2019年5月11日、イタリア中部のボローニャで開幕する第102回ジロ・デ・イタリア。山岳個人TTで幕開ける3週間の前半にはスプリンター向きの平坦ステージが多く組み込まれた。イタリア半島を南下し、エミリア=ロマーニャ州に戻る第11ステージまでのコースを紹介します。

後半ステージの紹介はこちら


5月11日(土)第1ステージ → コースマップ
ボローニャ〜ボローニャ/サンルーカ 8km(個人TT)☆☆☆


5月11日(土)第1ステージ ボローニャ〜ボローニャ/サンルーカ 8km(個人TT)☆☆☆5月11日(土)第1ステージ ボローニャ〜ボローニャ/サンルーカ 8km(個人TT)☆☆☆ photo:RCS Sport第102回ジロの開幕地はイタリア中部エミリア=ロマーニャ州のボローニャ。マリアローザの最初の着用者を決めるのは急勾配の登りを含む8kmの個人タイムトライアルだ。

ボローニャ中心部のマッジョーレ広場(チームプレゼンの開催場所)に設置されたスタート台から郊外を目指すコース全体の3/4が平坦路で、残り1/4が登り。残り2.1km地点から、ボローニャの街を見下ろす標高274mの小高い丘に向かって高低差204mを駆け上がる。サンルーカ聖母教会への参道でもあるこの登りは平均勾配が9.7%で、ちょうど登り中腹の残り1kmアーチ付近にかけて最大勾配が16%まで跳ね上がる。このサンルーカは3級山岳に指定されているため、登坂タイムによってマリアアッズーラ(山岳賞ジャージ)も争われる。レース主催者が予想する優勝タイムは11分前後で、平均スピードは43km/h程度に達する見込みだ。

この山岳TTでタイムを失ったスプリンターたちは、マリアローザを獲得するために翌日からの平坦ステージでボーナスタイム(10秒、6秒、4秒)を積極的に狙ってくるだろう。



5月12日(日)第2ステージ → コースマップ
ボローニャ〜フチェッキオ 205km ☆☆☆


5月12日(日)第2ステージ ボローニャ〜フチェッキオ 205km ☆☆☆5月12日(日)第2ステージ ボローニャ〜フチェッキオ 205km ☆☆☆ photo:RCS Sportジロは足早にエミリア=ロマーニャ州を離れてお隣のトスカーナ州へ。前半にアペニン山脈の標高774mラ・セッラ峠(カテゴリー無し)を越えるが、スプリンターが脱落するような登りではない。注目は、花の都フィレンツェの西に広がる丘陵地のアップダウンだ。残り55kmを切ってから登場する3級山岳モンタルバーノ(距離5.8km/平均6.8%)と4級山岳サンバロント(距離10.6km/平均2.9%)で集団スプリントに持ち込みたくないチームが攻撃を仕掛けてくるだろう。

中盤にかけて8%前後の勾配が続く3級山岳モンタルバーノで飛び出し、4級山岳サンバロントの曲がりくねった山道を利用して逃げ切りを目指す選手も出てくるはず。フチェッキオのフィニッシュ手前20kmは概ね平坦路で、残り900mを切ってから道幅7mのゆったりとした直線路がフィニッシュラインまで続いている。マリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)獲得を目指すチームがメイン集団を率いてアタッカーたちを捕まえにかかる。難易度3つ星だけに、単純な集団スプリントにはならなさそうだ。



5月13日(月)第3ステージ → コースマップ
ヴィンチ〜オルベテッロ 220km ☆☆


5月13日(月)第3ステージ ヴィンチ〜オルベテッロ 220km ☆☆5月13日(月)第3ステージ ヴィンチ〜オルベテッロ 220km ☆☆ photo:RCS Sportレオナルド・ダヴィンチの没後500年を記念して、芸術家であり発明家の生誕地ヴィンチをスタートする第3ステージ。ロンド・ファン・フラーンデレンを制したアルベルト・ベッティオル(イタリア、EFエデュケーションファースト)の故郷ポッジボンシに立ち寄り、ストラーデビアンケの舞台となるシエナをかすめながら、トスカーナ州の丘陵地をひたすら南下する。登場するカテゴリー山岳は残り38km地点の4級山岳だけ。十中八九、オルベテッロのフィニッシュ地点では大集団のスプリントが繰り広げられる。

残り15km地点からティレニア海の海岸線に沿った幹線道路を走るが、防風林が海風を和らげてくれるはず。最後は内海をまたぐ海中道路を走り、残り500mから2つの連続直角コーナーを曲がってフィニッシュを迎える。最終ストレートの長さは400m。連続コーナーに向けたポジション争いは熾烈なものになりそうだ。



5月14日(火)第4ステージ → コースマップ
オルベテッロ〜フラスカーティ 235km ☆☆


5月14日(火)第4ステージ オルベテッロ〜フラスカーティ 235km ☆☆5月14日(火)第4ステージ オルベテッロ〜フラスカーティ 235km ☆☆ photo:RCS Sport前日に続いて200kmオーバーのロングコースが設定された第4ステージ。ジロはトスカーナ州からラツィオ州に入る。首都ローマの喧騒を避けるように郊外をぐるっと回り、細かいアップダウンを繰り返しながら標高319mの丘の上に位置するフラスカーティに向かう。

