チャレンジマヨルカの2日目は連続コーナーによってスプリントトレインが崩壊。ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)らを退け、マライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト)がプロ初勝利を掴んだ。



大会2連覇を目指すビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) photo:CorVos

スペイン・マヨルカ島を舞台に5つのワンデーレースが連なった「チャレンジマヨルカ」は2日目。マヨルカ島北部を巡る「トロフェオ・セス・サリネス・ポルト・ダルクディア(UCI1.1)」は、残り25km地点から2級山岳コル・デ・サ・バタッラ(距離8.7km/平均5%)が現れる158.6kmの丘陵レースだ。

曇り空のセス・サリネスを出発し、アルクディアを目指すこの日に逃げたのはジュリアス・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト)やルイス・マテ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)たち。それに対し優勝候補マッテオ・トレンティン(イタリア)を擁するUAEチームエミレーツがプロトンを牽引した。

逃げグループを形成したルイス・マテ(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) photo:CorVos

マヨルカ島南部から縦断するように北部の山岳地帯を目指すマヨルカチャレンジ2日目 photo:CorVos

ブエルタ・ア・エスパーニャ11回出場と経験豊かな38歳マテが逃げのペーシングを担ったものの、この日唯一の山岳を前にプロトンに吸収される。そのカウンターでレミ・カヴァニャ(フランス、スーダル・クイックステップ)や昨年のジャパンカップを制したニールソン・パウレス(アメリカ、EFエデュケーション・イージーポスト)らのアタックを経て、ドイツ王者ニルス・ポリッツ(ボーラ・ハンスグローエ)が単独で抜け出した。

アルクディアの市街地を前にスプリンターを携えたメイン集団が早々とポリッツを飲み込み、EFとスーダルのトレインがぶつかり合うなか集団スプリントが幕開ける。しかしフィニッシュを前に連続するコーナーによって各チームのトレインは崩壊し、エースたちは単独での位置取りを強いられた。

ルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)がスルスルと位置を上げ、その後ろにピッタリとついたマライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト)が残り50mの最終コーナーを利用し先頭へ。コーナーの立ち上がりから全力で踏み込んだファンデンベルフのスピードに、スプリンターであるイーサン・ヴァーノン(イギリス、スーダル・クイックステップ)や前年勝者ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)は追いつけない。そのままファンデンベルフが勝利した。

最終コーナーを利用し先頭に出たマライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

プロ初勝利を挙げたマライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:CorVos

「僕は集団スプリントで勝てるような選手じゃないので、今日のレイアウトは僕に適していた。厳しいレースから集団が絞られ、そしてスプリント勝負。僕の力を存分に発揮できる理想の展開だった。これがプロ初めてとなる勝利。今後も勝利を積み重ねることができるといいね」と、ファンデンベルフは勝利を喜ぶ。

オランダ出身で23歳のファンデンベルフは、近年多くのプロ選手を輩出するグルパマFDJの育成チームから2022年にEFに加入し、プロ1年目から主要クラシックを含む多くのワールドツアーを転戦。留目夕陽と共に出場した昨年10月のツール・ド・ランカウイでは、勝利こそなかったものの5度に渡りシングルリザルトをマークした逸材だ。

翌日のトロフェオ・ポレンサ〜アンドラッチは1級山岳などを越え、最後はミラドル・デス・コロメル(距離3.1km/平均6.2%)にフィニッシュする山岳レース。ジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)やギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス)、UAEチームエミレーツに移籍したティム・ウェレンス(ベルギー)といったパンチャーやクライマーの走りに注目だ。

トロフェオ・アルクディア2023表彰台:2位イーサン・ヴァーノン(イギリス、スーダル・クイックステップ)、1位マライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト)、3位ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) photo:CorVos
トロフェオ・アルクディア2023結果
1位 マライン・ファンデンベルフ(オランダ、EFエデュケーション・イージーポスト) 3:37:31
2位 イーサン・ヴァーノン(イギリス、スーダル・クイックステップ)
3位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
4位 アクセル・ジングレ(フランス、コフィディス)
5位 アントニオ・ソト(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
6位 マックス・カンター(ドイツ、モビスター)
7位 カルロス・カナル(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)
8位 ルイ・オリヴェイラ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ)
9位 マイク・トゥーニッセン(オランダ、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
10位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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