11月15日(日)、益田チャレンジャーズステージが島根県益田市で開催された。今シーズン最後のロードレース公式戦をレポートする。
全日本学生ロードレースカップシリーズ第9戦を兼ねて開催された益田チャレンジャーズステージ photo:Satoru.Kato
島根県益田市郊外の山間部を走るコース photo:Satoru.Katoアンダー23以下の世代を対象とした「益田チャレンジャーズステージ」。2回目の開催となった今年は、全日本学生ロードレース・カップシリーズ第9戦西日本ラウンドも兼ねての開催となった。
U23 地元島根大学サイクリング部の井上奉紀を先頭に4周目へ photo:Satoru.Kato
U23 最終周回 先行する柴田を追うコラッジョ川西の3人 photo:Satoru.Katoカテゴリーは、大学生が中心のU23と、高校生が中心のU19+U17。距離はすべてのカテゴリー共通で、14.2kmのコースを5周する71km。益田市郊外の山間部に設定されたコースは、7%から8%、瞬間的にはそれ以上の勾配が繰り返し現れる前半と、道幅が狭くなる曲がりくねった下りと平坦を含む後半で構成される。
前日から雨が断続的に降り続き、当日朝も通り雨があったものの、スタート時刻の午前10時には晴れ間が出るまで回復。ゴール時間となる昼過ぎ頃には雲が消え、路面も徐々に乾いていく中でレースが展開された。
U23 柴田雅之が残り約2周を逃げ切る
2周目までに先頭集団が10人まで絞られたU23のレース。3周目に懸かったスプリント賞を岩田宗也(早稲田大学)が獲るも、10人の集団は大きく崩れる事なく進む。4周目、岩田、谷順成(関西大学)、井上奉紀(島根大学サイクリング部)、柴田雅之(龍谷大学)の4人がやや先行し、この周回に懸かった山岳賞の登りへ入っていく。柴田が山岳賞を獲得すると、そのまま後続に20秒から30秒の差をつけて先行した。
下島将輝、柳瀬慶明、米田彰らコラッジョ川西の3人が追走するが、最終周回の5周目に入っても差は縮まらない。「下りきって平坦部に出たところで、後ろとのタイム差が40秒と聞いて、行けると思った」と言う柴田は、残り500mのホームストレートに単独で現れると、2度後ろを確認してからガッツポーズでゴールに飛び込んだ。
U23 ほぼ2周を逃げ切ってゴールする柴田雅之(龍谷大学) photo:Satoru.Kato
U23表彰 優勝賞品は全日空から10万円の旅行券 photo:Satoru.Kato「山岳賞を取った後に差が開いたので、追いつかれても良いからここで行かないともったいないと思い、1人で行くことにしました。登り返しと下りで絶対休まないようにすれば、差が縮まる事は無いと考えていました」。
U19+U17 決定的な逃げが発生しないままレースが進行 photo:Satoru.Katoそう話す柴田は現在大学3年生。「来年は大学の研究や就活、自転車以外についてを色々考えなければいけないのですが、機会をもらえるならもっと高いレベルで競技を続けられるようにしたいです」とエリートでのレースに意欲を見せた。
U19 集団スプリントを制した亀谷昌慈が優勝、U17は谷和也
U19+U17 最終周回 登りで先行する亀谷昌慈(岐阜第一高校) photo:Satoru.KatoU23の1分後にスタートしたU19+U17は、レース終盤までに20人ほどに絞られる。最終周回の登りで亀谷昌慈(岐阜第一高校)が先行するが勝負を決めるには至らず、最後のスプリント勝負に持ち込まれる。残り300mから先行した亀谷に、吉岡衛(奈良北高校)が並びかける。ゴールライン上でのハンドルの投げ合いは、わずかな差で亀谷が先着した。
「ゴールした瞬間は勝ったとは思えませんでした。スプリントはあまり得意ではありませんが、今日は最後の位置取りが良かったので勝てました。本当は、登りで人数をもっと絞って最後の勝負に持ち込みたかったのですけれど」と、優勝した亀谷。
一方、僅差で2位の吉岡は「最後に伸びたので差せたと思いましたが...。全日本選手権も2位、高校に入ってから2位が多いので勝ちたかったですね。また練習して出直します」と悔しさを滲ませつつ語った。
