「4度目の総合優勝、そして6年連続の総合表彰台なんて信じられない」とツールを制したタデイ・ポガチャルは喜びを語った。長年のライバルであるヴィンゲゴーとの激闘を振り返りつつ、「歳を取るにつれプレッシャーは拡大していく」と絶対王者としての胸の内も明かした。



マイヨジョーヌ&マイヨアポワ(山岳賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

レース直後インタビュー

3度目のモンマルトルでワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が仕掛けた photo:A.S.O.

終盤、なぜか先頭で勝利を争っている自分がいた。勝利を狙いに行くモチベーションも力もないのにもかかわらず。だけど総合タイムがニュートラル(タイム差なし)になったことにより、リラックスして先頭集団にいることができた.
最後はワウト(ファンアールト)が強く、勝った彼を称賛したい。

4度目の総合優勝なんて言葉がない。そして6年連続の総合表彰台なんて信じられない。特に今年は特別な気持ちでこのマイヨジョーヌを獲得した。

健闘を称え合うヴィンゲゴーとポガチャル photo:A.S.O.

僕には素晴らしい雰囲気とスピリットを持ったチームがいて、ツール初日から戦い続けた。そして第5ステージ(個人タイムトライアル)をクリアし、ミュール・ド・ブルターニュ(第7ステージ)からは良いコンディションで勝利を狙うことができた。そして第2週が勝負を分けた。そこでリードを拡げ、自信を持って第3週に臨むことができた。

ヨナス(ヴィンゲゴー)とはレース中に、ここ5年にわたるお互いの戦いや、高め合ったことについて話し合った。今年もヨナスとの戦いは厳しいもので、僕は彼を尊敬し、彼の走りを称賛したい。

表彰式直後インタビュー

チームメイトと喜ぶタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

プレッシャーの扱い方は、決してうまくなっていない。歳を取るにつれ、自分の中の少年な部分が減っていく。そうするとプレッシャーは拡大していく。若い頃はただレースをすればよかったのに対し、徐々に「こんなことは一生続かない」と思うようになった。だからこそ今、この瞬間を楽しむんだという気持ちが芽生えた。

記者会見

最終日でも積極的に攻め、4度目の総合優勝を喜ぶタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

─3週目に精彩を欠いたように見えた理由は?

(総合2位との間に)大きなタイム差があり、積極的にタイムを奪いに行く必要がなかった。また単純に疲れがあった。具体的にどんなことがあったかについては語りたくない。

─今日のファンアールトのように、ライバルの存在が積極的なレース姿勢を生むのか?

わからないが、今日はレース状況のせいもあった。総合タイムが計測されず、逃げを目指す動きも活発ではなかった。そして(先頭集団の選手たちは)オールアウト覚悟の純粋なレースをしていた。皆、今日でツールが終わるということを念頭に置いていたからね。明日、またレースする必要がないという考えは力になった。だからレースを楽しむことができたよ。

─今大会で不安になった瞬間はあったか?

ヨナスだけでなく、強いライバルがいるレースで自分を疑うことはある。だけど強いチームがそんな考えを消し去ってくれる。チームの雰囲気がレースに向かうモチベーションを与えてくれる。

ツール・ド・フランス2025総合表彰台 photo:A.S.O.

─これで(最多総合優勝記録の)5勝目に迫ったわけだが、あと何回勝ちたいと思っているか?

5度の総合優勝が目標ではない。それに明確な目標もない。あるとすれば今年のロード世界選手権とイル・ロンバルディアかな。いまはこの瞬間を楽しみ、しばらくしたら次なる目標について考えるよ。

─2029年のツールがスロベニアで開幕する可能性がある

ああ、そのことは知っている。スロベニア人として、それが現実だとはにわかに信じられない(笑)。その時僕が現役の選手、あるいは引退していたとしてもその場にはいるだろう。本当にワクワクするニュースだし、是非とも実現してほしい。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.

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