ツール・ド・フランスに向けた重要な前哨戦ツール・ド・スイスが開幕。自宅から僅か1km「ホームレース」でシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)が嬉しい勝利を掴んだ。



トップタイムをマークしたシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)トップタイムをマークしたシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) (c)Tour de Suisse
スイス全土を駆け巡るツール・ド・スイス2021スイス全土を駆け巡るツール・ド・スイス2021 (c)Tour de Suisseクリテリウム・デュ・ドーフィネと並ぶ、ツール・ド・フランスに向けての重要な前哨戦であるツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)が開幕した。6月13日(日)までの8日間、休みなしでスイス全土を駆け巡る戦いは、2回の個人タイムトライアルと獲得標高3,000mオーバーの難関山岳ステージが2回ずつ組み込まれており、今年も前哨戦にふさわしい豪華メンバーが揃っている。

重量級スプリンター向けの平坦ステージはなく、10.9kmの初日タイムトライアルを終えてからの2日間は逃げや登れるスプリンター向けのアップダウンステージ。フィニッシュ10km手前になだらかな2級山岳を超える第3ステージを経て、標高1,381mのロイカーバートにフィニッシュする第4ステージから本格的な総合争いがスタート。上りと下りしかない第6ステージと獲得標高656mの山岳個人タイムトライアルをこなし、更に最終日にはスイスの象徴とも言えるゴッタルド峠(2090m/13.2km/6.7%)登場という非常に厳しいステージ構成だ。

ツール・ド・スイス2021第6ステージ コースプロフィールツール・ド・スイス2021第6ステージ コースプロフィール (c)Tour de Suisseツール・ド・スイス2021第8ステージ コースプロフィールツール・ド・スイス2021第8ステージ コースプロフィール (c)Tour de Suisse


オンラインイベント化した昨年大会を経て、2年ぶりの実戦開催となった2021年大会には19のUCIワールドチームに加え、アルペシン・フェニックスとトタル・ディレクトエネルジーのツール出場決定2チーム、そしてラリーサイクリングとスイスナショナルチームが参戦中。

シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)やマルク・ヒルシ(スイス、UAEチームエミレーツ)などプロトンを代表するスイス人選手が数多く参加し、更にアルデンヌクラシック以来1ヶ月以上ぶりの実戦復帰となったジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やリチャル・カラパス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)、MTBシーズンを過ごしたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)といった注目選手たちが集結。さらに戦線離脱していたトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)の復帰&今季初戦ともなり、そのコンディションに注目が集まった。

ステージ優勝:シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJステージ優勝:シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ (c)CorVos
ステージ2位:シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)ステージ2位:シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO) (c)Tour de Suisse
握手するシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)とシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)握手するシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)とシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO) (c)Tour de Suisse
リーダージャージに袖を通したシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)リーダージャージに袖を通したシュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) (c)CorVos
ドイツ国境にほど近いフラウエンフェルトで争われた、今大会唯一の"平坦"タイムトライアルで最速タイムを刻んだのはスイスが誇る超特急キュングだった。キュングのフィニッシュまではシュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)が暫くホットシートを守っていたものの、先輩の維持を見せつけるかのように4秒上回る。好走したマティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ)も12秒遅れに留まり、キュングのステージ優勝とリーダージャージ獲得が決まった。

「毎日練習しているコースで優勝できてとても嬉しい。このレースに向けて特別な練習を重ねてきたんだ」と、自宅から僅か1kmのスタート/フィニッシュ地点で優勝し、グルパマFDJ加入以降自身初となるワールドツアーレースでの個人タイムトライアル優勝を掴んだキュングは言う。「実際のところ2週間前までは今こうしていることを想像もできなかった。まだコンディションを上げている段階だったし、TT練習では苦しんでいたんだ。でも今日の仕上がり具合はバッチリだったし、スタート前にはどのように走るべきかも分かっていて自信があった」とも。

「今日はリスクを冒すことなく、全てをコントロール下に置いて走ったんだ。コース下見をしてどの場所にマンホールの蓋があるか、どうやって白線を越えたら速いかも全て理解していた。バイクと一体になってペダルを踏み込む事に集中していたよ。たくさんのコーナーが組み込まれた10kmコース。一つ一つの積み重ねが勝敗を分けるレースだった。主催メンバーも全員知り合いだし、沿道には友達や家族が来てくれた。すごく特別な勝利になったよ」と、欧州TTチャンピオンジャージに黄色いリーダージャージを重ね着したキュングは語っている。

ステージ5位:ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)ステージ5位:ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
ステージ10位:ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)ステージ10位:ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) (c)CorVos
復帰戦を走ったトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)はステージ16位復帰戦を走ったトム・デュムラン(オランダ、ユンボ・ヴィズマ)はステージ16位 (c)CorVos
マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)はステージ25位にマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・フェニックス)はステージ25位に (c)CorVos
またこの日、アラフィリップは仕上がりぶりを見せつけるかのように19秒遅れのステージ5位。今季カタルーニャとロマンディのTTステージで1勝ずつ挙げているローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ)は23秒届かずステージ10位に。また、復帰戦となったデュムランは23秒遅れのステージ16位と長期戦線離脱を感じさせない走りを披露している。

デュムランのコメントは別記事で紹介します。

ツール・ド・スイス2021第1ステージ結果
1位 シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) 12:00
2位 シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO) 0:04
3位 マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:12
4位 トム・スクーリー(ニュージーランド、EFエデュケーション・NIPPO) 0:15
5位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:19
6位 ヨナス・ルッチ(ドイツ、EFエデュケーション・NIPPO) 0:22
7位 ヤニック・シュタイムレ(ドイツ、ドゥクーニンク・クイックステップ)
8位 フロリアン・フェルメールス(ベルギー、ロット・スーダル)
9位 セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)
10位 ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) 0:23
個人総合成績
1位 シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ) 12:00
2位 シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO) 0:04
3位 マティア・カッタネオ(イタリア、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:12
4位 トム・スクーリー(ニュージーランド、EFエデュケーション・NIPPO) 0:15
5位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ) 0:19
6位 ヨナス・ルッチ(ドイツ、EFエデュケーション・NIPPO) 0:22
7位 ヤニック・シュタイムレ(ドイツ、ドゥクーニンク・クイックステップ)
8位 フロリアン・フェルメールス(ベルギー、ロット・スーダル)
9位 セーアン・クラーウアナスン(デンマーク、チームDSM)
10位 ローハン・デニス(オーストラリア、イネオス・グレナディアーズ) 0:23
その他の特別賞
ポイント賞 シュテファン・キュング(スイス、グルパマFDJ)
ヤングライダー賞 シュテファン・ビッセガー(スイス、EFエデュケーション・NIPPO)
チーム総合成績 EFエデュケーション・NIPPO
text:So Isobe
photo:CorVos

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