「会場を訪れたすべての方に楽しんでいただけるイベント」をコンセプトに、人気イベントとして定着しているカクタスカップ。シクロワイアードのスタッフも、会場でその心地よい雰囲気を肌で感じてきた。今回はそんなカクタスカップの魅力の秘密を探る。

カクタスカップに勢揃いする選手は、いつも全力で参加者を支えるカクタスカップに勢揃いする選手は、いつも全力で参加者を支える

サポート選手も全力で参加者を支える
カクタスカップには、コラテック/フォーカスのサポート選手たちがいつも勢揃いする。
今回レースの前走後走などのサポートや、表彰や各プログラムに参加して場を盛り上げてくれる選手たちは、2010MTB世界選手権日本代表の斉藤亮さんら、豪華メンバー5人。チームコラテックの斉藤さん・御子柴頼信さん・渡辺浩さん、チームマッサ監督の三船雅彦さん、やまめ工房の堂城賢さんと、世界の舞台から裏山ライドまでを熟知した経験豊富な頼もしい面々を揃える、なんとも太っ腹なラインナップ。

斉藤亮選手の先導でスタート斉藤亮選手の先導でスタート 2010MTB世界選手権日本代表の斉藤亮選手も、カクタスカップでは参加者のサポート役を担う2010MTB世界選手権日本代表の斉藤亮選手も、カクタスカップでは参加者のサポート役を担う


選手たちは、初心者と一緒に走って「こんなふうに走れちゃうんだ!」というテクニックをさりげなく見せてくれたり、参加者に勝負を挑まれたり、メカの相談を受けたり、みんなと交流したり…と、大会の間じゅう大忙しだ。
普段は憧れの選手たちが、この日は全力で参加者を“サポート”することも、カクタスカップの魅力のひとつ。

見晴らしのいい高原を走る見晴らしのいい高原を走る やまめ工房の堂城さんとともにゴールインやまめ工房の堂城さんとともにゴールイン



考え抜かれた絶妙なコース設定
今回のエンデューロのコースは、各チームのピットのテントが並ぶ駐車場に設営されたスタート/フィニッシュゲートから、スキージャム勝山にある常設の自転車クロスカントリーコースを回るコース。エンデューロは3時間レースも5時間レースも、コース中盤がやや異なるが基本的なルートは大筋で同じだ。

スキージャム勝山の常設クロスカントリーコースは本格的スキージャム勝山の常設クロスカントリーコースは本格的 エンデューロのコースはゲレンデ直下からスタートエンデューロのコースはゲレンデ直下からスタート


林間のシングルトラックや比較的平坦な幅の広い部分など、さまざまな変化のある本格的なコースは、スキージャム勝山の常設施設を使ったもの。この常設コースを設計し、今回のカクタスカップのコースも作っているのは、今回のサポート選手のひとりでもある御子柴さん。「今日のエンデューロは走る人のレベルがいろいろなので、初めての人は、難しいところを歩いてしまっても何周かしているうちにできるようになったりして達成感を味わえるように。同時に、上級の人にとっては、走りごたえのあるテクニカルなコースになるようにしています」。

スタート直後の登りスタート直後の登り 緩急あるアップダウン、ちょっとしたギャップ越えなども配置された林間コース緩急あるアップダウン、ちょっとしたギャップ越えなども配置された林間コース また登ってスタート地点へ向かう周回コースまた登ってスタート地点へ向かう周回コース



カクタスカップ、スキージャム勝山とは
カクタスカップは、グローブライド(旧社名:ダイワ精工)が行ってきたイベントに、サボテンの生い茂る会場で開催されているアメリカのレースにちなんだ「カクタス」の名をネーミングしたレースシリーズ。2003年には、島根県・仁多町、長野県・峰の原高原、福井県・スキージャム勝山、長野県・富士見パノラマリゾートの計4戦を開催し、勝山は今回が11回目の大会となる。

カクタスカップの会場となるスキージャム勝山カクタスカップの会場となるスキージャム勝山

コースを設計したのは、チームコラテックの御子柴さんコースを設計したのは、チームコラテックの御子柴さん 「スキージャム勝山」は、西日本最大級のスノーリゾートで、ゲレンデ直下のリゾートホテル「ホテルハーヴェスト」開業と同時に通年営業を始めて11年目。勝山でのカクタスカップ開催のきっかけは、通年営業にともなうメニュー拡大だ。

「スキーだけでなく通年営業面でやっていこう」と、メニューのひとつとして、自転車で何かできないかを検討。グローブライド(当時ダイワ精工)のスタッフに福井県出身者がいた縁で、両社がタッグを組んで、自転車のプログラムを育てていったという。立ち上げ時からかかわる「スキージャム勝山」スタッフの武内伴親さんは、「この自転車クロスカントリーコースは、最初、御子柴さんがやってきて、まだ雪の残っているときに印をつけていって作ったんですよ…」と当時の思い出を語る。

スクールでのノウハウの解説や、参加者をスキルアップさせるテクニックで定評のある御子柴さん。MTBのベテランが手掛けたコースは、初心者や子供にも目配りしながらMTBの楽しさを味わえるものに仕上がっている。
「東急さんからグローブライド、当時のダイワ精工に、バブルの影響でゴルフ場の計画が中止になり、予定地だったところで何かできないか、というお話をいただき、設計しました。


力で走る部分と技術で走る部分がバランスよく配置されている力で走る部分と技術で走る部分がバランスよく配置されている 常設コースは、天候や、参加者のレベル・年齢などにあわせて、各部分を使って何通りも走るコースが組み立てられるように設計してあります」と御子柴さん。「初めての人でも、ああ難しいな、自分には無理だな…って思ってイヤになってしまわないように、同時に、上級の人にも簡単すぎず、みんなに楽しんでもらえるようにと思って作りました。

たとえば、今回のレースのスタート直後に、車道をくぐるトンネルがありますよね。初心者は一生懸命こいで上りますが、上級者であれば、下るときにスピードをつけるとその勢いで上まで一気に登れちゃうんです。そんな工夫が、あちこちにしてあります。
また、参加する人の安全を一番に考えないといけないので、ところどころコース幅を広くして、速い人が慣れない人を追い抜けるところも作っています。」

スキージャム勝山では、常設のMTBクロスカントリーコースのほかにも、自転車のレジャーメニューを用意。
インストラクターの先導で滝まで約5kmのオンロードをツーリングする「滝しぶきツーリング」、周辺のオフロードを走る「JAMの森サイクリング」などの体験コースも。MTBやヘルメット、プロテクターなどの用具レンタルもある。
また、敷地内から湧出する温泉を使ったクア施設、ゲレンデ斜面を利用したパラグライダースクール、敷地内の池でのカヤック体験、ツリークライミング、バーベキュー、エステなども楽しめる。

経験豊富なMTBライダー御子柴さんのスクールはいつも好評だ経験豊富なMTBライダー御子柴さんのスクールはいつも好評だ ※写真は他のイベント時のものです自転車に乗るのはもちろん降りた後も、それに自転車に乗らなくても楽しめる。会場となったスキージャム勝山は、まさに「ここに訪れた人みんなが楽しめる」カクタスカップにぴったりな会場であった。
今後もカクタスカップ からは、目が離せそうにない!