プロ選手も実際にレースで着用するウエイブワンのスピードデュアルスーツとスピードエアロスーツをテスト。チームブリヂストンサイクリングの選手たちのパフォーマンスを最大限に引き出すために開発されたエアロウェアを紹介しよう。



ウエイブワン スピードデュアルスーツ

オリンピックでメダル獲得を目指せる選手を多く擁するチームブリヂストンサイクリングを長年サポートするウェアブランドがウエイブワンだ。僅かなアドバンテージでも選手にもたらせるようにエアロダイナミクスを考慮したウェアの開発を進めており、トレンドとなった溝つきの生地を早い段階から取り入れていたブランドだ。

ウエイブワンの溝つき生地スピードライン1.3を使用したウェアは選手供給専用ではなく、フルオーダーウェアとしてオリジナルデザインを施せるようになっている。その一つが先行してインプレッションを行ったレジェフィットスピード半袖ジャージであり、それに加え決戦用のスピードデュアルスーツとスピードエアロスーツが用意されている。今回はスーツシリーズをピックアップする。

ウエイブワン スピードデュアルスーツ

デュアルスーツは袖全体がエアロ生地とされている

スピードデュアルスーツは様々な状況で走行するロードレースに向けたフルオープンファスナーを採用した1着。腰から背中にかけては上半身パーツと一体となるワンピースタイプながら、腹部はレッグパーツと上半身パーツが分離したいわゆるセパレート式を採用したモデルだ。

セパレート式とすることで着脱がフルワンピースよりも簡単というメリットを持つ他、上半身の動きを制限しないためダンシングなどで生地が突っ張りづらくなっていることが魅力。上体を起こしやすくなっているため、乗りながら乗車姿勢を変化させるロードレースにはうってつけだ。

フィット感を司る前身頃と脇には伸縮性に富む生地を採用。風が当たりやすい腕部分は先述したスピードライン1.3を使用しており、背中部分は大胆なメッシュ生地が用いられた。メッシュ生地の配置もロードレースにフィットさせる物であり、夏場の長時間レースにおいてもウェア内に熱がこもりにくくなっている。バックポケットも標準装備だ。

前身頃が分離しているセパレート式だ

レッグ部分のメイン生地は透けにくく程よい厚みのストレッチ素材、内股部分はスレに強い特別な生地を使用している。ここはオリジナルプリントを施せないが12色の中から選択することができるため、チームカラーに合わせることも可能だ。裾部分は幅が広めのテープとされており、ストレスの少ないフィット性を実現した。

パッドは8種類の中から選択可能。ラインアップには半袖と長袖が用意されているが、オーダー時はどちらも混在してても問題ない。価格は半袖が26,400円、長袖が27,500円(税込)。

ウエイブワン スピードエアロスーツ

スピードエアロスーツはタイムトライアルやトラック競技に必要なエアロダイナミクスに特化した決戦用ウェア。ポイントはファスナーを背中側に移設し、風が当たる前身頃から流れを乱すパーツやウェアのシワを排除し、エアロダイナミクス向上を狙っていること。

スピードライン1.3生地はデュアルと同じ上腕に配置され、前腕は前身頃などと同じ伸縮性に富む生地が採用されている。これはDHバーを握るようなポジションの場合エアロ効果を見込めるのは上腕のみという研究の結果であり、伸縮性に優れる素材を使うことでタイトに作られるスーツながら腕を通しやすいウェアを実現している。

また上半身とレッグ部分が完全に一体となることで非常に優れた快適性も確保。ファスナーが背中側に配置されていることも快適性に寄与しているとウエイブワンはいう。価格は26,400円(税込)。



–編集部インプレッション

ウエイブワン スピードデュアルスーツ

どちらもチームブリヂストンサイクリングとタッグを組んでいるだけあってエアロへのこだわりを感じるウェアに仕上がっている。全体的にはタイトに作られていてウェアのシワが発生しないように作られており、前傾姿勢を前提としたような設計が施されている。フィット感はレーサーが求める物を実現しているような印象を受けた。

