フルモデルチェンジを果たしたビアンキのエンデュランスバイク"INFINITO"。ロードバイクらしい走り、ビアンキ独自の振動除去素材「カウンターヴェイル」による快適性、ワイドタイヤを飲み込むクリアランスで走る場所を選ばない万能性を備えたモデルとなった。今回は上位グレードのINFINITO PROをインプレッション。

ビアンキ INFINITO PRO photo: Naoki Yasuoka
140年以上の歴史を持つ世界最古の自転車ブランドとして知られるビアンキ。チェレステカラーに彩られたバイクは、ロードレースの世界はもちろん、街中でも一目でそれと分かる確かな存在感を放ち続けてきた。長い歴史のなかで数多の名車を世に送り出してきたこのイタリアンブランドは、近年レーシングプログラムへのコミットを強め、ハイエンドモデルの開発に改めて磨きをかけている。
そのラインアップを支える柱は3本。空力性能を突き詰めたエアロロードのOLTRE、軽さとエアロを高次元で両立させた軽量オールラウンダーのSPECIALISSIMA、そしてコンフォートロードとして長く愛されてきたINFINITOシリーズだ。それぞれが明確なキャラクターを持ち、ライダーの目的やフィールドに応じて選び分けられるラインアップだ。

黄金色のビアンキエンブレムが輝くヘッドチューブ 
ダウンチューブはエアロも意識した三角断面の形状が採用される 
シートポストも大胆にくびれさせて快適性向上を狙った
イタリア語で「無限」を意味するモデル名が示すように、INFINITOはどこまでも走り続けられる一台を目指して開発されてきた。ホビーライダー向けのロングライドモデルとして登場した初代から、振動除去素材カウンターヴェイルを得てプロのレースユースに足る性能まで昇華した世代を経て、エンデュランスバイクというカテゴリーを代表する一台として進化を重ねてきた歴史を持つ。
新型INFINITOの開発で軸に据えられたのは、ビアンキがレースで磨いてきた俊敏な走りと、INFINITOが守ってきた快適な乗り味という、相反しがちな二つの性能の両立だ。そこに加えて、活躍するフィールドを広げ、路面や地形を問わずペダルを回し続けられる万能性の強化も狙った。

サドルもクッション性に優れるビアンキオリジナル品が装備される 
ハンドルとステム別体の構成とすることで、ライダーに合わせたポジションを出しやすくなっている

シマノ105 DI2完成車として仕上げられている 
ビアンキのオリジナルカーボンホイールがアセンブルされる
その快適性を生み出すのが、ビアンキが誇る振動制御素材Countervail。最新世代は従来から20%軽量化されており、これをフレーム、フォーク、シートポストの3カ所に組み込むことで、走りの鋭さを犠牲にせずに路面からの不快な振動だけを抑え込む。なかでもシートポストはしなりを引き出す造形との組み合わせによって、突き上げの角を和らげる効果を発揮する。
快適性と並んで、ペダリング効率の高さもINFINITOに欠かせないポイント。パリ〜ルーベのために開発されたレーシングバイクという出自の通り、今作もライダーのパワーを効率的に推進力に変換する確かな剛性を与えられている。さらに新型はフレームとフォークの形状を煮詰めることで、前作比で最大12Wの損失低減を達成した。

ビアンキが得意とするカウンターヴェイルが搭載されている 
ダウンチューブに内蔵ストレージが用意されている
様々なライドスタイルやシーンに対応する懐の広さも新型の特徴だ。タイヤは最大40mm幅まで装着でき、舗装路はもちろん、荒れた路面やグラベルへも踏み込んでいける。ジオメトリーも、スタックを引き上げ、チェーンステーを伸ばすことで、長時間でも疲れにくい姿勢と落ち着いた走行安定性を確保。より多くのライダーにフィットし、用途も大きく広がった一台に仕上がっている。
ダウンチューブ内部には収納スペースも設けられている。グラベルバイクでは見慣れた装備になりつつあるが、サドルバッグやツールケースを積まずとも、工具やスペアチューブを車体内に収めておけるのは大きなメリット。荷物をできるだけ減らしてロングライドに臨みたい乗り手には、地味ながら効いてくる仕様だ。

