第24回全日本マウンテンバイク選手権大会XCOが富士見パノラマで開催され、男子は山本幸平(チームブリヂストン・アンカー)が4連覇、女子は片山梨絵(SPECIALIZED)が8連覇を達成した。それぞれ連覇数を伸ばした。レースには記録だけではないドラマがあった。

XCOシニアエリートスタートXCOシニアエリートスタート photo:Akihiro.NAKAO今年で3回目となる富士見パノラマでの全日本選手権。天候は快晴で、真夏の日差しが降り注ぐ。ジュニア・マスター・U23・女子・シニアエリートの各カテゴリーで日本一を決める全日本選手権は、国内最高のタイトル獲得に向けて選手のモチベーションも高い。会場にはアクセスの良さも手伝って、多くのファンが観戦にかけつけた。

優勝の本命はここまで3連覇中の山本幸平。海外を主戦場とし、国内では頭ひとつ飛び出した感がある。恐れるべきはトラブルか。次に来るのは平野星矢(チームブリヂストン・アンカー)。山本幸平と同じく海外を走り、同じチームと言えどライバル関係にある。

2周目で平野星矢と山本幸平(共にチームブリヂストン・アンカー)のパックで後続を離す2周目で平野星矢と山本幸平(共にチームブリヂストン・アンカー)のパックで後続を離す photo:Akihiro.NAKAO3位の表彰台争いは熾烈なものになるだろう。今季調子のいい山本和弘(キャノンデールレーシングチーム)、ニセコで復活した小野寺健(TEAM SPECIALIZED)、斉藤亮(チーム コラテック)、門田基志(TEAM GIANT)と続き大一番に強い武井亨介(チーム・フォルツァ!)も注目された。

今年から富士見のコースには変更が加えられ、名物だったリフト下の登りがテクニカルなシングルトラックの登りとなり、選手にとっては力の抜きどころが減った。シニアエリートは4kmを7周回する28kmで争われる。

シニアエリートはアンカーのワンツーフィニッシュ

小野寺健(TEAM SPECIALIZED)小野寺健(TEAM SPECIALIZED) photo:Akihiro.NAKAO13:00にスタートしたシニアエリート。号砲直後に小野寺が飛び出しリードするかと思われたが、2周目のメインゲレンデの登りでは平野と山本幸平の二人が、パックで先頭のペースを上げていく。この二人の一周約13分のラップで走る速さに、後続の選手たちは全く追いつけない。

山本幸平は平野をペーサーとするかのように淡々と走る。3番手争いは斉藤が2周目のパンクで離脱、徐々に武井・小野寺・山本和弘で争う展開に。5周目、リフト下の登りで山本幸平が平野を抜き先頭に立つ。

XCOシニアエリート優勝山本幸平(チームブリヂストン アンカー)XCOシニアエリート優勝山本幸平(チームブリヂストン アンカー) photo:Akihiro.NAKAO6周目、後続グループでは武井が遅れて小野寺が3番手・山本和弘が4番手に上がる。最終周回でも山本幸平の優位は変わらずゴールまで独走を保って4連覇を達成した。片手で自転車を持ち上げるパフォーマンスで、自身の4連覇をアピールした。2位には平野が、3位に転倒の汚れも目立つ小野寺が入った。出走91人中、完走わずか10人という激戦だった。

やはり山本幸平・平野の2強は変わらず。スピードが全く違い、他の選手が太刀打ちできない印象だ。海外で走る意味を提示するような結果だと言えよう。3位の小野寺はここ数年はメカトラやパンクが続き結果が残せなかったが、今年は機材が合ってるのか本来の強さが戻った感じだ。山本和弘にとってはこの暑さが誤算だったと言える。

シニアエリート表彰 平野星矢(チームブリヂストン・アンカー)・山本幸平(チームブリヂストン・アンカー)・小野寺健(TEAM SPECIALIZED)シニアエリート表彰 平野星矢(チームブリヂストン・アンカー)・山本幸平(チームブリヂストン・アンカー)・小野寺健(TEAM SPECIALIZED) photo:Akihiro.NAKAO