ステージの難易度2つ星だが、ピュアスプリンター向きかと言うと決してそうではない。残り2km地点からフィニッシュラインまで勾配4.4%の緩斜面。この高低差88mの登りはパンチャーや軽量なスプリンター向き。コーナーも連続するため、リスクを避けたいマリアローザ候補たちも集団前方でポジション争いを繰り広げることになるだろう。フラスカーティがジロに登場するのはこれが5回目。この第4ステージとレイアウトは異なるものの、1998年にはマリオ・チポッリーニ(イタリア)が、2007年にはロベルト・フェルスター(ドイツ)がスプリント勝利を飾っている。



5月15日(水)第5ステージ → コースマップ
フラスカーティ〜テッラチーナ 140km ☆


5月15日(水)第5ステージ フラスカーティ〜テッラチーナ 140km ☆5月15日(水)第5ステージ フラスカーティ〜テッラチーナ 140km ☆ photo:RCS Sport前日のフィニッシュ地点フラスカーティを第5ステージはスタートする。この「フィニッシュ地点が翌日のスタート地点」というパターンが例年以上に多いのが2019年大会の特徴。ステージ間の移動距離の短さは選手たちのストレス減や回復時間増加に直結する。

ステージ前半には標高700m級の峠が登場するものの、カテゴリー山岳ではないためマリアアッズーラ狙いの選手は動いてこない。ステージ全体の難易度も低いため、ティレニア海に面したテッラチーナでは大集団スプリントが繰り広げられるだろう。残り9.2km地点で一旦フィニッシュラインを通過し、海岸通を含む真っ平らな周回コースを1周してフィニッシュを迎える。残り1.5km地点からフィニッシュラインまで続く道幅7.5mの広々としたアッピア通りで各チームのリードアウトトレインがスピード勝負を繰り広げる。



5月16日(木)第6ステージ → コースマップ
カッシーノ〜サンジョヴァンニ・ロトンド 238km ☆☆☆


5月16日(木)第6ステージ カッシーノ〜サンジョヴァンニ・ロトンド 238km ☆☆☆5月16日(木)第6ステージ カッシーノ〜サンジョヴァンニ・ロトンド 238km ☆☆☆ photo:RCS Sportラツィオ州のカッシーノからモリーゼ州を経てプーリア州へ。イタリア半島を横断する第6ステージは238kmと長く、レース時間も6時間近くになる。三州を跨ぐ際に登場する標高700m級の3つの峠はカテゴリー無し。この日の見所はラスト33kmに集約されていると言っていいだろう。

ジロ初登場のフィニッシュ地点サンジョヴァンニ・ロトンドに向かう道は険しく、まずは2級山岳コッパカザリネッレ(距離15km/平均4.4%)を残り17.9km地点でクリア。スプリントポイント通過後に高低差100mほどを登り返し、ゆるいアップダウンをこなしながら勾配2〜3%の登り最終ストレートに至る。2級山岳コッパカザリネッレとその後の登りで絞られた小集団によるスプリント勝負に注目だ。6日間にわたって南下を続けたジロは、この第6ステージを南限として翌日から北上を開始する。



5月17日(金)第7ステージ → コースマップ
ヴァスト〜ラクイラ 185km ☆☆


5月17日(金)第7ステージ ヴァスト〜ラクイラ 185km ☆☆5月17日(金)第7ステージ ヴァスト〜ラクイラ 185km ☆☆ photo:RCS Sportアドリア海に面したヴァストから、丘の街リパテアティーナやキエーティを経て内陸に進路をとる。アペニン山脈の厳しい峠は登場しないが、アブルッツォ州への入り口に位置する2級山岳レ・ズヴォルテ・ディ・ポポリ(距離7.9km/平均6.2%)はメイン集団の人数を減らすには十分な難易度だ。

残り46km地点の2級山岳を含むアップダウンをこなしながら向かう先は、2009年4月の地震で大きな被害を受けたラクイラ。丘の上に位置する街への進入路は複雑で、残り10kmを切ってからは登りと下りしかない。残り1kmアーチから先は平均7.6%/最大11%の登り坂。スプリンターチームがコントロールを放棄した場合は大逃げが決まる可能性も。実際に、前回ラクイラが登場した2010年には大逃げが決まり、リッチー・ポート(オーストラリア)がマリアローザを獲得している。