リア三角が快適性を司る 
タイヤクリアランスは40Cに設定されている 
フォークにもカウンターヴェイルが採用されている
今回インプレッションを行うINFINITO PROは、通常モデルの上位に位置づけられるグレードだ。駆動系を担うのは、電動変速のシマノ105 DI2。足回りに組み合わされるのは、ビアンキ 49Rカーボンホイールだ。49mmというリムハイトは、平坦での巡航で空力の利を得つつ、登りや横風での扱いにくさを抱え込まない、汎用性を意識した設定だ。価格は869,000円(税込)。
快適性と走行性能を兼ね備えた次世代のエンデュランスロードは、果たしてどんな走りを見せるのか。それでは、インプレッションに移ろう。
― インプレッション
「オールロード化したINFINITO。しかし、味付けはあくまでロードレーサー」小畑郁(なるしまフレンド)

「オールロード化したINFINITO。味付けはあくまでロードレーサー」小畑郁(なるしまフレンド)
最初にひと漕ぎした瞬間から、進みがスムーズなバイクだという印象を受けました。タイヤが35Cと太めなこともあってか、路面からの振動があまり伝わってきません。それでいて、抵抗を感じさせずに走ってくれます。タイヤだけでなく、フレーム側の特性もあるのでしょう。とにかく滑らかに進み、ペダリングそのものも気持ちよく回せました。
しっかりとした重量感はあるのですが、それがむしろ落ち着きや安定感につながっています。適正なギアでダンシングすると、重さからは想像できないほどきれいにバイクを振れます。急いで加速させようと無理に踏み込まなくても、意外なほどスムーズに高い速度域まで運んでくれます。慌てずテンポよく走らせると本領を発揮してくれる、そんな乗り味でした。
足回りがしっかりしているからこその印象だと思うので、軽量なタイヤや軽いホイールを組み合わせれば、加速の鋭さや軽快感はぐっと引き出せるはず。用途に応じてパーツを替えていけばまた違った顔を見せてくれる、そんな懐の深さを感じました。
快適性を上げようという作り手の努力は、はっきり感じ取れます。カウンターヴェイルも、シートポストのくびれた形状も、実際のライドで効いてるなと感じられる。下りで荒れた路面にあえて突っ込んでいっても、難なくこなしてくれる。振動や衝撃の処理には、明確な余裕があるバイクですね。

「カウンターヴェイルは乗り終えた後に仕事ぶりを確認できる」小畑郁(なるしまフレンド)
カウンターヴェイルの良さって、言葉にするのがなかなか難しいんですよ。走っている最中に「あれ、意外と疲れないな」「振動が来ないな」と気づく、そこが全てなんじゃないかなと思います。乗り終えて振り返ってみたら、快適だったな、乗り心地がよかったな、と素直に思えます。派手に主張してくるわけじゃないけど、確かに仕事をしてくれていると感じられるのが、カウンターヴェイルなんです。
このバイクのキャラクターは、いわゆるオールロードという言葉だけでは括りきれませんね。元々、フレームがクロモリだった時代は太いタイヤを履いてパリ〜ルーべを走っていたこともありますし、元来ロードレーサーはなんでもこなしてきました。現在のINFINITOはオールロードのような位置付けですが、かつてはパリ〜ルーベを走ってきたレーシングバイクでしたし、現行モデルはより快適に、誰が乗っても乗りこなせるロードバイクになってきたのかなと思います。
ですので、基本はあくまでロードレーサー。そこにカウンターヴェイルやシートピラーで快適性を足して、太いタイヤも受け入れられるようにした一台、という感じですね。なので、ハンドリングも軽い。直進安定性に振りすぎているわけでもなく、かといって神経質にならずに扱えるバランスの取れた性格に仕上げられています。ロングライド一辺倒ではなく、レースライクな走りにもしっかりと応えてくれる運動性能もきちんと確保されている印象です。
ダウンチューブのストレージも、気が利いてますよね。超長距離を走る方からは便利だという声をよく聞きますし、ロングライドで荷物を最小限にしたい人には活躍してくれるはず。文字通り引き出しが多いという点で、確実にプラスになる部分だと思います。
どんな人に向くかと言えば、レースを本格的にやりたい人というよりは、週末のサイクリングを楽しむホビーライダーでしょうね。疲れを残さずロングライドに出たい人にも、もう少し軽快な走りを味わいたい人にも応えてくれる。道を選ばず、多少路面が悪くても気にせず走りに出たい、そんな気分にしっかり付き合ってくれる一台でした。
「何も考えず、どこへでも走れる。驚異的な走破性を持った一台」高木三千成

