70km/hを超えるボルドーの大集団スプリントを制したのはティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)。発射台を失いながらもソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)を打ちまかし、ツール4勝目をマークした。
7月10日(金)第7ステージ
アジュトモー〜ボルドー 走行距離175.1km/獲得標高850m(平坦)

チーム内不和が取り沙汰されたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:A.S.O. 
スプリントに期待されるヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) photo:A.S.O.

マイヨジョーヌを取り戻したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)と、マイヨブランのイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.
タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が圧倒的なパフォーマンスを披露したピレネー決戦から一夜明け、プロトンは公式記録に残るステージ数が82回(登場回数パリに次いで2位)を誇る、言わずと知れたワインの一大産地ボルドーを目指す。
残り37.8km地点にはアクセントとなる4級山岳が設定されてはいるが、5日目のようにスプリンターを絞り込むような難易度ではない。獲得標高も今大会最小の850mと正真正銘の平坦ステージであり、フィニッシュ地点はマーク・カヴェンディッシュをはじめ、名だたるスプリンターが勝利を重ねてきたボルドー。この日はここ数日序盤から当然のようにスプリンターチームが主導権を握った。

第7ステージ アジュトモー〜ボルドー image:A.S.O.
マイヨジョーヌを着ながらトゥールマレーの下りで落車し、脳震盪と肋骨骨折によってプロトンを去ったトースタイン・トレーエン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)を除く176名がアジュトモーの街をスタート。クリスティアン・プリュドム氏が旗を振るディレクターカーに導かれて0km地点を通過すると共に、2日前にもたった一人で144km逃げを演じたバティスト・ヴェストロフール(フランス、ロット・アンテルマルシェ)がアタック。しかしこの日は一人きりではなく、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)のスプリントを狙うカハルラル・セグロスRGAのヤコブ・オトルバ(チェコ)がその動きをフォローした。
ぐいぐいとメイン集団からリードを奪い、あっさりと逃げを決めた2名だったものの、スプリントに意気込むスーダル・クイックステップとアルペシン・プレミアテックは大きなリードを与えることなく1分強という超タイトコントロールを見せる。タイム差が広げなかったことで、100km以上を残した中盤戦にはウノエックス・モビリティがメイン集団のペースを引き上げ、ペースコントロールを担うスプリンターチームの反感を買うシーンも。

バティスト・ヴェストロフール(フランス、ロット・アンテルマルシェ)とヤコブ・オトルバ(チェコ、カハルラル・セグロスRGA)が0kmアタックを成功させる photo:A.S.O.

メイン集団は極めて平穏な展開に。スプリンターチームがタイム差1分でコントロールした photo:A.S.O.

装飾が施された街中を駆け抜ける photo:A.S.O.
共にまだ勝利に手が届いていないスーダル・クイックステップとアルペシン・プレミアテックが、それぞれパスカル・エインコールン(オランダ)とシルヴァン・ディリエ(スイス)という世界最高クラスのルーラーを並べて集団牽引。徹底的なペースコントロールによって特筆すべき展開も、落車も起こらない平穏な状況でラスト55km地点にある中間スプリントへ。
先頭2名は横一線のスプリント勝負の末にヴェストロフールが先頭通過(25pts)し、1分03秒差で雪崩れ込んだメイン集団では、スタート前に「今日は被害を最小限に抑えることが目標」と笑っていたマイヨヴェールのマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が先着して3位通過(16pts)。続く4級山岳でも激しい勝負の末にヴェストロフールが先着し、メイン集団に吸収される前に一花咲かせることに成功している。

森の中を逃げるバティスト・ヴェストロフール(フランス、ロット・アンテルマルシェ)とヤコブ・オトルバ(チェコ、カハルラル・セグロスRGA) photo:A.S.O.

ランド県の広大な森林地帯「ランドの森」を駆け抜ける photo:A.S.O.

