いよいよ今週末に開催が迫った「アルプスあづみのセンチュリーライド」。エントリーが始まるとすぐに定員に達するカテゴリがあるほどの超人気大会。エントリーできた方はおめでとうございます、一緒に走りましょう。漏れてしまった人は、このコースガイドと来週アップされる(ハズ)大会レポートを見て、来年リベンジしてください。それでは大会前の予習、最長コースの160kmのコースガイドをお届けします!



折り返し地点の白馬八方尾根スキー場。すれ違う参加者たち折り返し地点の白馬八方尾根スキー場。すれ違う参加者たち (c)MakotoAYANO
アルプスあづみのセンチュリーライドのスタート/ゴール地点となるのは松本市の「梓水苑」(しすいえん)。梓川のほとりにある、総合宿泊施設にたくさんの参加者が集まる。5月とはいえ、信州の朝は寒い。アームウォーマーやレッグウォーマー、薄手のウインドブレーカーといった体温調整がしやすい小物を装備していくのが良いだろう。

スタートしてから最初のエイド「穂高エイド」までは約20km。道幅の広い農道を中心に平坦な区間が続き、まずは足慣らし、といったところ。信州名物のリンゴ畑の間を縫って、「穂高エイド」まで到着すれば、地元の銘菓「あずさ」と「湯多里饅頭」が配られた。今年もきっと、おいしい食べ物が配られるはず。

すがすがしい朝の空気の中スタートラインに並ぶ参加者たちすがすがしい朝の空気の中スタートラインに並ぶ参加者たち (c)MakotoAYANO「いってらっしゃい、気をつけて!」スタートしていく参加者を見送る「いってらっしゃい、気をつけて!」スタートしていく参加者を見送る


穂高エイドで小腹を満たせば、安曇野のシンボルである常念岳の冠雪した山容を望みながら次の国営公園の大町エイドまで、安曇野の平野を突き進んでいく。おいしい安曇野の空気を胸一杯に吸い込みつつ、交通量の少ない田園風景の中を走っていく。

平坦基調のため、ペースの合う集団をつくってドラフティングをしながら走っていくと体力を温存できるだろう。大町エイドはメインルートからはすこし外れた迂回路の先にあるものの、人気のネギ味噌おにぎりが待っている。ここはショートカットせずに、素直にエイドに立ち寄るべき。ロングライドはレースじゃないので、速くったって別にエラくないのです。

残雪の山並みを横目に走る残雪の山並みを横目に走る (c)MakotoAYANO
大町エイドを出ると、川にかかる橋を渡れば、新緑を映しこんだような清流と、冠雪の白馬連峰が見える中を走っていく。しばらくの平坦路を満喫すれば、その先には犀川の支流である籠川沿いの緩やかな登りが待っている。斜度3%、距離2.7kmの緩いダラダラした坂がサイクリストを歓待してくれる。

大町温泉郷エイドはこの坂の先に用意されている。このエイドでは、例年大量のお漬け物が用意されており汗を流したサイクリストの塩分補給にぴったりだ。次に控える白馬エイドまでには二つの登りがあるため、足の攣り防止にもぜひごちそうになりたいところだ。

冠雪の山並みを眺めながら走る冠雪の山並みを眺めながら走る (c)MakotoAYANO緩いダラダラ坂を登る。ママチャリに乗った悪魔おじさんの姿も!緩いダラダラ坂を登る。ママチャリに乗った悪魔おじさんの姿も! (c)MakotoAYANO


次に迎える区間は今大会で最も手ごわい登り区間。長野オリンピックジャンプ競技の競技場となった白馬ジャンプ競技場エイドまでの約33kmの間に2か所の登坂区間がある。大町街道の”三日町北交差点”先のトンネルを抜けるといよいよ1本目の登り坂が始まる。この区間は約4kmの間に170mほど登り、所々で7%ほどの斜度の区間を有する平均勾配4.6%の坂であり、今大会の最高標高957mを記録する地点でもある。

ひとつ目の難所を登りきれば、その先は美麻までの4kmの下り区間を利用して一息つくことができる。少しの間、上りであがってしまった息を整えて次の上り区間へと備えよう。下りきって大町街道に出て、美麻トンネルの迂回路の旧道へ入ると細くて険しい峠道が待っている。この2つ目の上りの頂上には「峠」という身も蓋もない名前の看板がある峠なのだが、最大勾配10%ということもあり、蛇行する人が続出する。

眩しいぐらいの新緑と残雪の風景のなか走る眩しいぐらいの新緑と残雪の風景のなか走る (c)MakotoAYANO
コース中最高標高地点の標高957mの峠の上りコース中最高標高地点の標高957mの峠の上り (c)MakotoAYANO長い坂が続く。思わず蛇行してしまう...長い坂が続く。思わず蛇行してしまう...


この厳しい坂を乗り切った後は神城へと下り、白馬村に入ればひとまず難関をクリアした気分に浸ることができる。この160kmコースは前半部分に坂をもってきて、後半は厳しくないように設定されているのだ。序盤に苦しんで、後半は楽に帰ってこれるようにという「行きはよいよい帰りは怖い」の逆設定なのだ。体力に余裕のある前半に苦しむことで、安全面においても優れたコース設定だ。

飯森あたりから眼前に冠雪に覆われた後立山連峰の白い山肌が圧倒的な迫力で迫ってくる。今年の冬は厳しく、降雪も激しかったため、残雪の量もきっと多く、美しい景観が皆さんを待っているだろう。そんな大パノラマを味わっていると、折り返し地点となる八方尾根の白馬47スキー場のジャンプ台が見えてくる。

冠雪の山並みの麓に、折り返し地点の白馬ジャンプ競技場が見えてきた冠雪の山並みの麓に、折り返し地点の白馬ジャンプ競技場が見えてきた (c)Makoto.AYANO折り返し後は下り基調で楽チンだ。折り返し後は下り基調で楽チンだ。

大糸線を渡り、のどかさいっぱいの仁科三湖の湖畔道路を走る大糸線を渡り、のどかさいっぱいの仁科三湖の湖畔道路を走る (c)MakotoAYANO仁科三湖のひとつ木崎湖。思わず飛び込みたくなる。仁科三湖のひとつ木崎湖。思わず飛び込みたくなる。


白馬ジャンプ競技場に設置されているエイドで休憩すれば、ついに折り返して帰路へと就くこととなる。青木湖、中綱湖、木崎湖の「仁科三湖」沿いの道を走る。バイパスが整備されたため、ほんの数年前は主要道だった道が、今はのどかな田舎道になっている。素朴な集落と湖を眺めながら走る、自転車で走りやすい湖畔の道だ。特に木崎湖は宇宙人と男子高校生の出会いを描いたアニメの舞台となったいわゆる「聖地」でもあり、人気の高い観光地でもある。

後半は、目立った上りもなくまったりとしたサイクリングを楽しみながらゴール地点である「梓水苑」へと向かっていく。しいて挙げるならば、100km近くを走ってきたサイクリストにとって、アートヒルズ手前にある坂が少しキツめの障壁になるかもしれない。



さあ、160kmの行程をざっくりと紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?今週末のアルプスあづみのセンチュリーライド、参加する方の参考になれば幸いです。ぜひ、信州の自然とグルメを味わいつくしてくださいね。編集部も取材予定なので、気軽に声をかけてください。それでは、週末お会いしましょう!

なお、公式Facebookページではコース変更や大会情報などが細かくアップされているので参加予定の人は「いいね!」して参考にして欲しい。


text:Naoki.Yasuoka