イタリアンシューズブランドであるノースウェーブが手掛けるハイエンドロードシューズ"Extreme Pro 3"。イネオス・グレナディアーズのフィリッポ・ガンナ(イタリア)や、アスタナ・カザフスタンの選手らが使用するレーサーシューズをテストしていく。



ノースウェーブ Extreme Pro 3ノースウェーブ Extreme Pro 3 photo:Michinari TAKAGI
ノースウェーブはロード用やMTB用、ウィンタースポーツ用シューズまでを手掛けているイタリアンシューズブランド。UCIワールドチームのイネオス・グレナディアーズに所属するフィリッポ・ガンナ(イタリア)や、アスタナ・カザフスタン、日本人選手が多数所属するEFエデュケーション・NIPPOデヴェロップメントチームをサポートし、世界最高峰の舞台で戦っていることでもお馴染みだ。

ノースウェーブのロード用シューズはエントリーモデルからハイエンドモデルまで幅広くラインアップされており、その頂点に君臨するフラッグシップモデルが"Extreme Pro 3"だ。ARS構造のアッパーと足を包み込むアウターPUスケルトンを採用する独自設計が目を惹く一足。

シューズの内側は透け感があるデザインにシューズの内側は透け感があるデザインに photo:Michinari TAKAGI
オリジナル開発のオリジナル開発の"SLW3ダイヤル"を2つ搭載 photo:Michinari TAKAGI
クリアを採用したSLW3ダイヤルクリアを採用したSLW3ダイヤル photo:Michinari TAKAGIワイヤーには強度と耐久性に優れる繊維「ダイニーマ」を採用ワイヤーには強度と耐久性に優れる繊維「ダイニーマ」を採用 photo:Michinari TAKAGI

アッパーにはオリジナル開発のダイヤル"SLW(Speed Lace Winch)3ダイヤル"を搭載。SLW3ダイヤルは一つのリリースレバーでフルリリースと少しずつ緩めていく微調整が可能。シルバーのレバーを引き上げるとフルリリース、プッシュすると0.7mmずつ緩められるため、脱ぎ履きのしやすさと乗車中の微調整を両立したシステムだ。

また、SLW3ダイヤルのケーブルとして採用されている「ダイニーマ」は有機繊維ながら優れた強度と耐久性を備えていることが特徴。スチールのワイヤーと比較すると、ダイニーマ繊維のワイヤーの方がしなやかで、しっかりと締め込んでも足あたりの柔らかさを感じられるハイスペックな素材だ。

アウトソールにはつま先と真ん中、踵の3か所に通気口を搭載アウトソールにはつま先と真ん中、踵の3か所に通気口を搭載 photo:Michinari TAKAGI
スピードプレイアダプターを装着できるスピードプレイアダプターを装着できる photo:Michinari TAKAGIソール剛性指数は最大の15ソール剛性指数は最大の15 photo:Michinari TAKAGI
踵部分はしなやかな作り踵部分はしなやかな作り photo:Michinari TAKAGI
アウトソールは前作"Extreme Pro"にも採用されていた100%UDカーボンを使用したパワーシェイプカーボン15ソールを搭載している。ノースウェーブのソールの中でも最大となる剛性指数15に設定された最も剛性が高いモデルになる。さらに土踏まずの部分には独自のパワーシェイプシステムを採用し、ねじれを徹底的に排除。パワー伝達効率を追求した一品だ。

サイズは37~45まで展開され、ハーフサイズもラインアップされている。また、3mmと5mmの厚みが異なるインソールとシューズバッグが付属品として用意されている。BLACK/WHITEとWHITE/BLACKの2色展開。価格は51,700円(税込)で取り扱いはウインクレル。それでインプレッションへ移っていこう。



―インプレッション

アッパーの構造が変わり、より履きやすいシューズになっているアッパーの構造が変わり、より履きやすいシューズになっている photo:Makoto AYANO
今回、ノースウェーブ Extreme Pro 3をインプレッションするのはCW編集部の高木。足のサイズは27.0cm、普段のレースやトレーニングで着用しているシューズのジャイアントやシマノ、スペシャライズドでは42サイズ、ジロを履く場合は43サイズを選択している。また筆者の足は土踏まずのアーチは高め、親指の厚みがあり、母指球から小指球まで幅があるため、横幅が広めのブランドのシューズとの相性が良い。

今回のテストで初めてノースウェーブのシューズを試すため、ハーフサイズの41.5と普段から履いている42サイズを借り受けた。さらに、Extreme Pro 3の前モデルである"Extreme Pro"の42サイズも用意いただき、履き比べてみることに。

まずは、前モデル"Extreme Pro"から試着。つま先の高さが低く、横幅も細めの形状になっており、履くこと自体は可能なもののつま先付近が窮屈なため、長時間のライドでは痛みが出てしまいそうなサイズ感だった。前モデルであれば、ハーフサイズもしくはワンサイズほど大きなサイズを選ぶのが良さそうだ。