ポガチャルの繰り下がりでマイヨアポワを着るヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.
古くからワイン貿易で名を馳せたボルドーに注ぎ込む、粘土を含んだ茶色い水で満たされたガロンヌ川沿いの県道10号線を高速巡行。150kmに渡って逃げ続けたヴェストロフールとオトルバは残り20km付近で吸収され、NSNSサイクリングチームやバーレーン・ヴィクトリアス、デカトロンCMA CGMといったチームも集団先頭に顔を出してコントロール。
各チームが落車を警戒する、残り7.2km地点で1車線になる危険ポイントも安全にクリアし、ここからは打って変わって各チームが激しく位置取り争いを繰り広げるナーバスな展開に。右に左に曲がりくねった市街地コースを50km/hオーバーで駆け抜け、ラスト4kmでガロンヌ川を渡る橋を渡り、地下道を通り抜けてラスト2km。一旦他チームの後ろで様子を伺っていたアルペシン・プレミアテックが総勢5名で主導権を握り返した。
リードアウトトレインが崩壊した他チームを横目に、ヨナス・リカールト(ベルギー)からエドワルト・プランカールト(ベルギー)に繋ぎ、残り700mでヤスペル・フィリプセン(ベルギー)を従えたマチュー・ファンデルプール(オランダ)が先頭に立って思いきりペースを引き上げ、残り250mでフィリプセンを解き放つ。

「プレッシャーを振り払う」ポーズでフィニッシュするティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

ツール4回目の区間勝利を挙げたティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos
フェンス側から追い抜きを図るガビリアを抑えたまでは良かったものの、最後の最後でフィリプセンは伸びなかった。「スピードが足りなかった。チーム全体が完璧なプレーをしていただけに残念」と悔やむフィリプセンを、大きく空いた左側から抜き去ったのはメルリールとソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)。最終盤の伸びに定評のあるメルリールがヴァーレンショルトを引き剥がして、大きなリードと共にフィニッシュラインに飛び込んだ。
集団スプリントの第1ラウンドとなった2日前の第5ステージでは位置取り争いで埋もれ、3位に終わっていたメルリールが、昨日リタイアしたリードアウト役のベルト・ファンレルベルへ(ベルギー)不在の逆境で今大会1勝目を掴んだ。ツールの区間優勝は初勝利した2021年大会、2勝した昨年大会に続く4回目。グランツールでのステージ優勝はジロ・デ・イタリアの4勝を合わせて合計8に。大会主催者A.S.O.のデータによれば、最終1kmの平均スピードは72km/hだった。

今大会初勝利を挙げたティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

危なげなくマイヨジョーヌを守ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

バティスト・ヴェストロフール(フランス、ロット・アンテルマルシェ)は今大会2回目の敢闘賞を獲得 photo:A.S.O. 
中間スプリントでポイントを稼いだマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)がヴェールを維持 photo:A.S.O.
「ヤスペル(ストゥイヴェン)の後ろになかなかつけず、どの選手の背後につくべきかまるでカジノのような状態だった。ヤスペルの後ろに戻るため、自力で番手を上げ、一度は余裕が生まれたけどラスト600mで再び囲まれてしまった。カオスなスプリントだったけれど、勝つことができて本当に嬉しい」と語るメルリールは、ポイント賞ランキングでも8位から4位にまでジャンプアップに成功している。
翌第8ステージもまたスプリンターにとっての活躍の場だ。ペリグーからベルジュラックを目指す180kmコースには4級山岳に設定されている丘が2箇所だけで、最終500mからはフィニッシュライン目掛けてまっすぐな道が続く。今大会スプリントと目されているステージはあと3回。既に残り少なくなったチャンスを目掛けて再びスプリンターの華やかな戦いが繰り広げられるはずだ。
7月10日(金)第7ステージ
アジュトモー〜ボルドー 走行距離175.1km/獲得標高850m(平坦)



タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が圧倒的なパフォーマンスを披露したピレネー決戦から一夜明け、プロトンは公式記録に残るステージ数が82回(登場回数パリに次いで2位)を誇る、言わずと知れたワインの一大産地ボルドーを目指す。
残り37.8km地点にはアクセントとなる4級山岳が設定されてはいるが、5日目のようにスプリンターを絞り込むような難易度ではない。獲得標高も今大会最小の850mと正真正銘の平坦ステージであり、フィニッシュ地点はマーク・カヴェンディッシュをはじめ、名だたるスプリンターが勝利を重ねてきたボルドー。この日はここ数日序盤から当然のようにスプリンターチームが主導権を握った。

マイヨジョーヌを着ながらトゥールマレーの下りで落車し、脳震盪と肋骨骨折によってプロトンを去ったトースタイン・トレーエン(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)を除く176名がアジュトモーの街をスタート。クリスティアン・プリュドム氏が旗を振るディレクターカーに導かれて0km地点を通過すると共に、2日前にもたった一人で144km逃げを演じたバティスト・ヴェストロフール(フランス、ロット・アンテルマルシェ)がアタック。しかしこの日は一人きりではなく、フェルナンド・ガビリア(コロンビア)のスプリントを狙うカハルラル・セグロスRGAのヤコブ・オトルバ(チェコ)がその動きをフォローした。
ぐいぐいとメイン集団からリードを奪い、あっさりと逃げを決めた2名だったものの、スプリントに意気込むスーダル・クイックステップとアルペシン・プレミアテックは大きなリードを与えることなく1分強という超タイトコントロールを見せる。タイム差が広げなかったことで、100km以上を残した中盤戦にはウノエックス・モビリティがメイン集団のペースを引き上げ、ペースコントロールを担うスプリンターチームの反感を買うシーンも。



共にまだ勝利に手が届いていないスーダル・クイックステップとアルペシン・プレミアテックが、それぞれパスカル・エインコールン(オランダ)とシルヴァン・ディリエ(スイス)という世界最高クラスのルーラーを並べて集団牽引。徹底的なペースコントロールによって特筆すべき展開も、落車も起こらない平穏な状況でラスト55km地点にある中間スプリントへ。
先頭2名は横一線のスプリント勝負の末にヴェストロフールが先頭通過(25pts)し、1分03秒差で雪崩れ込んだメイン集団では、スタート前に「今日は被害を最小限に抑えることが目標」と笑っていたマイヨヴェールのマッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック)が先着して3位通過(16pts)。続く4級山岳でも激しい勝負の末にヴェストロフールが先着し、メイン集団に吸収される前に一花咲かせることに成功している。



古くからワイン貿易で名を馳せたボルドーに注ぎ込む、粘土を含んだ茶色い水で満たされたガロンヌ川沿いの県道10号線を高速巡行。150kmに渡って逃げ続けたヴェストロフールとオトルバは残り20km付近で吸収され、NSNSサイクリングチームやバーレーン・ヴィクトリアス、デカトロンCMA CGMといったチームも集団先頭に顔を出してコントロール。
各チームが落車を警戒する、残り7.2km地点で1車線になる危険ポイントも安全にクリアし、ここからは打って変わって各チームが激しく位置取り争いを繰り広げるナーバスな展開に。右に左に曲がりくねった市街地コースを50km/hオーバーで駆け抜け、ラスト4kmでガロンヌ川を渡る橋を渡り、地下道を通り抜けてラスト2km。一旦他チームの後ろで様子を伺っていたアルペシン・プレミアテックが総勢5名で主導権を握り返した。
リードアウトトレインが崩壊した他チームを横目に、ヨナス・リカールト(ベルギー)からエドワルト・プランカールト(ベルギー)に繋ぎ、残り700mでヤスペル・フィリプセン(ベルギー)を従えたマチュー・ファンデルプール(オランダ)が先頭に立って思いきりペースを引き上げ、残り250mでフィリプセンを解き放つ。


