ロードレース界で高い評価を得るヴィットリア CORSA。すでにおなじみの存在だが今回はチューブレスレディを採用したTLRタイプのCORSAとCORSA CONTROLの2モデルをピックアップ。脱着やシーラントの相性を含めた長期使用によるインプレッションをお届けする。



ヴィットリア CORSA CONTROL チューブレスレディヴィットリア CORSA CONTROL チューブレスレディ photo:Makoto.AYANO
UCIワールドチームがこぞって使用するヴィットリアのCORSA。言うまでもなく長らくロードレース界のリーディングブランドとして君臨するヴィットリアによる最高峰のレーシングタイヤだ。

グラフェンを含有するコンパウンドによってレーシングタイヤのラインアップを大幅刷新したのが2015年のこと。それから3年余を経て「グラフェン2.0」と銘打った進化版の第2世代のコンパウンドにアップデートされた。

ヴィットリアCORSAチューブレスレディヴィットリアCORSAチューブレスレディ photo:Makoto.AYANO
炭素の同素体「グラフェン」とはバイシクルタイヤ製造会社として初めてかつ唯一ヴィットリアのみが配合・採用するナノ素材。ハニカム(蜂の巣)=六角形格子構造のシート状の原子構造をとり、これまでに発見されたあらゆる物質の中でも最も薄いという。その厚みはわずかに原子1個分にあたる10億分の1メートルで、グラフェン1gの面積は2,630平方メートルほどになる。現在知られている物質の中で最も軽く、かつ高い強度を兼ね備えており、ダイヤモンドより硬く、鋼鉄の200倍の強度をもつという。

グラフェン2.0が採用されていることを誇るマーキンググラフェン2.0が採用されていることを誇るマーキング CORSAは縦溝だけのシンプルなトレッドパターンCORSAは縦溝だけのシンプルなトレッドパターン


ヴィットリアはこのグラフェン採用コンパウンドをタイヤの種類ごとに求められる性能に沿った配合を追求、走行抵抗の低減、空気保持性、グリップ、耐カット性などを向上させることに成功。その総称としてG2.0と謳うに至った。

グラフェン2.0とともに、ヴィットリアのハイエンドタイヤのトレッドに採用される「4Cテクノロジー」も技術的な核だ。4C(=クアッド・コンパウンド)とは、トレッドのセンター、サイド、ショルダー部あるいは表層部において、適材適所で異なる4種のコンパウンドをレイヤリング(重ね合わせ)し、性能を追求する構造。ヴィットリアは世界で唯一、4種類のコンパウンドをひとつのタイヤトレッドにミックスして用いる唯一のメーカーだ。

CORSAのトレッド内側は薄いゴム被膜のような仕上げとなるCORSAのトレッド内側は薄いゴム被膜のような仕上げとなる
そして今回ピックアップする「チューブレスレディ」については第1世代のCORSA SPEEDに先行採用していた構造を、CORSAを始めとしたレーシングタイヤラインナップにも広く採用したもの。TLおよびTLR(チューブレスレディ)タイプのタイヤはチューブが存在しないことで転がり抵抗が少なくでき、かつ抵抗の少ないトレッドパターンと、ヴィットリアの誇る320TPIという超高密度織りのケーシングによってCORSA SPEEDはデータ上で世界最速のタイムトライアルタイヤとしての性能を達成した。

そしてロードタイヤ界のトレンドは今、ますますチューブレスレディタイヤ化への舵を大きく切っている。ヴィットリアもG2.0の採用とともにCORSAやRUBINOなどレーシングラインにチューブレスレディモデルを追加ラインナップ。

CORSAとCORSA CONTROLのトレッドの違い CORSAとCORSA CONTROLのトレッドの違い (c)vittoria japan
ロードタイヤの定番モデルCORSAはオールラウンドに使用できる万能タイヤ。そしてCORSAの派生モデルに位置づけられる「CORSA CONTROL」は、未舗装路や石畳などを含む荒れた路面用タイヤとして誕生。プロロードレースではロンド・ファン・フラーンデレンやパリ〜ルーベといったパヴェ(石畳)レースに使用されるタフネスモデルだ。2つの違いはトレッドのデザインがCORSAが縦溝なのに対し、CORSA CONTROLはセンター部に縦溝、サイド部は杉目のミックスパターンを採用。加えてトレッドゴム中央部がコルサより0.3mm肉厚で、ショルダー部が両側に1.5mmずつ延長されているため、サイドカットを含む耐パンク性能が向上している。

