ヴィットリアCXタイヤの中で最もスピードを重視したタイヤがTERRENO DRY(テレーノ ドライ)だ。その名の通りドライコンディションや、舗装路が多いコースでの軽さを重視したセンタースリックパターンであり、おそらくラインナップ中最も"攻め"の選択肢と言えるだろう。

速さを重視するTERRENO DRY 逆履きで柔らかい路面にも

鱗状のセンタートレッドが特徴のTERRENO DRY。ハイスピードレースの武器になるタイヤだ鱗状のセンタートレッドが特徴のTERRENO DRY。ハイスピードレースの武器になるタイヤだ photo:Makoto.AYANO
センターパターン一つ一つに傾斜が付けられていることが分かる。グリップを稼ぐための工夫だセンターパターン一つ一つに傾斜が付けられていることが分かる。グリップを稼ぐための工夫だ photo:Makoto.AYANOサイドノブは抵抗減を目的に低めの設定サイドノブは抵抗減を目的に低めの設定 photo:Makoto.AYANO

従来センタースリックのCXタイヤと言えば、センターの細かいヤスリ目とサイドノブという組み合わせが定番(チャレンジで言えばシケイン、IRCならSERAC CX EDGE)だったが、TERRENO DRYは魚の鱗のようなセンターノブと、かなり低いサイドノブを組み合わせていることが大きな特徴だ。

センター部分は完全スリックパターンに近いものの、注意深く見ると各ノブに設けられた傾斜でグリップを稼ぐデザインとなっていることが分かる。マッドタイヤやMTBタイヤのようにノブで引っ掛けるのではなく、いわゆる「面でグリップさせる」タイヤと言えるだろう。

ラインナップはチューブラー、チューブレスレディ共に細めの31cと、規定上限の33c。さらにチューブレスレディモデルにはグラベルロード用の38cと、650x47cという2バリエーションも揃えられている。

インプレッションライダー:前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)

シクロクロス全日本王者の前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)シクロクロス全日本王者の前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Makoto.AYANO
1994年生まれ、東京都出身。言わずと知れた日本屈指のオフロードトップライダーであり、シクロクロス全日本選手権を2連覇中。キッズ時代から継続参戦するMTBで培ったテクニックと、ロードレース参戦で身につけたパワーが武器。シクロクロスでは多少のウェットコンディションでもテクニックを活かしてセンタースリックのタイヤを愛用する。推しのアイドルは芹澤優(Wikipedia調べ)。

インプレッション

CW:前田選手好みのセンタースリックパターンですが、TERRENO DRYの印象はいかがでしたか?

前田公平:かなり転がりの軽さに振ったタイヤだと思いますよ。これまでチャレンジタイヤを使う期間が長く、中でもシケインを愛用してきましたが、それと比較するとTERRENO DRYはセンター部分を含めて断面形状がラウンドしています。

逆バンクの芝コーナーを攻める前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム)逆バンクの芝コーナーを攻める前田公平(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Makoto.AYANO
シケインはセンター部分を地面に押し付ける走り方がマッチしましたが、このタイヤはサイドからサイドまで、タイヤ全体を使う走りが望ましいと思います。具体的にはタイヤの空気圧を下げて、広い接地面で地面を掴むように走ったほうが全体的なバランスがいい。これから空気圧の上手いバランスポイントを探っていきたいなと思います。TERRENO DRYとシケインはどちらも同じセンタースリックですが、結構違う乗り味と言えますね。

CW:なるほど。いきなり深いですね。前田選手はなぜセンタースリックを愛用しているのですか?

MTBがベースにあるので、ある程度空気圧を高めにした上で、バイクを倒して曲がるクセがついているんですよね。その時にサイドノブをしっかり引っ掛けてグリップを稼ぐんです。だったらマッドタイヤが良いだろうと思われるんですが、よほどの泥でないと漕ぎが重くなるし、オーソドックスな矢印パターンのタイヤは低圧セッティングが基本なのでウマくない。そういう理由でセンタースリックをメインにして、対応しきれないならミックスではなくマッド。これが僕のタイヤ選びなんですよ。

TERRENO DRYの舗装路での軽さは圧倒的。ハードパックが多いコースで有利だTERRENO DRYの舗装路での軽さは圧倒的。ハードパックが多いコースで有利だ photo:Makoto.AYANO
CW:TERRENO DRYの謳い文句であるスピード感はいかがですか?

前:とても軽いですよ。今日はドライコンディションの土と凹凸芝生区間でのテストでしたが、実際に接地面を増やした(=空気圧を下げた)セッティングでも漕ぎの軽さが目立ちます。柔らかいケーシングだからタイヤの潰れ方にクセが少ないので、思いっきり低圧セッティングに振っても安心して走れる印象がありました。

CW:このTERRENO DRYは、どんなコースが適しているでしょうか

前:テクニックに依存する部分も少なくないのですが、オフロードのバックグラウンドがある方で、かつドライコンディションであればおおよそのコースを走れてしまうと思いますよ。ただしサイドグリップがそこまで強くないので、キャンバーを横走りをするようなコースではキツイかもしれません。

「空気圧を下げて、広い接地面で地面を掴むように走るとバランスがいい」「空気圧を下げて、広い接地面で地面を掴むように走るとバランスがいい」 photo:Makoto.AYANO
「ケーシングが柔らかく、ある程度湿り気がある程度なら使える」「ケーシングが柔らかく、ある程度湿り気がある程度なら使える」 photo:Makoto.AYANO「チューブレスならその日のコンディションで逆履きにするのもアリ」「チューブレスならその日のコンディションで逆履きにするのもアリ」 photo:Makoto.AYANO

CW:キャンバーが苦手というと、全日本選手権が開催される飯山にはちょっとキツイ?

前:飯山はキツイでしょうね。最初からキャンバー区間を降りる作戦なら話は別ですが、僕なら晴れでもノブを刺して走れるWETを選ぶと思います。ただし幕張やマキノのように、キャンバーに対してまっすぐ登り降りするようなコースであれば、テクニック次第で問題ないと思いますよ。ワイルドネイチャーや、復活が期待されるシクロクロス東京のような深い砂レースでも良いでしょう。

このセンターパターンも地味に斜めになっているじゃないですか。ですのでリアを逆履きにすれば少しトラクションを稼げると思いますよ。チューブラーだったら不可能ですが、チューブレスならその日のコンディションを見て付け替えができるから良いですよね。ぐしゃぐしゃなコースだったらMIXやWETですが、ある程度湿り気がある程度のコンディションであれば使えてしまうはずです。

CW:今回初めてヴィットリアのCXタイヤを使って頂きましたが、その印象を教えて下さい。

前:CXだけではなく、MTBやロードも含めヴィットリアのタイヤは横方向へのグリップが強く安心できることがお気に入りです。まっすぐ走っている時はスーッと走ってくれるけど、いざコーナーで勝負を掛けたい時も安心してバイクを倒し込める。これがCXだけはなく全てに共通している。すごく優秀だなと思います。

「スピードを重視する方、特にテクニックに自信がある方なら安心してオススメできる」「スピードを重視する方、特にテクニックに自信がある方なら安心してオススメできる」 photo:Makoto.AYANO
CW:TERRENO DRYをおすすめしたい人、おすすめできる人はどういった方でしょうか

そうですね。他のセンタースリックタイヤと比べても「サイドグリップはあまり高くない。けれど転がりが軽い」という性格が強いタイヤですから、やはりスピードを重視する方には良いですし、バックボーンにMTBやBMXを持つテクニックに自信がある方でしたら安心してオススメできますね。

逆に、ロード競技上がりで脚はあるぶんバイクの安定感が欲しい方にはTERRENO MIXが無難でしょう。路面に合わせてペダリングに強弱をつけられる方ならDRYを、ちょっと難しいなという方ならMIXを選んで頂きたいですね。
ヴィットリア TERRENO DRYスペック/ラインナップ
サイズケーシング構造素材コンパウンド重量税抜価格
650×47cGravelTNTNylon 120TPI1C Graphene 2.0550g6,000円
700×31cCyclocrossTNTNylon 120TPI1C Graphene 2.0400g6,000円
700×33cCyclocrossTNTNylon 120TPI1C Graphene 2.0410g6,000円
700×38cGravelTNTNylon 120TPI1C Graphene 2.0490g6,000円
31-28CyclocrossTubularCotton 320TPI3C Graphene 2.0450g11,000円
33-28GravelTubularCotton 320TPI3C Graphene 2.0460g11,000円
提供:VTJ 制作:シクロワイアード編集部