サイズはウエイブワンのレジェフィットシリーズを着用している方であれば、同じサイズで問題ない。テストを行ったシクロワイアード編集部の高木はカステリやラファであればXSも着用することもあるが、このスーツはSサイズが丁度良い。ただ、ワンピースのウェアは肩周りか腰・脚のフィット感を重視するのかはそれぞれの感じ方によるもののため、しっかりと試着を行なってサイズを見極めることは重要だ。

スピードデュアルスーツはエアロ生地とメッシュ生地、通常のジャージ生地の3種類を程よいバランスで組み合わされている。どの生地も気持ちよく伸びつつも、弾力性にも富む生地のため、タイトめに仕立てられていても締め付けられる感じはなく、生地がキュッと体を包み込む着心地を与えてくれる。

お腹周りの生地がダブつない

エアロ生地の長袖は腕にシワを作らず、生地の効果も相まって半袖よりも空気の抜けが良いように感じた。さらに、空気が当たらない部分は前身頃と同じ生地を使いつつ、カッティングを煮詰めることで、タイトな腕周りでも生地のつっぱり感などはなく非常に快適。腕や肩周りの動きを制限しないため、ダンシングなどで体をダイナミックに動かすシチュエーションにもマッチする。

セパレート式のメリットは、前身頃の生地をレッグ部分と分離することで、タイトにフィットさせつつも腹圧をかける時や体を動かした生地の伸縮性を活かせること。スピードデュアルスーツももちろんその恩恵はあり、腕と同じように体を動かしやすいウェアに仕上げられている。レッグ部分の裾は滑り止め素材を織り込んだ生地が用いられているが、幅広かつタイト目の設計によってホールド力を実現している。その上で素材によるグリップ力を発揮してくれるため、シリコングリッパーなどが苦手な方でも着用できそう。

レッグ部分もフィット感は高い

滑り止め素材を加えた幅広のグリップテープが備えられている

近年のエアロウェアは襟が低くなっているが、このおかげで圧倒的な涼しさを手に入れている。背面のメッシュ生地も非常に薄手のため、通気性は抜群に優れており、日本の夏にも耐えられる快適性を実現していそうだ。

今回のテストでは長袖と半袖を試したが、汎用性の高さという面で考えたら半袖は使い勝手が良さそうだ。長袖は袖部分の通気性は良いため、1時間でレースが終了するクリテリウムなどで活躍してくれるため、エアロ性能を最大限に活かしたい時に選びたい。

Tシャツのように着れるスピードエアロスーツ

ファスナーが背中に移設された

そして同時にテストしたスピードエアロスーツはタイムトライアルやトラックの競技で使用する決戦用だ。基本的にはスピードデュアルスーツと似たようなフィット感に仕立てられているが、前身頃からファスナーが移設されたことで、着心地の良さは格段に高くなっている。ファスナーが背中にある感覚も強くないため、一枚の布で包み込まれているかのような感覚を受ける。

さらにファスナーが前身頃に配置されていると、その硬さから動きに制限が出る瞬間はあるため、背中ファスナーとすることで生地が突っ張ることなく、呼吸も楽になる。また、ジッパーによる生地のシワも生まれなく、無駄なく生地が体にフィットすることがエアロに貢献しているのは間違いない。

スピードエアロスーツは袖の素材が切り替えされている

腕は上腕のみがエアロで、前腕は通常生地が用いられている設計も好印象。スピードライン1.3自体も伸縮性を備えているが、タイトな生地であるのは間違いないため、通常生地が採用されたことで大幅に着やすくなっている。

スピードデュアルスーツよりもフィット感はタイトめだが、ファスナーが背中にあるだけで快適性はスピードエアロスーツの方が高い。使用用途は限られるウェアだと思うが、スピードを求められるシーンでは強い武器となってくれそうだ。

インプレッション:高木三千成



ウエイブワン スピードエアロスーツ
サイズ:XS、S、M、L、XL、XXL
価格:26,400円(税込)

ウエイブワン スピードデュアルスーツ
サイズ:XS、XSt、S、St、M、Mt、L、Lt、XL、XLt、XXL
半袖価格:26,400円(税込)
長袖価格:27,500円(税込)

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