ツール最終日に、復活の独走勝利を飾ったファンアールトは「この勝利に至るまで、最も難しかったのは自分自身を信じ続けることだった」と胸中を明かす。総合2位ヴィンゲゴーや躍進のリポヴィッツなど、3週間の激闘を終えた選手たちのコメントを紹介する。



ステージ優勝 ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

3度目のモンマルトルでワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)が仕掛けた photo:A.S.O.

今日という本当に特別な日に、再びシャンゼリゼで勝てたなんて信じられない。しかも今回は、初めてモンマルトルの登りが終盤に組み込まれたレイアウト。雨がレースを難しくしたけれど、落車することなく、チームメイトがサポートしてくれた。最後まで僕の勝利を信じてくれた彼らには、本当に感謝している。

何度も勝利を目指し挑戦を続け、それでもチームは変わらずアシストしてくれた。彼らがいなければレースをコントロールすることができず、最後の登りで全力で仕掛けることもできなかった。あそこで仕掛けることは作戦で決まっており、見事に上手くいった。

6.4kmの独走決め、ツール最終日を制したワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

正直、第20ステージでも勝利を狙った。それ以外でも今大会は何度か勝利に迫った。だがあと一歩届かなかったこともあれば、全然ダメな日もあった。昨日はコンディションが良くないこともあり、逃げに乗ることができなかった。この勝利に至るまで、最も難しかったのは自分自身を信じ続けることだった。だけど周りはずっと僕を信じ続けてくれた。そして今日、ようやくその思いが報われたんだ。

─サイモン・イェーツと君がステージ優勝し、ヴィンゲゴーが総合2位に入った。ヴィスマ・リースアバイクとして成功の大会と言うことができるか?

マイヨジョーヌを目指して出場したが、世界最強の選手に奪われてしまった。タデイ・ポガチャルに対し挑んだのだが、敵わなかった。だけど僕らは自分たちの走りを誇りに思い、チームとして毎日挑戦し続けた。ステージ2勝と総合2位、そしてチーム総合優勝を果たした。誇りに思える結果だよ。

ステージ3位 マテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス)

精鋭集団に入るも、最終山岳で遅れたマテイ・モホリッチ(スロベニア、バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

こういったコースは、脚の調子が勝敗を分ける。今日はツールを通して証明したように、タデイ(ポガチャル)が最も強かった。だけど彼はコーナーでリスクを冒すわけにはいかず、ワウト(ファンアールト)が最もリスクを取って攻めた。僕としては登りで食らいつき、下りで差をつけ、独走に持ち込みたかった。今夜、病院に行こうがディナーに行こうが関係ないからね。でも残念ながら、前に2人(ファンアールトとポガチャル)が強すぎた。

個人的には前日の第20ステージでの勝利が、シーズン最大の目標だった。レイアウトが僕にとって完璧だったからね。でもスタート後2kmでホイールにトラブルがあり、逃げに乗るためにそのままレースを続行した。だけど結局バイク交換を強いられ、チャンスを逃してしまったんだ。もう謝罪したのだが、そのことをスタッフに強く当たってしまった。だから今日、勝利を争うことができて嬉しかった。

総合2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)

ポガチャルと言葉を交わすヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

今大会は過去最高の走りができたステージでもあれば、過去最低を出してしまった日もあった。また数日間のバッドデイもあった。いままでで最も強い自分だったということは確か。しかしバッドデイがあったということもまた事実だ。

─ブエルタ・ア・エスパーニャに向けてどのような準備をする予定か。

まずは1週間ほど休み、そして再びトレーニングを再開する。だけど実際は身体がフレッシュな状態となり、練習ができるのを待つことになるだろう。そして2週間半ほどのトレーニングを経て、ブエルタに臨むことになる。あまり準備する時間は取れないが、2年前に経験済みだ。

総合3位&マイヨブラン(ヤングライダー賞)フロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)

マイヨブランを守りきったフロリアン・リポヴィッツ(ドイツ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) photo:CorVos

本当に厳しい3週間だった。最後は無事にフィニッシュすることだけを考えていた。理想的な滑り出しはできず、大会を通してアップダウンが多かった。だけどチームとしての結束はどんどん強まっていき、この結果を得られたのは僕一人の力ではなく、チーム力の賜物だ。だから改めて皆に感謝を伝えたい。

ただフランスを3週間かけて走るだけでなく、そのための準備はもっと前から始まっている。だからこそ、全てが上手くいき、こうして総合3位という結果を祝えることが本当に嬉しい。

マイヨヴェール(ポイント賞)ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)

初出場でマイヨヴェールを獲得したジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

マイヨヴェールの獲得がシーズン当初に立てた大きな目標だった。なぜならそれは、僕だけではなくチームとしての目標でもあったから。本当に美しい瞬間だし、チームメイトと最高の瞬間を送ることができた。

マイヨヴェールはプロになった当初から持ち続けていた大きな夢。それを今日、僕らは達成することができた。本当に嬉しいし、これはチームとして獲得したものだと思っている。

スーパーチームメイト賞 クイン・シモンズ(アメリカ、リドル・トレック)

初代スーパー・チームメイト賞受賞者となったシモンズ photo:A.S.O.

ガールフレンドに結婚を申し込み、快諾してもらえた。本当に嬉しいし、シャンゼリゼ通りの真ん中でプロポーズなんて、それほど多くの人ができないこと。彼女はトレーニング合宿も同行してくれ、退屈なディナーの時も一緒だった。パリをこの(アメリカ王者)ジャージで走ることができて夢のようだ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.

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