チームイネオスのセルファイス・クナーフェン監督がオランダメディアのインタビューに答え、フルーム離脱の発表をシーズン再開前に行った理由や、注目が集まるフルームのツール出場について語った。



今季限りでチームイネオスから離脱することが発表されたクリストファー・フルーム(イギリス)今季限りでチームイネオスから離脱することが発表されたクリストファー・フルーム(イギリス) (c)CorVos
チームイネオス(当時チームスカイ)のワールドツアー参戦2年目の2011年から監督を務めるクナーフェン氏が母国オランダメディアの取材に対し、クリストファー・フルーム(イギリス)と2021年以降の契約を結ばない旨をシーズン再開3週間前の7月9日に発表をした理由をこう話した。

「外の世界に向けてはっきりさせるのが重要だと思ったんだ。クリスの未来については全てが明らかとなった。だからそれについて僕たちが話す必要はなくなったし、ツールに向けた準備中やツール期間中それに悩まされる心配がなくなった」

英CyclingNewsによるフルーム移籍の報道があった5月14日以降、コロナ禍の影響でレースが中断されたこともあり、フルームに関する報道が過熱。フルームの行方と同時に、シーズン途中での移籍可能性についても大きな注目を集めた。

フルーム、トーマス、ベルナルのトリプルエース体制でツールに臨むとみられるチームイネオスフルーム、トーマス、ベルナルのトリプルエース体制でツールに臨むとみられるチームイネオス (c)www.teamineos.com
クナーフェン氏はその報道について「メディアでそれ(シーズン途中移籍に関する報道)を見かける度に僕たちは笑っていたんだ。チーム内で話されてすらないからね。それにお互い求めていることではないと思う」と語った。

2020年末までイネオスの一員として走ることが明らかになったフルームだが、次に注目されるのがツール出場についてだ。

現時点でイネオスは昨年覇者エガン・ベルナル(コロンビア)、一昨年覇者ゲラント・トーマス(イギリス)とフルームのトリプルエース体制でツールに臨むと言われている。しかし、フルームは昨年6月のクリテリウム・ドーフィネで負った重傷からの回復具合は不透明かつ、ワールドツアーを戦うトップチームでは来季移籍する選手を主要レースから遠ざける慣習があるため、フルームをツール出場メンバーに選出しないことが懸念されている。

チームスカイ時代から長きに渡って監督を務めるセルファイス・クナーフェン氏チームスカイ時代から長きに渡って監督を務めるセルファイス・クナーフェン氏 (c)CorVos
だがクナーフェン氏はフルーム選出について、「ツール期間中、クリスの移籍はチーム内の(エースという)立場に対する疑念材料として見られるだろう。だが私には彼の立場が変わる理由が見当たらない。我々はツールで優勝したいし、クリスがそれに最適な選手であれば、彼が勝利を手にするだろう。来年彼がチームを離れることなんて全く関係ない」と、移籍が及ぼすチームでの影響を否定した。

ツール・ド・フランスの開幕は8月29日(~9月20日)、その前哨戦となるクリテリウム・デュ・ドーフィネは8月12日(~16日)に開幕する。例年同時期に開催される前哨戦ツール・ド・スイスが行われないことからも、ドーフィネでイネオスが選出する出場メンバーに注目が集まる。

text:Sotaro.Arakawa

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