山本幸平(チームブリヂストン・アンカー)のコメント
「先週までは調子が良くて、カナダ30位・アメリカ31位と感覚的にも凄い絞れてよかったのですが、3週連続のレースとアメリカからの帰国による時差と風邪でキツい状況でしたね。日本で走るときはコンデションはなかなか合わないけど、世界で走っている環境だからと自分に言い聞かせて走りました。次のレースはロンドン五輪のプレゼンテーション大会です。世界選に向けてもがんばります」

女子は片山の8連覇、U23は合田啓祐、ジュニアは沢田時が勝利

女子の片山は北米遠征で体調を崩しアップ中でも晴れない表情を浮かべる。5周回のレース序盤では積極的に走るものの、昨年程のリードは奪えず。苦しい表情ながら単独でゴールし8連覇を達成した。2位は中込由香里(SY-NakSPECIALIZE)、3位は久々のレースとなった矢沢みつみとなった。

XCO女子優勝片山梨絵(SPECIALIZED)XCO女子優勝片山梨絵(SPECIALIZED) photo:Akihiro.NAKAOXCOU23優勝合田啓祐(TEAM SPECIALIZED)XCOU23優勝合田啓祐(TEAM SPECIALIZED) photo:Akihiro.NAKAO


片山梨絵(SPECIALIZED)のコメント
「海外遠征の前半は調子が良かったものの、今はオールアウトと言った感じで、春に掴みかけたいい感じをまた再現できるように今は休む状態です。遠征もキャンセルして白紙にします。世界選までには復帰したいと思っています」

U23は今季不運続きの合田啓祐(TEAM SPECIALIZED)がそれを挽回する圧勝。ジュニアは沢田が同じチームの前田公平(HARO/ENDLESS/ProRide)をリードして優勝。マスターは筧 五郎(イナーメ・X)と山本朋貴(ストラーダレーシンググチーム)の一騎打ちとなったものの筧がサドルに付けたスペアチューブが落下して後輪に絡むというトラブルでリタイア。山本朋貴が勝利を挙げた。

XCOジュニア優勝沢田時(HARO/ENDLESS/ProRide)XCOジュニア優勝沢田時(HARO/ENDLESS/ProRide) photo:Akihiro.NAKAOXCOマスター優勝山本朋貴(ストラーダレーシング)XCOマスター優勝山本朋貴(ストラーダレーシング) photo:Akihiro.NAKAO


ゴール後軽々とアンカーバイクを持ち上げる山本幸平(チームブリヂストンアンカー)ゴール後軽々とアンカーバイクを持ち上げる山本幸平(チームブリヂストンアンカー) photo:Akihiro.NAKAO全日本選手権2011XCOシニアエリート
1位 山本 幸平(チームブリヂストン・アンカー)1:32:32.70
2位 平野 星矢(チームブリヂストン・アンカー)+0:42.75
3位 小野寺 健(TEAM SPECIALIZED )+2:52.08
4位 山本 和弘(キャノンデールレーシングチーム)+4:51.11
5位 武井 亨介(チーム・フォルツァ! )+6:15.73
6位 門田 基志(TEAM GIANT )+7:53.28 16.7
7位 松本 駿(TREK)+8:21.20
8位 千田 尚孝(KHS JAPAN)+8:32.49
9位 辻浦 圭一(チームブリヂストン・アンカー)+9:22.65
10位 斉藤 亮(TEAM CORRATEC)+13:44.31

XCO女子
1位 片山 梨絵(SPECIALIZED) 1:21:59.92
2位 中込 由香里(SY-Nak SPECIALIZED)+1:59.75
3位 矢沢 みつみ +3:20.23
4位 小林 可奈子(MTBクラブ安曇野KONA)+4:00.55
5位 田近 郁美(GOD HILL)+5:14.84

XCOU23
1位 合田 啓祐(TEAM SPECIALIZED )1:13:13.65
2位 野田 拓司(フサヤフジサイクリングタイム)+1:15.96
3位 園部 来夢(RMB/ナカザワジム)+7:10.26

XCOジュニア
1位 沢田 時(HARO/ENDLESS/ProRide) 0:57:50.57
2位 前田 公平(HARO/ENDLESS/ProRide)+1:33.21
3位 後呂 有哉(岩井商会レーシング)+ 4:31.80

マスター
1位 山本 朋貴(ストラーダレーシング )0:58:04.45
2位 北島 篤志(ckirin.com )+3:00.81
3位 平井 啓資(UNS八王子 )+3:20.25

text&photo:Akihiro.NAKAO