沖縄県で開催されているインターハイ3日目はトラック競技最終日。個人種目の決勝が行われ、1kmタイムトライアルで市田龍生都(福井県立科学技術高校)が大会新記録を出して連覇を達成。トラック競技の学校総合では松山城南高校が3連覇を達成した。


トラック最終日は雲多め、時折雨粒が落ちてくる1日トラック最終日は雲多め、時折雨粒が落ちてくる1日 photo:Satoru Kato
インターハイのトラック競技最終日は、男女あわせて10の個人種目で決勝が行われ、今年のインターハイチャンピオンが誕生した。

3日目も朝から青空が広がった沖縄県総合運動公園の自転車競技場。午前中は雲が多めで時折雨粒が落ちてくる場面もあったが、雨というほどにはならず。最高気温30℃越えは変わらないが、雲で日差しが遮られる分、前日までより若干過ごしやすく感じられた。


女子ポイントレース 渡部春雅が圧勝

女子ポイントレース 集団から飛び出す渡部春雅(駒澤大学高校)女子ポイントレース 集団から飛び出す渡部春雅(駒澤大学高校) photo:Satoru Kato
女子ポイントレースには16人が出走。36周12kmで争われた。6周ごとに設定された最初のポイント周回の直後、渡部春雅(駒澤大学高校)が単独先行。お見合いとなった集団をよそに差を広げながら2回目以降のポイント周回の1位追加を重ねていく。後半には集団の直後に迫り、ラップ認定(集団を周回遅れにして20点加算)されないギリギリのところで周回を重ねる。残り2回のポイント周回を機に渡部は集団をラップし、さらに集団から先行していた五島宝(福井坂井高校)を追走。追いつくことは出来なかったが、2位以下に30点もの大差をつけて優勝した。

女子ポイントレース 表彰式女子ポイントレース 表彰式 photo:Satoru Kato今年4月からトラック競技を始めたという渡部。「ポイント周回ごとにもがいて争うよりも、1人で行った方が自分のペースで行けると思って飛び出してみました。吉井功治さんに練習を見てもらっていて、ポイントレースのルールや戦略を教えてもらい、ラップしないように集団の後ろで走って1位通過を繰り返す方が効率が良いと言われた通りにやってみました」と、レースを振り返る。

明日のロードは連覇がかかるが、「それはあまり気にせず、自分の走りが出来るようにして良い結果に繋がればと思います」と、語った。
女子ポイントレース 結果(12km)
1位 渡部春雅(駒澤大学高校、東京) 46p
2位 五島 宝(福井坂井高校、福井) 16p
3位 永野日和鈴(成蹊高校、東京) 11p


男子ポイントレース 渡邉諒馬が混戦を制して優勝

ポイントレース フィニッシュの10点を目指してスプリント勝負へポイントレース フィニッシュの10点を目指してスプリント勝負へ photo:Satoru Kato
男子のポイントレースは72周24km。前日に3組行われた予選を勝ち上がった21名で決勝が行われた。

序盤から逃げと吸収が何度か繰り返されたのち、レース中盤に5人が先行。この中で渡邉諒馬(松山城南高校、愛媛)が1位通過を3回重ね、16ポイントを獲得してリードする。5人の逃げは終盤に集団が吸収するも、渡邉はポイントが倍になるフィニッシュで2位に入り、さらに6ポイントを加算。一緒に逃げていた邊見竜馬(学法石川、福島)らとの差を広げて優勝を決めた。男子ポイントレース 表彰式男子ポイントレース 表彰式 photo:Satoru Kato

逃げる作戦でこのレースに臨んだという渡邉は「スタート前は緊張していましたが、レース中は冷静になって(レースを)組み立てられました。3月の高校選抜で負けた伊藤恭選手(防府商工高校、山口)が強いのでマークしていました。途中の逃げにも伊藤選手が反応してきて焦りましたが、自分が得意とする逃げのスプリントの勝負に持ち込めたのが勝因だと思います。明日のロードも走りますが、暑さ対策をしっかりして臨みたいと思います」と、語った。
男子ポイントレース 結果(24km)
1位 渡邉諒馬(松山城南高校、愛媛) 25p
2位 邊見竜馬(学法石川高校、福島) 14p
3位 伊藤 恭(防府商工高校、山口) 12p
4位 北村翔太(前橋工業高校、群馬) 12p
5位 小池陽斗(北桑田高校、京都) 10p
6位 中村栄杜(千原台高校、熊本) 10p
7位 吉田圭吾(向陽高校、京都) 10p
8位 天野壮悠(千里高校、大阪) 8p


