2011年3月30日、KBCデパンヌ3日間レース(UCI2.HC)第2ステージが行なわれ、急坂と横風がメイン集団を破壊。ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)を始め、多くの選手たちが後方に取り残される中、デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)がゴールスプリントで勝利した。

次点でポイント賞ジャージを着るリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)次点でポイント賞ジャージを着るリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Cor Vosデパンヌ2日目は、内陸部のオーデナールデから北海沿いのコクスアイデまでの219km。先日のヘント〜ウェベルヘムに登場したケンメルベルグやモンテベルグなど、合計6つの急坂が中盤にかけて設定されている。

急坂の数は初日の半分で、しかもゴール100km手前はほぼ真っ平ら。しかし北海から吹き付ける風がレースの難易度を上げた。

ケンメルベルグをクリアするステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)ケンメルベルグをクリアするステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Cor Vosレースは20km地点のテーゲンベルグで動く。メイン集団から飛び出したのはロニー・マルティアス(フランス、ソール・ソジャサン)、ミカエル・ドラージュ(フランス、FDJ)、ミハイル・イグナチエフ(ロシア、カチューシャ)、ステフェン・カエトホフェン(ベルギー、ベランダス・ヴィレムス)そしてトラック世界選手権マディソンで連覇を果たしたばかりのリー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード)。

先頭5名は最大5分30秒のリードで、中盤の急坂連続区間に突入。最大勾配18.7%のケンメルベルグとモンテベルグはメイン集団は分裂し、20名ほどのグループが先頭5名を捕らえる。リーダージャージを着るアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)やブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)、ヘルト・ステーグマン(ベルギー、クイックステップ)といった有力選手は後方に取り残された。

メイン集団から遅れたアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)メイン集団から遅れたアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット) photo:Cor Vos先頭グループは60名ほどに膨れ上がり、グライペルを含む第2集団とのタイム差を広げていく。向かい風も影響し、第2集団が追いつくことはなかった。

やがて先頭集団からギヨーム・ファンケイルスブルク(ベルギー、クイックステップ)とジミー・アングルヴァン(フランス、ソール・ソジャサン)、アルノー・ファングローエン(オランダ、ベランダス・ヴィレムス)の3名が飛び出し、45秒のリードでコクスアイデの周回コースに突入する。

集団スプリントで先頭に立つデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)集団スプリントで先頭に立つデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ) photo:Cor Vosメイン集団はHTC・ハイロードやFDJ、スキル・シマノが率いて追撃体制。先頭3名の中から飛び出したファングローエンが粘ったが、ゴールまで1.5kmを残して集団に吸収された。

前日の優勝者グライペルを欠く、混戦のスプリント勝負。FDJが率いた集団からトーマス・ヴァイクス(リトアニア、アスタナ)が先頭でスプリント体勢に入り、その番手からガリムジャノフが発進。伸びのあるスプリントでガリムジャノフが先着した。

プロ初勝利を飾ったデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)プロ初勝利を飾ったデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ) photo:Cor Vos2009年からカチューシャに所属し、エーススプリンターとして活躍するガリムジャノフは24歳。昨年ジャパンカップのクリテリウムレースで2位に入っている。ビッグレースのスプリントで何度もトップ5に入っているが、これが念願のプロ初勝利。ガリムジャノフのインタビューは別記事「日本への思いを胸に、初勝利に向けてスプリントしたガリムジャノフ」へ。

ケンメルベルグで遅れたウィギンズやグライペルらは5分09秒遅れでゴール。メイン集団内でゴールしたリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)の手にリーダージャージが渡ると同時に、ウィギンズのデパンヌ総合優勝の夢は潰えた。

ナショナルチャンピオンジャージを着るステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)はレース中盤の落車によって遅れ、同じく集団から脱落したアレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)やフィリッポ・ポッツァート(イタリア、カチューシャ)とともに12分以上遅れてゴールしている。

レースは残り2ステージ。最終日には112kmのロードレースと14.7kmの個人タイムトライアルが行なわれる。

レース展開はストリーミング映像より。

KBCデパンヌ3日間レース2011第2ステージ結果
1位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)        5h08'18"
2位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、HTC・ハイロード)
3位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)
4位 トーマス・ヴァイクス(リトアニア、アスタナ)
5位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)
6位 アイディス・クロピス(リトアニア、ランドバウクレジット)
7位 ラッセル・ダウニング(イギリス、チームスカイ)
8位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ)
9位 ジミー・カスペール(フランス、ソール・ソジャサン)
10位 ミカル・クヴィアトコウスキ(ポーランド、レディオシャック)   

個人総合成績
1位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)     9h30'43"
2位 バート・デバッカー(ベルギー、スキル・シマノ)
3位 ジョン・デゲンコルブ(ドイツ、HTC・ハイロード)          +02"
4位 アルノー・ファングローエン(オランダ、ベランダス・ヴィレムス)
5位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)     +04"
6位 デミトリ・ムラフエフ(カザフスタン、レディオシャック)
7位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD)            +05"
8位 ミカエル・ドラージュ(フランス、FDJ)               +06"
9位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)        +08"
10位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ)

ポイント賞
ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)

山岳賞
ローレンス・デヴリーゼ(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)

チーム総合成績
ヴァカンソレイユ・DCM

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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