休息日を含め合計8日間続いたブエルタ・ア・サンフアンも最終日。大集団スプリントでフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)が完全復活を示す大会3勝目を挙げ、レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)がキャリア2度目の総合優勝を遂げた。



総合優勝まであと一方に迫ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)総合優勝まであと一方に迫ったレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos笑顔のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)笑顔のペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)CorVos

サンフアン市街地の環状道路を9周回するサンフアン最終ステージサンフアン市街地の環状道路を9周回するサンフアン最終ステージ (c)CorVos
アルゼンチンのサンフアン州を舞台に開催されたブエルタ・ア・サンフアン(UCI2.Pro)もいよいよ最終日。サンフアン市街地をぐるりと囲う1周16kmの環状道路を、時計回りに9周回する141.3kmコースで再びスプリリンターが火花を散らした。

派手な紙吹雪と共に、総合首位レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)を先頭にスタートすると、すぐさま今大会積極的にエスケープしてきたコリン・ジョイス(アメリカ、ラリーサイクリング)を含む8名が集団を引き離した。

3周目と7周目突入時に設けられた中間スプリントポイントで先行したのは、トラックの長距離競技を本業とするイグナシオ・クルシェット(アルゼンチン、アルゼンチンナショナルチーム)。腕に入れたアルゼンチン国旗のタトゥーが目立つ26歳が持ち前のスプリント力でポイントを量産した。

後半戦に入ると逃げグループ内からジョイスが飛び出したものの、後方からスプリントに向けて迫り来る集団を振り切るには至らない。アンドローニジョカトリ・シデルメクやドゥクーニンク・クイックステップが50km/h以上のペースで牽く集団は10km以上を残してジョイスを吸収し、アタックを許さないハイペースを維持したままフィニッシュへと突き進んだ。

集団前方を走るレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)集団前方を走るレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
序盤のエスケープから単独走に持ち込んだコリン・ジョイス(アメリカ、ラリーサイクリング)序盤のエスケープから単独走に持ち込んだコリン・ジョイス(アメリカ、ラリーサイクリング) (c)CorVos
エヴェネプールの総合優勝とアルバロホセ・ホッジ(コロンビア)のスプリントを狙うドゥクーニンク・クイックステップが主導権を握り、残り2kmを切るとフェルナンド・ガビリア(コロンビア)の3勝目を目論むUAEチームエミレーツが別ラインで列車を並べる。更にイスラエル・スタートアップネイションやコフィディスも人数を集めたことで位置取り合戦が熱を帯びる。

残り500m。ベルト・ファンレルベルフ(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)がホッジを、マキシミリアーノ・リケーゼ(アルゼンチン、UAEチームエミレーツ)がガビリアを、ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・スタートアップネイション)がルディ・バルビエ(フランス)を引き連れた状態で、そしてペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)は単独でフィニッシュラインへ。

残り400mからリケーゼが加速したものの、背後のガビリアはホッジの背後でタイミングを待ってから、残り250m以上を残して自らスプリントを開始する。低い姿勢で加速を続けたガビリアが、後ろに入ったサガンやホッジを並ばせることなく先着した。

スプリントでライバルを圧倒したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)スプリントでライバルを圧倒したフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) (c)CorVos
余裕あふれるガッツポーズを披露するフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ)余裕あふれるガッツポーズを披露するフェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) (c)CorVos
連携不足によって初日ステージこそ勝利を取りこぼしたものの、第2ステージ、第4ステージと純粋なスプリント力では頭一つ抜けだしていたガビリアが大会3勝目。「今日はすごく脚があった。1週間を完璧なスプリントで終えることができて幸せだ。このような形でシーズンインできたこのでチームのモチベーションもぐっと上がる。この調子のままシーズンを過ごしていきたい」と、7月のツール・ド・フランスを目標に怪我から復活したガビリアは話した。

大きな優勝トロフィーを獲得したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)大きな優勝トロフィーを獲得したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) (c)CorVos
また、最後はホッジのリードアウトトレインに加わったエヴェネプールは危なげなく集団内フィニッシュし、デビューウィンとなった昨年6月のバロワーズ・ベルギーツアーに続くキャリア2度目となる総合優勝を挙げた。

「まずは何よりもチームに感謝したい。素晴らしい1週間となり、彼らの手助けによって最高のシーズンインを迎えることができた。参加選手中最年少で総合優勝できたことを誇りに思う」。第3ステージの個人タイムトライアルで総合首位に浮上し、標高2,565mの1級山岳コロラド峠にフィニッシュするクイーンステージでもライバルたちの動きを封じて首位を堅持したエヴェネプールは語っている。

その他総合成績は動かず、2位にトラック個人追い抜き世界記録保持者フィリッポ・ガンナ(イタリア、イタリアナショナルチーム)、3位に43歳オスカル・セビリャ(スペイン、チームメデジン)が入った。
ブエルタ・ア・サンフアン2020 第7ステージ結果
1位 フェルナンド・ガビリア(コロンビア、UAEチームエミレーツ) 2:58:03
2位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
3位 アルバロホセ・ホッジ(コロンビア、ドゥクーニンク・クイックステップ)
4位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
5位 ユーゴ・オフステテール(フランス、イスラエル・スタートアップネイション)
6位 ルディ・バルビエ(フランス、イスラエル・スタートアップネイション)
7位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、アモーレ&ヴィータ・プロディール)
8位 セバスティアン・モラ(スペイン、モビスター)
9位 アンドレス・ソト(コロンビア、コロンビア ティエラ・デ・アトレタス)
10位 マルコ・ベンファット(バルディアーニCSFファイザネ)
個人総合成績
1位 レムコ・エヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ) 23:13:59
2位 フィリッポ・ガンナ(イタリア、イタリアナショナルチーム) 0:00:33
3位 オスカル・セビリャ(スペイン、チームメデジン) 0:01:01
4位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツ) 0:01:21
5位 ミゲル・フロレス(コロンビア、アンドローニジョカトリ・シデルメク) 0:02:11
6位 ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、モビスター) 0:02:27
7位 ギヨーム・マルタン(フランス、コフィディス) 0:02:28
8位 セサル・パレデス(コロンビア、チームメデジン) 0:02:36
9位 ギャビン・マニオン(アメリカ、ラリーサイクリング) 0:02:53
10位 フアン・ドッティ(アルゼンチン、シンディアトエンプレアドス・サンフアン) 0:03:05
その他の特別賞
山岳賞 ニコラス・パレデス(コロンビア、チームメデジン)
ヤングライダー賞 レムコ・イヴェネプール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)
チーム総合成績 モビスター
text:So.Isobe
photo:CorVos

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