「何も考えず、どこへでも走れる。その走破性が本当にすごい」高木三千成(シクロワイアード編集部)
ビアンキは最高ですね。久々にビアンキに乗りましたけど、やっぱりカウンターヴェイルっていいんだな、と改めて感じさせてくれる一台でした。
INFINITOは前のモデルにも乗ったことがあって、その時は軽快感がある「走る」バイクという印象でした。今作はまた違う方向に深化したという印象です。落ち着きがあって、しっとりとした重量感とそれに見合った確かな安定感を備えています。
レースのためのバイクというより、普通のサイクリングでどこでも走破できてしまう、そういった懐の深さが持ち味です。砂利でも岩でも草むらでも、砂地でも多分いけますし、とにかく走破性が高い。「ここ行けるのかな」「この先、通行止めじゃないけど抜けられるのかな」と不安になるような山道も、不安なくガンガン走っていける。目立つところは、安定感と乗り心地の良さでした。
ペダリングフィールとしては、ゼロから鋭く加速して瞬発力を競うタイプではなく、一度スピードに乗ってしまえば伸びやかに走り続けてくれる穏やかな性格ですね。頻繁な加減速を繰り返すよりも、一定ペースで流していくほうが持ち味が活きるでしょう。信号が少なくて緩斜面が中心、下りもあるAACRのようなロングライドイベントだと、特に気持ちよく走れるバイクだと思います。

軽いオフロードではものともしない走破性を備えている
今回のテストバイクでは35Cのワイドタイヤを履いていたにも関わらず、登りでのダンシングの挙動の自然さには驚かされました。もちろん、ヒルクライムで一秒を削るような軽さを最優先するなら別の選択肢があると思います。タイヤの適度な硬さもあるのか、重量がありながらも振り回しやすい操作性を持っていました。とても素直で、バイクを振っても挙動が乱れない。荒れた路面でダンシングしてもしっかりトラクションを掛けられるのも、INFINITOならではです。
下りも安定感があって、そして疲れません。理由はまず、突き上げが少なくてストレスがないこと。やっぱりそれはカウンターヴェイルのおかげもありますし、ジオメトリー、フレーム形状、太めのタイヤのエアボリュームも効いています。
つまり、トータルパッケージとして完成度が高いんです。ここを変えればもっと良くなる、というポイントは正直思い当たりませんね。サイクリングやエンデュランスライドを楽しむならこのままで十分。この完成車を買ったら、軽量化以外にあえて手を入れるところはほぼないな、というくらいまとまっています。
日常的に自転車に乗ることを考えると、足りないものがない。何も考えずどこへでも走れる、その走破性が本当にすごい。レースには出ないけれど、それ以外のいろんな楽しみ方をしたい人にこそ、ぴたりと寄り添ってくれる一台です。

ビアンキ INFINITO PRO
ビアンキ INFINITO PRO
フレーム:Bianchi Infinito Pro(Countervailテクノロジー)
フォーク:Bianchi Infinito(フラットマウントディスク140/160、スルーアクスル、コラム径1"1/8)
コンポーネント:シマノ 105 DI2(12速)
ホイール:Bianchi B 49R(カーボンリム、49mmプロファイル、700×25c、24H、チューブレスレディ)
タイヤ:Pirelli P Zero Road TLR(35-622、120TPI)
ハンドル:Bianchi Aero Compact(アロイ、リーチ74mm、ドロップ116mm)
シートポスト:Bianchi Infinito Countervailテクノロジー フルカーボン エアロフレックス形状
サドル:Bianchi(マンガンレール、長さ260mm、幅150mm)
タイヤクリアランス:最大40C(ETRTO 622-40)
サイズ:47/50/53/55/57/59/61
カラー:8E ペトロールチェレステ(CK16ロゴ/サテンフィニッシュ)、8H ブラックメタル(クロームゴールドロゴ/グロスフィニッシュ)
価格:869,000円(税込)
インプレッションライダープロフィール

小畑郁(なるしまフレンド) 小畑郁(おばたかおる)
圧倒的な知識量と優れた技術力から国内No.1メカニックとの呼び声高い、なるしまフレンドの技術チーフ。勤務の傍ら精力的に競技活動を行っており、ツール・ド・おきなわ市民210kmでは2010年に2位、2013年と2014年に8位に入った他、国内最高峰のJプロツアーではプロを相手に多数の入賞経験を持つ。2020年以来、ベルマーレレーシングチームの一員として国内レースを走る。
なるしまフレンド神宮店(レコメンドショップページ)
なるしまフレンド HP

