横風分断でもアシストを残し、盤石なリードアウトから初日勝者に輝いたヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)。「夢が叶った」とマイヨジョーヌ着用を喜ぶ一方、タイムを失ったエヴェネプールは「気を抜いていた」とミスを悔いた。



ステージ優勝&マイヨジョーヌ ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)

圧巻のスプリントで勝利し、雄叫びを上げるヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

記念すべきツール10勝目は忘れられない瞬間となった。素晴らしいチームワークに尽きる。レースを通して集団の前方をキープし、とてもナーバスな展開だったが、僕らの日にするべく懸命に走った。(横風による集団分断の時も)僕らは適切なポジションにいて、全てを勝利に繋げることができた。

今日は調子が良いと分かっており、残り2kmから沿道に詰めかけた大観衆に鳥肌が立った。その声援はアドレナリンに変わり、僕の脚に力を与えてくれた。最高の気分だよ。

笑顔で勝利者インタビューに答えるヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:A.S.O.

マイヨジョーヌを着るという夢が叶った。2年前にマイヨヴェールは獲得したが、その隣に今日のマイヨジョーヌを飾ることができるなんて信じられない。レベルの高い戦いにおいて、100%の集中を持って臨まないと勝てないと分かっていた。絶好のチャンスを掴むことができて、本当に嬉しいよ。

ステージ2位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)

ヤングライダー賞を獲得したビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ) photo:A.S.O.

調子はかなり良く、レースを楽しむことができた。スタートから緊張感が高く、残り30〜40kmからエシュロン(横風分断)が起こるだろうと分かっていた。何とか先頭集団に残り、スプリントでは単騎での戦いを強いられた。そのため(位置取りで)力を使いすぎてしまった。今日はヤスペル(フィリプセン)が最も速かったということだ。

今年は何度も2位になっている(今季6度目)。だから少し落ち込んでいるよ。アシストが1人でもいれば、もっと良い結果になっただろう。だけどこれはツール・ド・フランスだ。全てが理想通りに進まない。あと20日も残っているのだから、切り替えて次のチャンスを狙うだけだ。

最終リードアウトを担ったカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)

仲間の勝利に肩を組んでフィニッシュしたリカールトとムーリッセ photo:A.S.O.

初出場のツール・ド・フランスの第1ステージで、いきなり勝利に貢献できた。僕らにとって完璧な日となったが、ヤスペルを良い位置まで導くというプレッシャーが重くのしかかっていた。

ヴィスマが集団分裂を引き起こし、僕らも先頭集団に人数を残すことができた。(後続を引き離すために)多くの力を使わなくてはならなかったが、何とかスプリントに持ち込むことができた。ラスト500mでは脚に十分な力が残っていなかったものの、ヤスペルがその強さを見せつけた。

トレインの最後から2番目を担当したマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

この後何が起きようと、今大会は既に成功と言っていい。この勝利の一部を担うことができ、喜びと共に誇りに思う。

多くの選手が「2度目の集団分裂は起きない」と思ったのだろう。それこそエシュロンが起こった原因だ。皆集中する中、それでもヴィスマ・リースアバイクは諦めなかった。幸運にも僕らは集団前方に位置を取っていたので、すぐに反応できた。そして、ライバルたちが遅れたことを知った。この勝利によって、今後のレース運びが少し楽になる。

横風分断を仕掛けたヴィスマ・リースアバイクのエース、ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク)

スタート前にポガチャルと握手するヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク) photo:A.S.O.

ストレスフルな1日だったよ。僕らとしては先頭集団でフィニッシュできた、計画通りのレースとなった。残り20kmから横風分断を仕掛け、チームは僕をトラブルから守る素晴らしい走りを見せてくれた。彼らに感謝したい。

僕らが仕掛けなければ、どこかのチームが実行していただろう。あの瞬間は分断に十分な強風が横から吹き付けると分かっていた。だから主導権を握るために、僕ら自ら仕掛けたんだ。

横風分断で遅れ、39秒を失ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

初日からタイムを失ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

あそこでもうエシュロンは起こらないと思っていた。その原因はモン・カッセル(最後から2番目の4級山岳)の後に気が抜け、チーム全体がリラックスして眠っているかのようだったからだ。集団スプリントのラストまで距離を消化するだけだと思っていた。あれが今日犯した唯一のミス。それ以外は基本的に集団前方に位置を取っていたからね。残念な状況に陥り、また残念な結果になってしまった。

(39秒を失ったことは)仕方がない。でもまだ先は長く、あと20日も残っている。明日から集中し、ベストを尽くした走りをしたい。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.

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