ダウンヒルに引き続き開催されたJシリーズXCO第3戦。連日の好天によって完全なドライコンディションとなった。J1開幕以降、まったく危なげない走りで好調をキープしている斉藤亮(ブリヂストンアンカー)がまたしても圧勝で今期3勝目を飾った。

2位にはチームメイトの平野星矢が入り、アンカーのワンツーフィニッシュ。女子は小林可奈子(AZUMINO FOX)が中込由香里( team SY-Nak)とのデッドヒートを制した。



砂煙を蹴立ててスタートしていく男子エリート 夏日とともに過酷なコンディションだ砂煙を蹴立ててスタートしていく男子エリート 夏日とともに過酷なコンディションだ photo:Hiroyuki.NAKAGAWA
ゲレンデの下りにもバームやウェーブ、ジャンプが設置されテクニカルだゲレンデの下りにもバームやウェーブ、ジャンプが設置されテクニカルだ photo:Makoto.AYANO4Xコースも組み込まれてテクニカルな「魅せる」要素がプラスされた4Xコースも組み込まれてテクニカルな「魅せる」要素がプラスされた photo:Hiroyuki.NAKAGAWA


今年の富士見パノラマはコースレイアウトを大幅に変更。コース後半を大胆にカットし、コンパクトで観戦し易く、また常設4Xコースをレースコースの一部として使用する事で、エキサイティングな「魅せる」要素もプラスした4.6kmがコースとなった。

スタート後は砂利の直線の登りからスロープライドを600mほどさらに上ることで、1周回目のシングルトラック渋滞緩和が期待できるレイアウト。4Xレースで使用される人工セクションを一部使用し、テクニカルな登り、下りシングルトラックのライントレース、バーム、ウェーブで速度を乗せるテクニックなどが要求される内容の濃いコース。

砂塵と埃の舞い上がる乾いた路面状況となった砂塵と埃の舞い上がる乾いた路面状況となった photo:Makoto.AYANO
海外のXCOレースでは、すでに人工構造物やBMXセクションなどは、ほぼ確実にレイアウトされてくる傾向であり、今後もこういったレイアウトは外せなくなるだろう。実際に参加した選手たちも、連続するバームでの角度のあるターンや、ジャンプに積極的にトライする姿が見られた。夏の富士見に常設される4Xコースの、そのスタートヒルからゴールまで、すべてをXCコースとして採用したことは、数年前ならば想像もできない進化であり、高く評価したい。

男子エリート
夏日の過酷な天候のもと、自らを追い込みつづけた斉藤亮(ブリヂストンアンカー)夏日の過酷な天候のもと、自らを追い込みつづけた斉藤亮(ブリヂストンアンカー) photo:Makoto.AYANO
中盤までランデブーで斉藤亮を追った中原義貴(キャノンデール)と平野星矢(ブリヂストン・アンカー)中盤までランデブーで斉藤亮を追った中原義貴(キャノンデール)と平野星矢(ブリヂストン・アンカー) photo:MakotoAYANO午後に開催された男子エリートのレースは、いつものように中原義貴(キャノンデール)が飛び出して幕を明けた。そこに若手成長株の山田将輝(ダートフリーク)が加わって、最初からどんどん前に出る。この動きについて山田は「今日はスタートから前に出て、いけるところまで中原選手について行く事を課題にしていました。今はまだ、あっという間に置いていかれてしまいますが、これからも積極的なレースをしたい」と語った。

ラスト2周で追い上げた門田基志(ジャイアント)が3位に食い込んだラスト2周で追い上げた門田基志(ジャイアント)が3位に食い込んだ photo:Hiroyuki.NAKAGAWA1周目、コース再奥部まで登って、フィードから確認できるゲレンデエリアにトップで帰ってきたのは小野寺健(ミヤタ・メリダ)、そこに斉藤亮がぴったりと続く。さらに中原、平野が続いて2周目に。

2周目の前半の森の中で、小野寺の身体に異変が発生、突然スローダウンした小野寺は一気にペースを下げ、ここからどんどんと後続にパスされることになってしまった。3周目に入る頃には先頭の斉藤と、2位争いの中原、平野との差は40秒に。4位には千田尚考(自転車村Rシーラカンス)が続く。

