エリートがリリースしたズイフトのステアリング機能用コントローラー”STERZO SMART”。バーチャルサイクリングの楽しみ方を広げてくれるスマートデバイスのインプレッションをお届けしよう。



エリート STERZO SMARTエリート STERZO SMART
2020年の8月にエリートが発表したSTERZO SMART(ステルツォ・スマート)をインプレッションする機会に恵まれた。まずは簡単に製品の概要をお伝えしよう。STERZO SMARTとは、固定ローラー使用中にハンドルを右に左に切れるようになるライザーブロックだ。

SMARTモデルはハンドル操作を検知するセンサーとBluetoothが搭載されており、ズイフトとの連携を実現。ペアリングすることでリアルの世界で行ったハンドル操作が、バーチャル世界内のアバターの動きに反映されるようになる。ズイフト内での遊び方の幅を広げてくれると期待されるデバイスだ。詳細な製品情報はこちらをチェックしてもらいたい。早速インプレッションに移ろう。

―編集部インプレッション

インプレッションを行ったのは、普段からスマートローラーを使用し、Zwiftでトレーニングを行っている編集部員の高木。これまでスマートフォンの加速度センサーとコンパニオンアプリを用いたステアリング機能のことは知っていたものの実際に使ったことはなく、ステアリング機能を使用するのはこれが初めてになる。

エリート STERZO SMARTエリート STERZO SMART
STERZO SMARTに触るのももちろん初めてだ。思ったよりもサイズは大きいが、そのサイズ感の割には手に持ってみると想像以上に軽い。ライザーブロックの代わりにSTERZO SMARTを前輪の下にセットするだけで、ペアリング作業もズイフトのデバイスペアリング画面にハンドルマークが表示され、そこをクリックするだけなのでサクサクと完了してしまう。準備は非常に簡単に行うことができた。

早速、ズイフト内を走ってみると、左にハンドルを切れば左へ、右にハンドルを切れば右へ、ハンドルを切るとタイムラグがなくスムーズにアバターが動いてくれる。まるでクルマのゲーム「グランツーリスモ」のよう。バーチャル内でアバターを自由に動かせるだけで感動してしまった。

ベース部分には状態を知らせるLEDインジケーターが備えられているベース部分には状態を知らせるLEDインジケーターが備えられている ベースには数多くの滑り止めが備えられているベースには数多くの滑り止めが備えられている

DIRETO XRに付属するライザーブロック(左)とSTERZO SMART(右)DIRETO XRに付属するライザーブロック(左)とSTERZO SMART(右)
ズイフトのグループライドやレースに参加してみたが、どうやらワークアウトなどトレーニングメニューを行うライドではステアリング機能を使う事ができないケースがあるようだ。実際に使えるシチュエーションを見つけ出し、レースに参加してみた。

レースではコーナーリングでステアリング機能を使用しないと一定のラインを走るだけで最短のラインではない。しかし、ステアリング機能を使用することでアウトインアウトのライン取りができたり、最短のラインを走れたり、逃げ集団の中で先頭交代をしたりと、走行ラインを考えながら走るため本当に走っているような感覚だった。

26Cタイヤで使用した際のSTERZO SMART。対応タイヤ幅は最大56mm26Cタイヤで使用した際のSTERZO SMART。対応タイヤ幅は最大56mm
また、これまでは前のライダーより前に行くためには前のライダーの出力を上回るのが必要で実に体力が必要であったが、コーナーへの進入時に集団とは逆サイドをあえて走ることも、最短のラインを走れるため相手のライダーを抜きやすくなっている。このように戦術にも幅が広がるため、ズイフトのレースがさらに楽しくなる。

しかし、ステアリング機能を使う事で難しくなったことが集団走行。隣にライダーがいる場合、リアルと同じく集団内に入ることができない。無理に入ろうとすれば弾かれてしまうため、隙間を狙って集団内を上手く走るスキルが必要になった。この仕様は慣れることや、コントローラー使用率が高まることで、一人だけ集団内に入れないなんて問題は解消できるだろう。

STERZO SMARTを使用するとハンドルを切ることが可能となるSTERZO SMARTを使用するとハンドルを切ることが可能となる
また、レースだけではなくミートアップでもステアリング機能で楽しめる。グループサイクリングでは実際にグループライドをしているかのように先頭まで行きハンドルを切って隊列から外れ、後ろに下がって隊列の後ろに付く、一連の先頭交代ができるためよりリアルに近い動きで遊べる。

もちろんソロライドでもステアリング機能を楽しむことができるが、ステアリング機能の恩恵を受けられるのは複数人で走るグループライドやレースだと思った。コロナ禍で注目を集め、人気が高まったバーチャル内でサイクリング仲間と行うミートアップは、これからの冬でも再び注目を集めそう。STERZO SMARTを導入してみたら、さらに充実度が高まると感じる。

そして、これまでの固定ローラーでのトレーニングは、ライザーブロックを使うとハンドルを動かせなくなり、肩周りが力むことで凝りやすい事が気になっていた。しかし、STERZO SMARTを使うとハンドルが切れるため上半身を動かせるようなり、肩周りが凝りかたまりにくいと感じる。

エリート STERZO SMARTエリート STERZO SMART
またステアリングデバイスを使用することで、ベース部分が不安定になる懸念があったが、むしろ安定感が増した気がしていた。これまで様々な固定ローラーに乗ってきたが、どれも上半身を固定してペダルを踏み、ハンドルを切らないようにするスタイルだった。一方で、レースやワークアウトなどで激しくダンシングやスプリントをすると、無意識に手に力が入りハンドルを切ってしまうため、タイヤブロックが少しずれる事があった。

しかし、STERZO SMARTステアリングブロックにしてからは前輪がスライドしてくることにより、ダンシングやハンドルを切る動作があったとしても前輪のホイールがブロックからずれないようになった。これだけでも気がかりなことがなくなり、快適に楽しめるので、トレーニングに集中できるようになる。

普段からスマートローラーでズイフトをやっているライダーやローラーは退屈で乗らないライダーに是非、試してもらいたい。冬のトレーニングやバーチャルライドがより一段と有意義なものになるはずだ。(CW編集部・高木)




エリート STERZO SMART ステアリングブロック
素材:強化繊維ポリマー
対応タイヤ幅:56mm
電源:単4電池で最大500時間駆動
最大駆動回転:34°
通信規格:ANT、Bluetooth 通信(現時点ではZwiftへの接続はBluetoothでのみ可能)
価格:10,000円(税抜)


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