2014年の国内自転車レースをロード中心に振り返ります。第1弾は初開催のジャパントラックカップから雪のシクロクロス東京、開幕戦の宇都宮クリテ、そして海外勢の強さを目の当たりにしたツアー・オブ・ジャパンからツール・ド・熊野まで。

1月

短距離種目は日本の競輪選手が圧倒短距離種目は日本の競輪選手が圧倒 photo:Hideaki TAKAGIジャパントラックカップⅠ、Ⅱ
1月24-26日に伊豆ベロドロームで行われた、日本で初のUCIトラックレース。今まで国内で大陸別大会は開催してきたが、単独のUCIトラックレースは初めて。世界選手権トラック出場国は翌年にUCIレースの開催が義務付けられたため行なわれたもの。UCIポイントを個人&国として大量に獲得できるチャンスのため今夏7月にも開催された。1月大会では鈴木奈央(星陵高)が合わせて6勝、オムニアムで橋本英也(鹿屋体育大)が3位など。鈴木は競輪学校入学試験にこの12月合格。

2月

テクニックとパワーを見せ付けたザック・マクドナルド(アメリカ、ラファ・フォーカス)テクニックとパワーを見せ付けたザック・マクドナルド(アメリカ、ラファ・フォーカス) photo:Kei TSUJIシクロクロス東京
2月8-9日に東京・お台場海浜公園で行なわれたシクロクロス東京。初日はまさかの吹雪で大雪警報により途中中止。2日目エリート男子はザック・マクドナルド(アメリカ、ラファ・フォーカス)が、食らい付く竹之内悠(ベランクラシック・ドルチーニ)を下し優勝。女子エリートは2年連続でUCIワールドカップの総合優勝に輝いたケイティ・コンプトン(アメリカ、トレック・シクロクロスコレクティブ)が来日、圧倒的な強さで優勝。2位は豊岡英子(パナソニックレディース)。 

3月

来日すぐに結果を出したセバスチャン・モラ(スペイン、マトリックスパワータグ)来日すぐに結果を出したセバスチャン・モラ(スペイン、マトリックスパワータグ) photo:Hideaki TAKAGI
JBCF宇都宮クリテリウム
国内チームが一堂に会する実質的な開幕戦が3月23日の宇都宮クリテリウム。JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)が行なうJプロツアーのシリーズ開幕戦で、マディソンのヨーロッパチャンピオンになったこともあるセバスチャン・モラ(スペイン、マトリックスパワータグ)が皿屋豊(イナーメ信濃山形)をわずかにかわして優勝。大会開催にあたっては、宇都宮ブリッツェンを運営するサイクルスポーツマネジメント株式会社がかかわり、地域密着型チームが大会を主催するという自転車先進国の流れに沿ったものに。逃げ切り勝利の橋詰丈(昭和第一学園高)逃げ切り勝利の橋詰丈(昭和第一学園高) photo:Takayuki KAKINOKI宇都宮市郊外の工業団地一角の公道を使ったレースには、ジャパンカップをほうふつとさせる観客が集まり賑わいを見せた。

全国高等学校選抜自転車競技大会
高校選抜大会が3月20-22日に小倉のメディアドームでトラックが、23日に熊本県山鹿市でロードが行なわれた。女子はトラック2種目とロードを梶原悠未(筑波大坂戸高)が制し2014年順調な滑り出し。男子ロードは石上優大(横浜高)のアタックで崩壊した先頭から橋詰丈(昭和第一学園高校)が抜け出して優勝。

4月

ホセ・ビセンテ(チーム右京)の快進撃は伊吹山からホセ・ビセンテ(チーム右京)の快進撃は伊吹山から photo:Hideaki TAKAGIJBCF伊吹山ドライブウェイヒルクライム
4月13日に行われたJプロツアー第2戦伊吹山ヒルクライムは、前年同様に序盤で仕掛けたホセ・ビセンテ(チーム右京)がそのまま逃げ切って優勝。2位に中根英登(アイサンデベロップメントチーム)、3位に堀孝明(宇都宮ブリッツェン)の若手が入ったことも明るい材料。ホセ・ビセンテは今年も破竹の勢いでシーズンを戦い、最終的にJプロツアー個人総合連覇を達成する。

全日本自転車競技選手権大会トラックレース 
4月19-20日に福島県泉崎国際サイクルスタジアムで行なわれた全日本トラック。鹿屋体育大が個人3勝(橋本英也、原田裕成)、マディソン優勝、チームスプリント優勝、女子個人2勝(上野みなみ、塚越さくら)を達成。橋本は岐阜チームで出場のチームパーシュートでも優勝と、大学生ながらも圧倒的な力を見せた。この力は8月のインカレで証明されることに。

宇都宮ブリッツェンが1年半待った勝利は連勝で宇都宮ブリッツェンが1年半待った勝利は連勝で photo:Hideaki TAKAGI
JBCF南紀白浜タイムトライアル&クリテリウム
国内登録レースで数少ないチームTTであるJBCFタイムトライアル南紀白浜。宇都宮ブリッツェンがじつに1年半ぶりの勝利をチームで飾った。2位には今年に佐野淳哉を獲得した那須ブラーゼンが入った。2日目のクリテリウムも宇都宮ブリッツェンの大久保陣が制し、2連勝で宇都宮ブリッツェンのチーム力を見せた。同チームはその後も好成績を挙げ続け、Jプロツアー年間総合チーム優勝を勝ち取ることに。

5月

富士山ステージ38分51秒のコースレコードで優勝のミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)富士山ステージ38分51秒のコースレコードで優勝のミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム) photo:Hideaki TAKAGI
先だって行なわれた堺国際クリテリウム ランプレ列車の先頭はフィリッポ・ポッツァート!先だって行なわれた堺国際クリテリウム ランプレ列車の先頭はフィリッポ・ポッツァート! photo:Hideaki TAKAGIツアー・オブ・ジャパン
UCI1クラスのTOJが5月18-25日、6ステージで行われた。スター選手のフィリッポ・ポッツァート(ランプレ・メリダ)の登場で沸き返った大阪・堺ステージ。そして冷たい雨の南信州ステージをピエールパオロ・デネグリ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)が昨年に続き連覇。しかし富士山ステージでイラン勢が牙をむいた。ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)がなんと38分51秒のコースレコードで優勝。続く伊豆ステージでポルセイエディゴラコールがリーダーをNIPPOから奪い総合優勝を決めた。イラン勢をはじめとする海外勢の登坂力の前に、日本勢は増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の10位が最上位にとどまった。

紀伊山地を走る熊野第2ステージ。丸山千枚田を上るメイン集団紀伊山地を走る熊野第2ステージ。丸山千枚田を上るメイン集団 photo:Hideaki TAKAGI
フランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)が総合優勝フランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)が総合優勝 photo:Hideaki TAKAGIツール・ド・熊野
5月29日-6月1日に紀伊半島南部で行なわれたUCI2クラスのツール・ド・熊野。初日のTTと第1ステージはスプリント力に優れるドラパックプロフェッショナルサイクリングが圧倒。そして日本で最も厳しい山岳の第2ステージでフランシスコ・マンセボ(スカイダイブドバイプロサイクリングチーム)が優勝。第3ステージは山岳賞の同チーム、オスカル・プジョルら強力アシスト陣に守られ総合優勝。なおプジョルは2015年からチーム右京で走ることが発表されている。

全日本選手権ロードなど6月以降はVol.2で!


text:高木秀彰