食べても良し(笑)。ビュッフェの楽しみ方は人それぞれだ。

権兵衛峠はもう間もなく。背後には美しい山々が広がっています権兵衛峠はもう間もなく。背後には美しい山々が広がっています (c)JACP/T.Hatamachi
黄色に色づく秋の山へ向けて走っていきます。トンネルが無ければ、あの山を越えないといけないんですよね……黄色に色づく秋の山へ向けて走っていきます。トンネルが無ければ、あの山を越えないといけないんですよね…… (c)JACP/T.Hatamachi
さて、ビュッフェで満腹になったら木曾山脈を越えるため、権兵衛峠へ。峠といっても、距離2.5㎞平均斜度も4%くらいの、脚力によってはインナーの出番は無い程度。むしろその後の権兵衛トンネルが4.5㎞と長いため注意が必要だ、とはいえ、道幅もかなり広く、かつ照明も明るいのでトンネルとしては割と安全に走れる部類。とはいえ、もちろん前後ライトは点灯必須。

トンネルを抜けると、奈良井川沿いに国道19号へ向かって下っていく。途中には奈良井ダムもあり、ここではダムカードももらえるので、コレクターの方はぜひお立ち寄りを(笑)。有名な奈良井宿の交差点を左折するとすぐそこにあるのが今日一番の難所である「鳥居トンネル」だ。こちらは道幅も狭く、歩道を歩いて通過するしかない。今回は同行するサポートカーに乗りトンネル向こうまで一気に搬送してもらうという、至れり尽くせりのツアーである。普通に走るのであればここは歩かざるを得ないので、SPD系シューズがオススメだ。

「鳥居トンネル」は難所。歩道を歩くほかないので、ここはサポートカーで移動することに「鳥居トンネル」は難所。歩道を歩くほかないので、ここはサポートカーで移動することに (c)JACP/T.Hatamachiなんと全員のバイクを注油してくれるというメカニックサービスが。至れり尽くせり。なんと全員のバイクを注油してくれるというメカニックサービスが。至れり尽くせり。


初日のお宿「三河屋」へ到着!木曽川沿いのいい雰囲気のお宿です初日のお宿「三河屋」へ到着!木曽川沿いのいい雰囲気のお宿です (c)JACP/T.Hatamachi
さて、木曾川沿いの義仲公園から再スタートすると、あっという間にフィニッシュ地点の木曾福島に到着だ。中山道の福島宿があったところで、狭い谷合の土地にギュッと見どころが詰まっている。河岸段丘というのか、川を中心にいくつかの段になってる土地で、階段がいたるところに張り巡らされている。そういった小径が好きな人にはたまらない町で、自分も買い出しついでにいろいろと歩き回ってしまった。

今日のお宿となる「三河屋」さんは川沿いの宿で、木曽川を眺められる絶景が売り。自転車も室内へ運び込めるよう和室の一角にマットが敷いてくれていた。ツルツルの温泉でさっぱりし、旅館メシでおなか一杯になったら最長距離、最多獲得標高となる明日に備えてぐっすり就寝。ただ、酒蔵も有する木曾福島には魅力的な町のようで、呑兵衛組は夜の町を満喫したとか(笑)



 
Day2 木曽福島~南木曽~大平峠~飯田~天竜
朝、気温0度に迫る木曾福島を出発朝、気温0度に迫る木曾福島を出発 (c)JACP/T.Hatamachi
この日も裏道をつないで行く。クラシックレースのようで楽しいコースこの日も裏道をつないで行く。クラシックレースのようで楽しいコース (c)JACP/T.Hatamachi
明くる2日目は木曽山脈を越える今回のライドのクイーンステージ。木曾山脈は木曽川と天竜川を分ける山々で、実は昨日越えた権兵衛峠も木曽山脈の北側に位置する峠なのだ。1日目は天竜川側から木曽川方面へと移動したわけだが、2日目となる今日はもう一度天竜川方面へ向かって山を越えることになるわけだ。

