チームイネオスの発表から僅か1時間後、イスラエル・スタートアップネイションがクリストファー・フルーム(イギリス)の来季加入を発表した。情報解禁日前の移籍発表は異例中の異例だ。



イスラエルで開幕した2018年ジロ・デ・イタリア。チームフラッグとクリストファー・フルーム(イギリス、当時チームスカイ)イスラエルで開幕した2018年ジロ・デ・イタリア。チームフラッグとクリストファー・フルーム(イギリス、当時チームスカイ) (c)CorVos
「イスラエル・スタートアップネイションは、ツール・ド・フランスで4勝したクリストファー・フルーム(イギリス)が来季からチームを率いることを非常に光栄に思っている」。チームイネオスがフルーム放出を発表した1時間後、イスラエル籍の最年少ワールドチームはSNSでフルームの獲得をアナウンスした。

チーム発表によれば、フルームとの契約期間は「ロングターム(長期間)」。具体的な年数は明かされていないものの、キャリアを終える(現役引退)までイスラエルのジャージを着用すると記されている。フルームとチームは8月1日にサインを交わし、正式契約を行うという。

「ISN(チーム略称)ファミリーに加わることができて興奮している。新しい挑戦に、そして若き才能たちに挑戦されることに、そしてこれまで楽しんできた成功のために努力し続けることが楽しみだ」と発表の中で話すフルーム。その”成功”が指すのはグランツール、特にツール・ド・フランスでの更なる総合優勝だ。「スポーツ界に対するISNのインパクトは急速に拡大を遂げており、自分もその波に乗りたい。チームと共に素晴らしいことを成し遂げられると感じている」と加えている。

チーム共同オーナーのカナダの資産家シルヴァン・アダムス氏チーム共同オーナーのカナダの資産家シルヴァン・アダムス氏 photo:Kei Tsuji
チーム共同オーナーのシルヴァン・アダムス氏は「チームやイスラエル、イスラエルのスポーツ界、そして世界中のファンにとって、そしてもちろん私個人にとって歴史的で、誇りに思うべきことだ。クリスは彼世代の中で最高の選手であり、ツール、そしてグランツールでチームを率いるだろう。共にさらなるグランツール総合優勝を狙い、彼が歴代最高の選手となれるように業績を築き上げていきたい」とコメント。

億万長者として知られるアダムス氏は豊富な資金力でチームのワールドツアー昇格を叶えたほか、2018年にはジロ・デ・イタリアのイスラエル開幕誘致に成功していた。

text:So.Isobe