1kmタイムトライアル 市田龍生都が大会新記録で連覇と2冠

1kmタイムトライアル 大会新記録で連覇を達成した市田龍生都(福井科技高校)1kmタイムトライアル 大会新記録で連覇を達成した市田龍生都(福井科技高校) photo:Satoru Kato
「千トラ(千メートルタイムトライアルの略)」とも呼ばれる1kmタイムトライアルは、市田龍生都(福井県立科学技術高校、福井)が、1分4秒596の大会新記録を出して優勝。昨年に続きこの種目の連覇と同時に、前日行われたチームスプリントと合わせて今大会2冠を達成した。1kmタイムトライアル 表彰式1kmタイムトライアル 表彰式 photo:Satoru Kato

新記録にも「もうちょっと良いタイムを出したかった」と言う市田。「それでも昨年の伊豆よりも難しい環境でこのタイムを出せたことは満足しています。結果もついてきたので万々歳ですね。チームスプリントで勝ったのも嬉かったですが、個人でも勝てたことはこれまでやってきたことが報われたと感じられて別の嬉しさがあります。今年3年で卒業後は大学に進学する予定ですが、今後も自分の記録を突き詰めていきたいです」と、今後の抱負を交えて語った。
1kmタイムトライアル 結果
1位 市田龍生都(福井県立科学技術高校、福井) 1分4秒596(大会新)
2位 上野雅彦(高松工芸高校、香川) 1分6秒379
3位 吉田有希(つくば工科高校、茨城) 1分6秒379
4位 諸隈健太郎(高知工業高校、高知) 1分6秒524
5位 伊澤将也(横浜高校、神奈川) 1分6秒677
7位 石田拓真(岐阜第一高校、岐阜) 1分7秒226
8位 糸井星夜(大曲農業高校、秋田) 1分7秒357


女子2kmインディビデュアル・パーシュート 石田唯が優勝

女子2kmインディビデュアル・パーシュート優勝 石田唯(北桑田高校)2分35秒400女子2kmインディビデュアル・パーシュート優勝 石田唯(北桑田高校)2分35秒400 photo:Satoru Kato女子2kmインディビデュアル・パーシュート 表彰式女子2kmインディビデュアル・パーシュート 表彰式 photo:Satoru Kato

石田唯(北桑田高校、京都)と増田たま(筑波大坂戸高校、埼玉)の決勝戦となった女子の2kmインディビデュアル・パーシュート。前日の予選で出した2分35秒台のペースをそのままに周回を重ねて増田を圧倒し、優勝を決めた。

2年生の石田は、「2分35秒台からなかなか抜け出せず、もうちょっと良いタイムを出したかったです。でも万全のコンディションで持っている力は出し切れたと思うので、来年に繋げられる走りは出来たと思います。目標は2分30秒を切ることです。明日のロードが本命なのですが、(渡部)春雅ちゃんが強いコースなので、喰らいついて行きます」と、今後の目標を交えて語った。
2kmインディビデュアル・パーシュート 結果
1位 石田 唯(北桑田高校、京都) 2分35秒400
2位 増田たま(筑波大坂戸高校、埼玉) 2分41秒165
3位 柳沢早希(青森山田高校、青森) 2分43秒170


3kmインディビデュアル・パーシュート 安達光伸が優勝して2冠達成

男子3kmインディビデュアル・パーシュート優勝 安達光伸(岐南工業高校)3分28秒985男子3kmインディビデュアル・パーシュート優勝 安達光伸(岐南工業高校)3分28秒985 photo:Satoru Kato男子3kmインディビデュアル・パーシュート 表彰式男子3kmインディビデュアル・パーシュート 表彰式 photo:Satoru Kato