また、25C、28Cに加えて、CORSA CONTROLではロードディスクブレーキの普及に伴い30Cもラインアップ、ツーリングやグランフォンドの様なロングライドまでをカバーする。

ロードタイヤの超定番的存在のチューブレスレディ版はどういったタイヤなのか。CORSAとCORSA CONTROLの2つのTLRモデルを長期使用テストした。

インプレッション CORSAとCORSA CONTROLを乗り比べる

CORSA 25Cで実測295gはカタログ重量より+5gだったCORSA 25Cで実測295gはカタログ重量より+5gだった リムへの装着とシーラントの相性

チューブレスタイヤで懸案となるのが取り付けやリムとの嵌合相性。折りたたんだ状態でタイヤが平たい「オープンチューブラータイプ」とも呼ばれるフラットな形状のCORSAの場合もその点は例外なく、試して分かった事例でポジ・ネガ面含めて紹介しよう。

まずフルクラム RACING ZERO CARBONに装着したケースから。ビードの嵌めこみはスムーズだったものの、リムウォールとの隙間がある状態で、フロアポンプではビードが上げられず、一気にエアを充填させるコンプレッサーを用いる必要があった。フルクラム(つまりカンパニョーロ系)のリムとの相性では緩すぎるようだ。

オープンチューブラータイプの平たいタイヤ形状は取り付けに独特のコツを必要とするオープンチューブラータイプの平たいタイヤ形状は取り付けに独特のコツを必要とする
いっぽう、チューブレスシステムの取り扱いの改善に大きな役割を果たしたマヴィックのUSTシステム採用ホイール、 COSMIC PRO CARBON SL USTの場合は、取り付けは手を用いるだけで可能なスムーズさで、かつエア充填もフロアポンプで一発で可能だった。リムウォールとの嵌合相性が非常に良く、簡単だった。

ヴィットリアCORSAチューブレスレディヴィットリアCORSAチューブレスレディ photo:Makoto.AYANO
そしてシーラントについて。ヴィットリアにはPIT STOPという同社オリジナルのシーラントがあり、使用が推奨されている。同様のSTANS製などラテックス系のシーラントは相性が良かったが、問題が発生したのがフィニッシュライン Tubeless Tire Sealantのケース。エア漏れが止まるのにほぼ1週間かかってしまい、以降は問題なくエア圧低下は起こらなくなったが、エア保持のための被膜形成に問題があるようだった。これは推測になるが、フィニッシュラインのシーラントは非ラテックス系で乾きにくい性質をもつ独特の成分で好評だが、ヴィットリアのタイヤ内側のTLRコーティング層とは相性が良くないようだ。

定番のラテックス系のSTANSシーラントを使用すれば装着1日で安定し、エア漏れもほぼ無くなり、1週間経過でも1気圧程度の低下にとどまった。ヴィットリア、STANS、IRC、マヴィックなどのラテックス系シーラントなら相性が良さそうだ。

実走インプレッション

ヴィットリアCORSAチューブレスレディ ロードレースで高い性能を発揮する万能タイヤだヴィットリアCORSAチューブレスレディ ロードレースで高い性能を発揮する万能タイヤだ photo:Yuto.Murata
まずCORSAはチューブラー、クリンチャーともに使用経験があるため、その記憶との比較をしつつ乗り比べた。太さは25Cでテスト。

まず空気圧は体重60kgの筆者で5〜7気圧まで幅広い設定で使える実感だ。5気圧台では快適性が顕著で、かつ腰砕けもしにくい。そして6気圧を超えると転がりが軽くなり、日常のライドでは6.5気圧がベスト。7気圧まで高めれば硬めになるものの、路面が荒れていても振動吸収性自体はそれほど低下せず、かつ微振動は打ち消してくれる。そのうえで走りも軽くなるため、レースなどでは速く走れるだろうと感じた。

