2009年2月16日、ツアー・オブ・カリフォルニア(UCI2.HC)第2ステージが行なわれ、終盤の山岳で飛び出したリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)が、トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン)とともに逃げ切った。「調子が良くて行くしかないと思った」と語るライプハイマー。リーダージャージ獲得だ。

サンフランシスコの観光名所ゴールデンゲートブリッジを通過するサンフランシスコの観光名所ゴールデンゲートブリッジを通過する photo:CorVosカリフォルニア第2ステージは、サンフランシスコ湾北岸のソーサリトをスタートし、観光名所ゴールデンゲートブリッジ(金門橋)を経て南下。太平洋沿いを走る186kmの風光明媚なコースだ。途中二度内陸部へと向かい、69km地点で2級山岳チュニタス・クリーク(標高約640m)、165km地点で3級山岳ボニー・ドゥーン(標高651m)を通過する。

悪天候はいくぶん回復したが、それでも冷たい雨が時折選手たちを襲うコンディション。レースは序盤から10名がエスケープを決めた。

逃げ切ったトーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン)とリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)逃げ切ったトーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン)とリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ) photo:CorVos逃げを試みたのは、ジェイソン・マッカートニー(アメリカ、サクソバンク)、カルロス・バレード(スペイン、クイックステップ)、スタフ・クレメント(オランダ、ラボバンク)、トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン)、マルクス・ツベルグ(スイス、BMCレーシングチーム)ら10名。

逃げグループ中で総合トップ(26位・5分05秒遅れ)のベン・ジャックメイン(アメリカ、ビッセル)は、ゴール地点サンタクルーズの出身だ。しかしこの日は序盤から落車が多発し、その犠牲者の一人、ベンの双子アンディ・ジャックメイン(ビッセル)は病院に搬送されている。

満足の表情でゴールラインを切るリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)満足の表情でゴールラインを切るリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ) photo:CorVos逃げグループはロックレーシングがコントロールするメイン集団から最大5分のリードを稼ぎ出し、2級山岳チュニタス・クリークをステーヴン・コッザ(アメリカ、ガーミン)先頭でクリア。最後の難所、ゴール21km手前の3級山岳ボニー・ドゥーンに、先頭10名は4分のリードを保ったまま突入した。

この長さ11.7kmの上りが始まると、先頭からバレードがアタック。しばらく独走したバレードだが、上りの中腹でマッカートニーとピーターソンに追い抜かれていく。一方のメイン集団ではロックレーシングに代わってアスタナがペースアップ。アームストロングやポポヴィッチが牽引する集団から飛び出したのは、総合優勝の大本命ライプハイマーだ。

1分52秒遅れでゴールしたフランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)はリーダージャージを失う1分52秒遅れでゴールしたフランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)はリーダージャージを失う photo:CorVos食らいつくヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)を振り切ったライプハイマーは、先頭のマッカートニーとピーターソンに合流。ピーターソンのみライプハイマーに追従し、観客が詰めかけた雨の3級山岳頂上を通過した。

マッカートニーは下りで一旦先頭に追いついたが、再び脱落してしまう。総合ジャンプアップを狙うライプハイマーがピーターソンの前を引き続け、太陽光降り注ぐサンタクルーズへと向かった。これを1分遅れで追うのはアームストロングを含む20名ほどの追走グループだ。リーダージャージのマンセーボはさらにその1分後方の追走グループに入った。

イエロージャージに袖を通したリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)イエロージャージに袖を通したリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ) photo:CorVos追走グループの追い上げは、最後までライプハイマーの“個人タイムトライアル”に及ばなかった。ライプハイマーは、ラスト100mで仕掛けたピーターソンにステージ優勝を譲る形でゴール。21秒遅れでやってきた追走グループは、マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)先頭でゴールラインを切った。

総合トップのフランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)は、クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)らとともに1分52秒遅れでゴール。これにより、イエロージャージはライプハイマーの手に。大会3連覇を狙うライプハイマーが、大会3日目にして早くも総合トップに立った。

アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)は16分20秒遅れ、前日に落車しているカルロス・サストレ(スペイン、サーヴェロ)は17分10秒遅れでゴール。レース3日目にして総合優勝候補は絞り込まれている。

ステージ優勝を飾ったピーターソンは、22歳の若手クライマー。2006年大会の新人賞ジャージ受賞者だ。2008年大会では総合11位に入り、新人賞2位に。今大会はすでに総合成績で出遅れているが、地元アメリカのガーミン・スリップストリームに価値ある勝利をもたらした。ガーミンはデーヴィット・ザブリスキー(アメリカ)が総合3位につけている。

リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)
「最初はステージ優勝も視野に入れてアタックしたんだ。(最後の3級山岳ボニー・ドゥーンの上りで)周りを見回したら、ライバルたちが限界ギリギリで走っていた。逆に僕はとても調子が良かったから、アタックしようと決めた。」
「今日のステージも、そしてホームタウンであるサンタローザにゴールした昨日のステージも、驚くべき数の観客が沿道で待ち構えていてくれた。天候は最悪だったけど、観客たちの絶えない声援が選手のモチヴェーションを上げてくれる。彼らには本当に感謝しているよ。」

レース公式サイトより。

ツアー・オブ・カリフォルニア2009第2ステージ結果
1位 トーマス・ピーターソン(アメリカ、ガーミン)5h06'20"
2位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)
3位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)+21"
4位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、アスタナ)
5位 オスカル・セビリャ(スペイン、ロックレーシング)
6位 ケヴィン・シールドライヤース(ベルギー、クイックステップ)
7位 トーマス・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン)
8位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
9位 グリシャ・ニアマン(ドイツ、ラボバンク)
10位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン)

個人総合成績
1位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)9h23'02"
2位 マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームコロンビア)+24"
3位 デーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン)+28"
4位 ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)+30"
5位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、アスタナ)+34"
6位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、アスタナ)+38"
7位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームコロンビア)
8位 ホセルイス・ルビエラ(スペイン、アスタナ)
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)
10位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)+39"

山岳賞
フランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)

スプリント賞
フランシスコ・マンセーボ(スペイン、ロックレーシング)

新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)

チーム総合成績
アスタナ