盤石なトレインに導かれたアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が、バレンシアナ2日目の集団スプリントで勝利。総合首位もチームメイトのスコットソンが守っている。



レース中盤から降り注いだ雨が選手たち濡らしたレース中盤から降り注いだ雨が選手たち濡らした (c)corVos
ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ(UCI2.Pro)第2ステージは、レース序盤に設定された2級山岳(距離6.2km/勾配5.8%)を越え、緩いアップダウンを経て平坦なフィニッシュに向かう177km。海辺のアリカンテ市街から丘陵地帯を周り再び戻ってくるレイアウトは、昨日出番のなかったスプリンター向きだ。

初日のスタート地点エルチェを反時計回りに巡るこの日に逃げたのは、山岳賞ジャージを着用するイボン・ルイス(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)を含む5名。このステージ唯一の山岳ポイントをルイスがトップ通過すると、降り出した雨の中2分差をキープしながら距離を消化していった。

逃げ集団から抜け出すシャビエル・アスパレン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)逃げ集団から抜け出すシャビエル・アスパレン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ) (c)Volta a la Comunitat Valenciana 2021
メイン集団はそれぞれエーススプリンターを擁するグルパマFDJとコフィディスが牽引する展開に。残り35kmを過ぎタイム差が1分まで縮まると、逃げ集団からシャビエル・アスパレン(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)が飛び出すが、協調を乱すだけで決定的な動きに繋がらない。

フィニッシュ地点のあるアリカンテに選手たちが戻ってくると、残り3kmまで粘った逃げ集団は吸収される。大集団のままグルパマFDJがシュテファン・キュング(スイス)を先頭にトレインを形成すると、そのままフラムルージュ(残り1km)を通過した。

キュングが役割を終えてもなおグルパマFDJはアルノー・デマール(フランス)の前に3人を残す理想的な展開に。残り100mでデマールが発進し、その真後ろについたカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)が右に並ぶも届かずに踏み止める。更に後方から加速してきたティモシー・デュポン(ベルギー、ビンゴール・ワロニーブリュッセル)を並ばせることなく、先頭を突き進んだデマールが勝利した。

諦めるカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)の前でアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が先行諦めるカレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)の前でアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が先行 (c)corVos
ハンドルを投げ込むアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)ハンドルを投げ込むアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) (c)corVos
今季2勝目を射止めたアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)今季2勝目を射止めたアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) (c)corVos
「ここは今年1月に行った合宿とレース前日に試走をしていた。教科書通りのスプリントだった!」とデマールの代わりに答えたのはティエリー・ブリコー監督。「今朝思い描いていた通りの展開になった。ラスト1kmでアルノーの前に4名いる完璧なトレインを組むことができた。いまのところ全てが上手くいっている」と加えた。グルパマFDJはステージ2連勝と同時にマイルズ・スコットソン(オーストラリア)のリーダージャージを守っている。

翌日はトレントから4つのカテゴリー峠を越え2級山岳ドス・アグアスの頂上に向かう165km。例年登場する激坂と比べ平均勾配5%(距離7.4km)と迫力はないが、今大会唯一の山岳フィニッシュが総合順位をシャッフルする。
ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ2021第2ステージ結果
1位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) 4:09:23
2位 ティモシー・デュポン(ベルギー、ビンゴール・ワロニーブリュッセル)
3位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ロット・スーダル)
4位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)
5位 セバスティアン・モラ(スペイン、モビスター)
6位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、グルパマFDJ)
7位 エドウィン・アビラ(コロンビア、ブルゴスBH)
8位 コリン・ジョイス(アメリカ、ラリーサイクリング)
9位 フェリペ・オルツ(スペイン、ブルゴスBH)
10位 ジル・ディジェール(ベルギー、タルテレット・アイソレックス)
個人総合成績
1位 マイルズ・スコットソン(オーストラリア、グルパマFDJ) 8:24:10
2位 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、ロット・スーダル) 0:32
3位 アラン・リウー(フランス、アルケア・サムシック) 0:34
4位 エンリク・マス(スペイン、モビスター) 0:35
5位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター) 0:36
6位 ヴィクトル・ラフェ(フランス、コフィディス) 0:37
7位 シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス) 0:38
8位 コリン・ジョイス(アメリカ、ラリーサイクリング)
9位 マティス・ルーヴェル(フランス、アルケア・サムシック)
10位 フランク・ボナムール(フランス、B&Bホテルズ KTM)
特別賞
ポイント賞 シモーネ・コンソンニ(イタリア、コフィディス)
山岳賞 イボン・ルイス(スペイン、エキポ・ケルンファルマ)
ヤングライダー賞 アラン・リウー(フランス、アルケア・サムシック)
チーム総合成績 グルパマFDJ
text:Sotaro.Arakawa