CORSAチューブレスレディは転がりが軽く、かつグリップに優れるCORSAチューブレスレディは転がりが軽く、かつグリップに優れる photo:Yuto.Murata
ロードレースなら高めの空気圧のほうが剛性を高められ、撓みが少なくできるので向いていると感じる。空気圧を高めても荒れた路面で跳ねにくいのは高密度320TPI織りのコットンケーシングのしなやかさによる性能だろう。縦溝のラインパターンによるトレッドはスリックに近いが、コーナリング時に素直に変形してくれるようで、路面をしっかり掴むグリップ感は安心度が高い。このあたりがプロロードレーサーに支持されるさすがの使い心地だ。ホイールとの組み合わせも含めてTLRタイプは重量的にはチューブラーよりどうしてもやや重くなってしまうが、乗り心地の良さや性能はチューブレスに分があるように感じる。

CORSA CONTROLチューブレスレディのトレッドは縦溝+杉目パターンCORSA CONTROLチューブレスレディのトレッドは縦溝+杉目パターン photo:Makoto.AYANO
CORSA CONTROLはコルサの縦溝に加えてサイドに杉目が入ったミックスパターンが特徴で、トレッドのゴム厚が0.3mm程度厚くなっている。0.3mmは僅かな数値に思えるが、乗り心地ではトレッドの厚み増加ぶんコシを強く感じる。チューブラータイプのCORSA CONTROLはクリンチャー的な硬さがやや気になったものだが、チューブレス版はしなやかさが増すためか圧を高めても硬さが出にくく、気にならない。

杉目の加わったトレッドはCORSAに比べれば走行ノイズがやや大きくなるが、荒れた路面のグリップ力が高く、コーナーに砂が浮いていてもグリップの限界がつかみやすい。雨の日でも排水性が優れているためか挙動も素直で安心感がある。2,000kmほど走ったが、トレッドの痛みや減りがほとんど見受けられず、耐摩耗性や耐久性が相当に良いことが伺える。普段遣いのタイヤとして非常に高バランスで、かつ不安要素が少ない。

コーナリングでバイクを倒しこんだ際にもグリップ感が素直に伝わってくるコーナリングでバイクを倒しこんだ際にもグリップ感が素直に伝わってくる photo:Yuto.Murata
CORSA、CORSA CONTROLともにチューブラーでは内部にチューブの存在を感じたが、チューブレスはより素直な高性能が引き出せていると感じる。しなやかなケーシングからくる自然な弾力感はシリーズいちの快適さだ。CORSAの場合、例えばクリンチャータイプが他ブランドのチューブレス相当のしなやかさがある。それがチューブレスになればさらにしなやかで快適、かつ高圧にしても剛性と振動吸収性が両立できる。

縦溝+杉目パターンのCORSA CONTROLチューブレスレディのトレッド。肉厚なぶん減りにも強いようだ縦溝+杉目パターンのCORSA CONTROLチューブレスレディのトレッド。肉厚なぶん減りにも強いようだ CORSAはもちろんレースユースに最高だが、CORSA CONTROLはツーリングやマイナー林道を含む山岳ライドやグランフォンド、グラベルを含むようなルートを走るような人におすすめできるほか、ロードレースで使用するにも遜色ないグリップ性能がある。そしてロングライフを誇ることを考えれば、ホビーサイクリストなら日常のライドやトレーニングで使用しても使い切るには相当の時間がかかるほどのコストパフォーマンスがある。普段使いでこそグレードを落としたタイヤでなく、高性能タイヤを使うことが安全で楽しいライドにつながるため、おすすめしたい。

ちなみにヴィットリア・ジャパンからタイヤサポートを受けるチーム右京の畑中勇介選手は、このオフから春先までにCORSA CONTROLで乗り込んだレポートをブログに投稿している。「6,500kmも走ってリアはそろそろ交換時期だがフロントはほとんど減っておらず、あと5,000kmは行けるかも。ダッシュ練習なども取り入れる練習でここまで長寿なレースタイヤは初めて」「紫外線にも強く、経験上最高のタイヤ。雨天や悪路用に耐久度を上げたことで結果、練習にも最適になっています」と、そのロングライフぶりを綴っている。コロナの影響でレースが無くなり、練習で走った距離を正確に測っていたため、その耐用距離は信頼できるデータと言えそうだ。


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ヴィットリア CORSA CONTROLチューブレスレディ
サイズ:700x25C/300g、700x28C/315g、700x30C/320g
価格:8,000円(税抜)

impression& photo:Makoto.AYANO
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