男子の3kmインディビデュアル・パーシュートは、安達光伸(岐南工業高校、岐阜)と、ロードの全日本TTジュニアチャンピオンでもある山田拓海(飯田風越高校)の決勝戦。前半は山田が2秒のリードを築いたものの、後半に入ると安達がペースアップして一気に形成逆転。最後は安達が山田に対して3秒のリードをつけてフィニッシュ。前日に行われた4kmチーム・パーシュートとあわせて2冠を達成した。

「2冠を獲れて嬉しいです」と率直な感想を話す安達は3年生。「前半突っ込みすぎると後半にタレるので、始めは抑え気味で行き、最後にペースアップする作戦で行きました。対戦相手の山田選手を見て走っていましたが、自分の力を全部使い切って勝てたので、良かったと思います。今年は国体にも出るので、そこでも勝って、大学でも良い成績を出せるようになりたいです」と、今後の抱負を交えて語った。
3kmインディビデュアル・パーシュート 結果
1位 安達光伸(岐南工業高校、岐阜) 3分28秒985
2位 山田拓海(飯田風越高校、長野) 3分31秒903
3位 生野優翔(日出総合高校、大分) 3分32秒231
4位 中西壮二郎(榛生昇陽高校、奈良) 3分32秒740


スクラッチ決勝 終盤に抜け出した木村皆人が優勝

スクラッチ 逃げを全て吸収してのスプリント勝負 木村皆人(取手一高)が先頭で最終コーナースクラッチ 逃げを全て吸収してのスプリント勝負 木村皆人(取手一高)が先頭で最終コーナー photo:Satoru Kato
フィニッシュの着順で争われるスクラッチ。予選で積極的な走りを見せた地元北中城高校の玉城翔太が、決勝もレース中盤から逃げて場内を沸かせる。集団は一定の距離を保っていたが、終盤にかけて追走。そこから抜け出した中村凌輔(千葉学芸高校、千葉)が玉城に代わって先行するが、最終周回に木村皆人(取手第一高校、茨城)が追って残り半周で中村を捕まえる。木村はそのままフィニッシュまで逃げ切り、優勝を決めた。

スクラッチ 表彰式スクラッチ 表彰式 photo:Satoru Kato木村皆人(取手第一高校)コメント
「予選で同じ組で走った玉城君が積極的な動きをしていたので、決勝でも同じように動くと予想していた通りの展開になりました。残り4周になっても集団が差を詰める動きにならず、自分が前に出された感じはありましたが、足を使ってでも追うべきと考えて行きました。後ろが付いてきていましたが、先行していた2人を抜いた勢いでそのまま踏み倒しました。今年は10月に地元の茨城県で国体があるので、そこで勝てるようにこれから仕上げていきます」



4km速度競走 先頭責任完了の5人の勝負を津石康平が制する

4km速度競走 先頭責任を終えた5人の逃げ集団から津石康平(奈良北高校)が抜け出して優勝4km速度競走 先頭責任を終えた5人の逃げ集団から津石康平(奈良北高校)が抜け出して優勝 photo:Satoru Kato
ホームストレートとバックストレートのコントロールラインを計3回先頭通過すること(=先頭責任)が勝利の条件となる4km速度競走。予選を勝ち上がった10人で決勝が行われ、レース終盤に先頭責任を完了した5人が先行。最終周回に抜け出した津石康平(奈良北高校)が逃げ切って優勝した。タイム4分43秒680は大会新記録。

4km速度競走 表彰式4km速度競走 表彰式 photo:Satoru Kato津石康平(奈良北高校)コメント
「5人で先行した時は正直足が無かったので自信はありませんでした。でも入賞は確実になったから、一か八か優勝を狙うしかないと思ってしかけました。練習に使っている奈良競輪場と同じ333mバンクなので、コーナーの入り方とか走り慣れた感じがして、他の選手より有利だったと思います。運も良かったと思います。明日のロードは登りが厳しいので、残れるかというとあまり自信はないのですが、優勝を目指して走りたいです。
スクラッチ決勝 結果(8km)
1位 木村皆人(取手第一高校、茨城) 10分45秒836
2位 大塚 響(横浜高校、神奈川)
3位 小西裕也(興陽高校、岡山)
4位 小西涼太(岡山工業高校、岡山)
5位 大河内将泰(南大隅高校、鹿児島)
6位 中村凌輔(千葉学芸高校、千葉)
4km速度競走決勝 結果
1位 津石康平(奈良北高校、奈良) 4分43秒680(大会新)
2位 北宅柊麻(松山城南高校、愛媛)
3位 北嶋桂大(氷見高校、富山)
4位 松岡優馬(千原台高校、熊本)
5位 岡本勝哉(北桑田高校、京都)
6位 橋本大和(岡山工業高校、岡山)