高木三千成(シクロワイアード編集部) 高木三千成(シクロワイアード編集部)
学連で活躍したのち、那須ブラーゼンに加入しJプロツアーに参戦。東京ヴェントスを経て、さいたまディレーブでJCLに参戦し、チームを牽引。今シーズンも稲城FIETSクラスアクトでキャプテンを務め、Jプロツアーで全国を参戦する。シクロクロスではC1を走り、2021年の全日本選手権では10位に入賞し、UCIポイントを獲得した。2025-2026のJCXシリーズランキングは総合11位。
text:Gakuto Fujiwara
photo:Naoki Yasuoka

140年以上の歴史を持つ世界最古の自転車ブランドとして知られるビアンキ。チェレステカラーに彩られたバイクは、ロードレースの世界はもちろん、街中でも一目でそれと分かる確かな存在感を放ち続けてきた。長い歴史のなかで数多の名車を世に送り出してきたこのイタリアンブランドは、近年レーシングプログラムへのコミットを強め、ハイエンドモデルの開発に改めて磨きをかけている。
そのラインアップを支える柱は3本。空力性能を突き詰めたエアロロードのOLTRE、軽さとエアロを高次元で両立させた軽量オールラウンダーのSPECIALISSIMA、そしてコンフォートロードとして長く愛されてきたINFINITOシリーズだ。それぞれが明確なキャラクターを持ち、ライダーの目的やフィールドに応じて選び分けられるラインアップだ。



イタリア語で「無限」を意味するモデル名が示すように、INFINITOはどこまでも走り続けられる一台を目指して開発されてきた。ホビーライダー向けのロングライドモデルとして登場した初代から、振動除去素材カウンターヴェイルを得てプロのレースユースに足る性能まで昇華した世代を経て、エンデュランスバイクというカテゴリーを代表する一台として進化を重ねてきた歴史を持つ。
新型INFINITOの開発で軸に据えられたのは、ビアンキがレースで磨いてきた俊敏な走りと、INFINITOが守ってきた快適な乗り味という、相反しがちな二つの性能の両立だ。そこに加えて、活躍するフィールドを広げ、路面や地形を問わずペダルを回し続けられる万能性の強化も狙った。




その快適性を生み出すのが、ビアンキが誇る振動制御素材Countervail。最新世代は従来から20%軽量化されており、これをフレーム、フォーク、シートポストの3カ所に組み込むことで、走りの鋭さを犠牲にせずに路面からの不快な振動だけを抑え込む。なかでもシートポストはしなりを引き出す造形との組み合わせによって、突き上げの角を和らげる効果を発揮する。
快適性と並んで、ペダリング効率の高さもINFINITOに欠かせないポイント。パリ〜ルーベのために開発されたレーシングバイクという出自の通り、今作もライダーのパワーを効率的に推進力に変換する確かな剛性を与えられている。さらに新型はフレームとフォークの形状を煮詰めることで、前作比で最大12Wの損失低減を達成した。


様々なライドスタイルやシーンに対応する懐の広さも新型の特徴だ。タイヤは最大40mm幅まで装着でき、舗装路はもちろん、荒れた路面やグラベルへも踏み込んでいける。ジオメトリーも、スタックを引き上げ、チェーンステーを伸ばすことで、長時間でも疲れにくい姿勢と落ち着いた走行安定性を確保。より多くのライダーにフィットし、用途も大きく広がった一台に仕上がっている。
ダウンチューブ内部には収納スペースも設けられている。グラベルバイクでは見慣れた装備になりつつあるが、サドルバッグやツールケースを積まずとも、工具やスペアチューブを車体内に収めておけるのは大きなメリット。荷物をできるだけ減らしてロングライドに臨みたい乗り手には、地味ながら効いてくる仕様だ。



