2023/10/13(金) - 18:00
アルミのCNC加工を得意とするアクセサリーブランドのレザインが、中核製品のLEDライトシリーズをフルモデルチェンジ。より明るく、より長い時間使えるように進化したライトをCEOのミッキー・コズシェックさんが語った。ブランドストーリーとともに紹介しよう。
レザインは創業17年目となる2023年、ブランドの中心的な存在であるLEDライトを刷新し、ワールドツアーを敢行。世界中を覆ったCOVID-19パンデミック以来のレザインとしては大きな変化となるタイミングで、創業社長兼エンジニアのミッキー・コズシェックさんが新製品を紹介した。
プレゼンテーションはプロダクト説明に入る前にミッキーさんは「頼むからヘルメットを被って欲しい」という言葉から話を始めた。これは日本に訪れて自転車に乗る人でヘルメットを着用している人が少ないことに驚いたのだという。ヘルメットを扱っていないレザインの代表が、それに言及するところに本気で安全性を考えていることが伝わってくる。
そして話はライトに。ライトを昼夜問わずに点灯することは安全に寄与することであり、そのことを考えて欲しいとミッキーさんは言う。そして、レザインは「Visibility Redefined(視認性の再定義)」というコンセプトのもと、フラッグシップからエントリーグレードまでライトを揃え、あらゆるサイクリストに安全を提供する。
LEDライトとしての大きな変更点はLEDの数を増やしたこと。この変更は、明るさを増すため、配光をより良いものにするためというライトの主な機能を洗練させることはもちろん、耐久性を高め、ランタイムを伸ばすことも目的としている。
LEDの増加によって耐久性などが高められる理由は、LED一つ一つに熱が蓄積しにくく、効率よい光の照射が可能になるため。LEDが2灯で同じ明るさを実現しようとすると、光源に熱が蓄積してしまい、結果的に非効率なライトになってしまうという。
LEDの数や配置だけではなく、レザインはボディでも熱のコントロールを試みている。熱伝導性の良いアルミ素材を表面積の大きな凹凸形状とすることで、LEDから発生した熱を効率よくボディに逃し、LED周りに熱が蓄積するのを防いでいる。
これらの設計は実際に試作機を作る前にコンピューターでシミュレーションされており、LEDの照射角度や範囲、明るさ、熱の動き(ヒートシミュレーション)などを確認してから、次のステップへと進む。その後試作されたライトは積分球で明るさテストを行い、実際の機能をチェックすることで、クオリティの高いライトを実現する。
新作ではバッテリー容量をこれまでよりも大きくすることで、より明るく、より長いランタイムのライトを実現している。これは各モデルの最大ルーメン数と駆動時間をチェックしてもらうと、従来よりも進化していることがわかるだろう。
新作ではiPhone 15で使われるようなポート自体に防水性が備えられているUSB Type-Cを採用。さらに防水パッキンを装備し、より安心できる浸水対策を施している。
防水等級としてはIPX7を実現しており、規格としてのテストは30分間水深1mに対象物を沈める内容だが、レザインでは水深3mに相当する圧力をかけてのテストを実施しており、圧力がかかる状態で内部に水が浸入してくるリスクを抑えた。
フロントライトだけではなくリアライトもフルモデルチェンジを遂げており、こちらもより明るく、洗練された配光、使いやすいランタイムを実現している。またモバイルバッテリーやPCなどから給電しながらライトを点灯させることが可能。万が一バッテリーが切れてしまった場合でも充電を待たずに走り続けることができる。
また、パッケージも力を入れて説明を行った。レザインは100%リサイクルされた認証済み竹製素材をパッケージをしようし、さらに結束バンドも紙製、製品を包む袋もコーンスターチ製とするなど徹底的に自然由来の素材を採用。ユーザーの手に渡った後もリサイクルすることが可能になっていると言う。究極的には意識的にリサイクルに回さなくても自然に還るため、環境への負荷は小さくなっている。さらに、補修パーツが供給されて修理が可能であるものが多く、長く使ってもらえる製品になっている。
このように徹底して開発が行えるのも、レザインが開発から製造、品質管理まで自社で行なっているから。現在スラムの傘下にあるトラバティブの代表を務めたミッキーさんの考えによるもので、「品質が良くなければ製品として良いものとは言えません。だから私は全てを社内で行うことを決めたのです。」とミッキーさんは言う。
特に品質を管理するためには自社で全てをコントロールする必要があったという。「しかし、30年前の台湾ではコントロールすることが難しく、一度は工場を手放しました。時代が進むと台湾での品質管理が満足いくようになったので、再び工場を持つことにしたのです」とミッキーさんはレザイン創業時の秘話も教えてくれた。
