いよいよ走り出したホノルルセンチュリーライド2009。100マイル(160km)の行程はまだ始まったばかり。晴れ渡るハワイの空の下、きらめくサイクリストの笑顔。CW編集部員Yuftaによるホノルルセンチュリーライド2009実走レポートの後編をお楽しみください。

傷心の坂、もとい「心臓破りの坂」ハートブレイクヒルを越えると、25マイルの折り返し地点で最初のエイドステーション(AS)サンディ・ビーチパークに到着。ここで多くの参加者が一息ついている。ビーチパークの名の通り、目の前には白い砂浜! う~ん、ハワーイ。

ASではバナナやオレンジ、プレッツェルやスポーツドリンクなどが振る舞われる。スタートからここまで20km。少し小腹が空く頃だけに、ありがたくいただきます。まだ太陽は朝の日差しで、ボトルの水はそんなに減っていないけれど、これから本格化しそうな暑さに備えて水も補充する。

25マイル折り返しASにて。まだまだ元気いっぱい!25マイル折り返しASにて。まだまだ元気いっぱい! photo:Yufta Omata親子3人で走る佐藤さん一家!お母さんが娘を後ろに乗せて走っていました親子3人で走る佐藤さん一家!お母さんが娘を後ろに乗せて走っていました photo:Yufta Omata


スタート前にお話を聞いた片山夫妻を発見。奥さんは25マイルを目標にしていたから、もうここで折り返すことになるはずだけれど。折り返しですか、奥さま?

「もうちょっと行けるかも〜。行きたいかも〜。行ってもいい?」とダンナさまをちらり。「せっかくここからって感じなのに引き返したくない」

スタート地点では25マイルと言っていた片山さん、ダンナさんに「やっぱり50マイル、走っていい?」スタート地点では25マイルと言っていた片山さん、ダンナさんに「やっぱり50マイル、走っていい?」 photo:Yufta Omata

あぁ、これがホノルルの魔力なんだ。最初は不安でも、走り出しちゃえば、あとはハワイの海風が後押ししてくれる。もっと走りたい、そう思わせる何かがここにはあるんだろうな。ダンナさまも嬉しそうな表情をしていたのに、心温められつつ、そろそろ再出発しよう。

次のASはここから20km先の50マイル(80km)折り返し地点。白いビーチを背中に、出発!するとさっそく目の前にはド・ドンと上り坂。勾配こそきつくないがスケールの大きな上り坂で、後ろに大海を背負う格好だ。こういうダイナミックな風景に海外を感じるというもの。

いかにも外国!なスケールの大きさがかえって気持ちがよい上り坂いかにも外国!なスケールの大きさがかえって気持ちがよい上り坂 photo:Makoto Ayano

<ハワイの別の顔!南国のアルケオロジー>

ところで、ホノルルのサイクリングと言ったら何を思い浮かべるだろうか。もちろん青い海と空!ギラギラと照る太陽!…というのはハズせないけれど、ずっとそれだけだと人間、やっぱり飽きちゃうもの。しかし、ホノルルセンチュリーライドはいい意味でハワイのステレオタイプなイメージを払拭してくれる。

しばらく右手に海を見ながら走っていると、おもむろに内陸に向かって左折。すると目の前には山が!周りもだんだんと南方植物が生い茂り、それを分け入って進む感覚は…ジャングルクルーズさながら。道端にパイナップルが転がってそうな南国エキゾチズムがムンムンと充満。

ルートはしだいにジャングルゾーンへ突入ルートはしだいにジャングルゾーンへ突入 photo:Yufta Omata

そういえば、ここからもっと北のクアロア地区はあの映画「ジュラシックパーク」のロケが行われたところだとか。確かに、ソテツの影から今にもT・レックスが現れそうな雰囲気。大きな原生植物やしけった熱気など、どこか太古の時代にいるような錯覚もまた、ハワイの別の魅力かもしれない。

<ブレイク必至!?自転車娘4人衆の手づくりユニフォーム>

可愛らしい手作りウェアで走る女性サイクリスト4人組を発見可愛らしい手作りウェアで走る女性サイクリスト4人組を発見 photo:Makoto Ayano

ジャングルに太古のロマンをかみしめる時は過ぎ、ルートは再びハイウェイへ。ここでジャージがなんとも可愛らしいサイクリストを前に発見。「チャリフィス」と書かれたお揃いのジャージを着るのは、キュートな自転車ガールズ4人。
エイドステーションで話を聞いた。

「チャリフィス」は自転車大好きなナゴヤOL4人組。それぞれよしフィス、なわフィス、あやフィス、なぎフィスさんで、
ブログ「ナゴヤOLのドキドキ自転車日記」もあります。

「私たち、名古屋で走っている4人のグループなんです。もともとはママチャリで色んなところに行ってて。名古屋から琵琶湖一周とか。それでここ1年くらいで本気の自転車を買ったんです」となぎフィスさん。

絹代さんを囲むチャリフィスの4人絹代さんを囲むチャリフィスの4人 photo:Makoto Ayano

「それからは房総半島を走ったり、鈴鹿8耐に出場したり。今回は初めての海外で、メチャメチャ楽しいです!サイコーですね!」

ここまでの疲労度はどうですか?の問いには、

「景色がキレイだから疲れを感じない」
「なーい。ぜんぜんダイジョーブ!目指せ100!(笑)」と口々に心強いお答え。日本一周を夢見て自作のユニフォームもとてもステキ。タフ&ビューティで目指せ100マイル!

