イネオス・グレナディアーズは12月4日、トーマス・ピドコック(イギリス)の退団を発表した。同選手もSNSに「夢の実現のサポートに感謝している」と別れの言葉を綴り、移籍先としてQ36.5プロサイクリングが有力とされている。



イネオス退団が発表されたトーマス・ピドコック(イギリス) photo:CorVos

「一生忘れることのない素晴らしい思い出がいくつもある。僕の夢の実現をサポートするべく、一生懸命協力してくれたチームの皆に心から感謝している。本当にありがとう」と感謝の意を綴ったピドコック。2027年まで結んでいた契約を破棄し、イネオス・グレナディアーズからの退団が発表された。

チーム代表のジョン・アラートは「トムと共に驚くべき偉業を成し遂げ、自転車競技の新たな可能性を示すことができた。彼には大きく複合的な目標があり、その未来を応援している」と惜別の言葉を送った。

25歳のピドコックは2021年にイネオスでプロデビュー。同年、マウンテンバイクで東京五輪金メダルを獲得し、翌年にはシクロクロス世界王者に輝く。ロードレースでも2022年のツール・ド・フランスでステージ優勝、2023年にはストラーデビアンケで初優勝を遂げた。さらに2024年には春のアムステルゴールドレース制覇、8月のパリ五輪ではマウンテンバイクで2連覇するなど、驚異的な実績を積み重ねてきた。

今年4月のアムステルゴールドレースを制したピドコック photo:CorVos

しかし秋口から首脳陣との関係に亀裂が生じ、イル・ロンバルディアの出場メンバーから直前で外されるなどチーム内の緊張が高まっていた。そして11月のイギリス・マンチェスター、12月のスペインでのトレーニング合宿を欠席するなど、退団の兆候が見られていた。

「一つの扉が閉まれば、また別の扉が開く」と別れの言葉を締めくくったピドコック。移籍先として最も有力なのは、クベカ・アソスの元GMであるダグラス・ライダーが2022年に立ち上げたスイス籍のプロチーム、Q36.5プロサイクリングだ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos