33km個人タイムトライアルを制したのは、「全てはプラン通りに進んだ」と振り返ったTT世界王者のレムコ・エヴェネプール。区間2位で総合首位浮上のポガチャルや、大きくタイムを失ったヴィンゲゴーなど、ツール第5ステージを終えた選手たちの言葉を紹介します。



ステージ優勝&マイヨブラン(ヤングライダー賞) レムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

TT世界王者らしい圧巻の強さを見せたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

今日のようなコースはエドアルド(アッフィニ)のような大柄な選手に有利なレイアウトだ。昨日のレースのように、彼らは高い出力を維持して走り続けられる。自分自身、勝てるチャンスはあると思っていたが、そのためには脚の調子が良く、全てが計画通り進む必要があった。実際プラン通りに進み、これ以上踏めないぐらい速く走ることができた。それにチームとして今大会2勝目を飾ることができ、この結果には満足しているよ。

─第1、2中間計測では最速タイムではなく、後半にタイムを伸ばした。どういったペース配分を考えていたのか?

一定のペースを守り続けた。もちろん緩斜面の登りでは下りよりも少し踏みを強めたが、僕のストロングポイントは一定のペースで踏み続けられるところにある。最初の10kmのペースを最後まで維持できる。だからこそ中間計測の順位が上がり続け、ラスト7〜8kmでもタイムを稼ぐことができた。完璧なペーシングができたので満足だよ。

後半にペースを上げ、圧巻の勝利を飾ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

タデイ(ポガチャル)もまた素晴らしいTTを見せた。16秒は僅差と言える。1kmにつき約0.5秒ぐらいの差ということだからね。(48秒遅れだった)ドーフィネのTTと比べると改善を見せた。つまり彼の調子は、あの時からさらに上がっているということ。だからこそ彼がこのツールにおいて、僕が倒すべきライバルなんだよ。これは昨年と同じ状況と言える。総合表彰台に向けて大きな一歩と言えるが、まだまだ道のりは長い。

ステージ2位&マイヨジョーヌ&マイヨヴェール(ポイント賞)&マイヨアポワ(山岳賞)タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

トップタイムから16秒遅れで好走したタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.

自分の走りにはとても満足している。TT世界王者であり、五輪の金メダリストであり、世界最高のTTスペシャリスト(エヴェネプール)に対し、16秒遅れで済んだのは本当に嬉しい。総合タイムを稼ぐことができ、レムコに対し少ししかタイムを失わなかった。とても満足な結果だよ。

調子が良く、何より今日のTTが無事終わってホッとしている。これでこの後のステージに集中できるし、ツールでこの良い流れを維持していきたい。マイヨジョーヌを着用するのは大事なことだが、本当に重要なのはシャンゼリゼのフィニッシュでこれを着ていることだ。

大会5日目にして総合首位に立ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

今年のコースは(レース展開が)混沌とするように設計されているから、全てのステージで気を抜くことができない。これまでもずっと神経がすり減るような展開で、本当に厳しかった。明日、そしてその次の日も同じように厳しい展開が待っていると思う。そんな中でも僕らは冷静さを保ち、集中し、自分たちを信じ続けなければならない。チームには強い選手が揃っていて、ひとつの目標に向かって信じて走っている。これまで通りの走りを続けていく。

ステージ5位&総合3位 ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ)

ケヴィン・ヴォークラン(フランス、アルケア・B&Bホテルズ) photo:CorVos

信じられない体験だった。脚の感覚がないくらい。沿道からの大声援を受けながら走るのは、本当に最高の体験だった。言葉が見つからないほどの感動をありがとう。僕にとって最高のTTのひとつだった。ペダルを思いきり踏み込んだら、しっかりと脚が反応してくれた。無線で「もう一段ギアを上げろ」という指示にも応えられる力があった。

いまはただ感情があふれている。自分の地元をマイヨブランを着て走るなんて夢のようだった。A.S.O.(レース主催者)とディレクターであるクリスチャン・プリュドム、そして競技ディレクターのティエリー・グヴェヌーに対し、このコースを作ってくれ、こんな経験をさせてくれたことに感謝したい。

ステージ13位&総合4位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク)

振るわなかったヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

脚の調子が悪く、ライバルからタイムを失ってしまった。自分自身驚いたが、これも自転車競技の一部だ。今日の結果は良くなかったが、幸運にもツールの先は長い。僕は自分自身と、チームと共に立てた作戦を信じている。僕らはまだツールで総合優勝することができる。過去にもこのような苦難から戻ってきた例がある。

ワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク)

ステージ100位(4分32秒遅れ)と、まだ調子の上がらないワウト・ファンアールト(ベルギー、ヴィスマ・リースアバイク) photo:A.S.O.

昨日の調子は良かったのだが、まだ改善の余地はある状態だ。TTステージは周到な準備が必要であり、(ツール開幕までの)2週間は全くバイクに乗っていない僕にとって(このステージを)懸命に戦う意味はなかった。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.

最新ニュース(全ジャンル)