ツール第9ステージは逃げたファンデルプールが、残り700mで吸収されるドラマチックな展開に。スプリントから今大会2勝目を得たティム・メルリールや、「仲間の夢のためだった」とその動機を語ったファンデルプールらのコメントを紹介する。
ステージ優勝 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

圧巻のスプリントで今大会2勝目をゲットしたティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos
とても暑い日だった。プロトンは比較的落ち着いていたが、ラスト60kmではエシュロン(横風集団分断)も起こり、そのせいでドリンク補給もままならず、余計暑さに苦しめられた。そのためナーバスな終盤となった。逃げによる5分のリードは大きく、僕らも(集団牽引に)力を貸した。そうしたら他のチームも牽引に選手を送り、ハイペースに持ち込まれた。
─終盤は(総合エースである)レムコ・エヴェネプールも牽引していた。
ああ、彼は本当に強い選手だ。いつもは僕が彼をアシストしなければならないのだが、今日は彼に助けられた。

勝利を喜ぶティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.
最後は僕とベルト(ファンレルベルへ)が一緒に位置取りをした。ツールでは初めて一緒になるが、彼が前にいれば自信を持ってスプリントに臨むことができる。とても良い走りを見せてくれた。一瞬、集団に埋もれかけるシーンもあったが、残り200mぐらいで抜け出すことができた。その後は全力で踏み込むだけだった。そうして掴んだ今大会2勝目が本当に嬉しいよ。
ステージ2位&マイヨヴェール(ポイント賞) ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)

ミランを追い抜くティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.
2人の強い選手を追い続ける、タフなステージだった。最後は横風区間もあったため、チームメイト全員が脚を使い、集団前方の位置を取らなければならなかった。スプリントは少し複雑で、2位という結果からは学ばなくてはならない。
─ファンデルプールはマイヨヴェール争いの脅威となるか?
彼のように強い選手を自由に走らせることは、理想的ではない。だから中間スプリントでは彼の動きをマークしなければならない。また今日はメルリールが勝利でポイントを稼いだ。僕らはできる限り、このジャージを守るべく戦い続ける。
残り700mまで逃げ続けたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

アクチュアルスタートと同時に逃げたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)とヨナス・リカールト(ベルギー) photo:A.S.O.
ヨナス(リカールト)と逃げようと話し合った。彼の夢がツールで表彰台に上がることで、僕は彼の敢闘賞の獲得に協力した。
─無事、彼の敢闘賞が決まった。
そうか。それなら本当に嬉しい。僕らは逃げ切り勝利に迫ったのだが、共に限界に達してしまった。とても厳しい1日で、コースレイアウトは2名で逃げるには適していなかった。それに風も集団に味方した。勝利こそ逃したものの、良いショーを見せることができたと思う。僕はマイヨヴェールを狙ってはいない。純粋に逃げたかっただけ。
敢闘賞を獲得したヨナス・リカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)

敢闘賞を獲得したヨナス・リカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:A.S.O.
逃げて敢闘賞が欲しいというジョークを、マチューが本気にしただけだ(笑)。だからスタート直後にアタックし、マチューが合流してきた。チームは僕らが中間スプリントまで逃げると思っていたみたいだが、僕らは逃げ切り勝利を狙っていた。それがもう少しのところまで迫った。
かなり踏んでいたので(5分以上の)アドバンテージには驚かなかった。競技人生で最も過酷な日だった。でもこれはツール・ド・フランスなので、(今日出した)数値は普通なのだろう(笑)。
最後は彼の勝利のために力を尽くしたのだが、残り30km地点で空っぽだった。でも彼が「僕には君が必要だ」と言われ、その時点でプロトンは40秒差まで迫っていたのでもう終わりなのだと思った。そうしたらタイム差が1分20秒まで戻ったんだ。だから逃げ切りも可能なのではと思ったが、プロトンは手強かった。
マイヨジョーヌ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

バイクを降り、リタイアを選んだジョアン・アルメイダ(ポルトガル、UAEチームエミレーツXRG) photo:A.S.O.
ジョアン(アルメイダ)を失い悲しい。僕でさえ今日は苦しんでいたので、怪我を負った彼の痛みは計り知れない。落車後の2日間、彼は諦めない心を見せてくれた。彼を心からリスペクトしているし、彼と走ったこの1週間を誇りに思う。彼の早い回復を祈っているし、次のレースにはさらに強くなって戻って来るだろう。
彼も総合上位を争うことができただろうし、山岳で力になってくれたはず。いまは彼のいない戦略を練り直さなければならない。そして残った7名で、彼のためにも総合優勝を目指す。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
ステージ優勝 ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