オリジナルユニフォームがキュートなチャリフィスの4人(左からあやフィス、よしフィス、なわフィス、なぎフィス)オリジナルユニフォームがキュートなチャリフィスの4人(左からあやフィス、よしフィス、なわフィス、なぎフィス) photo:Yufta Omata

<楽しみ方フリー!どんな自転車でもゴー・アヘッド!>

チャリフィスの4人と別れ、40km地点のASを後にする。それにしてもホノルルの楽しみ方は人それぞれだなぁ。ジャージを自作してチームで走るもよし、好きな自転車で好きなように乗るもよし。ホノルルセンチュリーライドの懐は、深い。

そこでちょっと変わった自転車で参加しているサイクリストをスナップ。ロードバイクじゃなくても好きなスタイルで目標距離に挑めるのがホノルルセンチュリーライドのいいところでもある。ぱっと目につくのは寝そべりスタイルのリカンベント。他のバイクよりぐっと視点が低くなるけど、どんな風に景色が見られるんだろう。

こんなクールなバイクを乗りこなすダンディは素敵!こんなクールなバイクを乗りこなすダンディは素敵! photo:Yufta Omata

大柄な体でビーチクルーザーを操るサイクリストに遭遇。その風体からビッグ・ジョンと勝手にネーミングさせてもらう。このジョンが乗るのクルーザーはなんとノーブレーキ!はにかみながら、定番のアロハポーズを決めてもらった。サンキュー、ジョン!(名前を聞いておけばよかったな)

ノーブレーキビーチクルーザーに乗るのはビッグ・ジョン!ノーブレーキビーチクルーザーに乗るのはビッグ・ジョン! photo:Yufta Omata

深紅の小径車で走る方も。よく見るとこのバイクは折りたたみ式。ハンドルはブルホーンバーという、なんともトンガったバイク。お話を伺うとこの方、ロードバイクで参加した以前に160kmを完走したので、今回は小径車で挑んでいるのだという。リピーターにはリピーターの楽しみ方アリ、である。

深紅の折りたたみ自転車が眩しいこの方は2度目の参加だとか深紅の折りたたみ自転車が眩しいこの方は2度目の参加だとか photo:Yufta Omata

<100マイルへの関所、60km地点キング・インターミディエイトAS>

交通量の多い町中のハイウェイをしばらく行くと、75マイルの折り返し地点、キング・インターミディエイトASに到着。100マイルに挑むサイクリストはここに10時30分までに到着しなくてはならない。この10時30分という時間設定がなかなか微妙で、初めてロングライドに挑む人にとっては一番の危険ポイント。

とりあえず、制限時間に間に合ってほっと息をつく。まだ全体の半分も来ていないけれど、ここをクリアできればあとはそれぞれのペースでゴールを目指せばいい。100マイルを目指す参加者が続々とASに入ってきて安堵の表情。それにしても、このホノルルセンチュリーライドでは女性の参加者が多いことに改めて気づく。

せっかくの海外ライドなので、外国人サイクリストにも話を聞いてみよう。気さくに応えてくれたのはジェーンとバニーの美女2人組。

笑顔が最高にビューティホーなジェーン&バニー笑顔が最高にビューティホーなジェーン&バニー photo:Yufta Omata

「ホントにサイコーね!私たちは周りのビューティフルな景色を見て楽しんでるわ!私は初めての参加で、彼女は3度目の参加なのよ」とピンクのタンクトップが似合うジェーン。

「あなたはどこから来たの?ジャパン?ワーオ、ウェールカム!」

こんなささいな会話もハワイならでは。拙い英語でも、なんだか通じ合う気がするのは自転車に乗っている連帯感のおかげ?最高の笑顔でカメラに写ってくれた2人からはホノルルのエンジョイっぷりが伝わってきた。

<ホノルルの本当の海が始まる>

海沿いを北へ進む海沿いを北へ進む photo:Yufta Omata

75マイル折り返し地点キング・インターミディエイトASを出てからは、海沿いを北へとひた走る。だんだんと海と道路の感覚が狭まっていき、道路のすぐ下には青い海。それにしても、ハワイを形容するのに、「青い海」という言葉は古今東西どれだけ使われてきたのだろう。だけどやっぱり、ハワイの海は青い海だ。

海がだんだんと青さを増していく100マイル折り返しへの道海がだんだんと青さを増していく100マイル折り返しへの道 photo:Yufta Omata

というのも、北に進めば進むほど明らかに海の青さが増していくのだ。スタート地点ワイキキの海もきれいだったけれど、80km離れたこのあたりの海は手つかずの青さ。蒼い、といって差し支えない海を間近にサイクリングは、やっぱり幸せ。ワーイ!ハワ~イ!