U19+U17 ハンドルの投げ合いは、わずかに亀谷昌慈(岐阜第一高校・写真左)が先着 photo:Satoru.Kato
集団の先頭に立つU17の谷和也(市立堺高校) photo:Satoru.Kato
U19表彰 優勝賞品は益田ドライビングスクールの合宿免許取得券 photo:Satoru.Kato
一方、U17では、全体の4位に入った谷和也(市立堺高校)が優勝。「いつも練習しているコースに似ているので、レース中のペースの緩急も余裕をもって対応できました。スプリントは苦手ですが、今日は運よく位置取り出来て4位に入れました」と、レースを振り返る。ギア比の差で最後のスプリントの伸びが足りなかったと言うものの、「それでも自分の力はまだまだなので、U19と同じギア比だったとしても4位だったと思います」と、控えめに語った。
アウディから提供された大会オフィシャルカー photo:Satoru.Kato
アウディから提供された大会オフィシャルカー photo:Satoru.Kato
益田チャレンジャーズステージ運営スタッフ photo:Satoru.Kato全日本選手権や国際大会も視野に
一昨年のプレ大会から数えると、実質的に3度目の開催となった益田市でのロードレース。今年はアウディが大会の冠スポンサーとなり、他にも昨年から引き続き全日空や味の素、学研など、名だたる企業の協賛を集めた。
昨年のレポートでも触れた通り、日本代表のロード強化ヘッドコーチでもある浅田顕監督が監修したコースは、エリートのレースも開催出来るレベルにある。今年初め、一部で2016年の全日本選手権開催が噂された。その事を主催関係者に聞くと、「全日本選手権の開催は、まだ時期尚早」と口を揃える。
浅田監督は言う。「毎年参加者数が増え、レースのレベルも上がってきていると感じてます。このレースはU17、U19、U23と、計8年出場できる。その間、選手の成長を見守れるレースとして、選手強化にもつながるようなレースにしていきたいと考えています。コース的には全日本選手権を開催するには十分だと思っていますが、実際に招致するにはレース以外の部分をもっと確実な形にしてからの方が良いと考えています」。
益田市では「INAKAライド」というサイクリングイベントも行われており、充実したエイドステーションや、萩・石見空港の滑走路を走る事が出来るイベントとして人気を集めている。このコースの監修にも浅田監督が関わっており、益田チャレンジャーズステージと同じく「益田市・町おこしの会」が主催している。
萩・石見空港の滑走路走行は「INAKAライド」のハイライト photo:photo:NPO法人益田市町おこしの会
「INAKAライドと益田チャレンジャーズステージ、2つのイベントが連携しながら機運を盛り上げ、ゆくゆくは全日本選手権や国際大会を開催できるようになれば良いですね」と浅田監督。地元の方々の大会への理解も広がってきているそうで、今後の地域を挙げた発展に期待したいと感じた。
U23結果
1位 柴田雅之(龍谷大学) 1時間56分51秒
2位 下島将輝(コラッジョ川西サイクリングチーム) +46秒
3位 米田 彰(コラッジョ川西サイクリングチーム) +1分6秒
4位 柳瀬慶明(コラッジョ川西サイクリングチーム) +1分49秒
5位 井上奉紀(島根大学サイクリング部) +3分10秒
6位 谷 順成(関西大学) +4分14秒
山岳賞 柴田雅之(龍谷大学)
スプリント賞 岩田宗也(早稲田大学)
U19結果
1位 亀谷昌慈(岐阜第一高校) 2時間1分32秒
2位 吉岡 衛(奈良北高校) +00秒
3位 平林楓輝(松山聖陵高校) +01秒
4位 菅原悠斗(岐阜第一高校) +02秒
5位 浜田大雅
6位 村田雄耶(VC fukuoka) +3秒
山岳賞 亀谷昌慈(岐阜第一高校)
スプリント賞 吉岡衛(奈良北高校)
U17結果
1位 谷 和也(市立堺高校) 2時間1分33秒
2位 奥村十夢(榛生昇陽高校) +00秒
3位 日野泰静(チームグロシャ)
4位 平林飛都(松山聖陵高校) +4秒
5位 松田祥位(岐阜第一高校) +6秒
6位 小笠原匠海 +5分7秒
山岳賞 奥村十夢(榛生昇陽高校)
スプリント賞 三好憲士郎(榛生昇陽高校)
text6photo:Satoru.Kato