転倒して外れたチェーンの修復に手間取った恩田祐一(ミヤタメリダ)転倒して外れたチェーンの修復に手間取った恩田祐一(ミヤタメリダ) photo:Makoto.AYANO87人でスタートした男子エリートだが、5周回目に入る事ができたのは47人、後半、3位を走る中原だったが、得意の粘りを発揮することができず、ここで千田にパスされ、さらにラスト2周から猛然と追い上げてきた門田基志(ジャイアント)にもパスされて順位を落としてしまった。

第1戦に続き表彰台の期待がかかった千田尚考(自転車村Rシーラカンス)だが、4位に終わる第1戦に続き表彰台の期待がかかった千田尚考(自転車村Rシーラカンス)だが、4位に終わる photo:MakotoAYANO順調に一人旅を続ける斉藤亮は、後続との差を2分以上としながらも「全日本へむけて、そういう部分を意識した後半でした」と、気をゆるめることなく攻めの走りに徹する。後続に充分な差をつけながらも自分を追い込み、さらにハイペースを刻んでいく。斎藤のハイペースのおかげで80%ルールをまぬがれて最終ラップに入れたのはたったの21人、完走率は24%となった。

観客にハイタッチしながら今季Jシリーズ3連覇、昨シーズンから数えると7連勝のゴールに飛び込んだ斉藤。ゴールして初めて酷暑のコンディションに苦しんだ表情を見せた。

2位に平野が入り、アンカーのワンツー・フィニッシュ。ラスト2周から追い上げた門田は千田をも捉えて3位に浮上し、表彰台の顔ぶれは前週の八幡浜と同じとなった。

斎藤は言う。「今日のポイントは暑さ。全日本を睨んで、予行演習の意味でも暑さ対策をしっかりして走りました。とくに連勝を意識して走ったわけではありませんが、やはり続けて勝つのはいいですね。
次の雫石、そして続く全日本とレース内容のほうももっともっと熱くなるはずです。ブリヂストンアンカーはチーム一丸となって戦っていきたい」。

観客の声援に迎えられた斉藤亮(ブリヂストン・アンカー) が開幕3連覇観客の声援に迎えられた斉藤亮(ブリヂストン・アンカー) が開幕3連覇 photo:Hiroyuki.NAKAGAWA
圧勝を続けていても最後まで手を抜かない斎藤の走りは、全日本で本当に対決すべき相手が誰なのかが判っているからだ。奇しくもこの日の夜、MTBワールドカップ・アルプシュタット大会がドイツで開催され、山本幸平(スペシャライズド)は37位でフィニッシュしている。

女子エリートは小林可奈子が中込由香里とのデッドヒートを制する

中込由香里とのデッドヒートを演じた小林可奈子(AZUMINO FOX)が勝利中込由香里とのデッドヒートを演じた小林可奈子(AZUMINO FOX)が勝利 photo:Hiroyuki.NAKAGAWA女子エリートは小林可奈子(AZUMINO FOX)が中込由香里( team SY-Nak)を下す女子エリートは小林可奈子(AZUMINO FOX)が中込由香里( team SY-Nak)を下す photo:MakotoAYANO


Jシリーズは次戦が6月13−14日が岩手県雫石、そして全日本選手権が7月19−20日に伊豆・日本サイクルスポーツセンターで開催される。

Jシリーズ びわ湖高島大会XCO#1 朽木スキー場 結果
1位 斉藤亮(ブリヂストン・アンカー) 1:42:52.16
2位 平野星矢(ブリヂストン・アンカー) +2:14.33
3位 門田基志(ジャイアント) +3:38.77
4位 千田尚考(自転車村Rシーラカンス)
5位 中原義貴(キャノンデール)
6位 恩田祐一(ミヤタ・メリダ)
7位 小野寺健(ミヤタ・メリダ)
8位 松尾純(ミヤタ・メリダ)
9位 松本駿(スコット)
10位 前田公平(スコット)

女子エリート
1位 小林可奈子 (AZUMINO FOX)  1:36:54.19
2位 中込由香里( team SY-Nak) + 1:21.09
3位 中島崚歩 ( club SY-Nak) + 7:14.00


photo&text:Hiroyuki.NAKAGAWA/SLm
edit&photo:MakotoAYANO

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