海を間近に感じながらひた走る海を間近に感じながらひた走る

目の覚めるような海の青さ!ライドの疲れもどこへやら目の覚めるような海の青さ!ライドの疲れもどこへやら photo:Makoto Ayano

そして100マイル折り返し地点に到着!残すところはちょうど半分。折り返しコースのいいところは、半分まで来ちゃえばあとは一度走った道を走るだけという安心感があるところ。160kmずっと、見知らぬ道を走り続けるのは精神的にちょっと厳しいかもしれない。

今中さん、絹代さん、鶴見辰吾夫妻とレゴンの皆さんとも、ここで合流。それぞれ皆さんからの記念写真のリクエストに応えるのが忙しそうです。

ばらばらだったクラブ員が再びまとまる。鶴見辰吾夫妻とレゴンの皆さんばらばらだったクラブ員が再びまとまる。鶴見辰吾夫妻とレゴンの皆さん

100マイル折り返しAS前には日本でお馴染みのコンビニ。昼食・補給にコンビニエンスさを頼ろう100マイル折り返しAS前には日本でお馴染みのコンビニ。昼食・補給にコンビニエンスさを頼ろう photo:Yufta Omata

このエイドステーション前には見慣れたコンビニ。セブンイレブンでお昼ご飯を買うことにする。ちゃんと固形物も食べて、後半戦に備えねば。もちろんセブンイレブンとはいっても外国のそれ。おにぎりもメロンパンも無いので、ここはアメリカライクにハンバーガーを食べる。本当はハワイの味覚スパムにぎりを食べたかったけど、着いた時間が遅くて売り切れだった。残念。

<一気にゴールを目指す>

ただでさえ足が無いのに、途中で止まって写真を撮ったりしたせいで少しペースは遅めでここまで来てしまった。ここからはゴールの写真を撮るために急ぎ足で走らなくては。お仕事ですからね、ハイ(ゆっくり走りたいよぅ。疲れたよぅ)。というわけで後半はひたすら来た道を引き返した…ので書くことが無いのです(どんな実走レポートじゃ)。そしてゴールへ!

すべてのサイクリストが目指した終着地、フィニッシュラインすべてのサイクリストが目指した終着地、フィニッシュライン photo:Yufta Omata

ゴール!長い旅路を制したガッツポーズが勇ましい!ゴール!長い旅路を制したガッツポーズが勇ましい! photo:Yufta Omata夫婦で走りきった100マイル。2人で走れば、喜びは2倍!夫婦で走りきった100マイル。2人で走れば、喜びは2倍! photo:Yufta Omata


およそ10時間前にスタートしたカピオラニ公園に戻ってくると、今日という一日を走りきったんだという感慨で満たされる。ボランティアの方やゴールした人たちの拍手に包まれながら、芝生の上を走るとゴールのフィニシュアーチがお出迎え。名前もアナウンスされて、自分が主役の一日が完遂する。この充実感はロングライドイベントの快感。ホノルルセンチュリーライドを走ってよかった…。

ゴール!素敵な笑顔が自然にこぼれるゴール!素敵な笑顔が自然にこぼれる photo:Yufta Omataこの笑顔!最高の一日を物語りますこの笑顔!最高の一日を物語ります photo:Yufta Omataずっと夢見た100マイルのゴール。感極まっての涙が美しいずっと夢見た100マイルのゴール。感極まっての涙が美しい photo:Yufta Omata


あとは、続々とゴールしてくる人たちをレンズの中で待ち受ける。それにしてもみなさんの弾ける笑顔がまぶしい!役者がみんな主役の映画は成り立たないけれど、ホノルルセンチュリーライドでは走った人みんなが主役。ゴールで撮った表情に浮かんだのは、喜びと安堵とちょっとの誇らしさ。

奥さんに押されてゴールにやってきた鶴見辰吾さん。奥さん、グッジョブ!奥さんに押されてゴールにやってきた鶴見辰吾さん。奥さん、グッジョブ! photo:Yufta Omataチャリフィスの4人も感動のゴールチャリフィスの4人も感動のゴール photo:Yufta Omata


ご主人が怪我をされて、完走できないと思ったレゴンの方も走りきって思わず感激の涙。おめでとうございます!ご主人が怪我をされて、完走できないと思ったレゴンの方も走りきって思わず感激の涙。おめでとうございます!

夕暮れ。それぞれが最高の一日を過ごしたホノルルセンチュリーライドが幕を閉じた。ぼくも今日だけは自分を誇ってみようかな?


text:Yufta Omata
photo:Makoto Ayano、Yufta Omata

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