東京五輪金メダリストのアンナ・キーセンホーファー(オーストリア、ソルテック・チーム)が残り1.5km地点まで逃げた女子ブエルタ4日目。白熱の登りフィニッシュをシルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス)が制した。



チーム最高位の総合19位につける與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)チーム最高位の総合19位につける與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) photo:CorVos
セラティジット・チャレンジbyブエルター2022第4ステージコースプロフィールセラティジット・チャレンジbyブエルター2022第4ステージコースプロフィール (c)CERATIZIT Challenge by La Vuelta最終日を翌日に控えたセラティジット・チャレンジbyブエルタ(UCIワールドツアー)第4ステージは、終盤に未舗装路が登場する丘陵ステージ。パレンシアからセゴビアに向かう160.4kmは100km前後のレースが占める今大会の最長距離で、最後は4級山岳(距離2.4km/平均3.5%)を駆け上がる。

この日はアクチュアル・スタートと同時に東京五輪の金メダリストであるアンナ・キーセンホーファー(オーストリア、ソルテック・チーム)が飛び出し、独走を敢行。今大会限定でスペイン籍のコンチネンタルチームとプロ契約を結んだキーセンホーファーが丘陵地帯を突き進んだ。

それを追うメイン集団は、五輪では追走叶わず2位に甘んじたアネミエク・ファンフルーテン(オランダ)を擁するモビスターが牽引を担当。残り60km地点を境に最大10分あったタイム差は徐々に縮小していき、プロトンがキーセンホーファーの背後に接近した。

序盤から逃げを打ったアンナ・キーセンホーファー(オーストリア、ソルテック・チーム)序盤から逃げを打ったアンナ・キーセンホーファー(オーストリア、ソルテック・チーム) photo:CorVos
レースを通しプロトンのコントロールを担ったモビスターレースを通しプロトンのコントロールを担ったモビスター (c)CERATIZIT Challenge by La Vuelta
フィニッシュまで残り9km地点から始まる1kmの未舗装路区間にキーセンホーファーが突入した時点で、プロトンとの差は1分20秒。ブローディー・チャップマン(オーストラリア、FDJスエズ・フチュロスコープ)など散発的なアタックによりプロトンのペースは更に上がったものの、東京五輪金メダリストはここから粘りの走りを見せた。

モビスターに加えチームDSMも牽引に選手を送ったプロトンだったが、未舗装路区間を過ぎても30秒差となかなか距離が縮まらない。しかし残り1.2km地点でようやくキーセンホーファーが吸収されると、勝負は4級山岳をハイスピードで駆け上がるクライマーたちに委ねられた。

最大10分のリードを稼いだアンナ・キーセンホーファー(オーストリア、ソルテック・チーム)最大10分のリードを稼いだアンナ・キーセンホーファー(オーストリア、ソルテック・チーム) photo:CorVos
デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)を抜き先頭に立ったシルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス)デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)を抜き先頭に立ったシルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) photo:CorVos
登りスプリントを制したシルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス)登りスプリントを制したシルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) photo:CorVos
来年モビスターへの移籍が決まっているリアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM)が残り700mから先頭に躍り出る。しかしエリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)が引き戻し、SDワークスのロッタ・コペッキー(ベルギー)とデミ・フォレリング(オランダ)が交互にアタックを仕掛けた。

これらの攻防を静観するファンフルーテンの一方で、残り200mでロンゴボルギーニが加速。しかし勝利はその動きに追従し、残り50mで先頭に出たシルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス)が掴み取った。

「今日は勝てるかもしれないと思っていた。なぜならこれがこのチームで走る最後の大会だから。素晴らしい時間を過ごすことができたチームに感謝したい。この勝利は嬉しく、また残り1.5kmまで逃げ続けたアナ(キーセンホーファー)を祝福したい。明日はスプリンターであるキアラ(コンソンニ)とカロリーナ(クミーガ)がやってくれるはず」とペルシコは語った。なおペルシコの移籍先等については、いまだ明らかになっていない。

ワールドツアー初勝利を挙げたシルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス)ワールドツアー初勝利を挙げたシルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) photo:CorVos
マイヨロホを守ったアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)マイヨロホを守ったアネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) photo:CorVos32位(43秒遅れ)でフィニッシュした與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)32位(43秒遅れ)でフィニッシュした與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス) photo:CorVos

そして今大会に出場するために2017年以来となるプロ契約を結び、東京五輪を彷彿とさせるエスケープを披露したキーセンホーファーは「0kmからアタックして155kmを単独で逃げ、フィニッシュ手前1kmで捉えられてしまった。死ぬほど辛かったが、これが私のレーススタイルだ」と振り返っている。

またこの日も與那嶺恵理(ヒューマンパワードヘルス)はチーム最上位となる32位(43秒遅れ)でフィニッシュ。総合でも19位(7分37秒遅れ)のまま、翌日の最終日に臨むこととなった。
セラティジット・チャレンジbyブエルタ2022 第4ステージ結果
1位 シルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス) 4:11:01
2位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)
3位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード)
4位 ロッタ・コペッキー(ベルギー、SDワークス)
5位 リアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM)
6位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター)
7位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ・フチュロスコープ) 0:04
8位 アヌースカ・コスター(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) 0:06
9位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) 0:11
10位 マビ・ガルシア(スペイン、UAEチームADQ) 0:13
個人総合成績
1位 アネミエク・ファンフルーテン(オランダ、モビスター) 10:00:02
2位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) 1:51
3位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) 2:18
4位 リアヌ・リッパート(ドイツ、チームDSM) 2:41
5位 セシリーウトラップ・ルドヴィグ(デンマーク、FDJスエズ・フチュロスコープ) 2:50
6位 アネ・サンテステバン(スペイン、バイクエクスチェンジ・ジェイコ) 3:03
7位 アンナ・シャクリー(イギリス、SDワークス) 3:14
8位 ジュリエット・ラブー(フランス、チームDSM) 3:35
9位 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム) 3:36
10位 ブローディー・チャップマン(オーストラリア、FDJスエズ・フチュロスコープ) 3:45
その他の特別賞
ポイント賞 シルヴィア・ペルシコ(イタリア、ヴァルカー・トラベル&サービス)
山岳賞 ルシンダ・ブラント(オランダ、トレック・セガフレード)
チーム総合成績 SDワークス
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos