活動継続を断念したB&Bホテルズ KTMと契約を結んでいたピエール・ロラン(フランス)が、自身のSNSを通して現役引退を発表した。ロランは「自分の選手キャリアには満足している。他チームから契約の話があったが辞退した」と決断に至った経緯を話している。



現役引退を発表したピエール・ロラン(フランス)現役引退を発表したピエール・ロラン(フランス) photo:Kei Tsuji
「この冒険がもう少しだけ続くことを願ったが、運命は僕をその逆へと導いた。これで僕の人生の新しい章が始まる。今後に向けて沢山の素晴らしい計画があるんだ。自分のプロ生活には満足しているので、決して悲しまないでほしい」とピエール・ロラン(フランス)は引退発表の動画でそう語った。

来シーズンもB&Bホテルズ KTMで活動する予定だったロラン。しかしチームは12月7日に来季の活動継続を断念し、UCI(国際自転車競技連合)が12日に発表した2023年のプロチームから漏れたことで正式に活動終了が決定した。そのためアルケア・サムシックへの移籍が発表されたルーカ・モッツァート(イタリア)などを除き、現在でもB&Bと契約を結んでいた多くの選手たちがチーム探しに奔走している。

トタルエネルジーへの移籍が濃厚とされていたなか、一転して引退を決断した理由をロランは「いくつかのチームから契約の話があったが、彼らには”僕ではなくもっと若い(B&Bの)チームメイトと契約してくれ”と伝えた。僕は既に自分の力を示すチャンスを十分にもらったのだからね」と説明している。

2011年ツール・ド・フランス第19ステージのラルプ・デュエズにフィニッシュするピエール・ロラン(フランス、当時ユーロップカー)2011年ツール・ド・フランス第19ステージのラルプ・デュエズにフィニッシュするピエール・ロラン(フランス、当時ユーロップカー) photo:Makoto Ayano
独走勝利を飾ったピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック)独走勝利を飾ったピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) photo:Kei Tsuji / TDWsport勢いよくスプマンテを開けるピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック)勢いよくスプマンテを開けるピエール・ロラン(フランス、キャノンデール・ドラパック) photo:Kei Tsuji / TDWsport

1986年10月10日生まれのロランは現在36歳。2006年にプロキャリアをスタートさせ、2009年からはBboxブイグテレコム(後のユーロップカー)で新城幸也と共に7シーズンを過ごした。転機となったのはロランが24歳で臨んだ2011年ツール・ド・フランス。名峰ラルプ・デュエズにフィニッシュする第19ステージでロランはアルベルト・コンタドール(スペイン)らを振り切って優勝し、更に総合10位で新人賞に輝いたことで一躍フランス期待の若手選手としてその名が知れ渡った。

ロランは新城と共に出場した翌年2012年のツールでも区間優勝を挙げ、同大会で自身最高位となる総合8位でフィニッシュ。2009年のツール初出場からは2019年を除き13回出場した。2016年にアメリカ籍のキャノンデール・ドラパックに移籍したロランはステージレースを中心にクライマーとして出場し、2017年のジロ・デ・イタリアで勝利を挙げるほか、記録以上に記憶に残る選手として活躍した。

そして35歳で迎えた今シーズンもロランの登坂力は衰えておらず、クリテリウム・デュ・ドーフィネでは何度も逃げに乗って山岳賞を獲得。そして最後となったツールでも逃げ集団に入り、母国にその存在感を示した。

プロ生活12年間で積み上げた勝利は12。現役最後のレースになったのは奇しくも故郷ジアンからブールジュに向かうパリ〜ブールジュ(10月6日)で、57位フィニッシュだった。


text:Sotaro.Arakawa

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