東京サンエスが取り扱いを開始したサスペンションシートポストとステムのブランド、キネクト。特許を取得したサスペンション構造を持つシートポストとステムをインプレッションした。



キネクト 2.1 Aluminum Seatpost、Stemキネクト 2.1 Aluminum Seatpost、Stem
100kmも走って帰ってくれば首や肩、腰が凝ってしまい、ライドの後半に正面を向くのでさえ辛い時がある。体への負荷が少なく自転車を楽しめたらどれだけ楽しいだろうか。そう考えたことのあるサイクリストは少なくないはずだ。長時間運動することによるダメージに加え、路面から受ける衝撃も小さくないため、ロードサイクリングでもサスペンションがあればスムーズなライドが行えるはず。

特にスムーズなサイクリングを楽しめるE-BIKEとサスペンションシートポストとステムは相性が良い、とキネクトを扱う東京サンエスの担当者に教えてもらった。E-BIKEとキネクトのサスペンションシートポストを同時に使える機会を得たので実際に使用してみた。

シンプルなロードバイクに乗る機会が多い筆者、CW編集部の藤原としては、500gを超える重量に対して「ダンシング時のバランスが崩れるのではないか」という不安は正直あった。しかし、今回試すのはロードバイクタイプのE-BIKE。走り出してみるとそのネガティブな印象は消え去った。

特許を取得したサスペンション構造が採用されている特許を取得したサスペンション構造が採用されている
というのも、E-BIKEはそもそも重量が重く、バッテリーなど重量物が自転車の下方に集まっているため、500g程度のパーツが増えたところで、大きな変化は生まれない。さらにE-BIKEであればシッティングで登り坂をスイスイと進んでいくれるので、ダンシングをせずとも登りをクリアしてしまうため、当初の不安は的外れだったのだ。

サスペンションシートポストとしてもE-BIKEとの相性は抜群に良い。ロードバイクで段差を乗り越える時はサドル越しに腰をガツッと押して来るが、車重のあるE-BIKEのノーマルシートポストの場合は、鈍重な衝撃が腰を襲ってくる。ロードバイクよりもE-BIKEでインパクトを受けた時の方がストレスになる印象がある。

後部についているボルトでサスペンションの硬さを調整する後部についているボルトでサスペンションの硬さを調整する
キネクトのサスペンションシートポストをインストールした後では、衝撃はほぼ皆無。スムーズな走行を実現している。一方で、ダンパーが備えられていないため、バネを緩く設定していると何度かバネが反発するが、その浮遊感にトランポリンで跳ねているような面白さを感じる。

大きめの段差を越えた後にリバウンドしている最中は、サドルのみが上下に移動するため、BB位置も相対的に上下動することになり、マウンテンバイクのリアサスとは異なるフィーリングを与えてくる。リバウンドしている最中にペダリングをすると違和感を覚える方もいると思うが、バネを調整すれば好みの硬さを見つけられるはず。

E-BIKEとの相性が良いキネクトのサスペンションシートポストE-BIKEとの相性が良いキネクトのサスペンションシートポスト
筆者としては柔らかくセットしてボヨン、ボヨンと動くのが楽しく感じた。それはサスペンションシートポストが前後ではなく、上下に動く特許技術の影響だろう。もしサドルが前後に動いていたら、サスペンションが働いている最中はハンドルの距離が変わることになり、上半身で対応しなければならなくなる。対して、膝下が上下に動く分には、ハンドリングが不安定になる心配は無い。もしサスペンションが搭載されていないE-BIKEに乗っている方で、スムーズなサイクリングを楽しみたいという方であれば、試してみてもらいたい。

今回はキネクトのサスペンションステムも同時に試用。ステムはハンドルバー径の影響もあり、一般的なロードバイクに装着した。こちらも500gというヘビー級の重量なのだが、思っていた以上に走行中の違和感は少ない。

硬めのバネを装着した状態では普通のステムと変わりないのではないかと思うほどの剛性感。一方で、段差を降りた時の衝撃はいつもより軽いような印象のため、サスペンションは効いているようだ。オーバーに動きすぎないため、自然なフィーリングを維持できているのだろう。

キネクト Stemキネクト Stem
ブレーキングでハンドルに荷重を掛けたままでも、サスペンションが前方にダイブすることもない。硬いバネを装備した場合は、ハンドルから手が離れるような強い衝撃を受けた時に機能し、それ以外の部分では一般的なステムと同じような感覚で使えるような印象を受けた。

一般的なロードバイクに装着する際は前後どちらかでも良さそうだが、E-BIKEに装着する際は前後共に揃えたほうがサスペンションがもたらすフィーリングのバランスは整いそうだ。




キネクト 2.1 Aluminum Seatpost
径:27.2mm (別売シムで30.9・31.6mmにも対応可能)
長さ:350mm、420mm
素材:6061アルミ
オフセット:12mm
トラベル量:0~35mm
重量:525g(350mm)、563g(420mm)
価格:29,800円(税抜)

キネクト Stem
角度:7°30°
長さ:【7°】90、105mm【30°】100mm
素材:6061アルミ
ハンドルクランプ径:31.8mm(別売シムで25.4・26.0mmにも対応可能)
コラムクランプ径:28.6mm
クランプ幅:40~45mm
トラベル量:15~20mm
重量:470~530g
価格:19,800円(税抜)
キネクト Stem
長さ 角度 重量 クランプ幅
90mm 470g 45mm
105mm 500g 40mm
100mm 30° 500g 45mm