今回インプレッションを行うINFINITO PROは、通常モデルの上位に位置づけられるグレードだ。駆動系を担うのは、電動変速のシマノ105 DI2。足回りに組み合わされるのは、ビアンキ 49Rカーボンホイールだ。49mmというリムハイトは、平坦での巡航で空力の利を得つつ、登りや横風での扱いにくさを抱え込まない、汎用性を意識した設定だ。価格は869,000円(税込)。
快適性と走行性能を兼ね備えた次世代のエンデュランスロードは、果たしてどんな走りを見せるのか。それでは、インプレッションに移ろう。
― インプレッション
「オールロード化したINFINITO。しかし、味付けはあくまでロードレーサー」小畑郁(なるしまフレンド)

最初にひと漕ぎした瞬間から、進みがスムーズなバイクだという印象を受けました。タイヤが35Cと太めなこともあってか、路面からの振動があまり伝わってきません。それでいて、抵抗を感じさせずに走ってくれます。タイヤだけでなく、フレーム側の特性もあるのでしょう。とにかく滑らかに進み、ペダリングそのものも気持ちよく回せました。
しっかりとした重量感はあるのですが、それがむしろ落ち着きや安定感につながっています。適正なギアでダンシングすると、重さからは想像できないほどきれいにバイクを振れます。急いで加速させようと無理に踏み込まなくても、意外なほどスムーズに高い速度域まで運んでくれます。慌てずテンポよく走らせると本領を発揮してくれる、そんな乗り味でした。
足回りがしっかりしているからこその印象だと思うので、軽量なタイヤや軽いホイールを組み合わせれば、加速の鋭さや軽快感はぐっと引き出せるはず。用途に応じてパーツを替えていけばまた違った顔を見せてくれる、そんな懐の深さを感じました。
快適性を上げようという作り手の努力は、はっきり感じ取れます。カウンターヴェイルも、シートポストのくびれた形状も、実際のライドで効いてるなと感じられる。下りで荒れた路面にあえて突っ込んでいっても、難なくこなしてくれる。振動や衝撃の処理には、明確な余裕があるバイクですね。

カウンターヴェイルの良さって、言葉にするのがなかなか難しいんですよ。走っている最中に「あれ、意外と疲れないな」「振動が来ないな」と気づく、そこが全てなんじゃないかなと思います。乗り終えて振り返ってみたら、快適だったな、乗り心地がよかったな、と素直に思えます。派手に主張してくるわけじゃないけど、確かに仕事をしてくれていると感じられるのが、カウンターヴェイルなんです。
このバイクのキャラクターは、いわゆるオールロードという言葉だけでは括りきれませんね。元々、フレームがクロモリだった時代は太いタイヤを履いてパリ〜ルーべを走っていたこともありますし、元来ロードレーサーはなんでもこなしてきました。現在のINFINITOはオールロードのような位置付けですが、かつてはパリ〜ルーベを走ってきたレーシングバイクでしたし、現行モデルはより快適に、誰が乗っても乗りこなせるロードバイクになってきたのかなと思います。
ですので、基本はあくまでロードレーサー。そこにカウンターヴェイルやシートピラーで快適性を足して、太いタイヤも受け入れられるようにした一台、という感じですね。なので、ハンドリングも軽い。直進安定性に振りすぎているわけでもなく、かといって神経質にならずに扱えるバランスの取れた性格に仕上げられています。ロングライド一辺倒ではなく、レースライクな走りにもしっかりと応えてくれる運動性能もきちんと確保されている印象です。
ダウンチューブのストレージも、気が利いてますよね。超長距離を走る方からは便利だという声をよく聞きますし、ロングライドで荷物を最小限にしたい人には活躍してくれるはず。文字通り引き出しが多いという点で、確実にプラスになる部分だと思います。
どんな人に向くかと言えば、レースを本格的にやりたい人というよりは、週末のサイクリングを楽しむホビーライダーでしょうね。疲れを残さずロングライドに出たい人にも、もう少し軽快な走りを味わいたい人にも応えてくれる。道を選ばず、多少路面が悪くても気にせず走りに出たい、そんな気分にしっかり付き合ってくれる一台でした。
「何も考えず、どこへでも走れる。驚異的な走破性を持った一台」高木三千成