5月18日(土)第8ステージ → コースマップ
トルトレート・リード〜ペーザロ 239km ☆☆☆


5月18日(土)第8ステージ トルトレート・リード〜ペーザロ 239km ☆☆☆5月18日(土)第8ステージ トルトレート・リード〜ペーザロ 239km ☆☆☆ photo:RCS Sport今大会最長239kmコースの大部分はアドリア海に面した平坦な幹線道路。しかしそのままフィニッシュ地点ペーザロまで平坦かと言うと決してそうではなく、残り100kmからはマルケ州らしい丘陵コースを走る。カテゴリー山岳に指定されているのは3級山岳モンテ・デッラ・マッテーラ(距離6.8km/平均3.9%)、4級山岳モンテルーロ(距離4.4km/平均3.3%)、4級山岳ガビーチェモンテ(距離2.1km/平均4.5%)の3つだけだが、その他にも名も無い短い登りがいくつも登場する。

残り7km地点から先はコーナーが連続するテクニカルな下りが続き、最後はペーザロの中心部にフィニッシュ。レース時間が6時間を超える長丁場を締めくくるのは単独もしくは複数の逃げ切りか、それとも集団スプリントか。仮に集団スプリントに持ち込まれたとしても、マルケらしいアップダウンコースで集団は人数を減らしているはず。マリアローザ候補たちは翌日の個人タイムトライアルに備えて余計な力を使いたくないステージだ。



5月19日(日)第9ステージ → コースマップ
リッチオーネ〜サンマリノ 34.8km(個人TT)☆☆☆☆


5月19日(日)第9ステージ リッチオーネ〜サンマリノ 34.8km(個人TT)☆☆☆☆5月19日(日)第9ステージ リッチオーネ〜サンマリノ 34.8km(個人TT)☆☆☆☆ photo:RCS Sport個人TTに始まり個人TTに終わるジロの中盤に登場する34.8kmの個人TT。前半平坦で後半登りというレイアウトは初日の個人TTと似通っているが、距離はずっと長く、登りのボリュームもずっと大きい。マリアローザ争いにおいて大きな意味を持つ、時間にして50分前後の戦いはアドリア海沿いのリッチオーネをスタートする。そこから平坦路を19.7km走り、21年ぶりの登場となるサンマリノ共和国に入国。2019年大会においてこのサンマリノ共和国が唯一のイタリア国外となる。

本格的な登りは22.6km地点(残り12.2km地点)からスタート。標高648mの山の上に所狭しと作られた共和国に向かう登りは2級山岳に指定されている。登りのスペックは全長12.2kmで平均勾配は4.5%。前半は概ね6〜7%の勾配が続き、下り区間を挟んで残り2kmを切ってから再び勾配は6〜7%に。終盤にかけてスイッチバックコーナーも続くこの登りを、選手たちはフル装備のTTバイクで走るのか?それとも登り口で軽量なノーマルバイクに乗り換える?そんな機材選びもタイムに響きそうだ。



5月20日(月)休息日



5月21日(火)第10ステージ → コースマップ
ラヴェンナ〜モデナ 145km ☆


5月21日(火)第10ステージ ラヴェンナ〜モデナ 145km ☆5月21日(火)第10ステージ ラヴェンナ〜モデナ 145km ☆ photo:RCS Sport休息日の翌日はリズムを崩して突然大ブレーキがかかる選手が出てくるものだが、この第10ステージに関して言えば余程のことがない限り集団から脱落する心配はなさそうだ。ラヴェンナからエミリア=ロマーニャ州の平坦路を西へ。開幕地ボローニャのすぐ近くを通って、フェラーリやマセラティ、ランボルギーニが近くに拠点を構えるモデナの街でフィニッシュを迎える。

真っ平ら、英語で言うところのパンフラットな145kmコースは大集団スプリントで締めくくられるだろう。フィニッシュラインが引かれたエミリア通りは、残り2,200mからずっと直線的。一部パヴェ(石畳)区間も登場するが、スプリンターチームのスピードを弱めるような要因にはならないはず。145kmというステージの短さも相まって、高速スプリントバトルに注目だ。



5月22日(水)第11ステージ → コースマップ
カルピ〜ノーヴィ・リグーレ 221km ☆


5月22日(水)第11ステージ カルピ〜ノーヴィ・リグーレ 221km ☆5月22日(水)第11ステージ カルピ〜ノーヴィ・リグーレ 221km ☆ photo:RCS Sport極端すぎるほど平坦なステージが2日連続で登場。モデナ近郊のカルピから、この日もポー川が作り出した広大な平原を西に向かう。フィニッシュ地点はピエモンテ州のノーヴィ・リグーレ。2010年に新城幸也が逃げ切ってステージ3位に入った(ステージ優勝はジェローム・ピノー)地で、再び大集団スプリントが繰り広げられるだろう(フィニッシュ地点は異なる)。

登りという登りがない第11ステージの難易度は納得の1つ星。なお、残り48km地点のカステッジオからはミラノ〜サンレモのコースを辿るが、春の大一番「ラ・プリマヴェーラ」がノーヴィ・リグーレの街中で右折してトゥルキーノ峠を目指すのに対し、ジロ第11ステージは左折(残り3km地点)してセッラヴァッレ通りへ。全長2,800mの長い長い最終ストレートでスプリンターたちがスピードを披露するはずだ。



text:Kei Tsuji in Bologna, Italy

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