踵をしっかりとホールドしてくれる踵をしっかりとホールドしてくれる photo:Makoto AYANO
そして、最新モデル"Extreme Pro 3"は同じ42サイズであるが、すんなりと足がシューズに収まっていく。つま先の高さが高くなり、横幅も幅広くなっている。さらに、Extreme Pro 3は以前のラッピングタイプからタンありの構造になっている。それに伴い縦の長さを含め足型も変化しているようだ。特に今までノースウェーブを履かれている方でEXTREME PRO 3を検討している方は、試着を推奨したい。

ペダルに装着し、漕ぎ出すとまず初めに感じたのはアウトソールの剛性感、特に土踏まずのアーチサポートとクリート周りの剛性感を顕著に感じる。トルクをかけて踏み込んだり、ハイケイデンスなど、色んなペダリングを試してみたが、足の力を逃すことのない硬めな踏み心地で、パワー伝達性能の高さを感じた。

ダイレクトな踏み心地でスプリントしやすいダイレクトな踏み心地でスプリントしやすい photo:Makoto AYANO
また、スタックハイトが低く足裏にペダルをダイレクトに感じるのもこのシューズの特徴だ。1000Wを越えるスプリントでも、踏み込んだ踏力を全てシューズからペダルへ、そして推進力になっている感覚があった。レースシーンで、相手選手のアタックに瞬時に対応できる反応の速さがメリットになってくるだろう。

今回はシマノのペダル"PD-R9100"で試したのだが非常に好印象だった。また、アウトソールに刻印されているようにスピードプレーにも対応したデザインになっているのも、もう一つの特徴だ。シマノのペダルからスピードプレイのペダルに切り替えるとスピードプレイの方がスタックハイトが高いため、サドル高を低くしたりして、これまで調整して使用していた。ただ、Extreme Pro 3であれば、ペダルをスピードプレイにしても、サドル高などを大きく変更しなくてもそのまま使用できるのは嬉しい。

3mmと5mmの厚みが異なるインソールが同梱される3mmと5mmの厚みが異なるインソールが同梱される photo:Michinari TAKAGI
また、3mmと5mmの厚みが異なるインソールの2種類が付属しているため、ライダー自身の足に合わせてカスタムできる。土踏まずのアーチサポートのおかげで、足裏が疲れにくく、ロングライドにも適している。

SLW3ダイヤルはスチールのワイヤーではなく、ダイニーマ繊維のワイヤーを使用しているため、強めに絞め込んでいても足あたりが柔らかい。ダイヤルの側面には凹凸があり、指が引っかけやすく操作しやすいし、0.7mmずつ緩められるなど、ライド中にもバイクを降りることなくミリ単位で細かな調整ができるのは嬉しい点だ。

ダイヤル側面は凹凸構造になっているため操作しやすいダイヤル側面は凹凸構造になっているため操作しやすい photo:Makoto AYANO
レバーをプッシュすると0.7mmずつ緩められるレバーをプッシュすると0.7mmずつ緩められる photo:Makoto AYANOレバーを引き上げるとフルリリースレバーを引き上げるとフルリリース photo:Makoto AYANO

透け感がある素材が採用されたアッパーは伊達ではなく、高い通気性を有したシューズでもある。アッパーだけでなく、アウトソールのつま先と土踏まず、踵の3か所の通気口が搭載されていて、シューズ内部の空気を循環してくれるため、暑くなり過ぎず快適な状態でライドすることができた。通気性が良いため、冬にはウールソックスやシューズカバーを使うのをおすすめしたい。

ノースウェーブ Extreme Pro 3は、イネオス・グレナディアーズに所属するフィリッポ・ガンナ(イタリア)が使用するほど高い剛性と快適性を確保したコンペティティブなレーサーのためのシューズだ。是非とも0.1秒でも反応の速さを求めるライダーにおすすめしたい。

シューズの側面からも空気が入るため、シューズ内は快適シューズの側面からも空気が入るため、シューズ内は快適 photo:Michinari TAKAGI

インプレッションライダーのプロフィール

高木三千成(シクロワイアード編集部)高木三千成(シクロワイアード編集部) 高木三千成(シクロワイアード編集部)

学連で活躍したのち、那須ブラーゼンに加入しJプロツアーに参戦。東京ヴェントスを経て、さいたまディレーブでJCLに参戦し、チームを牽引。シクロクロスではC1を走り、2021年の全日本選手権では10位を獲得した。




ノースウェーブ Extreme Pro 3
アウターソール:UDカーボン
ソール剛性指数:15
カラー:BLACK/WHITE、WHITE/BLACK
サイズ:37、38、39、39.5、40、40.5、41、41.5、42、42.5、43、43.5、44、45
価格:51,700円(税込)