ツアー・オブ・タイランドの最難関ステージはメイン集団で落車が続く荒れた展開に。キナン勢の積極策は届かず、序盤から逃げたライアン・キャバナー(オーストラリア、セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム)が総合首位に浮上した。



観客の声援を受けながら走る集団観客の声援を受けながら走る集団 (c)Sonoko.Tanaka/Tour of Thailand 2019
中盤戦に入ったツアー・オブ・タイランド (UCI2.1)は今大会唯一設定された超級山岳ステージに直面。中盤に1級、超級、1級と合計3箇所の山岳ポイントが用意され、他にもコースプロフィールに記載されない激坂や荒れた道、テクニカルなダウンヒルが数多く待ち受ける199kmで激しい総合争いが繰り広げられた。

序盤の平坦区間では、チームイルミネイトとセントジョージコンチネンタルサイクリングチームが中心となった14名のエスケープが生まれる。キナンサイクリングチームの全日本王者、山本元喜と新城雄大もここに入った。当初は1分台だったリードも山岳に入るとともに拡大傾向となり、登坂区間ではセントジョージとイルミネイトのペースアップで一気にグループが崩壊。登坂力に長ける4名が、同じく急激にメンバーを減らしつつあるメイン集団から逃げる展開となった。

蛇行するほどの勾配が連続する蛇行するほどの勾配が連続する (c)Sonoko.Tanaka/Tour of Thailand 2019登坂をクリアするメイン集団。西村やグアルディオラが先頭付近に位置する登坂をクリアするメイン集団。西村やグアルディオラが先頭付近に位置する (c)Sonoko.Tanaka/Tour of Thailand 2019

山岳を終え、メイン集団からアタックする西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)山岳を終え、メイン集団からアタックする西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) (c)Sonoko.Tanaka/Tour of Thailand 2019
スコール後のスリッピーな路面で落車が多発。幸い大きな事態には至らなかったスコール後のスリッピーな路面で落車が多発。幸い大きな事態には至らなかった (c)Sonoko.Tanaka/Tour of Thailand 2019落ちたチェーンを直す西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)落ちたチェーンを直す西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) (c)Sonoko.Tanaka/Tour of Thailand 2019


今大会の最高標高地点(1735m)である第2山岳の下りではマルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム)が抜け出し、単独で散り散りになった先頭グループを追いかけていく。3番手となり先行する2名を追いかけたが、のちに西村大輝(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)がアタックするなど勢いを増すメイン集団に戻ることとなった。

カテゴリー山岳を終えてもなお激坂が続くアップダウンコースにはスコールが降り、スリッピーになった下り区間では落車が頻発する。キナン勢もNIPPO勢もスリップダウンを喫したが幸い大事には至らず、そんな混乱を味方につけ、序盤から逃げ続けていたライアン・キャバナー(オーストラリア、セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム)が5分近いタイム差をつけて独走勝利を飾った。

後続ではマルコスとサルバドール・グアルディオラ(スペイン、キナンサイクリングチーム)が積極的にプッシュし、マルコスが4分49秒差、グアルディオラが5分53秒差でステージ2位と3位に。これによってキャバナーは後続を4分55秒も引き離して首位に立つこととなった。

後続を5分近く引き離して優勝したライアン・キャバナー(オーストラリア、セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム)後続を5分近く引き離して優勝したライアン・キャバナー(オーストラリア、セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム) (c)Sonoko.Tanaka/Tour of Thailand 2019
総合首位に浮上したライアン・キャバナー(オーストラリア、セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム)総合首位に浮上したライアン・キャバナー(オーストラリア、セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム) (c)Sonoko.Tanaka/Tour of Thailand 2019
ステージ2位に終わったマルコスは「勝つことができず悔しい。実のところ、2位だったことはフィニッシュ後に知った。ただ、チームは素晴らしい働きだったし、これを続けていけばきっと勝てる日がやってくると思う。個人総合2位というポジションは決して悪くはない。ただ、やはり勝つことができれば最高だから、できる限りチャレンジは続けていきたい」とコメントする。

また、NIPPOの伊藤雅和は山岳突入前に落車し、痛みをこらえながら完走。「50キロ地点の何でもないところで前の選手が落車。スピードも出ていたので避けきれずに派手に転んでしまった。 そこからはずっと痛みとの勝負。激しく打ち付けた右脚、右上半身にほとんど力が入らない。しかしチームに任せてもらっている以上頑張るが、3つ目の山岳ポイントで力尽きてしまった。 片足にしか力が入らない状態では限界だった。」と悔やんでいる。
ツアー・オブ・タイランド2019第3ステージ結果
1位 ライアン・キャバナー(オーストラリア、セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム) 5h48'21"
2位 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +4'49"
3位 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、キナンサイクリングチーム) +5'53"
4位 ウ・ホジュン(韓国、ソウルサイクリングチーム) +6'16"
5位 ライアン・トーマス(オーストラリア、ドラパック・キャノンデールデヴェロップメント) +6'22"
個人総合成績
1位 ライアン・キャバナー(オーストラリア、セントジョージコンチネンタルサイクリングチーム) 13h47'15"
2位 マルコス・ガルシア(スペイン、キナンサイクリングチーム) +4'55"
3位 サルバドール・グアルディオラ(スペイン、キナンサイクリングチーム) +6'01"
4位 ウ・ホジュン(韓国、ソウルサイクリングチーム) +6'28"
5位 コルビン・ストロング(ニュージーランド、セントジョージコンチネンタル) +6'34"
チーム総合成績
1位 セントジョージコンチネンタル 41h35'05"
2位 キナンサイクリングチーム +4'20"
3位 ソウルサイクリングチーム +19'41"
text:So.Isobe

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