さて、朝食をいただきホテルの外へ出ると、めちゃくちゃ寒い。昨日はグローブも指ぬきグローブで走れたが今日は完全冬装備が必要な気温だ。それもそのはず、この日最低気温は0度をマークしていたのだという。木曽川の谷間に位置することもあり、朝は日光も入りづらく秋冬の冷え込みはかなりのものなのだという。この時期に長野一周サイクリングに挑戦する人はしっかり装備を整えていたほうがいいだろう。

細かなアップダウンが続く裏道。交通量も少なく、走りやすい細かなアップダウンが続く裏道。交通量も少なく、走りやすい (c)JACP/T.Hatamachi
何度か木曽川を渡っていくシーンも何度か木曽川を渡っていくシーンも (c)JACP/T.Hatamachi中山道の宿場町が次々に現れる。徒歩で旅していた時代に思いを馳せる。中山道の宿場町が次々に現れる。徒歩で旅していた時代に思いを馳せる。 (c)JACP/T.Hatamachi


ネックゲイターをバラクラバのように被った防寒仕様で木曽川沿いを下っていく。所謂「中山道」として知られる道を江戸とは逆方面に向かっていくわけだ。旧街道らしく、人々が集まっているのはほぼすべて昔の宿場町があった場所でもある。上松宿、須原宿、といった具合に「地名」+宿、とついた看板がいたるところに点在している。しっかりと当時の街並みを保存している一角もあり、往時の賑わいに思いを馳せることも。

しばらく行くと、道の駅大桑でトイレ休憩。売店に並べられていたドライフルーツをみんなでお裾分けいただくことに。果物の糖分たっぷりで補給にグッド。寒さに耐えるだけでカロリーを使うので、補給は重要だ。

道の駅大桑で、ドライフルーツを分け合う皆さん。フルーツの糖分がぎゅっと詰まった甘さが染みます道の駅大桑で、ドライフルーツを分け合う皆さん。フルーツの糖分がぎゅっと詰まった甘さが染みます (c)JACP/T.Hatamachiアイコニックな吊り橋も。次来るときは渡ってみたいですねアイコニックな吊り橋も。次来るときは渡ってみたいですね (c)JACP/T.Hatamachi


早朝ということもあってか、意外に国道も走りやすい。早朝ということもあってか、意外に国道も走りやすい。 (c)JACP/T.Hatamachi
基本的には国道19号沿いを走っていくことになるのだが、やはり交通量も多いので1日目と同じく脇道を使いながら距離を稼いでいく。とはいえ、単調になりがちな国道よりもこちらのほうがローカル感があって楽しいのは間違いない。できるだけ平坦になるように作られた高規格道路よりも、生活に密着した道のほうがどうしたって味はあるもの。

とはいえ、脇道というのは途切れがちだから脇道なので19号を走る区間ももちろんある。実際に走ってみれば、路肩も広く舗装もきれいなのでこれはこれで走りやすい。特に朝早めの時間帯であればまだ交通量もそこまで多くはないので、スピードを求める人であれば19号という選択は大いにありだろう。道に迷う心配も少ないし(笑)

今日は距離も長いということもあり、道草もほどほどに快速列車で先を急ぐ。吾妻で左折すると、妻籠宿でいったん大休憩。昼食ポイントはまだまだ先だが、すでに2時間以上走っていることもあり、ここで一旦もぐもぐタイムに。

江戸時代の雰囲気をそのまま残す妻籠宿江戸時代の雰囲気をそのまま残す妻籠宿 (c)JACP/T.Hatamachi
テンションアップするMCアケさん。テンションアップするMCアケさん。 (c)JACP/T.Hatamachiちょっと散歩がてら、妻籠宿を歩いて通過ちょっと散歩がてら、妻籠宿を歩いて通過 (c)JACP/T.Hatamachi


