ワイルドカード枠で今年のツール・ド・フランス出場を決めているアルケア・サムシック。しかし、エーススプリンターを担うかと期待されたナセル・ブアニは「今年のコースは山岳が厳しくチャンスが少ない」としてツール出場をスキップすることがチーム公式サイトで発表された。



ナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)がツール・ド・フランス出場をスキップナセル・ブアニ(フランス、アルケア・サムシック)がツール・ド・フランス出場をスキップ (c)CorVos
FDJでプロ入りし、その後2015~2019年までコフィディスのエーススプリンターとして活躍したナセル・ブアニ。今季は同郷のフランス籍チーム「アルケア・サムシック」へと移籍しており、すでにサウジツアーとツール・ド・ラ・プロヴァンスでステージ2勝を挙げるなど好調の様子を見せていた。

チームはワイルドカード枠で今年のツール・ド・フランス出場を決めているが、6月5日付けのチーム公式発表によると、エーススプリンターを担うかと期待されたブアニはツール出場をスキップするとのことだ。「山岳主体のコースレイアウトとされており、スプリンターたちにはチャンスが少ない」と、その理由を挙げている。

今季は同郷のフランス籍チーム、アルケア・サムシックで走るナセル・ブアニ今季は同郷のフランス籍チーム、アルケア・サムシックで走るナセル・ブアニ (c)CorVos
「チームと慎重に話し合ってツールに出場しないことを決定した。明らかにクライマー向けな今年のコースレイアウトを見れば納得だ。もちろんツール・ド・フランスでのステージ勝利はキャリア最大の目標の一つ。ツールで自分の実力が100%発揮できるような機会は今の所まだないが、将来的に必ずやってくると信じている」

「スプリンターにとってチャンスが少ないツールに出場するよりも、他のレースで勝利することの方が好ましい。もし7つ8つとスプリントステージが組まれていたのであれば話は別だったが、今回はこの選択で全く問題ないと感じている」とコメントしている。

前チームのコフィディスでも2018年、2019年とツール・ド・フランス出場メンバーには選ばれておらず、これで3年連続ツール出場の機会を逃したことになるブアニ。その上で「2020シーズンもレースを楽しみ、そしてレースで勝つという目標は変わらない。シーズン後半はレースも豊富にあり、チームのために最善を尽くしてレースで勝ちを狙いたいと思う。8月のミラノ〜サンレモやヨーロッパ選手権に向けて調子を上げていきたい」と前向きに語っている。

ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)はツール・ド・フランス前に2レースに出場することを発表ナイロ・キンタナ(コロンビア、アルケア・サムシック)はツール・ド・フランス前に2レースに出場することを発表 (c)CorVos
また、アルケア・サムシックはモビスターから移籍したナイロ・キンタナをエースに据えツール・ド・フランスを戦う予定だ。キンタナはツールに向けた準備のため、8月7~9日開催のツール・ド・レンからレースを再開、さらにツールの前哨戦とも呼ばれるクリテリウム・ドゥ・ドーフィネにも出場するとしている。

text:Yuto.Murata