フェンス側から追い抜きを図るガビリアを抑えたまでは良かったものの、最後の最後でフィリプセンは伸びなかった。「スピードが足りなかった。チーム全体が完璧なプレーをしていただけに残念」と悔やむフィリプセンを、大きく空いた左側から抜き去ったのはメルリールとソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ)。最終盤の伸びに定評のあるメルリールがヴァーレンショルトを引き剥がして、大きなリードと共にフィニッシュラインに飛び込んだ。
集団スプリントの第1ラウンドとなった2日前の第5ステージでは位置取り争いで埋もれ、3位に終わっていたメルリールが、昨日リタイアしたリードアウト役のベルト・ファンレルベルへ(ベルギー)不在の逆境で今大会1勝目を掴んだ。ツールの区間優勝は初勝利した2021年大会、2勝した昨年大会に続く4回目。グランツールでのステージ優勝はジロ・デ・イタリアの4勝を合わせて合計8に。大会主催者A.S.O.のデータによれば、最終1kmの平均スピードは72km/hだった。




「ヤスペル(ストゥイヴェン)の後ろになかなかつけず、どの選手の背後につくべきかまるでカジノのような状態だった。ヤスペルの後ろに戻るため、自力で番手を上げ、一度は余裕が生まれたけどラスト600mで再び囲まれてしまった。カオスなスプリントだったけれど、勝つことができて本当に嬉しい」と語るメルリールは、ポイント賞ランキングでも8位から4位にまでジャンプアップに成功している。
翌第8ステージもまたスプリンターにとっての活躍の場だ。ペリグーからベルジュラックを目指す180kmコースには4級山岳に設定されている丘が2箇所だけで、最終500mからはフィニッシュライン目掛けてまっすぐな道が続く。今大会スプリントと目されているステージはあと3回。既に残り少なくなったチャンスを目掛けて再びスプリンターの華やかな戦いが繰り広げられるはずだ。
ツール・ド・フランス2026第7ステージ結果
| 1位 | ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) | 3:44:20 |
| 2位 | ソーレン・ヴァーレンショルト(ノルウェー、ウノエックス・モビリティ) | |
| 3位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NSNサイクリングチーム) | |
| 4位 | マックス・カンター(ドイツ、XDSアスタナ) | |
| 5位 | ヤスペル・フィリプセン(ベルギー、アルペシン・プレミアテック) | |
| 6位 | フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス) | |
| 7位 | フープ・アルツ(オランダ、ロット・アンテルマルシェ) | |
| 8位 | ドリアン・ゴドン(フランス、ネットカンパニー・イネオス) | |
| 9位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | |
| 10位 | トム・ファンアスブルック(ベルギー、NSNサイクリングチーム) |
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
| 1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 4:56:17 |
| 2位 | ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | +2:42 |
| 3位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | +3:27 |
| 4位 | レムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:30 |
| 5位 | ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) | +3:34 |
| 6位 | フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) | +3:55 |
| 7位 | フアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック) | +4:00 |
| 8位 | マティアス・スケルモース(デンマーク、リドル・トレック) | +4:21 |
| 9位 | レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) | +4:57 |
| 10位 | セップ・クス(アメリカ、ヴィスマ・リースアバイク) | +7:10 |
マイヨヴェール(ポイント賞)
| 1位 | マッズ・ピーダスン(デンマーク、リドル・トレック) | 204pts |
| 2位 | ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、NSNサイクリングチーム) | 145pts |
| 3位 | マックス・カンター(ドイツ、XDSアスタナ) | 140pts |
マイヨアポワ(山岳賞)
| 1位 | タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) | 28pts |
| 2位 | ヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) | 19pts |
| 3位 | レニー・マルティネス(フランス、バーレーン・ヴィクトリアス) | 16pts |
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
| 1位 | イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツXRG) | 24:59:44 |
| 2位 | フアン・アユソ(スペイン、リドル・トレック) | +0:07 |
| 3位 | ポール・セクサス(フランス、デカトロンCMA CGM) | +0:28 |
チーム総合成績
| 1位 | リドル・トレック | 74:38:20 |
| 2位 | レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ | +27:01 |
| 3位 | UAEチームエミレーツXRG | +27:08 |
text:So Isobe
photo:CorVos, A.S.O.
photo:CorVos, A.S.O.
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