総合候補のフランク・シュレクが大きくタイムを失ってしまった第6ステージ。序盤の平坦ステージを締めくくったのは3勝目のサガン。第7ステージの山岳からは新たな局面に入っていく。

ステージ優勝・ポイント賞のペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

集団スプリントでグライペルを下したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)集団スプリントでグライペルを下したペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:Cor Vos今日みたいなステージで優勝できて、とてもうれしい。昨日は落車もあって不運だったけど、まったく骨折してなかったし、ケガもなかったので満足だ。他の選手と比べられたくはない。僕はペーター・サガンでありたい。

圧倒的なリードでマイヨヴェールを着るペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)圧倒的なリードでマイヨヴェールを着るペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) photo:Makoto Ayanoあの落車が起きたとき、僕は集団前方付近にいた。2人の選手が目の前に押し出されたので、ブレーキをかけなければならなかった。後ろにいたヴィンチェンツォ・ニーバリもブレーキをかけなければならなかった。僕たちの後ろのほうでは落車が起きていた。これがレースというものだ。これがツール・ド・フランスなんだろう。とてもナーバスなんだ。事故が起きたのは下りで、集団のスピードも上がっていて。とても危険だった。

また1勝できた。今回(のガッツポーズ)は『超人ハルク』だ。

マイヨヴェールは獲得したい。パリまでずっと着ていたい。

今日は予想以上の結果だ。僕自身も驚いている。いい走りをしたいと思っていたけど、まだツールの序盤に過ぎないと自分に言い聞かせている。明日から本当のレースが始まる。山岳コースだからね。2週間後、3週目が始まる頃には本当に過酷になっているだろう。

今日はうまくいったと思う。他のスプリンターたちが少し疲れていた。それが勝利の鍵だったのだろう。


総合1位のファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)

マイヨジョーヌを着続けるファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)マイヨジョーヌを着続けるファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) photo:Makoto Ayano地道に走り続けて、このマイヨジョーヌをどれだけキープできるか確かめてきたけど、明日で確実に風向きが変わる。まったく別方向の風向きになるはずだ。坂を登るにつれて、本当に過酷になっていくだろう。そして、僕がマイヨジョーヌを着る日が終わりになることもわかっている。

集団内で走るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)やファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)集団内で走るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームスカイ)やファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) photo:Makoto Ayanoフランク(シュレク)はタイムを失ったけど、僕たちは先に進むよ。これまで通り先に進まざるを得なかったときと同じようにね。僕たちには(総合9位の)アンドレアス・クレーデンがいて、他にも上位の選手(総合10位のモンフォール)もいる。

フランクは今日の落車で数分を失った。でも、僕たちが「これでツールは終了!」と宣言すべきとは思わない。これで他のたくさんのチームがプレッシャーを受けることになる。これが僕たちの助けになるかもしれない。

他のチームがプレッシャーをかけられたときは、僕たちには有利な状況だ。山岳ステージに入ったときに、そこにフランクがいることが僕たちに有利に作用しそうだ。

マイヨジョーヌ着用日数を通算27日に伸ばしたファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)マイヨジョーヌ着用日数を通算27日に伸ばしたファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン) photo:Makoto Ayanoこれまでとは違う戦術を用いざるを得ないけど、レディオシャック・ニッサン・トレックはまだまだチームとして機能する。最後まで諦めるつもりはない。

今日は波乱の1日だった。あんな落車は不愉快だ。自分のすぐ傍で起きたんだから、なおさらだ。落車がどうやって起きたかはわからない。前を見ることに集中しなければならなかったからね。自分自身に注意して、地面に落ちる羽目になった選手の1人になってはいけないんだ。それが僕たちの仕事の1つだ。

できるだけチームとして集団の前のほうで走るようにしている。でも、集団の前から20番目くらいのときに落車が起きたら困難なことになる。60番目くらいの位置でも面倒なことになる。

フランクは今日タイムを失ったけど、今後の数日間(山岳ステージ)に期待して先に進むことにする。


敢闘賞のデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)

レース序盤から逃げるデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)らレース序盤から逃げるデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)ら photo:Cor Vosあんなに長く逃げられるとは思わなかった。逃げに乗ってみただけだったし、すぐに捉まるだろうと思っていた。ラスト12〜13kmはずっと追い風だったので後ろに下がるのも難しくて、ああいう状況になった。逃げ集団はただゴールを目指そうとしていただけだ。吸収される前に、最後にもがいてみたら、みんな千切れていった。

敢闘賞を獲得したデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)敢闘賞を獲得したデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ) photo:Makoto Ayano敢闘賞は獲得したけど、今日チームに起きたこと(ダニエルソンのリタイアとヘジダルの遅延)を埋め合わせるにはほど遠い。本当に不運だ。でも、このレースは浮き沈みが多いから、こんなものだろう。とても残念だ。

僕はまだチームの上層部ではないけど、(今日の事故について)互いを慰め合ったり励まし合うことになるだろう。僕たちはチームメイトである限り、ちょっとした家族だ。だから、そういう役割を果たしたい。

今日の落車をたとえると、高速道路が無法地帯になったときに体験するのと同じ状況だ。

ツール・ド・フランス、おおむね自転車レースでは、こんなことが起きる日がある。世界最強の選手であっても、運任せになることがよくある。幸運を掴むこともあるし、不運を…[インタビュー中に会場のBGMが変わる]あ、ちょっと待って。今マイケル・ジャクソンが流れているよね。こういうのが幸運だ。


チームメイト全員が落車に巻き込まれたアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

落車により3分31秒遅れでゴールしたロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)落車により3分31秒遅れでゴールしたロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) photo:Makoto Ayano最初の落車のときは路面が濡れていた。ラボバンクの選手が僕のすぐ前で落車して、僕を含む後続選手は避けられなかった。左半身にアザがいくつかできたけれど、致命的ではなかった。(残り25kmでの)2度目の落車では、かなり高速で走っていた。

救急車に担ぎ込まれるワウテル・ポエルス(ヴァカンソレイユ・DCM)救急車に担ぎ込まれるワウテル・ポエルス(ヴァカンソレイユ・DCM) (c)CorVos誰もが前に位置取りしようとしていたので、なにが起きるかは予想できたし、予想通りになった。全員がツールでの勝利を目指しているかのように必死になって走っていた。僕はなんとか体勢を保てたけれど、止まれなかった他の選手に追突されて落車した。

地面に投げ出された僕の太腿に、別の選手が激しくぶつかってきた。お尻の下のほうに激しい衝撃があったのが一番のダメージになった。(レースを終えて)身体が冷えてきたら、ダメージがさらに増した。

これで2分以上遅れてしまった。今の時点では、この遅れに対してなにもできない。一番心配なのは、どうやって今晩眠って明日起きられるかだ。山岳ステージが始まると、さらに厄介になる。でも、明日のスタートには支障はないし、どうなるのか様子を見たい。


コメントはプレスリリース、チーム公式サイト、選手個人サイト、TVインタビュー、twitterなどより。


text: Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI
photo:Makoto.Ayano,CorVos