本日6月4日、クリテリウム・デュ・ドーフィネが開幕する。ツール覇者ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)やカラパスといったマイヨジョーヌ候補の他、アラフィリップも出場するツール・ド・フランス前哨戦をプレビューします。



ドーフィネ第7ステージに登場する超級山岳クロワドフェール峠 photo:Luca Bettini

今年最初のグランツールであるジロ・デ・イタリアが閉幕し、プロトンは世界最大のレース「ツール・ド・フランス」に向かって動き出す。その前哨戦として知られているのが、同じA.S.O.(アモリー・スポーツ・オルガニザシオン)が主催し、本日開幕するクリテリウム・ドゥ・ドーフィネ(UCIワールドツアー)だ。

「クリテリウム」の名前がついているもののレース形式はクリテリウムではなく、フランス南東部のドーフィネ地方(現在のイゼール県、ドローム県、オート=アルプ県)を舞台にする8日間のステージレース。かつてはドーフィネの総合優勝者がツールの総合優勝に輝くなどマイヨジョーヌ争いと高い親和性を誇っていたが、2018年のゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)以降は山岳アシストの活躍が目立っている。

1週間遅れで開催されるツール・ド・スイスと並びツール前哨戦と呼ばれるだけに、険しい山岳ステージに個人タイムトライアルなどオールラウンダーの脚ならしに最適なレイアウトとなっている。大会初日と2日目は低難易度な山岳をいくつも越えていく丘陵ステージから始まり、逃げ向きの3日目を経て4日目には31.1kmの個人タイムトライアルが待っている。

クリテリウム・デュ・ドーフィネ2023第7ステージ コースプロフィール image:A.S.O.

大会5日目はフィニッシュ手前14kmに短くも急勾配の丘が登場する丘陵ステージで、ラストの3日間はいずれも険しい山岳決戦が繰り広げられる。フィニッシュ手前の2級&3級山岳を立て続けに登る第6ステージから、第7ステージは2つの超級山岳を越えて最後に1級山岳クロワ・ド・フェール峠(距離13.1km/平均6.2%)を駆け上がるクイーンステージ。

そして8日間の大会を締めくくる最終ステージは2つの2級山岳と、ラストに2つの1級山岳を登る険しいレイアウト。最終1級山岳バスティーユ(距離1.8km/平均14.2%)にフィニッシュした時点で総合首位の選手に、ツールと同じ黄色のマイヨジョーヌが与えられる。

クリテリウム・デュ・ドーフィネ2023第8ステージ コースプロフィール image:A.S.O.



ポガチャル不在で1強のヴィンゲゴーに、カラパスやマス、ランダが挑む

総合でのリード拡大に成功したヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

スタートに並ぶのはツールにも出場する全22チームからイスラエル・プレミアテックを除いた21チーム。タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツ)は手首の骨折で戦線離脱中だが、ツールを見据える各チームの総合エースたちはスイスではなく、より山岳の厳しいドーフィネを選んだ。

注目はなんと言っても前年のツール覇者ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)。3月のパリ〜ニースこそポガチャルに敗れたものの、4月のイツリア・バスクカントリーでは区間3勝で総合優勝を好調をアピール。ワウト・ファンアールト(ベルギー)は平坦ステージの多いスイスを選んだが、チームにはステフェン・クライスヴァイク(オランダ)や怪我明けのディラン・ファンバーレ(オランダ)などほぼベストメンバーが揃っている。

「昨年はログリッチが勝ち、今年は僕が勝利を狙う。暫く実戦から離れていたが、強いチームと共に戦うレースが楽しみだ」とヴィンゲゴーはプリモシュ・ログリッチ(スロベニア)のジロ・デ・イタリア制覇を追い風に、スペイン・シエラネバダでの高地合宿の成果を見せられるか。

イツリア・バスクカントリーで相まみえたヴィンゲゴーとランダ photo:CorVos

チームメイトに守られて走るリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:EF Pro Cycling

対するは直近の山岳ワンデーレースで復活勝利を挙げたリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)。シーズン序盤にエクアドル王者に輝いて以降は体調不良に陥ったものの、ピレネー山脈での合宿により復活。ジロで区間2勝と波に乗るチームに、ツールに向け幸先良い勝利をもたらすことはできるか。

AG2Rシトロエンは前回大会で総合3位に入ったベン・オコーナー(オーストラリア)が総合エースを務め、バーレーン・ヴィクトリアスはミケル・ランダ(スペイン)を中心にジロを完走したばかりのジャック・ヘイグ(オーストラリア)がアシストする。またエンリク・マス(スペイン、モビスター)やダヴィド・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)、ジャイ・ヒンドレー(オーストラリア、ボーラ・ハンスグローエ)も忘れてはならず、ポガチャルを欠くUAEチームエミレーツは新加入アダム・イェーツ(イギリス)で勝負する。

完全復活を目指すジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

こちらも復活に向けて調子を上げたいエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

また今大会にはエガン・ベルナル(コロンビア、イネオス・グレナディアーズ)も出場。今年始めに負った膝の怪我から回復した2019年ツール覇者には、完全復活が期待される。

ステージ優勝を狙う選手では、復調の兆しを掴めずにいるジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)が出場し、スプリンターでは共にツールを見据えるディラン・フルーネウェーヘン(オランダ、ジェイコ・アルウラー)とサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が競演。また逃げに有利な大会前半の丘陵ステージではロット・デスティニーのトーマス・デヘントとヴィクトル・カンペナールツ(共にベルギー)のコンビに注目だ。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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