昨夜か今朝買い込んだ補給食だが、みんなの性格が出て面白い。おにぎりの人、パンの人、はたまた甘味で攻める人。私は意識高めにプロテインドリンク&バー、と見せかけて昨日スーパーで買った半額の揚げパンをぱくつく。満腹感と味は重要だ。ちなみに、最近コンビニでもよく売っているザバスのプロテインドリンク、200mlの紙パックと500mlの紙ボトルがあるが、含有されるタンパク質の量は15gで一緒なのだ。おなかをタプタプにしたくないなら紙パックがオススメである。

さて、補給を済ませた後は妻籠宿で少し散策タイム。「素敵ー!」とテンション上がるアケさんに、「ここの宿紹介しようか?女将探してるみたいよ」と鈴木代表。どこらへんまでが本当なのか、一瞬わからない(笑)

美しく色づいた紅葉。寒さもあって、一足早く色づいているようでした美しく色づいた紅葉。寒さもあって、一足早く色づいているようでした
ここから、大平峠へ登ります!ここから、大平峠へ登ります! (c)JACP/T.Hatamachi
そしてここからが今日のメインディッシュ、木曽山脈越えの「大平峠」への上りの始まりである。距離にして約18km、標高差は約960mと、かなりのビッグクライム。とはいえ、平均斜度は5%程度と割と登りやすい峠でもある。

吾妻の集落内を行く旧道を経由して、大平峠の後半部分へ。紅葉に色づく木々の中をクルクルペダルを回しながら登っていく。適度な九十九折れでリズムも取りやすいので、ヒルクライマーにとってはかなり走りやすい峠のハズ。

紅葉のトンネルになった大平峠。最高の季節でしょう紅葉のトンネルになった大平峠。最高の季節でしょう (c)JACP/T.Hatamachi
E-BIKE組は余裕のヒルクライム。羨ましいかぎり。E-BIKE組は余裕のヒルクライム。羨ましいかぎり。 (c)JACP/T.Hatamachiいくつも九十九折がある、リズムの取りやすい峠ですいくつも九十九折がある、リズムの取りやすい峠です


ピークには雰囲気のあるトンネルが。大丈夫?なんか人増えてたりしません?ピークには雰囲気のあるトンネルが。大丈夫?なんか人増えてたりしません? (c)JACP/T.Hatamachi
途中の展望台で一息いれたら、あとは頂上までほんの僅か。風情、というか雰囲気、というか、まあ端的に言うとちょっと「出そう」な大平トンネルの前で一枚記念撮影し、下り始める。(ちなみに不審なものは何も写ってない……ハズです)

下りはブラインドコーナーも多いので余裕を持ったラインとスピードで。いったん、谷底を登り返し、飯田峠へ。峠といっても1.6kmで100mも登らないので、本当に登り返しといったくらいの規模感だ。飯田峠も登り切ったら、飯田市へ向けてダウンヒル。こちらもあまり路面状況は良くないので、気を付けて。私も道端の石を踏んで、交換したばかりのタイヤでパンクしました(泣)

飯田峠に到着、ここからは一路ダウンヒルです。飯田峠に到着、ここからは一路ダウンヒルです。 (c)JACP/T.Hatamachi
鋭いコーナーを披露する鈴木代表鋭いコーナーを披露する鈴木代表 (c)JACP/T.Hatamachi
リンゴ畑の横を行く北方山麓線の上りリンゴ畑の横を行く北方山麓線の上り (c)JACP/T.Hatamachi
飯田市街へ下りきった、と思ったらまた今度は高台へ向けて登ることに。この北方山麓線の上りは2.6㎞、161mと飯田峠への登り返しよりも実はハードなヒルクライム。ここを越えればあとはお昼ご飯の待つ天竜峡駅まで下っていくのみ。

ライン下りで有名な天竜川沿いのうどん屋さんで、ボリュームたっぷりの天ぷらうどんをいただき、ここまで補給食で凌いできた空腹を満たす。おなか一杯になって、さて出発しようかとすると、なんと地元のサイクリストたちがお土産片手に応援に!

