アルプスを舞台にした山岳ワンデーレースでリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)が独走勝利。ツール・ド・フランスを目指す五輪金メダリストが体調不良からの復活をアピールした。



獲得標高4,700mオーバーの山岳レース
ジロ・デ・イタリア閉幕から2日、南フランスはプロヴァンス地方にあるアルプ・マリティーム県を舞台にしたワンデーレース「メルカントゥールクラシック・アルプ・マリティーム(UCI1.1)」が開催。アルプス山脈を登る開催3回目の山岳レースであり、後半には1級、超級、そして1級と巨大な峠道が連なり、獲得標高は5,000m近くに達する。

フランス最高難易度の山岳ワンデーレースには、イスラエル・プレミアテックのヤコブ・フルサン(デンマーク)やクリス・フルーム(イギリス)、EFエデュケーション・イージーポストのリチャル・カラパス(エクアドル)、コフィディスのギヨーム・マルタン(フランス)とヘスス・エラダ(スペイン)など、1ヶ月後に迫ったツール・ド・フランスを目指すクライマー勢が集結。南仏の過酷な山岳で登坂勝負を繰り広げた。

チームメイトに守られて走るリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:EF Pro Cycling

パスカル・エインコールン(オランダ、ロット・ディステニー)を含む8名が逃げ、グルパマFDJやコフィディス、イスラエルといったクライマーチームがメイン集団を牽引して後半に連なる山岳区間へ。1級山岳ラ・コルミアーヌ峠(距離7.6km・平均7%)と1級山岳クイヨール峠(距離15.9km・平均7.3%)を越え、最後の1級山岳コル・ドゥ・ヴァルベルグ(距離13km/平均6.8%)へ。この麓で最後まで逃げていたリリアン・カルメジャーヌ(フランス、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)も捉えられた。

人数を残し、攻勢を仕掛けたのがEF勢だった。手首骨折明けのディエゴ・カマルゴ(コロンビア)がペースを上げ、マーク・パデュン(ウクライナ)がライバル勢を振り落とす。人数が10名程度まで減った残り7km地点、雨に濡れたスイッチバック区間でカラパスが強烈なアタックを披露した。

ダンシングとシッティングを織り交ぜて登る五輪チャンピオンは、粘り強く追走するフェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン)を振り切り山頂のフィニッシュへ。病気によって苦しい春を過ごし、ここ数週間ピレネー山脈で高地トレーニングを行ってきたカラパスが復活の今季2勝目を掴み取った。

独走で今季2勝目を挙げたリチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:EF Pro Cycling

メルカントゥールクラシック・アルプ・マリティーム2023表彰台 photo:Lotto Dstny

「高地合宿でのハードワークが実ったよ。チームの僕に対する信頼を返すことできた。今日はみんなが一生懸命働き、素晴らしい仕事をしてくれた。自分たちの価値を誇示し、最高の形で終わらせることができる僕のような人間がいることを示せたと思う。今日はすべてが予定通り。勝利を嬉しく思う」と言うカラパス。今後はツールに向けた重要な前哨戦、クリテリウム・デュ・ドーフィネに出場し、よりコンディションを仕上げていくという。

クリテリウム・デュ・ドーフィネは6月4日にフランス中部のシャンボン=シュル=ラックで開幕。個人タイムトライアル無しの8日間、スプリンターからクライマーまで、ツールを目指すトップ選手たちが最終調整に挑む。
メルカントゥールクラシック・アルプ・マリティーム2023結果
1位 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) 4:47:59
2位 フェリックス・ガル(オーストリア、AG2Rシトロエン) +0:12
3位 レナルト・ファンイートヴェルト(ベルギー、ロット・ディステニー) +0:38
4位 レニー・マルティネス(フランス、グルパマFDJ)
5位 クリスティアン・ロドリゲス(スペイン、アルケア・サムシック)
text:So.Isobe

最新ニュース(全ジャンル)