前日から雨が断続的に降り続き、当日朝も通り雨があったものの、スタート時刻の午前10時には晴れ間が出るまで回復。ゴール時間となる昼過ぎ頃には雲が消え、路面も徐々に乾いていく中でレースが展開された。
U23 柴田雅之が残り約2周を逃げ切る
2周目までに先頭集団が10人まで絞られたU23のレース。3周目に懸かったスプリント賞を岩田宗也(早稲田大学)が獲るも、10人の集団は大きく崩れる事なく進む。4周目、岩田、谷順成(関西大学)、井上奉紀(島根大学サイクリング部)、柴田雅之(龍谷大学)の4人がやや先行し、この周回に懸かった山岳賞の登りへ入っていく。柴田が山岳賞を獲得すると、そのまま後続に20秒から30秒の差をつけて先行した。
下島将輝、柳瀬慶明、米田彰らコラッジョ川西の3人が追走するが、最終周回の5周目に入っても差は縮まらない。「下りきって平坦部に出たところで、後ろとのタイム差が40秒と聞いて、行けると思った」と言う柴田は、残り500mのホームストレートに単独で現れると、2度後ろを確認してからガッツポーズでゴールに飛び込んだ。



U19 集団スプリントを制した亀谷昌慈が優勝、U17は谷和也

「ゴールした瞬間は勝ったとは思えませんでした。スプリントはあまり得意ではありませんが、今日は最後の位置取りが良かったので勝てました。本当は、登りで人数をもっと絞って最後の勝負に持ち込みたかったのですけれど」と、優勝した亀谷。
一方、僅差で2位の吉岡は「最後に伸びたので差せたと思いましたが...。全日本選手権も2位、高校に入ってから2位が多いので勝ちたかったですね。また練習して出直します」と悔しさを滲ませつつ語った。



一方、U17では、全体の4位に入った谷和也(市立堺高校)が優勝。「いつも練習しているコースに似ているので、レース中のペースの緩急も余裕をもって対応できました。スプリントは苦手ですが、今日は運よく位置取り出来て4位に入れました」と、レースを振り返る。ギア比の差で最後のスプリントの伸びが足りなかったと言うものの、「それでも自分の力はまだまだなので、U19と同じギア比だったとしても4位だったと思います」と、控えめに語った。


一昨年のプレ大会から数えると、実質的に3度目の開催となった益田市でのロードレース。今年はアウディが大会の冠スポンサーとなり、他にも昨年から引き続き全日空や味の素、学研など、名だたる企業の協賛を集めた。
昨年のレポートでも触れた通り、日本代表のロード強化ヘッドコーチでもある浅田顕監督が監修したコースは、エリートのレースも開催出来るレベルにある。今年初め、一部で2016年の全日本選手権開催が噂された。その事を主催関係者に聞くと、「全日本選手権の開催は、まだ時期尚早」と口を揃える。
浅田監督は言う。「毎年参加者数が増え、レースのレベルも上がってきていると感じてます。このレースはU17、U19、U23と、計8年出場できる。その間、選手の成長を見守れるレースとして、選手強化にもつながるようなレースにしていきたいと考えています。コース的には全日本選手権を開催するには十分だと思っていますが、実際に招致するにはレース以外の部分をもっと確実な形にしてからの方が良いと考えています」。
益田市では「INAKAライド」というサイクリングイベントも行われており、充実したエイドステーションや、萩・石見空港の滑走路を走る事が出来るイベントとして人気を集めている。このコースの監修にも浅田監督が関わっており、益田チャレンジャーズステージと同じく「益田市・町おこしの会」が主催している。

「INAKAライドと益田チャレンジャーズステージ、2つのイベントが連携しながら機運を盛り上げ、ゆくゆくは全日本選手権や国際大会を開催できるようになれば良いですね」と浅田監督。地元の方々の大会への理解も広がってきているそうで、今後の地域を挙げた発展に期待したいと感じた。
U23結果
1位 柴田雅之(龍谷大学) 1時間56分51秒
2位 下島将輝(コラッジョ川西サイクリングチーム) +46秒
3位 米田 彰(コラッジョ川西サイクリングチーム) +1分6秒
4位 柳瀬慶明(コラッジョ川西サイクリングチーム) +1分49秒
5位 井上奉紀(島根大学サイクリング部) +3分10秒
6位 谷 順成(関西大学) +4分14秒
山岳賞 柴田雅之(龍谷大学)
スプリント賞 岩田宗也(早稲田大学)
U19結果
1位 亀谷昌慈(岐阜第一高校) 2時間1分32秒
2位 吉岡 衛(奈良北高校) +00秒
3位 平林楓輝(松山聖陵高校) +01秒
4位 菅原悠斗(岐阜第一高校) +02秒
5位 浜田大雅
6位 村田雄耶(VC fukuoka) +3秒
山岳賞 亀谷昌慈(岐阜第一高校)
スプリント賞 吉岡衛(奈良北高校)
U17結果
1位 谷 和也(市立堺高校) 2時間1分33秒
2位 奥村十夢(榛生昇陽高校) +00秒
3位 日野泰静(チームグロシャ)
4位 平林飛都(松山聖陵高校) +4秒
5位 松田祥位(岐阜第一高校) +6秒
6位 小笠原匠海 +5分7秒
山岳賞 奥村十夢(榛生昇陽高校)
スプリント賞 三好憲士郎(榛生昇陽高校)
text6photo:Satoru.Kato
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