その体制を整えた上で開発はミッキーさんが率いるアメリカのHQで行なっている。本社では開発、設計を行い、試作品までも製作しているのだとか。「もし社内にエンジニアリングの体制がなく、誰かに加工を依頼すると中国の工場に行ったり来たりする必要があり、時間がかかるのは明白です。しかし、試作品を自前で作れるのであれば、試作からテストまで素早く行えます」と言う。
レザインの特徴でもあるCNC加工も開発をコントロールする上で重要な要素。「CNC加工は設計の柔軟性を提供してくれます。例えば設計を変更したいと思ったら、プログラムを少し変更して、再度作り直すことが簡単です。試作品からの製品化も早く3週間から4週間でできるようになります。それだけではなく、高い精度と素晴らしい外観を実現しつつ、手頃な価格を維持できるのもアルミのいいところ」とミッキーさんはいう。その良いところを駆使した結果生み出されたのがレザインのプロダクト群だ。
またレザインはLEDライトにいち早く目をつけ、充電式ライトを市場に送り込んだブランドでもあり、ラインアップにおいてLEDライトは中心的な存在。「私たちがLEDライトを始めた当時、LEDライトは成長しており幾つかのメーカーが存在していました。しかし、非常に高価で300ルーメンで3300ドルでした。そのような状況で社内のエンジニアが「健全なライト」を作りましょうと提案したことから、レザインのライトがスタートしました」とミッキーさんは言う。
レザインが開発したLEDはデザイン性に富み、手が届きやすい価格で市場を驚かせ、市場のリーダーに迅速に登り詰めたという。そしてフォロワーたちも続々と登場し、今のLEDライト市場の礎が築かれたと言っても過言ではない。そこからレザインは製品を開発し続け、今年フルモデルチェンジを行い、再びカッコいいデザインのボディに明るいLEDを搭載しつつも、手が届きやすい価格のLEDライトをラインアップした。
展開されるモデルは非常に数が多く、ユーザーのニーズに合わせて選びやすくなっている。「重要なのは、すべてのサイクリストが最高の状態になること。通勤ライダー、マウンテンバイカー、エンデュランスライダー、みんなが安全に感じられるように製品を用意しています」とミッキーさん。
製品プレゼンテーションだけではなく、インタビューから感じ取れたのはレザインはプロダクトを開発、リリースするまでの効率化が行われており、そのキーワードはコントロールだった。自社でR&Dから製造まで一気通貫するのは品質管理(クオリティ・コントロール)のためだ。
「これは私の性格なのですが、待つことが好きではないんです。物事を素早く終わらせたいし、全てのことが流れていて欲しいのです。だからコントロールできる状態が好ましいんです」とはミッキーさん。この事はマーケティングなどでも同じで、ミッキーさんが全てを見ているのだとか。
「しかし、コントロールというのはネガティブな言葉だと捉えられます。しかし、時にはひどい統制につながることがありますが、何かをやり遂げるためには正しくコントロールする必要があると考えています」とミッキーさんは言う。ただレザインは強力なエンジニアリングチームや品質管理のメンバーが在籍しており、それぞれがコントロールすることで、効率良い組織運営が行われるという。そのためミッキーさんは大半の時間をR&Dに時間を費やすことができている。
その体制は製品に反映されており、今回のプレゼンテーションではライトだけではなく、プロトタイプが作られたばかりのマウントや、まもなく販売される外部バッテリーなどもアナウンスされた。このように製品開発が活発なレザインの新製品からは目が離せない。
もちろんまずは今年モデルチェンジを遂げたライトシリーズをショップでチェックしてもらいたい。明るさ、配光、ランタイムと共に進化を遂げており、安全にサイクリングを楽しむことを助けてくれるだろう。
新型ライトを紹介している記事はこちら。
report:Gakuto Fujiwara
レザインは創業17年目となる2023年、ブランドの中心的な存在であるLEDライトを刷新し、ワールドツアーを敢行。世界中を覆ったCOVID-19パンデミック以来のレザインとしては大きな変化となるタイミングで、創業社長兼エンジニアのミッキー・コズシェックさんが新製品を紹介した。
プレゼンテーションはプロダクト説明に入る前にミッキーさんは「頼むからヘルメットを被って欲しい」という言葉から話を始めた。これは日本に訪れて自転車に乗る人でヘルメットを着用している人が少ないことに驚いたのだという。ヘルメットを扱っていないレザインの代表が、それに言及するところに本気で安全性を考えていることが伝わってくる。