とても暑い日だった。プロトンは比較的落ち着いていたが、ラスト60kmではエシュロン(横風集団分断)も起こり、そのせいでドリンク補給もままならず、余計暑さに苦しめられた。そのためナーバスな終盤となった。逃げによる5分のリードは大きく、僕らも(集団牽引に)力を貸した。そうしたら他のチームも牽引に選手を送り、ハイペースに持ち込まれた。
─終盤は(総合エースである)レムコ・エヴェネプールも牽引していた。
ああ、彼は本当に強い選手だ。いつもは僕が彼をアシストしなければならないのだが、今日は彼に助けられた。

最後は僕とベルト(ファンレルベルへ)が一緒に位置取りをした。ツールでは初めて一緒になるが、彼が前にいれば自信を持ってスプリントに臨むことができる。とても良い走りを見せてくれた。一瞬、集団に埋もれかけるシーンもあったが、残り200mぐらいで抜け出すことができた。その後は全力で踏み込むだけだった。そうして掴んだ今大会2勝目が本当に嬉しいよ。
ステージ2位&マイヨヴェール(ポイント賞) ジョナタン・ミラン(イタリア、リドル・トレック)

2人の強い選手を追い続ける、タフなステージだった。最後は横風区間もあったため、チームメイト全員が脚を使い、集団前方の位置を取らなければならなかった。スプリントは少し複雑で、2位という結果からは学ばなくてはならない。
─ファンデルプールはマイヨヴェール争いの脅威となるか?
彼のように強い選手を自由に走らせることは、理想的ではない。だから中間スプリントでは彼の動きをマークしなければならない。また今日はメルリールが勝利でポイントを稼いだ。僕らはできる限り、このジャージを守るべく戦い続ける。
残り700mまで逃げ続けたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・ドゥクーニンク)

ヨナス(リカールト)と逃げようと話し合った。彼の夢がツールで表彰台に上がることで、僕は彼の敢闘賞の獲得に協力した。
─無事、彼の敢闘賞が決まった。
そうか。それなら本当に嬉しい。僕らは逃げ切り勝利に迫ったのだが、共に限界に達してしまった。とても厳しい1日で、コースレイアウトは2名で逃げるには適していなかった。それに風も集団に味方した。勝利こそ逃したものの、良いショーを見せることができたと思う。僕はマイヨヴェールを狙ってはいない。純粋に逃げたかっただけ。
敢闘賞を獲得したヨナス・リカールト(ベルギー、アルペシン・ドゥクーニンク)

逃げて敢闘賞が欲しいというジョークを、マチューが本気にしただけだ(笑)。だからスタート直後にアタックし、マチューが合流してきた。チームは僕らが中間スプリントまで逃げると思っていたみたいだが、僕らは逃げ切り勝利を狙っていた。それがもう少しのところまで迫った。
かなり踏んでいたので(5分以上の)アドバンテージには驚かなかった。競技人生で最も過酷な日だった。でもこれはツール・ド・フランスなので、(今日出した)数値は普通なのだろう(笑)。
最後は彼の勝利のために力を尽くしたのだが、残り30km地点で空っぽだった。でも彼が「僕には君が必要だ」と言われ、その時点でプロトンは40秒差まで迫っていたのでもう終わりなのだと思った。そうしたらタイム差が1分20秒まで戻ったんだ。だから逃げ切りも可能なのではと思ったが、プロトンは手強かった。
マイヨジョーヌ タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)

ジョアン(アルメイダ)を失い悲しい。僕でさえ今日は苦しんでいたので、怪我を負った彼の痛みは計り知れない。落車後の2日間、彼は諦めない心を見せてくれた。彼を心からリスペクトしているし、彼と走ったこの1週間を誇りに思う。彼の早い回復を祈っているし、次のレースにはさらに強くなって戻って来るだろう。
彼も総合上位を争うことができただろうし、山岳で力になってくれたはず。いまは彼のいない戦略を練り直さなければならない。そして残った7名で、彼のためにも総合優勝を目指す。
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos, A.S.O.
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