シクロクロスの本格シーズンインが近づいてきた。本特集記事ではヴィットリアが誇るCXタイヤ「TERRENO」のラインナップや乗り味、そして使い分けなどを、弱虫ペダルサイクリングチームによるインプレッションを通して紹介していきたい。

シクロクロスシーズンは間近。タイヤの準備はOK?

本格シーズンインまで1ヶ月。カウベルの音色がもうすぐ聞こえてくる本格シーズンインまで1ヶ月。カウベルの音色がもうすぐ聞こえてくる photo:Kei Tsuji
夏の暑さもすっかり過ぎ去り、朝晩は冷え込むことも少なくなくなった今日この頃。徐々に秋が深まり、冬が近づくこのひとときを、日本全国11500人(AJOCCの2020年登録者数)のシクロクロッサーの皆さまはどうお過ごしでしょうか。

シーズンインが間近となれば、急務となるのがシクロクロスバイクの整備とタイヤの用意。え、タイヤならまだ山があるから去年のチューブレスタイヤを使い回し?パンクしてないから去年のチューブラータイヤを使いまわし? いやいや、タイヤの性能がモロに成績に出るシクロクロスなんだから、そんなことじゃあいけません。

グリップ力が問われる泥はもちろんのこと、グリップ力が問われる泥はもちろんのこと、 photo:Satoshi Odaスピードが重視されるドライまで。幅広いコンディションが用意されるだけにタイヤ選びは重要だ スピードが重視されるドライまで。幅広いコンディションが用意されるだけにタイヤ選びは重要だ photo:Kei Tsuji

「CXはタイヤこそ命。使い回さずにシーズン前に新調してほしいですね(弱虫ペダル佐藤GM)」「CXはタイヤこそ命。使い回さずにシーズン前に新調してほしいですね(弱虫ペダル佐藤GM)」 photo:Makoto.AYANO
弱虫ペダルサイクリングチームの佐藤GMも「シクロクロスはタイヤが命」と仰っているし、ここはひとつ、今からタイヤ新調を検討してみるのはいかがでしょう?国内ブランドも、ハンドメイドの高級チューブラータイヤも良いけれど、ちょっとシクロクロスイメージの弱いヴィットリアのCXタイヤは、実はバリエーションやコストパフォーマンス、そしてサポート体制も含めて自信を持ってオススメできるラインナップです。

今回の特別企画では、合計4ページにわたってヴィットリアのシクロクロスラインナップを弱虫ペダルサイクリングチームによるインプレッションで掘り下げていこうと思います。これからシクロクロスバイクを整備する人、実は昨年のタイヤを使いまわそうとしていた人、そしてこれからシクロクロスを始めたい方々への、良きガイドとなれば幸いです。

今季からヴィットリアを使用する弱虫ペダルサイクリングチーム

テストライダーは国内屈指の実力を誇る弱虫ペダルの3名。今年からヴィットリアのサポートを受けレースを走るテストライダーは国内屈指の実力を誇る弱虫ペダルの3名。今年からヴィットリアのサポートを受けレースを走る photo:Makoto.AYANO
今回のインプレッションライダーは、今季からヴィットリアのCXタイヤを使い、レース参戦を行う弱虫ペダルサイクリングチームの面々。全日本チャンピオンジャージを着る前田公平と、BMXで培った技術とパワーで目下売り出し中の織田聖、ロードはもちろんCXでも安定した成績を残す唐見実世子という豪華3選手にそれぞれタイヤの印象を、そして佐藤成彦GMにはメカニックとして見たタイヤの印象を聞いた。

まずはヴィットリアCXタイヤのラインナップを把握した上で、そして佐藤成彦GMがヴィットリアを選んだ理由や全体的な印象を聞いたインタビューへと目を通した上で、次ページからのインプレッションを深読みしてもらいたい。

ほかと似ているようでかなり違う。ヴィットリアのTERRENOシリーズ

DRY、MIX、WETという3タイプが揃うヴィットリアのTERRENOシリーズ(画像はチューブレスレディモデル)DRY、MIX、WETという3タイプが揃うヴィットリアのTERRENOシリーズ(画像はチューブレスレディモデル) photo:Makoto.AYANO
国内使用率の高いCXタイヤといえば、主にトップ選手やベテラン選手に愛されるFMBやデュガスといった高級ハンドメイドチューブラーと、その流れを汲む普及価格帯のチャレンジ、そしてホビーユーザーのチューブレス化を一気に進めた国内ブランドのIRCという3系統が主流と言える。

ヴィットリアも長くCXタイヤをラインナップしてきたが、その存在感は2017年のラインナップ総刷新で一気に昇華する。新登場したTERRENOシリーズは同社が誇るグラフェンコンパウンドを投入するとともにトレッドパターンを一新し、チューブラーモデルにはしなやかな乗り味を叶えるコットンケーシングを継続採用。国内ではいち早くSNEL CYCLOCROSS TEAMが実戦投入したことで、トップカテゴリーを走る選手たちからの注目度を上げてきた。

2019年初頭、ヴィットリアはグラフェンコンパウンドを2.0へと進化させた2019年初頭、ヴィットリアはグラフェンコンパウンドを2.0へと進化させた photo:Makoto.AYANOTERRENOシリーズの登場と共にSNEL CYCLOCROSS TEAMが使用し、国内認知度を高めたTERRENOシリーズの登場と共にSNEL CYCLOCROSS TEAMが使用し、国内認知度を高めた photo:Kei Tsuji

TERRENOシリーズのラインナップは、ノブパターンの異なるDRY、MIX、WETという3タイプ。それぞれハンドメイドのチューブラーモデル(320TPIのコットンケーシング)とチューブレスレディモデル(120TPIのナイロンケーシング)が用意されるため、合計6モデルという必要十分なバリエーションを揃えている。

チューブレスレディモデルはサイドウォールにレイヤー層を追加し、耐サイドカット力を高めているチューブレスレディモデルはサイドウォールにレイヤー層を追加し、耐サイドカット力を高めている photo:VTJさらにTERRENOシリーズはロードタイヤのCORSAやMTBタイヤなどと同じく、2019年にデビューした新コンパウンド「グラフェン2.0」を投入することでより一層の性能強化が図られた。

より高い性能が期待されるチューブラーモデルは3つのコンパウンドを組み合わせた「3Cトレッド」を採用し、耐摩耗性能とグリップ力の強化を図っている。また、チューブレスレディモデルは他社と異なり、サイドウォールにレイヤー層を追加し耐サイドカット力を高めていることも特徴だ。

そして何より、供給体制においてヴィットリアを上回る欧州タイヤブランドはほかに無いと言っていい。国内には5の販売代理店があるほか、輸入代理店を務めるVTJにも在庫が用意されているため、日本全国のプロショップを窓口に迅速な注文・販売が可能。もしパンクやタイヤサイドを傷つけた場合にも、次のレースまでにスペアタイヤが手元に届くという安心感は、オフロードタイヤを選ぶ上で大きな選択肢になるはずだ。

なぜヴィットリアのCXタイヤを? 弱虫ペダルの佐藤GMに聞く

「ロード、MTB、そしてシクロクロスの全てで高性能タイヤを揃えるヴィットリアを選んだ」「ロード、MTB、そしてシクロクロスの全てで高性能タイヤを揃えるヴィットリアを選んだ」 photo:Makoto.AYANO
CW:さて佐藤GM、シクロクロスのトップ選手であればハンドメイド系チューブラーと思われるのですが、今年ヴィットリアのTERRENOシリーズを選んだ理由を教えて下さい。

佐藤成彦GM:僕ら弱虫ペダルサイクリングチームはロードレース、シクロクロス、そしてMTBと3種目に力を注いでいるのですが、それだけに全種目で高性能な製品を持つタイヤブランドとタッグを組むことは必須条件でした。

元々はロードはパナレーサー、シクロクロスはチャレンジ、MTBはIRCとバラバラだったのですが、綿密な関係を持つ上では1ブランド化した方が良い。ロードのCORSAシリーズはかなり良かったですし、昨シーズンもタイヤ制約のない唐見選手でTERRENOのテストを行い、走りはもちろん工業製品としての精度も良かったことが決め手になりました。特にシクロクロスに関しては何故か国内のチューブレスレディ使用率が高いのですが、過酷な条件にならずともチームはチューブラータイヤがメインですから。