そして話はライトに。ライトを昼夜問わずに点灯することは安全に寄与することであり、そのことを考えて欲しいとミッキーさんは言う。そして、レザインは「Visibility Redefined(視認性の再定義)」というコンセプトのもと、フラッグシップからエントリーグレードまでライトを揃え、あらゆるサイクリストに安全を提供する。
LEDライトとしての大きな変更点はLEDの数を増やしたこと。この変更は、明るさを増すため、配光をより良いものにするためというライトの主な機能を洗練させることはもちろん、耐久性を高め、ランタイムを伸ばすことも目的としている。
LEDの増加によって耐久性などが高められる理由は、LED一つ一つに熱が蓄積しにくく、効率よい光の照射が可能になるため。LEDが2灯で同じ明るさを実現しようとすると、光源に熱が蓄積してしまい、結果的に非効率なライトになってしまうという。
LEDの数や配置だけではなく、レザインはボディでも熱のコントロールを試みている。熱伝導性の良いアルミ素材を表面積の大きな凹凸形状とすることで、LEDから発生した熱を効率よくボディに逃し、LED周りに熱が蓄積するのを防いでいる。
これらの設計は実際に試作機を作る前にコンピューターでシミュレーションされており、LEDの照射角度や範囲、明るさ、熱の動き(ヒートシミュレーション)などを確認してから、次のステップへと進む。その後試作されたライトは積分球で明るさテストを行い、実際の機能をチェックすることで、クオリティの高いライトを実現する。
新作ではバッテリー容量をこれまでよりも大きくすることで、より明るく、より長いランタイムのライトを実現している。これは各モデルの最大ルーメン数と駆動時間をチェックしてもらうと、従来よりも進化していることがわかるだろう。
新作ではiPhone 15で使われるようなポート自体に防水性が備えられているUSB Type-Cを採用。さらに防水パッキンを装備し、より安心できる浸水対策を施している。
防水等級としてはIPX7を実現しており、規格としてのテストは30分間水深1mに対象物を沈める内容だが、レザインでは水深3mに相当する圧力をかけてのテストを実施しており、圧力がかかる状態で内部に水が浸入してくるリスクを抑えた。
フロントライトだけではなくリアライトもフルモデルチェンジを遂げており、こちらもより明るく、洗練された配光、使いやすいランタイムを実現している。またモバイルバッテリーやPCなどから給電しながらライトを点灯させることが可能。万が一バッテリーが切れてしまった場合でも充電を待たずに走り続けることができる。
また、パッケージも力を入れて説明を行った。レザインは100%リサイクルされた認証済み竹製素材をパッケージをしようし、さらに結束バンドも紙製、製品を包む袋もコーンスターチ製とするなど徹底的に自然由来の素材を採用。ユーザーの手に渡った後もリサイクルすることが可能になっていると言う。究極的には意識的にリサイクルに回さなくても自然に還るため、環境への負荷は小さくなっている。さらに、補修パーツが供給されて修理が可能であるものが多く、長く使ってもらえる製品になっている。
このように徹底して開発が行えるのも、レザインが開発から製造、品質管理まで自社で行なっているから。現在スラムの傘下にあるトラバティブの代表を務めたミッキーさんの考えによるもので、「品質が良くなければ製品として良いものとは言えません。だから私は全てを社内で行うことを決めたのです。」とミッキーさんは言う。
特に品質を管理するためには自社で全てをコントロールする必要があったという。「しかし、30年前の台湾ではコントロールすることが難しく、一度は工場を手放しました。時代が進むと台湾での品質管理が満足いくようになったので、再び工場を持つことにしたのです」とミッキーさんはレザイン創業時の秘話も教えてくれた。
その体制を整えた上で開発はミッキーさんが率いるアメリカのHQで行なっている。本社では開発、設計を行い、試作品までも製作しているのだとか。「もし社内にエンジニアリングの体制がなく、誰かに加工を依頼すると中国の工場に行ったり来たりする必要があり、時間がかかるのは明白です。しかし、試作品を自前で作れるのであれば、試作からテストまで素早く行えます」と言う。
レザインの特徴でもあるCNC加工も開発をコントロールする上で重要な要素。「CNC加工は設計の柔軟性を提供してくれます。例えば設計を変更したいと思ったら、プログラムを少し変更して、再度作り直すことが簡単です。試作品からの製品化も早く3週間から4週間でできるようになります。それだけではなく、高い精度と素晴らしい外観を実現しつつ、手頃な価格を維持できるのもアルミのいいところ」とミッキーさんはいう。その良いところを駆使した結果生み出されたのがレザインのプロダクト群だ。
