ついにタブリーズペトロケミカルチームが動き出した。注目のミルサマ・ポルセイエディゴラコールが、昨年に出たコースレコードをなんと57秒も縮める38分51秒をたたき出した。グレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)がリーダーとなり22秒以内に3人の状態で翌日の伊豆ステージへ。

6.5km地点、ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(右、タブリーズペトロケミカルチーム)が先行していたガデル・ミズバニに合流6.5km地点、ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(右、タブリーズペトロケミカルチーム)が先行していたガデル・ミズバニに合流 photo:Hideaki TAKAGI
5月23日(金)、第4ステージ富士山のコースはふじあざみライン。11.4kmで1200mを上る日本一の劇坂が舞台。今までのコースレコードは、昨年の本大会でベンジャミン・ディボール(ヒューオン・ジェネシス)が出した39分47秒。しばらく破られないだろうと思われた大記録だった。それが今年はランカウイの王者によってあっさりと1分も短縮された。

ヒルクライムがスタートヒルクライムがスタート photo:Hideaki TAKAGI小山町内をパレード走行した集団は、いったん停止してから正式スタート。すぐにドラパックプロフェッショナルサイクリングがペースを作る。ほどなく500mほどの地点でタブリーズペトロケミカルチームのカリム・ホーラミとガデル・ミズバニがアタックし15秒ほど先行する。メイン集団は愛三工業レーシングチームの綾部勇成そして中根英登が先頭に立つ。
0.5km地点、タブリーズペトロケミカルチームのカリム・ホーラミとガデル・ミズバニがアタック0.5km地点、タブリーズペトロケミカルチームのカリム・ホーラミとガデル・ミズバニがアタック photo:Hideaki TAKAGI
先頭はミズバニのまま、今度はメイン集団からアミール・コラドゥーズハグ(タブリーズペトロケミカルチーム)がアタック。さらに馬返し手前でミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)がアウターギアでアタック。ポルセイエディゴラコールは先行していたコラドゥーズハグそしてミズバニに追いつきそして追い越して7.5km地点で先頭に立つ。
7km地点、4位グループにグレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)、ガファリ・ヴァヒド(タブリーズペトロケミカルチーム)、ベンジャミン・プラド(マトリックスパワータグ)7km地点、4位グループにグレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)、ガファリ・ヴァヒド(タブリーズペトロケミカルチーム)、ベンジャミン・プラド(マトリックスパワータグ) photo:Hideaki TAKAGI
後方ではグレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)、ベンジャミン・プラド(マトリックスパワータグ)らが追うが、やがてさらに後方からダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)らが順位を上げてくる。

先頭のポルセイエディゴラコールはアウターギアの下ハンドルで急坂区間や平坦部分をこなしペースを落とさずにゴール。そのタイムは38分51秒。そしてカーシーとモニエが競いながらカーシーが2位でゴール。ボーレが41分04秒でゴールし、個人総合リーダーに。期待されたトマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)は42分26秒、ホセ・ビセンテは41分55秒でジャンプアップはならなかった。
8km地点、7位グループのダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)8km地点、7位グループのダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT) photo:Hideaki TAKAGI
タブリーズペトロケミカルチームは南信州ステージまで目立った走りをしていなかった。チームのイラージ氏は「メンバーは雨天では慎重に走行し、加えて冷たい雨は体力を奪った。南信州ではラスト2周で追い上げたものの最終周回だけで逆にタイムを1分落とした。だが今日は実力どおりの結果を出せた」と語る。ようやく眠れる獅子が目を覚ました。
8.5km地点、清水都貴(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)ら8.5km地点、清水都貴(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)ら photo:Hideaki TAKAGI
UCIプロチームのヴァカンソレイユから移籍してきたボーレ。スプリント力のあるオールラウンダーだが、それでも富士山を41分04秒で上る。このボーレとポルセイエディゴラコール、ルバの3人は22秒差以内につける。翌日は標高差4000mに達する伊豆ステージ。例年はおとなしい展開だが、今年はNIPPO、タブリーズそしてアンカー3チームの厳しい展開になることが容易に想像できる。ステージ優勝と個人総合リーダー争いの思惑が交錯するステージになる。
38分51秒のコースレコードで優勝のミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)38分51秒のコースレコードで優勝のミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム) photo:Hideaki TAKAGI個人総合リーダーになったグレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)個人総合リーダーになったグレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO) photo:Hideaki TAKAGI
結果
第4ステージ富士山
1位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)38分51秒
2位 ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)+1分19秒
3位 ダミアン・モニエ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+1分26秒
4位 アミール・コラドゥーズハグ(タブリーズペトロケミカルチーム)+1分37秒
5位 ガデル・ミズバニ(タブリーズペトロケミカルチーム)+1分53秒
6位 グレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)+2分13秒
7位 マシュー・クラーク(アヴァンティレーシングチーム)+2分36秒
8位 ベンジャミン・プラド(マトリックスパワータグ)+2分44秒 
9位 ガファリ・ヴァヒド(タブリーズペトロケミカルチーム)+2分46秒
10位 キャメロン・ベイリー(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)+2分54秒

個人総合成績 第4ステージ終了時点
1位 グレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)8時間28分27秒
2位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)+17秒
3位 トマ・ルバ(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+22秒
4位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)+1分40秒
5位 ピエールパオロ・デネグリ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)+1分51秒
6位 アレッサンドロ・ビソルティ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)+3分45秒
7位 アミール・コラドゥーズハグ(タブリーズペトロケミカルチーム)+3分50秒
8位 ジャック・ベッキンセール(アヴァンティレーシングチーム)+4分02秒
9位 清水都貴(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)+4分06秒
10位 ガデル・ミズバニ(タブリーズペトロケミカルチーム)+4分09秒

個人総合ポイント賞 第4ステージ終了時点
1位 グレガ・ボーレ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)30点
2位 ニッコロ・ボニファジオ(ランプレ・メリダ)26点
3位 ピエールパオロ・デネグリ(ヴィーニファンティーニ・NIPPO)25点

個人総合山岳賞 第4ステージ終了時点
1位 トマス・ラボウ(OCBCシンガポールコンチネンタルサイクリングチーム)21点
2位 ヒュー・カーシー(ラファコンドールJLT)19点
3位 ミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズペトロケミカルチーム)18点

個人総合新人賞 第4ステージ終了時点
1位 アミール・コラドゥーズハグ(タブリーズペトロケミカルチーム)

チーム総合成績 第4ステージ終了時点
1位 ヴィーニファンティーニ・NIPPO 25時間30分29秒
2位 ブリヂストンアンカーサイクリングチーム +2分22秒
3位 タブリーズペトロケミカルチーム +2分55秒

photo&text:Hideaki TAKAGI