ビアンキは最高ですね。久々にビアンキに乗りましたけど、やっぱりカウンターヴェイルっていいんだな、と改めて感じさせてくれる一台でした。
INFINITOは前のモデルにも乗ったことがあって、その時は軽快感がある「走る」バイクという印象でした。今作はまた違う方向に深化したという印象です。落ち着きがあって、しっとりとした重量感とそれに見合った確かな安定感を備えています。
レースのためのバイクというより、普通のサイクリングでどこでも走破できてしまう、そういった懐の深さが持ち味です。砂利でも岩でも草むらでも、砂地でも多分いけますし、とにかく走破性が高い。「ここ行けるのかな」「この先、通行止めじゃないけど抜けられるのかな」と不安になるような山道も、不安なくガンガン走っていける。目立つところは、安定感と乗り心地の良さでした。
ペダリングフィールとしては、ゼロから鋭く加速して瞬発力を競うタイプではなく、一度スピードに乗ってしまえば伸びやかに走り続けてくれる穏やかな性格ですね。頻繁な加減速を繰り返すよりも、一定ペースで流していくほうが持ち味が活きるでしょう。信号が少なくて緩斜面が中心、下りもあるAACRのようなロングライドイベントだと、特に気持ちよく走れるバイクだと思います。

今回のテストバイクでは35Cのワイドタイヤを履いていたにも関わらず、登りでのダンシングの挙動の自然さには驚かされました。もちろん、ヒルクライムで一秒を削るような軽さを最優先するなら別の選択肢があると思います。タイヤの適度な硬さもあるのか、重量がありながらも振り回しやすい操作性を持っていました。とても素直で、バイクを振っても挙動が乱れない。荒れた路面でダンシングしてもしっかりトラクションを掛けられるのも、INFINITOならではです。
下りも安定感があって、そして疲れません。理由はまず、突き上げが少なくてストレスがないこと。やっぱりそれはカウンターヴェイルのおかげもありますし、ジオメトリー、フレーム形状、太めのタイヤのエアボリュームも効いています。
つまり、トータルパッケージとして完成度が高いんです。ここを変えればもっと良くなる、というポイントは正直思い当たりませんね。サイクリングやエンデュランスライドを楽しむならこのままで十分。この完成車を買ったら、軽量化以外にあえて手を入れるところはほぼないな、というくらいまとまっています。
日常的に自転車に乗ることを考えると、足りないものがない。何も考えずどこへでも走れる、その走破性が本当にすごい。レースには出ないけれど、それ以外のいろんな楽しみ方をしたい人にこそ、ぴたりと寄り添ってくれる一台です。

ビアンキ INFINITO PRO
フレーム:Bianchi Infinito Pro(Countervailテクノロジー)
フォーク:Bianchi Infinito(フラットマウントディスク140/160、スルーアクスル、コラム径1"1/8)
コンポーネント:シマノ 105 DI2(12速)
ホイール:Bianchi B 49R(カーボンリム、49mmプロファイル、700×25c、24H、チューブレスレディ)
タイヤ:Pirelli P Zero Road TLR(35-622、120TPI)
ハンドル:Bianchi Aero Compact(アロイ、リーチ74mm、ドロップ116mm)
シートポスト:Bianchi Infinito Countervailテクノロジー フルカーボン エアロフレックス形状
サドル:Bianchi(マンガンレール、長さ260mm、幅150mm)
タイヤクリアランス:最大40C(ETRTO 622-40)
サイズ:47/50/53/55/57/59/61
カラー:8E ペトロールチェレステ(CK16ロゴ/サテンフィニッシュ)、8H ブラックメタル(クロームゴールドロゴ/グロスフィニッシュ)
価格:869,000円(税込)
インプレッションライダープロフィール

圧倒的な知識量と優れた技術力から国内No.1メカニックとの呼び声高い、なるしまフレンドの技術チーフ。勤務の傍ら精力的に競技活動を行っており、ツール・ド・おきなわ市民210kmでは2010年に2位、2013年と2014年に8位に入った他、国内最高峰のJプロツアーではプロを相手に多数の入賞経験を持つ。2020年以来、ベルマーレレーシングチームの一員として国内レースを走る。
なるしまフレンド神宮店(レコメンドショップページ)
なるしまフレンド HP

学連で活躍したのち、那須ブラーゼンに加入しJプロツアーに参戦。東京ヴェントスを経て、さいたまディレーブでJCLに参戦し、チームを牽引。今シーズンも稲城FIETSクラスアクトでキャプテンを務め、Jプロツアーで全国を参戦する。シクロクロスではC1を走り、2021年の全日本選手権では10位に入賞し、UCIポイントを獲得した。2025-2026のJCXシリーズランキングは総合11位。
text:Gakuto Fujiwara
photo:Naoki Yasuoka
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