またレザインはLEDライトにいち早く目をつけ、充電式ライトを市場に送り込んだブランドでもあり、ラインアップにおいてLEDライトは中心的な存在。「私たちがLEDライトを始めた当時、LEDライトは成長しており幾つかのメーカーが存在していました。しかし、非常に高価で300ルーメンで3300ドルでした。そのような状況で社内のエンジニアが「健全なライト」を作りましょうと提案したことから、レザインのライトがスタートしました」とミッキーさんは言う。
レザインが開発したLEDはデザイン性に富み、手が届きやすい価格で市場を驚かせ、市場のリーダーに迅速に登り詰めたという。そしてフォロワーたちも続々と登場し、今のLEDライト市場の礎が築かれたと言っても過言ではない。そこからレザインは製品を開発し続け、今年フルモデルチェンジを行い、再びカッコいいデザインのボディに明るいLEDを搭載しつつも、手が届きやすい価格のLEDライトをラインアップした。
展開されるモデルは非常に数が多く、ユーザーのニーズに合わせて選びやすくなっている。「重要なのは、すべてのサイクリストが最高の状態になること。通勤ライダー、マウンテンバイカー、エンデュランスライダー、みんなが安全に感じられるように製品を用意しています」とミッキーさん。
製品プレゼンテーションだけではなく、インタビューから感じ取れたのはレザインはプロダクトを開発、リリースするまでの効率化が行われており、そのキーワードはコントロールだった。自社でR&Dから製造まで一気通貫するのは品質管理(クオリティ・コントロール)のためだ。
「これは私の性格なのですが、待つことが好きではないんです。物事を素早く終わらせたいし、全てのことが流れていて欲しいのです。だからコントロールできる状態が好ましいんです」とはミッキーさん。この事はマーケティングなどでも同じで、ミッキーさんが全てを見ているのだとか。
「しかし、コントロールというのはネガティブな言葉だと捉えられます。しかし、時にはひどい統制につながることがありますが、何かをやり遂げるためには正しくコントロールする必要があると考えています」とミッキーさんは言う。ただレザインは強力なエンジニアリングチームや品質管理のメンバーが在籍しており、それぞれがコントロールすることで、効率良い組織運営が行われるという。そのためミッキーさんは大半の時間をR&Dに時間を費やすことができている。
その体制は製品に反映されており、今回のプレゼンテーションではライトだけではなく、プロトタイプが作られたばかりのマウントや、まもなく販売される外部バッテリーなどもアナウンスされた。このように製品開発が活発なレザインの新製品からは目が離せない。
もちろんまずは今年モデルチェンジを遂げたライトシリーズをショップでチェックしてもらいたい。明るさ、配光、ランタイムと共に進化を遂げており、安全にサイクリングを楽しむことを助けてくれるだろう。
新型ライトを紹介している記事はこちら。
report:Gakuto Fujiwara
バッテリー容量 | 最大光量/ランタイム | 最大ランタイム | 重量 | 税込価格 | |
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MEGA DRIVE 2400+ | 9600mAh | 2400lm/2:15 | 450hours | 280g | 27,280円 |
MACRO DRIVE 1400+ | 5200mAh | 1400lm/3:00 | 300hours | 230g | 16,280円 |
LITE DRIVE 1200+ | 3800mAh | 1200lm/2:00 | 60hours | 174g | 14,740円 |
MICRO DRIVE PRO 1000+ | 2800mAh | 1000lm/1:30 | 60hours | 168g | 11,880円 |
FUSION DRIVE PRO 600+ | 1900mAh | 600lm/2:00 | 36hours | 129g | 7,480円 |
ZECTO DRIVE 250+ | 650mAh | 250lm FLASH/22:00 | 40hours | 47g | 5,940円 |
KTV DRIVE PRO 300+ | 1400mAh | 300lm/3:00 | 100hours | 73g | 4,840円 |
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