お昼は天竜郷のうどん屋さんにてお昼は天竜郷のうどん屋さんにて (c)JACP/T.Hatamachiたっぷり天ぷらの載ったうどんをいただきましたたっぷり天ぷらの載ったうどんをいただきました (c)JACP/T.Hatamachi


地元のサイクリストたちがお土産片手に応援に!一緒に撮影させていただきました!地元のサイクリストたちがお土産片手に応援に!一緒に撮影させていただきました! (c)JACP/T.Hatamachi
朝、掘ったばかりというサツマイモの焼き芋や瑞々しいリンゴなど、うれしい差し入れにみんなもテンションアップ。さぁ、気合入れていくぞ!と意気込む私たちに「ここからは結構アップダウン激しくて、楽しいですよ!」と小口副代表。さっそくテンションダウンで、ルート以上の乱高下である(笑)

さて、実際走り始めてみると言葉通りのアップダウンの連続。なんなら一発の斜度がキツめなので、大平峠よりも辛いかもしれない。筧さんの生かさず殺さずの絶妙なペースメイクについていくと、かなりいい練習に。つまり、トレーニングルートとしてみれば100点満点。と書くと、ただハードなだけのコースに聞こえるが、その実結構良い感じの風景も多いので、ゆっくり走っても楽しいこと間違いなし。

背後に木曾山脈を背負いつつ、本日最後の区間へ向けて走り始めます背後に木曾山脈を背負いつつ、本日最後の区間へ向けて走り始めます (c)JACP/T.Hatamachi
天竜川を左に見つつ走っていきます天竜川を左に見つつ走っていきます (c)JACP/T.Hatamachiダムまでくれば、ゴールはすぐそこ。ダムまでくれば、ゴールはすぐそこ。 (c)JACP/T.Hatamachi


いくつもアップダウンが現れる平岡までの区間いくつもアップダウンが現れる平岡までの区間 (c)JACP/T.Hatamachi
しかし、今日のゴール地点となる「平岡」は同じ天竜川沿いなんだから、そもそも川沿いに下ってはいけないの?という純粋な疑問が浮かんでくる。こういう疑問を放置していると、ジャパンアルプスサイクルプロジェクトは、サイクリストをわざとハードなコースに誘導し、苦しむ姿を見て楽しんでいるのでは?などという、あらぬ疑いの種になる。その誤解を解いておくと、天竜川は川沿いに道を作ることが困難なほどかなり深く切り立った渓相なので、いったん川沿いを外れて丘を越えていくという形でしか道が存在しないのだ。

そんなこんなで、天竜川をせき止める「平岡ダム」の堤体が見えてくれば2日目のゴール地点となる「ふれあいステーション 龍泉閣」はすぐソコ。なんとJR平岡駅直結の温泉宿という世にも珍しい存在。

本日のお宿、龍泉閣。JR平岡駅と同じ建物にある、いわばPLAYatreの先駆けのような存在本日のお宿、龍泉閣。JR平岡駅と同じ建物にある、いわばPLAYatreの先駆けのような存在 (c)JACP/T.Hatamachi
松茸茶碗蒸しなども登場した豪華な夕食タイム松茸茶碗蒸しなども登場した豪華な夕食タイム (c)JACP/T.Hatamachi左が改札、右奥がフロント。この距離感は、BEB5土浦もかなわない近さ。左が改札、右奥がフロント。この距離感は、BEB5土浦もかなわない近さ。


JR系のメッツや最近話題の星野リゾートBEB5土浦なども駅直結の宿泊施設だが、このホテルは改札のすぐ横にフロントがあるというユニークさ。サイクリストというより、鉄道マニアのほうがそそられそうだけども、こちらも自転車をしっかり施設内で預かってくれるというサイクリストフレンドリーなお宿なのだ。

物珍しさにキョロキョロしつつ、ホテル自慢の温泉でお肌をツルッツルにし、ボリュームたっぷりの季節の御膳でおなか一杯になったら明日に備えて眠るのみ。え?明日の降水確率、100%!?……とりあえず、寝ましょうか。



text:Naoki Yasuoka