サンルイスは3日目にしてクイーンステージを迎えた。標高1270mの1級山岳、ミラドール・ポトレロへとゴールする難関コースで、アレックス・ディニス(ブラジル、ファンヴィック・ブラジルインベスト)が金星を上げることに成功。同時に総合首位に立った。

逃げるシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)やベン・ガスタウアー(ルクセンブルク、アージェードゥーゼル)逃げるシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)やベン・ガスタウアー(ルクセンブルク、アージェードゥーゼル) (c)tour de san luis2日間続いた平坦ステージを終え、ツール・ド・サンルイス2013はここから山岳ステージへと突入していく。1月23日に行われた第3ステージは、山岳初日にして最難関のクイーンステージだ。

そのコースプロフィールは中盤に標高2084mの1級山岳アルト・デ・ノゴリを越え、最後は標高1280m、登坂距離4.8kmのミラドール・ポトレロ頂上へと上り詰める。この平均勾配6.7%の峠路で、総合争いが勃発した。

逃げを見送り、スローペースで進むメイン集団逃げを見送り、スローペースで進むメイン集団 (c)tour de san luisこの日は序盤、定石通りの地元南米勢のアタックによりレースが動く。それに加えてプロツアーチーム勢もシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)とベン・ガスタウアー(ルクセンブルク、アージェードゥーゼル)、エロイ・テルエル(スペイン、モビスターチーム)を送り込み、山岳争いに向けて駒を有利に進めていく。

逃げる7名はすぐさま7分のタイム差を稼ぎだすことに成功した。

登坂距離25kmに渡る1級山岳アルト・デ・ノゴリでは、地元アルゼンチン出身のジョージ・ジアシンティ(サンルイス・ソモストドス)がシャヴァネルを抑えて先頭通過。今ステージ終了時点での山岳ジャージ獲得を決定付ける。

荒々しい岩肌の1級山岳アルト・デ・ノゴリを下るメイン集団荒々しい岩肌の1級山岳アルト・デ・ノゴリを下るメイン集団 (c)tour de san luis

キャノンデール・プロサイクリングが集団の前方を固める。中央は増田成幸キャノンデール・プロサイクリングが集団の前方を固める。中央は増田成幸 (c)tour de san luisその一方で、メイン集団ではアルベルト・コンタドール(スペイン)をエースに据えるサクソ・ティンコフやヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア)を勝利に導きたいアスタナ勢、さらにランプレ・メリダもここに加わってペースメイクし、頂上ゴールへ向けての体制を整えていく。分解していた逃げグループは残り10kmまでに全て集団にキャッチされた。

キャノンデール・プロサイクリングやBMCレーシングチームが集団のペースをコントロールキャノンデール・プロサイクリングやBMCレーシングチームが集団のペースをコントロール (c)tour de san luis精鋭グループを引き離し、キャリア最大の勝利を挙げたアレックス・ディニス(ブラジル、ファンヴィック・ブラジルインベスト)精鋭グループを引き離し、キャリア最大の勝利を挙げたアレックス・ディニス(ブラジル、ファンヴィック・ブラジルインベスト) (c)tour de san luisそしてハイペースをキープしたまま最後のミラドール・ポトレロへと突入すると、一気に集団の人数は縮小。するとゴールまで3kmを残した時点で、アレックス・ディニス(ブラジル、ファンヴィック・ブラジルインベスト)が1人アタック。

これにはマウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・セレイタリア)やタジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)らが反応したが、ニーバリやコンタドールは開いた差を詰めることが出来なかった。

先頭でパワフルに踏み続けるディニスは後続を引き離し独走に持ち込むと、残り1kmで25秒まで獲得したタイム差を最後までキープ。何度も後ろを振り返ると、両手を高く上げてゴールへと飛び込んだ。

ハンドルを投げるスプリントの末、2位はサンタンブロジオ、3位はミカル・クヴィアトコウスキ(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)。

27歳のブラジル人クライマーであるディニスにとって、これがキャリア最大の勝利。ゴール後すぐのインタビューで「僕にとって、ブラジルのサイクリング界にとってとても大きな勝利だ。誰かが捕まえにくると思い振り返っても、そこには誰もいなかった」と喜び語るディニスは、ステージ優勝と共にリーダージャージの獲得にも成功した。

この日コンタドールは48秒遅れの13位、ニーバリは2分3秒遅れの32位でゴール。増田成幸(キャノンデール・プロサイクリング)は8分42秒遅れの81位でレースを終えている。

翌第4ステージは、はサンルイス市街地の平坦コースで行われる19.2kmの個人タイムトライアル。更に総合順位にシャッフルが掛けられるものと予想される。


ツール・ド・サンルイス2013第3ステージ結果
1位 アレックス・ディニス(ブラジル、ファンヴィック・ブラジルインベスト)4h29′36″
2位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・セレイタリア) +24″
3位 ミカル・クヴィアトコウスキ(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ) 
4位 バルト・ デクレルク(ベルギー、ロット・ベリソル) +25″
5位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
6位 ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)
7位 リカルド・ディアス(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス) +29″
8位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ) +34″
9位 ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)
10位 アンドレ・カルドソ(ポルトガル、カハルーラル)
81位 増田成幸(キャノンデール・プロサイクリング) +8′42″

個人総合成績
1位 アレックス・ディニス(ブラジル、ファンヴィック・ブラジルインベスト)12h07′48″
2位 マウロ・サンタンブロジオ(イタリア、ヴィーニファンティーニ・セレイタリア) +24″
3位 ミカル・クヴィアトコウスキ(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 ユルゲン・ヴァンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル) +25″
5位 バルト・ デクレルク(ベルギー、ロット・ベリソル)
6位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
7位 リカルド・ディアス(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス) +29″
8位 ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ) +34″
9位 アンドレ・カルドソ(ポルトガル、カハルーラル)
10位 ディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)
73位 増田成幸(キャノンデール・プロサイクリング)+8′42″

山岳賞
ジョージ・ジアシンティ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)

ポイント賞
ラーンドロ・メッシネオ(アルゼンチン、サンルイス・ソモストドス)

新人賞
アレハンドロ・シヴォーリ(アルゼンチン、アルゼンチンナショナルチーム)

チーム総合成績
アスタナ


text:So.Isobe
photo:tour de san luis,Cor.Vos