スプリントは予選1位の日高裕太が優勝

スプリント決勝 日高裕太(静岡北高校)が太田彪馬(小松島西高校)を下して優勝スプリント決勝 日高裕太(静岡北高校)が太田彪馬(小松島西高校)を下して優勝 photo:Satoru Kato
スプリントは予選の200mタイムトライアルで1位となった2年生の日高裕太(静岡北高校)が順調に勝ち上がり、決勝で太田彪馬(小松島西高校、徳島)と対戦。1回戦、2回戦と連取して優勝を決めた。

日高裕太(静岡北高校)コメント
「優勝してとりあえず安心しました。高校選抜の時よりも成長したことを感じられた結果となりました。
次は国体で勝つことが目標です」


ケイリン 男子は邊見光輝、女子は飯田風音が連覇

男子ケイリン決勝 邊見光輝(学法石川高校)が優勝男子ケイリン決勝 邊見光輝(学法石川高校)が優勝 photo:Satoru Kato女子ケイリン決勝 飯田風音(川越工業高校)が連覇を決める女子ケイリン決勝 飯田風音(川越工業高校)が連覇を決める photo:Satoru Kato

男子ケイリンは逸見光輝が優勝。女子ケイリンは飯田風音が連覇を達成した。

逸見光輝(学法石川高校)コメント
「作戦通りに行けました。九州学院の松本選手をみんなマークしていたと思うので、その隙をうまく突けたと思います。次はジュニアオリンピックカップに出ると思いますが、そこでも勝ちたいです」

飯田風音(川越工業高校)コメント
「昨年勝ったので今年も絶対負けられないという気持ちでここまでやってきたので、勝てて良かったです。今日は先行されましたが、冷静になってまくりに行くことが出来ました。次の目標は世界選手権です。ハロン(200mTT)のジュニア新記録と、チームスプリントで入賞を狙いたいです」
スプリント 結果(タイムは予選時)
1位 日高裕太(静岡北高校、静岡) 10秒792
2位 太田彪馬(小松島西高校、徳島) 10秒840
3位 中山遼太郎(九州学院高校、熊本) 11秒020
4位 児玉虎之介(岐阜第一高校、岐阜) 10秒945
5位 大橋真慧(横浜高校、神奈川) 10秒968
6位 小西晴己(三重高校、三重) 10秒873
ケイリン決勝 結果
男子 女子
1位 邊見光輝(学法石川高校、福島) 飯田風音(川越工業高校、埼玉)
2位 吉野太晟(岡山工業高校、岡山) 野原 萌(福井坂井高校、福井)
3位 浦部秀幸(祐誠高校、福岡) 阿部セラ(日本大学第二高校、東京)
4位 野中龍之介(法政大学第二高校、神奈川) 宮本杏夏(倉吉西高校、鳥取)
5位 下山聖斗(南大隅高校、鹿児島) 大平莉子(松山聖陵高校、愛媛)
6位 松本秀之慎(九州学院高校、熊本) 山本海美(筑紫総合高校、岩手)


トラック競技学校総合は松山城南高校が優勝トラック競技学校総合は松山城南高校が優勝 photo:Satoru Kato学校対抗は松山城南高校が3年連続総合優勝

トラック競技の全日程を終え、松山城南高校が3年連続でトラック総合優勝。3年間で選手はほぼ入れ替わっているが、次の世代が力をつけてきており、選手層の厚さを感じさせる結果となった。

明日2日は名護市に場所を移して男女のロードレースが行われる。



text&photo:Satoru Kato