Jプロツアーでピュアホワイトジャージを着る織田聖。ロードではヴィットリアのCORSAシリーズを使用中だJプロツアーでピュアホワイトジャージを着る織田聖。ロードではヴィットリアのCORSAシリーズを使用中だ photo:Satoru Kato
MTB会場ではお馴染みのヴィットリアタイヤサポートブース。 今季はCXレースにも鋭意出展予定だというMTB会場ではお馴染みのヴィットリアタイヤサポートブース。 今季はCXレースにも鋭意出展予定だという photo:Makoto.AYANOそれに加えてサポート体制の手厚さも大きな要因でした。MTBレース会場に行けば分かりますが、ヴィットリアのサポートブースが多くのレースにあって、困ったことがあってもなくもサポート選手、あるいは一般参加選手であっても支えになってくれます。ヴィットリアは企業として競技を盛り上げようとしていますし、それが一番大きかったとも言えます。

CW:ヴィットリアのシクロクロスタイヤは"新しいもの"ですが、それに対する不安はありましたか?

佐:そうですね。契約がある前田選手と織田選手ではなくフリーの唐見選手を実験台に昨シーズン後半に実戦投入したのですが、偶然かもしれないものの成績が良かったんです。私自身メカニックとして何本もタイヤ貼りを行いましたが、工業製品としての精度もかなり高いんですよね。特に高級ハンドメイド系タイヤは当たり外れの差が激しいので、せっかく用意しても使えないなんてこともよくあります。

ヴィットリア自体はロードやMTBでもはやトップブランドですから、今までマイナーな存在だったCXラインナップに関しても、かなり高い意識で開発し、生産されていることが分かりますね。従来トップ選手はFMBやデュガスを使うことが当たり前でしたが、チャレンジ精神を持つ我々チームと、CXレースにチャレンジしたいヴィットリアが上手くリンクしたことが大きいんです。ですから我々からもヴィットリアにフィードバックをどんどん伝えていきたいですね。

昨シーズン後半戦でTERRENOを導入していた唐見実世子。パンクが多発した雪の日吉でもトラブルはなかったという昨シーズン後半戦でTERRENOを導入していた唐見実世子。パンクが多発した雪の日吉でもトラブルはなかったという photo:Satoshi Oda
CW:なるほど。製品精度は意外と見落としがちなポイントですね。

佐:そうなんです。そして僕がTERRENOシリーズ(のチューブラーモデル)で一番良いと思っているのがアクアシール処理をしなくてもいいところ。従来のハンドメイドチューブラーはタイヤサイドの防水処理が行われておらずアクアシール処理が必要なのですが、そうするとコーティングが増えるためタイヤの性質が変わってしまう。その分TERRENOシリーズだったら薄くコーティング済みですし、それを差し引いて見た時の柔らかさはすごく良い。唐見選手が使っていた昨シーズンもトラブルはありませんでしたね。

CW:CXタイヤを複数シーズン使い回すユーザーもいますが、正直そのあたりはどうなんでしょうか?

佐:絶対にお勧めしません。何シーズンも使っている選手がいますが、成績を出したいのであれば絶対にやめた方が良いですよ。タイヤを綺麗にして、温度変化が少ない暗い所にきっちり保管しきれれば良いのですが、実際は難しいですよね。つけっぱなしで1年間寝かしたらゴムが悪くなりますし、そのような状態でレースに出ていること自体、とても勿体ないと思うんです。使うこと自体はできますが、性能を発揮できませんよね。

「シクロクロスは本当にタイヤが命。きちんと新品を用意してシーズンに臨んでほしい」「シクロクロスは本当にタイヤが命。きちんと新品を用意してシーズンに臨んでほしい」 photo:Makoto.AYANO
シクロクロスは本当にタイヤが命。まだまだ使えるとか言う選手は結構いますよ。本当に成績を求めていくレベルになったらちゃんと換えて欲しいし、狙えないにしても毎年換えてほしい。クルマだってちゃんとオイル交換しないとエンジンを壊すことにつながるじゃないですか。それと同じことですね。
提供:VTJ 制作:シクロワイアード編集部